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2006年7月21日 (金)

お札

エジプト離任の前日、会議室のテーブルを囲み、最後にエジプト人スタッフと一緒にお茶を飲みました。「エジプトはどうだった?」とスタッフが口々にたずねてきます。3年間のエジプト勤務は、仕事・生活ともにあまり良い思い出がありません。正直、文句しか浮かんできませんでしたが、そこは大人の対応で「すべてが素晴らしかった」とルクソールやシナイ山に旅行した話を身振り手振りを交えて話しました。スタッフもフンフンとにこやかにうなずいています。しかし、実際にはエジプトがあらゆる面でひどい国 (外国人には暮らしにくい国) だということはさすがにスタッフもわかっているだろうし、良い話ばかりしたら逆に本音を言わない腹黒い奴だと思われるかもしれないと考えて、「そうだ、ひとつだけ残念なことがある」と切り出しました。みんな興味津々で身を乗り出してきます。私はおもむろに「お札が汚いのはちょっと嫌だったなぁ」とサイフから真っ黒な1ポンド札を取り出し、笑顔で言いました。少なくとも汚いお札が流通しているのは厳然たる事実で、しかも彼らの目の前に実物を提示しています。私にしてみれば、みんな苦笑しながら「そうだよねぇ」と言ってくれるのを期待していたわけです。

ところが、そこからスタッフ同士でちょっとした討論が始まってしまいました。「何かの間違いだ」「いや、お札が汚いのは事実だ」「お札を管理しているのはどこか」「造幣局と財務省の関係は?」「現金流通システムを改善すべきだ」「銀行が古い紙幣の回収を拒んでいる」「政府は何をやっているのだ」などなど、もう喧々囂々。最終的には、リーダー格のスタッフが「そのようなお札があなたの手に渡ったことを申し訳なく思います、然るべく関係機関に要請をするなど、今後そのようなことが起こらないよう働きかけをしたいと思います」と淡々と発言し、殺伐とした雰囲気のまま最後のお茶会は終わりました。この時学んだ教訓。エジプト人には、絶対にエジプトの悪口を言ってはいけません。それが曲げようのない事実であっても、例え冗談口調であっても、さらにはエジプト人が発した自国の悪口に同意した言葉であっても、外国人にそう言われるとエジプト人はものすごく気にします。そして、その指摘を否定しようとして不毛な議論・口論が始まります。みんなそれなりに社会に対して不平不満はあるのでしょうが、外国人にそういう汚点を突かれるのは嫌なんですね。ややこしい人たちです。

まだまだ書き残しもありますが、ひとまずエジプト編はこのくらいにします。

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