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2006年5月23日 (火)

初めての断食3

生まれて初めての断食は、無事に30日間終えることができました。しかし一度だけ、かなりのピンチに陥ったことがあります。ある週末に、カタール人に雇われているインド人の船長に招待され、みんなで海に遊びに行くことになりました。家にいてもご飯がほしくなるだけだと思ったので、その日は参加することにしましたが、よく考えたらバーベキューとかいろいろ誘惑に駆られる行事が盛りだくさんです。海に行く途中、「大丈夫かなぁ」と急に心配になってきましたが、そこで引き返すわけにもいきませんでした。断食中は、異教徒であっても日中は外で目立つように飲食をすることは避けなければなりません。この日はドーハからだいぶ離れ、船長を雇っているカタール人オーナーの所有するプライベートビーチに行きました。もちろんオーナーはいません。まずは小型ボートを遠浅の海に出し、船長の子分が昨晩仕掛けておいた網のチェックです。網を引き上げていくと、早速何か小ぶりの魚がかかっています。「いるいる!!」船上はにわかに活気づいてきました。南洋のカラフルな魚があっという間に10匹ほど引き上げられ大喜びの私たちをしり目に、船長はクールに「次の網」と言ってボートの進路を変えました。

次の網を引き上げると、突然、網の一番前をたぐっていた人が「ギャッ」と叫びました。何かと思って見てみると、50cmくらいの小さなサメがかかっていました。まだビクビク動いています。舟にあげる前に捨てたかったのですが、思いっきり網にからんでいるので、どうしても一度舟の上に上げなければなりません。サメの体を押さえようとしたその時、船長が「危ないぞ」とするどいひと言を発しました。確かに、いわゆる「サメ肌」なので、触ろうとすると紙ヤスリでこすられたように皮膚が傷ついてしまいます。可愛そうですが足で押さえつけ、やっとの思いで網からはずし、海に帰ってもらいました。船長いわく、サメがかかる時は他の魚は期待できないそうです。その通り、次の網、さらに次の網にも食べられる魚はかかっておらず、かわりに小さなサメが3~4匹ずつかかっていました。我々があきらめかけた頃、最後の網で、小ぶりながらもハムールという極上の魚をとることができました。そうして、ようやく船長の顔にも笑顔が戻りました。

漁を終えて戻ってくると、ビーチでは火おこし班がもう準備万端です。わいわい言いながら、あっという間にバーベキューが始まりました。気温は40度。さらにたき火を囲んでいます。焼き網の上からはこの世のものとは思われぬほど良いにおいが立ち上ってきます。みんなは冷たいビールやジュースで乾杯しているし、船長もたぶんムスリムだと思うのですがやっぱり缶ジュース片手に上機嫌です。こんなに和やかな雰囲気の中で、1人だけ手持ちぶさたでいる私を見て、みんな口々に「断食なんてやめれば?」と言い寄ってきます。「今日食べてあとで1日追加すればいいんでしょ」などと言われると、「う~ん、それもありかも」と思わず弱気になってしまう私。しかし結論から言うと、この日はなんとか耐え抜くことができました。そして、30日間の断食を全うすることができたのです。この時船長がかけてくれた「今日の1日は普段の断食1000日の価値がある」という言葉は今も忘れません。

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