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2007年2月12日 (月)

エチオピア人の名前

■名字はない
エチオピア人の名前には、名字はありません。「キディスト・ネグッセ」さんなら、キディストがその人の名前、ネグッセはお父さんの名前です。なのでこの場合「ネグッセさん」と言っても相手に分かってもらえません。ファミリーネームがないのは少し不便なように思いますが、エチオピア人は特に気にしていないようです。国民の半分を占めるイスラム教徒の名前はあきらかにそういう名前ですから、すぐにムスリムとわかります (フセイン、ジャマール、ムハンマド等)。ここでは、日本ではあまりなじみがない、エチオピアのキリスト教徒の名前をいくつかあげてみます。

■人気の名前
よく聞く名前、といっても私もそれほどたくさんの知り合いがいるわけではないので、職場 (訓練センター) に来た訓練生のリストから、統計を取ることにしました。リストには500名以上の名前がありますが、まずはそこからイスラム教徒を除きました。ちなみに、人口比ではキリスト教徒とイスラム教徒はほぼ半々ですが、訓練生ではムスリムの名前とはっきりわかるものは2割程度でした。さて、名前リストには「マルコス・タファラ」のように1人に2つの名前が書かれていますが、前述のようにこれは自分と父親の名前です。つまり、1人で2つの名前が入っているわけです。400人いれば、800個の名前があることになります。それを集計したものが、Excelで作った表です。

まず、あまり特定の名前に集中することがなかったのは予想外でした (その分集計作業に手間取った…)。名前の数も493個と、ほんの少し統計を取っただけでもかなりバラエティーに富んでいることが分かります。1位のメスフィンでも13人、これは全体の1.6%程度です。2位のゲタッチョは11人(1.4%)。もっとも、エチオピアは数十の言語があり、多民族で形成される連邦国家であることを考えれば、それも当然かもしれません。しかし、アブブ、マコーネン、テスファイエ、ネグッセ、ソロモン、アラマイヨなど上位の名前は、どれも私の近い関係者にある名前です。なお、集計表の英語名とカタカナ表記が微妙にちがうと思われるかもしれませんが、知っている範囲で実際の音に近づけてカタカナ表記をしてあります。「裸足のアベベ」は日本でもっとも有名なエチオピア人だと思いますが、Abebeと書いても実際の発音はアブブ、あるいはアッブブがより正確だと思います。もちろんアベベと言っても分かってくれますが。

個人的に好きな名前はゲブレギオルギスやハイレセラシエなど長目のものです。しかしメスフィンという名前も響きが良く、もし世界美名ランキングみたいなのがあればメスフィンは必ず上位にいくのではないかとひそかに思っています。逆に、ゲタッチョは野性的で力強くエチオピアで人気の名前にもかかわらず、ちょっと世界レベルからは遠いかなと、なんとなく思ったりします。本当に悪いんですけど、ちょっと下品な感じがするというか…。ティラフン、ゲタフンなどは発音するとなんだかふにゃっと力が抜けてしまうような、よく言えばとても優しい感じの名前ですね。

■名前の意味
まずはソロモン。言わずとしれた古代イスラエル王国の王様の名前です。ソロモンとシバの女王との間に生まれた子メネリク1世がエチオピアの始祖と言われています。ゲタッチョはマスターとかご主人、神を意味します。何度聞いても強そうな名前ですね。タマスゲンも神のご威光。やはり宗教に関係したものは多いです。ハイレセラシエ (三位一体の力)、ハイレマリアム (マリアの力)など。もちろんキリストの使徒の名前も好まれています。アレム (世界)、ツェハイ (太陽) などはよく他の単語と組み合わせて使われています。メンギスト (政治、政府) はなんだかそのまま日本語の政治 (まさはる) ですね。親の期待がわかります。

■女性の名前
これはまったく調査不足です。訓練生も9割は男性で、集計表でも実は女性の名前はあまりありません。しかし、私の周囲でよく聞くのはキディストとトゥグストでしょうか。たまたまかもしれませんが、それぞれ数人ずついます。テスファイネシュやメセレッチなどとともに、最後にト、シュ、チがつくものはだいたい女性の名前のようです。他にはザラーリム、メロンなどもたまに聞きます。

■イスラム教徒の名前
数年前、ヨルダン在住のころ調べたムスリムの名前を記します。それまでも「石を投げればムハンマドに当たる」ということはよく聞いていました。確かに多いとは感じていましたが、実際に統計をとったことはなく、まぁ半分は冗談かと思っていました。ところが、新聞に大量の学生の名前が掲載されたことがあり (2,732名)、これ幸いとムハンマドの数を数えてみました。結果、驚くなかれ、そこには334人のムハンマドがいたのでした。その割合は実に12.2%。やはりムハンマドという名前は永遠の定番なのです。ムハンマドに次いで、イブラーヒーム、アハマド、マフムード、フセイン、ハーリド、アリー、オマルといった名前が目立ちました。サウジアラビアでは「アブドゥ+○○」という名前がもっと多かったように思いましたが、ヨルダンでは意外にその割合は低いようです。アブドゥルアズィーズ、アブドゥルカリームなど、少々長ったらしくなるからでしょうか。でもヨルダン国王はアブドゥッラーですね。

「165ethiopian_name.xls」をダウンロード

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コメント

突然の質問で恐れ入ります。
エチオピアの人名で、どのようにカタカナ表記をすればよいかで悩んでおりまして、こちらにたどり着きました。
統計データを拝見しまして、発音が自分が想像していた名前と違っていてびっくりしました。

ちなみに、「Rediet Theodros」さんという女性の名前はどのように発音したらよいかご教授いただければ幸いです。
shukranさんのデータを参考にすると、
「レディエットゥ セオドロス」さんとなるのでしょうか?
ご意見いただければ幸いです!

投稿: mommie | 2007年3月17日 (土) 17時39分

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