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2007年9月22日 (土)

エチオピア人とハム (2)

日本から来た人をアジスアベバの飲み屋さんに連れて行ったときのこと。そこは通りの両側に小さな店がたくさん建ち並ぶ所で、入った店も6畳ほどの狭い店でした。店内にはカウンターがあり、スツールが2脚。そこに2人で腰掛けビールとアンボを注文すると、ほどなく年配の紳士然としたエチオピア人が入ってきました。渋いジャケットを羽織った紳士は、すでにほろ酔い加減。良い調子で店のマダムに冗談を飛ばしています。ウイスキー(1杯10ブル=130円)を受け取ると、こちらにも「乾杯」という仕草をして、にこやかに挨拶をしてくれました。店内に流れる、まるで日本のムード歌謡か演歌のようなエチオピア音楽に耳を傾けていると、そのうち彼は、右手をジャケットのポケットに入れ、何かをまさぐり始めました。見るとはなしに見ていると、ひらひらしたものが右手につかまれて出てきました。薄暗い店内のこと、ティッシュでも取り出したのかなと思っていたら、紳士はおもむろにそのひらひらしたものをパクリと食べたのです。

私は一瞬何が起こったのかわからず、思わず「えぇっ!?」と身を乗り出してしまいました。アムハラ語ができる私の連れが、驚いた様子で「ムンドゥンノー!?(何なの!?)」と声を上げると、その紳士はわずかに微笑みながら、「ハムだよ、ハム。お酒を飲むときは何か一緒に食べなきゃ」と、少々自慢げに語りかけてきました。「ポケットに直接ハムのスライスを入れてるの?」と彼が続けざまに質問すると、紳士は少し表情を硬くして「まさか。ちゃんとくるんでいるさ」と、ポケットの中から透明なビニールに雑にくるまれたスライスハムを取り出し、私たちに見せてくれました。「食べてみる?」と差し出されましたが、そこは丁重にお断りさせていただきました。ポケットにスライスハムを忍ばせて飲み屋に来るのは果たして紳士かという議論はあるものの、携帯食としてのハムを有意義に活用しているという意味においては、私たちより一歩先に行っているなという気はしました。あまり追いつきたくはありませんでしたが…。

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