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2006年7月 4日 (火)

シナイ山

シナイ山に登りご来光をおがんだのは、私にとってエジプト観光のひとつのハイライトでした。子供の頃から親しんできた旧約聖書。その中でもモーセの出エジプト記は、スペクタクルシーンや示唆に富んだ物語がふんだんに盛り込まれ、単純に読み物として素晴らしく面白いものでした。出エジプト記は、研究家によれば紀元前13世紀頃の出来事であったと言われます。すべてが真実の出来事とは思いませんが、十戒にまつわる何らかのストーリーがシナイ山で紡ぎ出されたのだと考えると、静かな興奮を覚えます。十戒の配列にはいくつか解釈がありますが、ユダヤ教では、(1)序文、(2)ヤハウェ以外の神々を信仰したり偶像崇拝をしてはいけない、(3)神の名をみだりによんではいけない、(4)安息日をまもらなくてはいけない、(5)父と母を敬うこと、(6)殺してはならない、(7)姦淫してはならない、(8)盗んではならない、(9)偽証してはならない、(10)隣人の財産や妻を欲してはならない、となっています。その後十戒はヘブライ人の律法の基礎になり、その思想はキリスト教にも引き継がれるわけですから、現在世界の多くで信奉されている道徳観は元を正せば十戒に行き着くことになります。十戒がなかったら、あるいは十戒のストーリーが聖書という形で現世に伝えられなかったら、今の世界はかなり違ったものになっていたのだろうかと考えると、大変に感慨深いものがあります。

我々は午前2時にホテルを出発しました。バスでシナイ山のふもとに到着したら、9合目くらいまで登るのを歩きにするかラクダに乗るか決めます。登山といっても、実際にはつづら折りの急坂をひたすら歩いていくちょっときつめのハイキングといった感じで、私はそれほど大変とは思いませんでした。ガイドなんて革靴で歩いていたし。逆に、ラクダに乗った人は、乗り心地の悪さと凍てつく寒さにまいったそうです。午前4時、9合目から最後の石段に向かいました。約600段ある石段は、誰もが歩かなくてはならない最後の難関です。足をひきずりながらようやく頂上に着くと、すでに何十人も観光客 (巡礼者) が朝日の来光をいまかいまかと待っていました。空が白みはじめ、ようやく朝日が上るのを見た時は、三千数百年という時の流れが一瞬にして凝縮されたような錯覚に陥り、ちょっと泣きそうになってしまいました。余談ですが、10の戒めが授けられたということは、当時それだけ風紀が乱れていた証拠なのかもしれません。「隣人の妻を欲してはならない」って、不倫とか略奪愛が流行っていたの?
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