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2006年8月24日 (木)

イードのご馳走

イスラム暦12月をハッジ (巡礼月) と言います。太陰暦 (1年=354日) なので毎年西暦とは季節がずれていきますが、今は1月頃でしょうか。巡礼月の10日はサウジアラビアのメッカ巡礼の最後にあたり、巡礼者は動物犠牲を捧げます (イード・アルアドハー/犠牲祭)。この日、イスラム世界の各家庭ではいっせいに動物を屠りますが、それに合わせ、アンマンのあちこちでもヒツジの市が立ちました。それまで空き地だった場所に突然囲いができたと思ったら、たちまち数百頭のヒツジが運び込まれてきます。そんな市場のひとつを訪ね、南の砂漠からやって来たと言うヒツジ売りの青年に1頭いくらかと聞いてみると、1万5000円から5万円まで、その種類によってかなり値段に開きがありました。ヒツジはどれも1才未満だそうです。買うかと聞かれたので、どうやって持っていくんだよと答えると、彼はおもむろに1台の車を指さしました。そこには、あばれるヒツジを自家用車のトランクにつめ込む人の姿がありました。なんか強引…。

アラビア語ではヒツジ・ヤギをまとめてガナムと呼びます。ハディース (預言者ムハンマドの言行録) の中で「ガナムはガニーマ (有益) である」と言われているとおり、イスラム教徒の生活の支えをなしてきました。毛・皮・肉・ミルクなどの利用のため、また犠牲祭での最善の供物として、生活や宗教信条において高い価値が認められています。しかしその反面、社会通念上、ヒツジ・ヤギの地位はかなり低いものとなっています。他人の犠牲者 (カブシュ=親雄羊)、理解力に欠ける男 (ハルーフ=雄子羊)、何事もあきらめた人間 (マアザ=雌ヤギ)、頑固者 (タイス=雄ヤギ) などに例えられていて、人間に役立っているわりには低いイメージができあがっているようです。確かに、真横で仲間が屠殺され、軒先につるされ、あげくバーベキューにされているにもかかわらず、たいして抗いもせずミカン箱に入れられ計量を待つ姿を見ると、なんだかこちらが歯がゆくなってしまいます。革命を起こそうというヒツジはいないのでしょうか。
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