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2008年2月 2日 (土)

千夜一夜の美女:満月姫 (1)

「カマラルザマンと、月の中で最も美しい月であるブードゥル姫の物語」より
(注:原典では "バドル・アル・ブドゥール=満月の中の満月" 姫です)

この物語の主役は、カルダン国の王子にして女嫌いのカマラルザマンと、中国の辺境ガイウール国の姫にして男嫌いのブードゥルです。ある日、あまりに結婚を拒む王子を戒めるため、カルダン国王は彼を古い塔の中に幽閉します。その夜、塔の井戸の奥底から現れた妖女マイムーナは、彼の美しさに目を奪われます。たまたま通りかかった卑しい妖精ダーナッシにそのことを告げると、ダーナッシは今し方見てきたガイウール国の美しい姫のことを語るのでした。

その髪の毛は焦げ茶色で濃いこと、友達たちの別離よりさらに暗闇です。そして三つ編みにされた髪が足の先までピンと垂れ下がっているのを見ると、三つの夜を一時に見る心地がします。
その顔。それは友達同士の再会の如く白く、満月が輝いている時見たら、二つの月を一時に見る心地がします。
その雨の頬は双頭花のアネモネ、その丸みの紅さはブドウの真紅さながら、そしてその鼻はより抜きの剣の刃よりもっと鋭く、もっと細いのです。
その唇は赤い瑪瑙と珊瑚、その舌、それをのばす時は、秘めたるおしゃべり、その唾はブドウの液よりもおいしく、燃えるような渇きをも癒やす。彼女の口はそんな口です。
しかもその胸は。創造主を祝福せよ。それは生きた誘惑物。最も清らかな象牙の二つの乳房、五つの指で握られる丸み。
その腹はエジプト人の秘書の封印のアラビア文字の如く調和良く散らばる陰のある窪みに満ち、その腹は柔らかな紡錘形の姿を生みます。あぁアッラー。それから、まぁ、その尻。
その尻、あぁ、あぁ、身中が震えます。それは重量のある肉塊で、体が立ち上がろうとすると再び腰を掛けさせ、寝る時には再び立ち上がる。私は詩人の詩を借りるより他に、あなたに想像させる術を知りません。

彼女の後部は巨大にして、豪奢で、
それに続く胴体はより繊弱なるこそ望ましけれ。
それこそ我と彼女にとりて、
呵責なき責苦と感動の物体。
なぜならば、
彼女が起ち上がらんとすれば腰を下ろさせ、
そして我が逸物は、
それを考えるごとに起ち上がる故に。

彼女の尻はそんななのです。そしてその白い大理石から二つの栄光ある腿が分かれ、上の方で無造作に冠の下でひとつに合わさっています。それから脚と足は優しくて小さく、どうしてこれだけの重みが支えられるかと驚かされます。
その中点と骨盤は、マイムーナよ、本当に私はお話しする自信がありません。一方は全てであり、他方は絶対です。私の舌が今話せるのはこれだけがやっとで、身振りをまぜてもこの豪華さを味あわすことはできないでしょう。

卑しいダーナッシの言葉を信じることができないマイムーナは、彼に命じてブードゥルをカマラルザマンの元に連れてこさせます。しかしブードゥルを見たマイムーナは、彼女の美しさ、そして双子と見紛うばかりに似ている二人を見て驚きを隠せません。どちらが美しいかは、第三の魔物カシュカッシをしても決めることができなかったため、一人ずつ目を覚まさせ、どらがより相手に夢中になるかで判断することにしました。そして最初に目を覚ましたカマラルザマンは…。

カマラルザマンはまだ夢見心地で手を垂れると、丁度手は若い女の裸の尻の上に落ちた。この触感に青年は目を開いたが、たちまち目が眩んで、再びその目は閉じられた。そして自分の体にバターより柔らかな肉体を感じ、麝香より香しい息吹を感じた。あまりの驚きと不思議さに、ついに頭を上げて、この自分の傍らに眠る、未知の人の類無い美しさを観察し始めた。
そこで、布団の上に肘をつき、今まで異性に対して抱いていた嫌悪をうち忘れて、若い処女の完全な美しさに魅せられた眼で、しげしげ見始めた。彼は最初は丸屋根を頂いた城に比べ、次に真珠に、次に薔薇に比べた。彼は一目で正しい比較をすることができなかった。いつも女を観るのを避けていたため、その形にも優美さにもひどく無知だったからだ。が、やがて最後の形容が最も正確で、その前のが真実であり、最初のには自分ながら微笑を禁じ得なかった。
それでカマラルザマンは、その薔薇の上に屈んで、その肉体の香しい匂いをかぎ、そのあまりの良い香りに体の上に限りなく顔を近づけた。それがあまり気持ちが良かったので、「試しに触ってみたら!」と独り言を言った。そして指で、この真珠のあらゆる部分に触れてみると、この触感は彼の体に火を燃やし、彼の体のしかしかの場所としかしかの部分に、動きや動悸を引き起こした。彼は「全てはアッラーの思し召しによって来る!」と叫び、そして結合に身を構えた。
そこで、彼は若い女を抱いて考えた。「この女が下袴なしでいるとは、何と不思議なことだろう」 そしてあちらに伸ばしこちらに伸ばし、手で触れ、そして驚嘆して叫んだ。「アラーの神様、何という大きなお尻!」 それからお腹を撫でて「軟らかさの極致!」 それから両の乳房を試しに触れてみると、それは二つの掌にあふれ、彼は慄然として叫んだ。「アッラーの思し召しによって、上手にやるためにはどうしても彼女を起こさなくては。だがどうして、さっきから触っているのに目を覚まさないのだろう」

結局、カマラルザマンは最後まで事を終えることなく、再び眠りにつきました。この後、蚤に化けたダーナッシが、ブードゥルのへその下にある、谷の薔薇を見下ろす小丘の一番高い所を一刺しすると、痛さに目を覚ましたブードゥルは、同じようにカマラルザマンの美しさに驚きます。ブードゥルは一目で夢中になり、彼の目を覚まさせようと身をよじりますが、最後は、腿の間に見つけた瞬間ごとに形を変える物を両手で持ち、それに起こるべきことが起こると、再び眠りにつきました。

妖精のちょっとした戯れによって運命的な出会いを果たした二人でしたが、翌朝にはブードゥルはダーナッシによってガイウール国に戻されたため、二人が再び出会うまでにはいくらか時間が必要でした。

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