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2006年5月25日 (木)

ライラの湖

「マジュヌーン・ライラ」は中東地域で広く親しまれている悲恋物語です。詩才豊かな主人公カイスは、恋人ライラの名前を詩の中にうたってしまったため、先方の家柄を傷つけたとして求婚を拒否されてしまいます。ライラは他人に嫁ぎ、癒されぬ心の傷を抱いたカイスはやがて精神に異常を来します。マジュヌーン(気がふれた)と呼ばれ、砂漠をさまよい恋人の幻影を追い求めるカイスでしたが、ライラもまた恋人への想いと夫への忠節のはざまに苦しみ、やがては衰弱して死んでしまいます。この恋物語はアラビアの砂漠的環境に生まれ、その純愛と悲恋、詩のすばらしさなどから広く中東文化圏に伝えられ、時代時代で作品化されています。いわば、中東版ロミオとジュリエットなのです (ロミオとジュリエットがライラの物語を引用したという説も)。

ライラは「夜」という意味で、中東の女性にはよくある名前です。リヤドから約350km南下したところにライラという小さな町がありますが、だからといってここがマジュヌーン・ライラ由来の地というわけではないでしょう。しかし町はずれにあるライラの湖を見ると、その美しさにしばし呆然となり、ライラの物語があったとしても不思議ではないと感じます。周りは土漠で緑もまばら、生き物の気配をまるで感じさせない静寂な世界です。平坦な土地なので、車で近づいても直前まで湖は見えません。岸に近づくと、突然、土漠にぽっかりあいた穴とそこに満々と水をたたえる湖が姿を現します。灼熱の太陽に焼きつくされた土地に、そこだけ青々とした水が静かに波音をたてています。この非現実的な世界。時空を飛び越え、マジュヌーン・ライラが姿を現してもおかしくありません。それほど見る者の心をゆさぶる何かがありました。

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