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2008年1月 3日 (木)

幻のチーズ?

中東では歴史的にヨーグルトやチーズなど乳製品が食べられてきました。アラブ人の生活にチーズは欠かせない一品で、ここサウジアラビアのスーパーマーケットでも、ヨーロッパから輸入された様々なチーズが所狭しと陳列されていて目を楽しませてくれます。日本よりは値段もだいぶ安いので、今までいろいろなチーズを食べてきました。その中でも特に好きなのが、カマンベール、エメンタール、ゴルゴンゾーラ。同じ牛乳を原料として、よくもまぁこれだけタイプの違う、しかもおいしいチーズができるものです。そのまま食べて良し、熱を加えても良し、料理に使っても良しと、まさに万能選手。我が家の冷蔵庫には常にチーズが入っていました。

しかし、あぁ、しかし…。ウォッシュタイプのチーズだけは、何度かトライしたのですがその度に挫折していました。ある年、グルメの知人がフランス旅行に行くというので、「おいしいチーズ」をお土産にリクエストしました。買ってきてくれたのは「ポン・レヴェック(Pont-l'Eveque)」。「ウォッシュタイプだけど食べやすい方だから」と言われてポンと渡されたのですが、受け取った瞬間、うっすらと漂うその臭いに「うっ…」と息が詰まってしまいました。おそるおそる包みを開けると、タクアンというかフランス人の足の裏(←嗅いだことないけど)というか、そっち系の強烈な臭いが鼻をつきます。フォークの先に取って、目をつぶり口に運んでみると、鼻をつく臭気がプーンと広がり、とても飲み込むことは出来ませんでした。

その2年後、フランスに旅行する機会があり、「今度こそは」という覚悟を持って、再びウォッシュタイプのチーズを買ってみました。選んだチーズは「ラミ・デュ・シャンベルタン(l'Ami du Chambertin)」。ナポレオンが好んだとされるブルゴーニュ地方のワイン「シャンベルタン」の「友」という名を持つチーズです。しかし、やはりこれもその臭いにまず負けて、そしてひと口食べて「………」。結局、その後もずっとウォッシュタイプだけは避け続けることになりました。

あの時の玉砕から何年もたちましたが、最近、食べるチーズが固定されてきたなぁ、冒険してないなぁと思っていたので、何か食べやすそうなウォッシュタイプのチーズはないかと再びインターネットを検索してみました。そうして、「幻のチーズ」「常温でトロトロのチーズ」「モミの木で巻かれたチーズ」と一部で熱狂的な評判を持つ「モンドール(Mont d'Or)」を見つけました。日本では流通量が少なく入手しづらいようですが、リヤドのスーパーに行ったら1軒目で発見、すぐに購入しました(400g/1800円)。

家に戻ってあらためて見てみると、インターネットに書かれていたような「木の箱から取り出せないほどトロトロ」ということはまったくなく、しかも表面の皮がコンコンと音がするくらい固かったので、やや不安になりました。ウォッシュタイプだけれど表面に白カビが生えているというのはその通りですが、ウォッシュタイプ独特のツーンとくる臭いがほとんどありません。食べやすそうだなとは思いつつも、どこかであの強烈な臭いを求めていた自分もいて、ちょっと残念な感じがしました。製造日2007.12.13、賞味期限2008.1.15ということなので、初めて口にする自分にとっては丁度良い食べ頃でしょうか。

ナイフで表面の皮をキコキコと切って穴を開けてみると、中はトロトロというよりベトベト。しかしそのベトベトさは確かにこれまで見たことのない感じです。スプーンですくい取って口に運んでみると、熟成の進んだカマンベールのような風味で、コクがあってクリーミー、しかしひと癖あってもっと複雑な奥行き感のある味は、他では味わったことのないものでした。チーズの良いところを全部詰め込んだような堂々たる味わいには、「これこそチーズの中のチーズ」と思わせる力がありました。

それほど塩味もきつくなかったので、けっこうペロリといけてしまいそうだったのですが、賞味期限ぎりぎりまで熟成を進めて味の変化を見てみようと思ったので、後ろ髪を引かれつつ封をして冷蔵庫にしまいました。ちなみに、切り取った皮はオリーブオイルをふりかけレンジで30秒チン。カリカリになったのをおいしくいただきました。いやぁ、チーズって奥が深いですねぇ。

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