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2006年8月 4日 (金)

アラビア起源の言葉

7世紀に興ったイスラムは、次々と領土を拡大していき、10世紀から14世紀にかけては哲学、数学、天文学、医学、化学、地理学などで世界をリードしていました。正確に言えば、すべてがいわゆるアラブ人の功績ではなく、ペルシャ人など諸外国の多彩な知識人を含め、これらの科学技術がアラビア語の文献としてまとめられ、世界に発信されていったということです。「ゼロ」の概念はもともとインドで発明されましたが、11世紀頃アラブ人によりヨーロッパに伝えられたため、今でもこれを「アラビア数字」と言うわけです。アラビア語でゼロは「スィフル」と言いますが、ヨーロッパ語でゼロをあらわす単語はこれに由来すると言われ、英語の「Cipher (暗号)」やフランス語の「Chiffre (数字)」などもそうでしょう。12世紀には地理学者イドリーシーがヘレニズム時代のプトレマイオスの地図を基本として、イスラム商人の交易によって得られた世界各地の情報を加味し、メッカ中心の世界地図を作りました。

当時はイスラム商人の活躍がめざましく、東西の文化交流や物流において、彼らが世界を動かしていたといっても過言ではありません。そのため、現代に残るイスラム起源の単語も豊富に見いだすことができます。Algebra (代数)、コットン、マガジン、オレンジ、シュガーなどなど。オレンジについては、現代アラビア語では「ブルトゥカール」と言いますが、これは国名のポルトガルと一緒です。その昔、北アフリカにあった野生の柑橘類「ナランジ (定冠詞を付けるとアンナランジ)」はとても苦く、果物として食べることはできませんでした。それがヨーロッパに持ち出され、品種改良されて甘い果実をつけるようになり、今度はポルトガルからアラブに逆輸入されたため、ヨーロッパではオレンジ、アラブではブルトゥカールと言われるようになりました。(今ふと思いつきましたが、柑橘類のタンジェリンはモロッコのタンジェが関係しているのかな…?) また、シャーベットと言えばいかにも涼しげでヨーロッパ語的な響きがありますが、実はアラビア語の「シャリバート (飲み物)」が起源です。贅沢を好んだアラブの太守が、冬の間に貯蔵しておいた雪 (あるいは氷) を夏の暑い時期に倉から取り出し、冷たい飲み物として食べたのが始まりです。日本にも江戸時代には南蛮貿易によりシャーベットが紹介されていたそうです。ちなみに、フランク・ハーバートの「デューン」シリーズには、イルム (知識、科学) をはじめいろいろアラビア語の単語が用いられていました (ちょっとうろ覚え…)。アラビア語の単語は、ヨーロッパ人にとってはどこかエキゾチックな響きがあるのでしょうね。

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