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2006年7月 2日 (日)

トイレの話

それは8日間のエジプト旅行を無事に終え、カイロ国際空港に着いた時でした。ちょっとお腹がゴロゴロしてきたので、ターミナルの外に併設されているトイレに行きました。中のトイレの方が確実にきれいだとは思ったのですが、チェックインと出国手続きをしてからだとまだ小1時間我慢しなければなりません。観光地では数々の汚いトイレに悩まされましたが、いくらなんでも国際空港、そうそう汚いわけはないと考えつつ、小走りにトイレに駆け込むと、いきなり異臭が鼻をついてきました。一気に嫌な予感に襲われましたが、ここまで来たからにはとりあえず確認だけはしようと思い、3つのうち空いていた1番奥の個室をのぞき込みました。「うっ…」 一瞬にして体が固まり、内部の惨状に目が釘付けになりました。洋式便器の中には、数人分のものと思われるウンチがこんもりと山盛りになっていたのです。ナイル川があるとはいえ、カイロは慢性的な水不足です。トイレの水が流れなくてもそれをせめるわけにはいきません。しかしこのウンチの山は相当心理的圧迫を与えます。おそらくこの山に恐れをなした人が腰を浮かせてトライしたのでしょう。うまく下に落ちずに、便座のふちに立派なウンチがひっかかっていました。

思わず便座から視線をそらしましたが、果たしてその先には、個体とは言い難いウンチが床に広がっていました。この人もお腹を壊してここに駆け込んだのです。しかし便器は座れる状態ではありませんでした。誰もこの人をせめることはできません。それにしても世の中にはそそっかしい人がいるようで、たぶん何も考えずに、目すらつぶってここに入ったのでしょう。床の液状ウンチを踏んでズルッとすべった跡があります。その人は不用意な1歩に大いに涙したことでしょう。肩を落とし無念の表情を浮かべながらクツを洗う、寂しい男の姿が目に浮かびます。ここで私は茫然自失、天を仰ぐしかありませんでした。しかし天を仰ぐ瞬間、私の目に飛び込んできたのは、壁に残された何本もの茶色い筋でした。エジプトのトイレに紙などありません。男達は迷い、乱れ、絶望し、神を呪い、そして手でぬぐい取ることを決心したのです。指についたものを壁になすりつける時、男達の胸中に去来したものはなんだったのでしょう。「こんなことをするために生まれたのではない」 誰もがそう思ったはずです。あぁ、無情…。(ちなみに私の方は引っ込んじゃいました。当たり前!?)

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旅行・地域 エジプト」カテゴリの記事

コメント

私は日本語喋れるエジプト人ですけれども・・死ぬ程笑っちゃいました。同感します。

投稿: Mona | 2015年2月11日 (水) 00時29分

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