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2006年7月24日 (月)

シンドラーのリスト

この映画、あるシネマガイドブックにはこう書かれています。「第二次世界大戦中の実話をもとに、スピルバーグが、商業的採算をあえて無視して取り組んだ入魂の反戦ヒューマンドラマ」 …私も、映画公開の時期にたまたまロンドンに行く機会があって、ピカデリーサーカスの映画館で観ました (サウジアラビアなど中東諸国では当然のごとく上映禁止でした)。映画開始早々から、私は画面に釘付けになりました。ナチスドイツの所業に戦慄をおぼえ、当時ユダヤ人の置かれた境遇に涙がこぼれました。最後にシンドラーが言った「今からあなた達は自由だ、そして私は追われる立場になる」というセリフに胸を打たれ、3時間の映画をあっという間に見終わりました (終了直後は2時間くらいの映画だと思いました)。しかし、最後の最後にちょっと疑問を感じました。画面がカラーに変わり、役者たちが墓地に集まって来るシーンで、実は劇中の役者が映画に出ていたユダヤ人 (役柄) たちの子供だったことがわかります。おそらくスピルバーグは、ナチスドイツによるユダヤ人迫害が真実の話であり、この映画が実話に基づいたドラマであることを強調したかったのかも知れません。あるいは「ほとんどドキュメンタリーだぞ」と言いたかったのかも知れません。

感動に酔いしれていた私は、ここでふと現実に引き戻されました。こうしてナチスの魔の手を逃れ、生き抜いたユダヤ人。次に彼らが行ったことは、パレスチナ人の迫害です。イスラエル建国はユダヤ人の悲願でしたが、それによって国を追われたパレスチナ人は160万人。そして60年たった今でも解決の糸口すら見いだせないパレスチナ問題。ナチスによるユダヤ人迫害は、ユダヤ人をして「他者を殺してでも生き抜く」ことを肝に銘じさせたのでしょうか。スピルバーグも完全にドラマとして (何か別のことに視点をあてて) 撮れば良かったのにと思いますが、これだけドキュメンタリー然としていると「じゃあ、ユダヤ人が今やっていることは何なの?」という文句のひとつも浮かんできます。少なくとも、現実を想起させるあのラストシーンは余分だったんじゃないかなぁ。反戦ドラマというよりも、「昔これだけひどいことをされたんだから、自国を必死で守るのも仕方ないでしょ」とイスラエルの戦争を肯定しているような気が…。

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