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2006年7月24日 (月)

ゴラン高原

イルビドのさらに北にあるサハム村は、ヨルダン最北に位置する国境の村です。ヤルムーク川を国境線として、対岸にはイスラエル領ゴラン高原が広がっています。国境と聞くとどこかものものしい感じがしますが、そこは川の浸食によって数百メートルの渓谷となっており、素晴らしい眺めから多くの家族連れでにぎわう行楽地となっています。ただし、常に警備の軍人が目を光らせており、基本的にはイスラエル領の写真撮影は禁止されています。この時一緒に行った地元出身のヨルダン人が警備の軍人にしばらく話しかけていると、すぐにうち解けたのか、私たちを一番眺めの良い場所まで案内してくれたばかりか、写真まで許可してくれました。川底には線路と鉄橋があって、彼らは「オリエントエクスプレス」だと言っていましたが、もしかしたらアラビアのロレンスたちが爆破した「ヒジャーズ鉄道」かな?

ゴラン高原は、1967年の第3次中東戦争以来イスラエルが占領を続けており、今でもシリアとは領土の帰属をめぐって紛争が続いています。当時ゴラン高原に住んでいたシリア人 (イスラム教ドルーズ派) 約10万人のうちほとんどは、シリア領内に移住せざるを得ませんでした。高原南部、つまりヨルダン国境付近は水源があり土地も肥沃なため、逆にイスラエルからは移住者が相次ぎ、多くの村落 (キブツ) が建設されました。ヨルダン側に警備員がいるように、ヤルムーク川の向こう側の丘、イスラエル領にも軍人が常駐して常にこちらを見張っています。「お互い睨み合って毎日大変だね」と警備員に声をかけると、彼は複雑そうな表情をしてこんなことを話してくれました。「実は我々が見張っているのはイスラエル側からの攻撃ではなく自国のパレスチナ系住民なんだ。無茶な奴らが越境してイスラエルに攻撃をしかけたらヨルダンはもっとひどい目にあうからね」 これを聞いて、ヨルダンの難しい立場をまたも再認識しました。
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