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2006年6月23日 (金)

ルクソールのテロ2

ルクソール事件の犯人を推理すれば、それはムバラク政権への打撃をねらったグループの犯行だと言えます。昔から、エジプトの反体制グループ (イスラム原理主義者) は、「国民の生活不安→現体制への不満爆発→政権交代」という回りくどい方法を目指してきました。実際、ルクソール事件直後からエジプトへの観光客は10分の1に激減、貴重な観光収入はほとんど途絶えてしまいました。観光地では多くの人が店をたたみ、カイロでもタクシーの数が激減、ホテルは客が入らず、レストランも閉店が相次ぎました。しかしそれで政治が変わったかと言えば、当たり前ですが何も変わっていません。単に人々の生活が苦しくなっただけです。テロリストグループは、外国人を傷つけ、さらにエジプト人をも傷つけたのです。政権交代を目指すなら、もっと別の道があるだろうことは自明の理です。しかし、テロの翌日から観光キャンペーンを始めた政府側も、相当無神経なところがあります。テレビをつければルクソールの映像が流れていて、曰く、「今がもっとも安全」。どこかにまともなエジプト人はいないんだろうか…。こんなバカな対応をしているから、それから2年間ほとんど観光客が来なかったんだと思います。

仕方なく、観光地ではエジプト人優遇キャンペーンを始めました。遺跡の入場料やホテル代をぐんと安く設定したのです。それまでは、観光地のホテルには一定の宿泊料金しかありませんでした。外国人もエジプト人も同じ宿泊料金です。公務員の給与が2万円もないのに、1泊100ドルのホテルにエジプト人が泊まれるわけありません。例えば外国人1泊100ドルのところ、エジプト人は100ポンド (3200円) くらいにしていたと思います。一応ホテルの部屋は埋まるようになりましたが、それから何が起こったか。ある時期現地紙に「観光地を破壊するエジプト人」という告発記事が連載されました。観光地のホテルや遺跡で、あまりにもエジプト人観光客のマナーが悪く、物を壊したり汚したり、手がつけられない状態になっているというものでした。インタビューに対して「あのテロのおかげで私も高級ホテルに泊まることができた、あれは良かったと思う」と答える人も何人かいました。実際、これがエジプト人の本音なんだと思うと、本当に悲しくなりました。

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