« イブン・シーナーの「空中人間」 | トップページ | オランダのバカな政治家が… (2) »

2008年4月14日 (月)

オランダのバカな政治家が… (1)

あーあ、またこんなことやってる…。

■オランダ右派政治家の反イスラム映画、オンラインで物議 (Wired Vision 2008年3月31日)
オランダの右派政治家が制作した問題の反イスラム映画が、3月27日(米国時間)にオンライン公開され、視聴回数300万以上を記録した。続報によると、映画を公開したサイトは28日、公開を停止した。現在、該当ページには「スタッフに対する脅威が深刻なため」掲載を停止するという掲示がある。翻訳時点での閲覧回数は約420万。

物議を醸している映画『XXXX (名前は書きません、サウジ政府にフィルターかけられてブログが見られなくなると困るので)』[アラビア語で「不和」あるいは「試練」を意味する]は、イスラム教の聖典コーランの言葉と、テロリストの攻撃の生々しい映像を並列させている。オランダ人政治家のXXXX氏 (同じ理由で名前は書きません) は、自ら映画監督となって制作した17分の動画を、過激な映像配信で知られるニュースサイトで公開した。

この行為に対して、オランダ政府や多くの国際団体が強い懸念を表明していたが、同氏は耳を貸さなかった。映画を作った同氏は、1月に行なわれたFox Newsとのインタビュー中で、「イスラム文化やそのイデオロギー、宗教には大きな問題がある」と感じると語っている。オランダの首相は映画を非難し、この映画はイスラム教と暴力を同一視するという間違いを犯していると語った。

■オランダ:極右党首の反イスラム発言、裁判所が容認の判断 (毎日新聞 2008年4月8日)
オランダの裁判所は7日、同国の極右政党の党首が、イスラム教をファシズムになぞらえた発言について、「言論の自由」として容認する判断を下した。イスラム教徒が司法判断に反発を強めるのは必至だ。

イスラム移民排斥を訴える同党首は3月末、反イスラムの短編映画「XXXX」をインターネット上で公開。映画は米同時多発テロ(2001年)、マドリード列車爆破テロ(2004年)などの凄惨な映像を多用し、イスラム教の聖典コーランの章句を、過激派によるテロとむすびつけようとしている。イスラム諸国から非難の声が上がり、国連や欧州連合(EU)が批判した。

在オランダ・イスラム教徒団体は映画の公開禁止を求めると共に、イスラムをファシズムと同一視する同党首の発言を「違法」として撤回を要求していた。これに対しハーグ地裁は、「国会議員(である同党首)は見解を表明できなければならない。発言は違法とはみなされない。重要なのは言論の自由の権利だ」として訴えを退けた。

イスラム教と「表現の自由」をめぐっては、2005年にデンマーク紙がイスラム教の預言者ムハンマドの風刺漫画を掲載。イスラム教徒の猛反発を招き、世界のイスラム教国で激しい抗議デモが行われた。

*   *   *   *   *

たぶん、このショートフィルムの言っていることは、イスラム全体の中のある側面を切り取ったという意味では、決して否定はできません。ただ、イスラム原理主義者に限定して批判するならまだしも、イスラム全体を野蛮な侵略者として印象づけようとしているので、ちょっと大人げないなと思うわけです。コーランを「殺しのライセンス」と言ってみたり、イスラムはナチズムや共産主義と等しい侵略だとか、キャンペーンの標語風に「イスラム化を防げ」とか。イスラム原理主義者の過激なテロ活動は、実は普通のイスラム教徒にとってもはた迷惑な行為ですから (→9.11テロの時の記事)、こんな対立をあおるようなフィルムを作るより、むしろ穏健派 (というより普通の大多数) のムスリムと手を取り合って、テロ撲滅キャンペーンでもすれば良いのにと思います。結局、票集めなんでしょうね。

オランダは移民を積極的に受け入れてきた寛容の国です。現在、約100万人までふくれ上がったムスリムコミュニティーが、オランダの文化や生活習慣をあまり受け入れず、頑なにイスラムの戒律を守ろうとするのは、オランダにとっては計算外だったでしょう (女性のスカーフ着用だけでもヨーロッパでは深刻な対立論点になり得ます)。「おいおい、受け入れてやったんだから、お前らも妥協して少しはこっちに歩み寄れよ」と言いたい気持ちはわかります。2004年のテオ・ファン・ゴッホ事件以来、イスラムに対する警戒感が一気に広まったのも事実です。ただ、憎しみを忘れることはできないにしても、あえて憎しみをあおる必要もないでしょう。←別に中国や韓国の歴史教育を批判しているわけではありませんよ (汗)。早期に事態が収束するよう期待します。

|

« イブン・シーナーの「空中人間」 | トップページ | オランダのバカな政治家が… (2) »

イスラム文化・芸術」カテゴリの記事

旅行・地域 ヨーロッパ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« イブン・シーナーの「空中人間」 | トップページ | オランダのバカな政治家が… (2) »