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2006年6月19日 (月)

話し言葉と書き言葉

アラビア語を学習する上でもっとも困難な問題は、書き言葉と話し言葉が違うということです。書き言葉 (フスハー/正則アラビア語) は、新聞、本、手紙の記述に使われるのはもちろん、テレビ・ラジオのニュース、公の場でのスピーチなどで話されます。学校で習うのもこちら。しかし、あらゆる地域において、フスハーを日常生活の中で「話している」例はありません。それぞれの地域が話し言葉 (アンミーヤ/口語) を持っているからです。これはまるで日本から関東を取ってしまったような状況とでも言いましょうか。例えば本国で日本語を勉強してから大阪に行った外国人は、イントネーションから単語そのものの違いに、さぞ驚くと思います。青森に行ってみたらまた全然違っていて、福岡ではさらに違っていた、なんてことになったら「一体どこで “ちゃんとした” 日本語が話されているんだ」とずいぶん悩むことでしょうね。では、一例を。

■お元気ですか (男性に対して)
正則アラビア語:カイファ・ハールカ?
サウジアラビア:ケーファ・ハーラック?
エジプト:イザイヤック?
ヨルダン:シュローナック?

■何が欲しいですか (男性に対して)
正則アラビア語:マーザー・トゥリード?
サウジアラビア:ウシュ・テボガー?
エジプト:アンタ・アーイズ・エー?
ヨルダン:エーシュ・ビッダク?

■良い
正則アラビア語:タイイブ
サウジアラビア:ゼーン
エジプト:クワイイス

■私の物
正則アラビア語:名詞の語尾にイ音追加
サウジアラビア:名詞・ハッギー
エジプト:名詞・ビターイー
ヨルダン:名詞・イリー
(ハッイー、タバイー、マーリーなども)

■音の変化:Q→G/A
正則アラビア語:カホワ (コーヒー)
サウジアラビア:ガホワ
エジプト:アホワ

■音の変化:J→G
正則アラビア語:ジャマル (ラクダ)
エジプト:ガマル

■音の変化:K→CH
正則アラビア語:サマク (魚)
ペルシャ湾岸諸国:サメチ

サウジアラビア=リヤド、エジプト=カイロ、ヨルダン=アンマンです。国内でも地域によってアンミーヤは異なります。フスハーを話せばみんなわかってくれますが、普通返事はアンミーヤで返ってきます。アラビア語上達のヒケツは、その土地の方言に染まりきることだと頭では理解していますが、やはりそれぞれが違いすぎるし、日本で文法からきちんと勉強したばっかりに、方言を話すことにどうしても抵抗があります。かと言って日常生活でフスハーをしゃべると、あまりに堅すぎるのか苦笑されるのがオチでしたから、結局今でも私はアラビア語を話すとき「フスハーにするか、アンミーヤならどの地方のもので話せば良いか」と躊躇してしまいます。もちろん、どのアンミーヤも中途半端なのは言わずもがなですが。

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