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2008年2月24日 (日)

魔女は死刑

以前「エクソシスト」というタイトルでヨルダンのウィッチドクター (呪術師) について書きました。以下、引用。

「ヨルダンで、エクソシストの呪術的治療により命をおとした少女の話が新聞に載りました。ザルカに住む18才のマリヤムは、胃を患っていました。家族が地元の「シェイク (Witch Doctor=呪術師を尊称でこう呼ぶ)」のもとに彼女を運び込むと、患部に巣くうジン (精霊、霊鬼 →こちらを参照) を追い出すためと、シェイクはお香を焚き彼女のお腹を何度も強く蹴りました。うめくマリヤムを見かねた家族はすぐに彼女を病院に連れて行きましたが、治療の甲斐なく絶命したそうです。ヨルダンでは毎年数人が同様の事故で命を落としているそうです。ザルカのシェイクの他にもヨルダンには有名なシェイハ (シェイクの女性形) がおり、病気の原因や遺失物の場所などを見事に言い当てるそうです。シェイクたちはジンの力を借りて不思議な力を発揮しますが、けっして未来の予知・予言はしません。未来を知ることはアッラーの怒りにふれるため、できないのだそうです」

イスラム教では呪術師の類は完全に否定されていますが、いまだに中東各地で根強い民間信仰が残っています。ヨルダンの新聞記事では、少女を死に至らしめた呪術師がその後どうなったのかは書いてありませんが、いずれにしても呪術師そのものを法律で取り締まることはなかったと思います。しかしここサウジアラビアでは、同様の行為をした者には厳罰が処されるようです。ただしヨルダンは Witch Doctor (呪術師、祈祷師)、サウジのこの事件は Witchcraft (魔術、呪術) と表現されています。以下、新聞記事を引用。

■"霊能タレント"も死刑? サウジの恐ろしい"法律"
サウジアラビアの霊媒師とみられる女性が魔術を使ったとして宗教警察に逮捕され、死刑判決を受けたのは不当だとして、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ (本部ニューヨーク) は22日までに、死刑判決を撤回するよう求める書簡をアブドラ国王に送った。書簡は、司法制度の不備や人権弾圧を欧米などに批判されるサウジに対し、強引な捜査と恣意的な訴訟手続きの問題点を指摘した。

書簡によると、女性はクライヤトで2005年5月、勧善懲悪委員会 (宗教警察) に魔術を使ったとして逮捕され、殴るけるの暴行で自供を強制された。検察側の立証は「突然、性的不能にされた」とする被害者側の供述調書や "魔術道具" の存在だけ。女性本人や弁護人の出廷も制限された。書簡によると、女性は霊媒行為をしていたとみられる。イラクなどアラブ諸国では、民衆の間に古来の霊媒信仰が残っている。イスラム教スンニ派の厳格なワッハーブ派が支配的なサウジでは、霊媒行為は「神に背く罪」とみなされる。(共同)

だそうです。ヨルダンの呪術師については、極めて原始的かつ非科学的ながらも一応は医療行為だし、頼んだ親の方にも非があると思いますから、たぶんお咎めなしなんじゃないでしょうか。道義的責任はあると思いますが、悲しいかな一般大衆はこういう迷信が大好きですから、今後もなくなることはなさそうです。

サウジの女性魔術師については、その道の専門家として商売していたのか、それともイスラムで忘れ去られた古代のまじないなどに詳しい、単なる「村の物知りおばさん」レベルだったのかで話が変わってくるでしょうが、「不能にされた」と言う被害者側の主張にも根拠が乏しいし、よくこれで逮捕できたもんですね。さらには、サウジアラビアの司法界が魔術の効力を公式に認め、その上で死刑判決を下したということになります。もう21世紀なのに…。

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