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2006年7月31日 (月)

日本とアメリカ

中東では、ほとんどの人が親日家だと言っても良いでしょう。ただし、養殖真珠の開発により大打撃を被ったカタール (のかなり年輩の人) はちょっと微妙ですが。いくつか理由はあるのですが、まずは車。どの国に行っても、町には日本車があふれています。値段はあまり安くはありませんが、信頼性・耐久性の面でずば抜けた評価を得ています。ちょっと知っている人なら、天然資源や材料を安価に輸入し、技術力を駆使して車など高価な製品を輸出しているリッチな国、と言うでしょう。それから、これは日本人としてはあまり触れられたくない話ですが、この地域では赤軍の知名度が日本以上に高いという事実。特にパレスチナ人にとっては、岡本公三はイスラエルの空港で銃を乱射し、多数のイスラエル人を殺傷したことから、未だにヒーローとして語り継がれる人物です。あの9.11のアメリカ同時多発テロも、翌日のヨルダンの新聞には赤軍の犯行と載りました。また、比較的貧しいアジア諸国の中にあって、戦後飛躍的に経済成長を遂げた勤勉な国民性は、何より日本人の特徴として賞賛されています。さらに、それだけ急激な近代化を果たしたにもかかわらず、天皇制を維持していることも彼らは手本にしたいそうです。つまり、天皇制という旧態然としたシステムを維持しつつ発展を遂げた方法 (→イスラムの教義を厳格に維持しつつ国を発展させる方法) と、発展を遂げたのに未だに天皇制という古風なシステムを維持している秘訣 (→発展を遂げても王制を維持する秘訣) を知りたいということです。確かに中東はイスラムに厳格な王国が多いですからね。民主化運動はもっとも深刻な問題です。

さて、もうひとつ決定的なことがあります。それは、あのアメリカに太平洋戦争で本気のケンカを仕掛けたことです。アメリカは、国内ユダヤ資本の政治的影響力から、イスラエルに対する全面的バックアップを続けています。アメリカはパレスチナ和平工作を推進しているように見えて、実はアラブ諸国の結束を乱すようなことばかりしています。エジプトやヨルダンにイスラエルと和平条約を結ぶよう働きかけたのは、イスラエルと隣国との軍事的緊張の軽減を狙ったものであって、決してパレスチナ問題の解決を考えたものではありません。少なくとも、パレスチナ人はそう否定的にとらえています。パレスチナ人だけでなく、中東諸国全般に見られるアメリカ嫌いは相当なものです。湾岸危機にしても、サダム・フセインの愚考は許されるものではないにしても、イラクを「はめた」アメリカはさらにひどい、という見方が根強くありました。当初、イラク軍のクウェート侵攻を黙認するかのような反応をしたアメリカでしたが、結果的には湾岸戦争を利用して地域の利権に食い込んでいきました。そんな「悪魔」アメリカに、アジアの小国である日本が一度でも戦争を仕掛けたという歴史は、パレスチナ人の溜飲を下げるには十分なものです。しかしヨルダン人とこの話をしていると、必ずおまけが付いてきます。「今の日本はどうしてアメリカと深いつき合いをしているのか、日本はパレスチナ人の仲間だったのではないか、もう一度アメリカに抵抗しよう」と言われるのです。私もアメリカの外交姿勢は好きではありませんが、アメリカと決別したらそれはそれで支障が出るだろうな、などと冷静に考えてしまったりします。

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