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2007年10月 3日 (水)

タナ湖のほとりで考えた (3)

バハルダールの会議に参加して、いろいろと現地の話しを聞くことができました。エチオピアの公用語 (というより共通語でしょうか、60くらい言語があるそうですし) がアムハラ語であるように、2世紀ほど前、エチオピアの国土を平定したのはアムハラ族です。なので、政権をお隣のティグレ州出身の政治家グループに譲った今でも、アムハラ州は独特の存在感を持ち続けています。私はてっきりアムハラ州はエチオピアの中でも一番発展しているのかと思っていたのですが、実際は、国内に蔓延する諸問題の縮図の様相を呈していました。いくつか、聞いた話を記します。

■衛生・給水
アムハラ州で自宅にトイレがある家屋はわずか2.3%。トイレ掃除は女性の仕事。
女性の用便は日没後暗くなってから (外で) という考え方が一般的で、日中我慢するため健康被害を及ぼしている。

安全で清潔な水へのアクセス率は都市部96%、村落部23%、全体で30% (全体で19%という統計もある)。女性は毎日15~18時間働いており、そのうち12時間は水汲みとされる。1日に摂取するカロリーのうち12~27%を水汲みで消費し、授乳中の女性はさらに35%のカロリーを消費している。

多くの人が寄生虫を宿しており、年間2万人が亡くなる (ほとんどは子供)。バングラデシュの報告では、トイレがない家は乳児死亡率が3倍になるとか。

■割礼など
女性器割礼:77% (バハルダール南部のゴッジャムゾーンは女性器割礼をしない地域として有名なので、77%という数字は、実はエチオピアの中では比較的低い割合なのかもしれません)。

早婚:38% (平均初婚年齢12才という報告がある。写真の白い腰巻きの女性はすでに3人子供がいるそうです。せいぜい15才くらいにしか見えません)。

顔と首の入れ墨:33%。歯ぐきの入れ墨:13%。(女性です)

略奪婚:13%。学校の帰り道などでいきなり女性がさらわれ、後日、男性が女性の両親に結婚を宣言しに行くらしい。これが嫌で女の子は数キロの通学路を走って通うため、エチオピアは陸上が強い、とする説がなきにしもあらず。

■HIV/AIDS・マラリア
エチオピアのHIV感染者310万人 (全人口の4.4%) のうち10%は子供。エチオピアの人口は世界人口の1%にすぎないが、HIV感染者は全体の10%を占める。アムハラ州は全国の中でもっともHIV感染者の割合が高く8.1% (全国平均は4.4%)。中でも北ゴンダールゾーンがもっとも高い比率。バハルダール (アムハラ州の州都) では5人に1人がHIV感染者。

夫を亡くした妻が義兄弟と結婚すると、HIV感染を起こすと考えられている。アムハラ州では死亡率の上位はAIDS。マラリアにかかった女性は40%が新生児にHIVが感染しており、マラリアにかかっていない女性から新生児への感染率15%にくらべて明らかに高い。

以上、地域の伝統的価値観を否定する気はありませんが、極めて低年齢の結婚・出産を求められること、割礼を施されることなど、女性が虐げられていると感じるのは私だけではないと思います。タナ湖のほとりでひとりブンナ (コーヒー) をちびちびとすすりながら、「人の幸せってなんだろうなぁ」と考えつつ、ひたすらため息をついた2日間でした。

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