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2007年2月 6日 (火)

チャットは麻薬?

■チャットとは?
被子植物門 双子葉植物綱 離弁花亜綱 ニシキギ目 ニシキギ科 アラビアチャ、またはアラビアチャノキ (Catha edulis)。イエメンではカート (Qat, Khat)、エチオピアではチャット (Chat)。チャットの葉を噛むと軽い覚醒作用があり、またおしゃべりになります。エチオピアではその効能が人々に広く支持され、友人との談笑時や夜間の眠気覚ましなどに多用されています。特にハラール近郊アウォダイのチャットはよく効くとのことで、他の産地のものよりも高い値段で取引されています。

以前は、エチオピアといえばコーヒーが一番の換金作物でしたが、近年は世界的にコーヒー価格が安くなっており、コーヒー畑をチャットに転作する農家が後をたちません。1997年から2002年の対COMESA平均年間輸出額は5億1,471万ブル (65億円) ですが、そのうち57%はチャットが稼ぎ出したものです。チャットの主な輸出先はジブチ (81%)、エジプト (11.3%)、ケニヤ (4.2%)で、この3ヶ国で全体の97.2%を占めます。統計表にあった輸出金額を単純に輸出量で割ると、チャット1kg=750円、コーヒー1kg=180円、採油用種子1kg=65円、果物・野菜1kg=26円、穀類1kg=22円、砂糖1kg=20円と、やはりチャットは「もうかる作物」だと言えます。

■その効果は?
中東諸国など、チャットを麻薬同等品として持ち込み禁止にしている国が多数あります。しかし麻薬という言葉から強烈な覚醒作用あるいは幻覚作用を期待していると、まったく肩すかしを喰らうことになります。摂り方としては、まず枝から若葉を何枚も取り外し、口中に放り込みます。猿の頬袋のように葉を頬にどんどんためていくようにしながら、じっくりと噛みながらエキスを摂っていきます。味はかなり渋いので、砂糖やピーナッツを一緒にほおばる人もいますが、そうするとあまりうまく頬にためておくことができないので (胃に入っていってしまう)、葉っぱだけの方がおすすめです。何しろ胃が荒れるので、なるべくエキスだけ摂るようにした方がよいと思います。

チャットの効果といっても、これはある程度慣れが必要でしょう。噛み始めてしばらくたつと (30分から1時間くらい?)、少し頭がポーッとなってきます。ほんのりと顔が熱くなってきて、少し脈が速くなります。これが効いてきた証拠で、だんだんと陽気でおしゃべりになっていくようです。ただ、初めて噛んだ人は大抵「これが効いているということなんでしょうか?」などと思わず聞いてしまうくらいですから、その効果は推して知るべしです。お酒を飲んでからチャットを噛むと効かないと言われていますが、お酒にくらべたらほとんど効果はないに等しいでしょう。しかし、チャットを噛んでだらだらととりとめのない会話を楽しむことは、エチオピアの人々にとってはかけがえのない時間なのだそうです。経験を積んで、慣れればもっと楽しいのかもしれません。

チャットを噛んで数時間は頭がさえたりおしゃべりに花が咲いたりしますが、今度は夜眠れなくなってしまいます。噛む量にもよりますが、この眠気覚まし効果は相当強いものです。そのため長距離トラックの運転手はチャットを片手に運転するのが当たり前になっており、限界まで眠らずに運転することから、結局はよく交通事故を起こしています。エンジン性能が優れているいすゞのトラックはエチオピア国内運輸に多大な貢献をしていますが、多くの運転手がチャットを噛み、そしてあちこちで事故を起こすため、いすゞのトラックが走っているのを見るとみんな「アルカイダが来た」と言います。エチオピア人と一緒にいる時いすゞのトラックを見たらすかさずアルカイダと言ってみましょう。うけること間違いなし。

チャットを噛んだあとは、しばらくすると頭痛におそわれることもあります。また、男性はあちらの方が極めて鈍感になりほとんど役に立たなくなってしまいます (半日くらい?)。逆に女性は敏感になるとのことですが、それは男性の側から聞いた意見なので、いまいち信憑性に欠けます。さすがに職場の女性スタッフに聞くわけにもいかず、この点は最後まで未確認でした。ただ、これだけエチオピア人社会に深く浸透しているわけですから、きっと人を惹きつけてやまない何か素晴らしい効能があるのでしょう。もちろん、チャットは社会的に好ましくないと主張する人々もたくさんいます。覚醒作用云々は別にして、チャットによって消費されるお金と時間が大きな経済的損失を招いているとされているからです。ま、それを言うならお酒の方がひどいですけどね。

■チャットあれこれ
インターネットでおもしろい記事を見つけました。チャットに含まれる phenylpropanolamines (PPAs) という物質群・カチンとノレフェドリンに、精子の受精能力を高める働きがあるというものです。それでイエメン人やエチオピア人は子だくさんなのかな?。それから、チャットといえば生の葉を噛むだけですが、南米のマテ茶のように加工品にはできないのでしょうか。換金作物として考えるなら今後はそういった研究も必要かと思います。それにしても、南部州のシダマ (スタバでも売られているシダモコーヒーの産地) で、コーヒーの木の隣にチャットが植えてあったのには驚かされました。静岡県牧ノ原台地で大麻を栽培するようなものですね。←わかりづらいし誤解を招く ( >_< ;)

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