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2006年8月 5日 (土)

あいさつ

イスラム教の聖典コーランには「挨拶を受けたときにはもっと丁寧な挨拶を返せ」と記されています。そのため彼らは挨拶の語句をそのまま相手に返すようなことはしません。「アッサラーム・アライクム (あなたに平安あれ)」に対しては「ワ・アライクムッサラーム (そしてあなたの上にも平安あれ)」と返すのが一般的です。また「おはよう」には「サバーハルハイル(良い朝)」「サバーハンヌール(光の朝)」「サバーハルフル("フル"という花の朝)」「サバーハルワルド(薔薇の朝)」など、いろいろな言い方があります。ちなみに、ヘブライ語でこんにちはは「シャローム (平和)」です。イスラム教徒とユダヤ教徒、争いに明け暮れる人たち双方の挨拶が「平和」というのは、何かの皮肉でしょうか。他には「マルハバ (こんにちは)」「マルハブテーン (返答/マルハバ×2の意)」、「アハラン・ワ・サハラン (ようこそ)」「アハラン・ビーク (返答)」なども日常的に使われます。もちろん挨拶の後には「カイファ・ハーラック? (元気?)」「カイファ・サッハタック? (体の具合はどう?)」など決まり文句がひと通り続いていきます。あいさつとともに相手の健康状態や家族の近況をたずねるのは、実はエチオピアも同じで、セム語圏というのはあいさつにかなり時間をかける地域なのかもしれません。そういえば英語だって「Hello, How are you?」くらいはセットで言いますから、これに比べると日本語はずいぶんあっさりしています。「こんにちは、元気ですか?」なんて言うとやはりちょっと不自然ですね。猪木か!?

一度、サウジアラビア人と仕事の進め方をめぐり口論になったことがあります。いくつもある教室に机とイスを運び入れる必要があって、次の授業の予定を考えたらすぐにでも作業を始めなければなりませんでした。若いサウジ人教員たちは「本部に外国人ワーカー増援部隊を送ってもらうようレターを書くべきだ」と主張し、我々日本人は「今からサウジ人と日本人で一緒にやればすむことだ」と返しました。結局3日ほどかけて現場ですべての作業を終えたのですが、箸より重いものを持ったことがない (?) サウジ人たちはよほど腹に据えかねたのか、1人が代表して私のところに苦情を言ってきました。彼の文句はそのうちどんどん飛び火して、しまいには「あなたはアラビア語で“アッサラーム・アライクム”と言うけれど、本当はムスリム (イスラム教徒) ではないあなたが口にしてはいけないんだ」と感情むき出しでたたみかけてきました。「力仕事は外国人のやること」というサウジ人の主張は幼稚すぎて怒る気にもなれませんでしたが、このひと言には「へぇ、そういう考え方もあるんだ」とちょっと感心しました。何年かしてヨルダンに赴任しましたが、ヨルダンでは「アッサラーム・アライクム」はちょっとフォーマルな感じがするのか、普段はヨルダン人同士でも「マルハバ」と言っているのをよく聞きました。

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