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2008年4月17日 (木)

21世紀の戦略物資

20世紀の戦略物資が鉱物資源 (石油や天然ガスなどエネルギーを含む) だったとすると、21世紀はどうなるでしょう。現在の世界情勢を考えると、中進国の著しい産業発展 (工業化) のため、相変わらず鉱物資源は価値が高く、現在はむしろ奪い合いの様相さえ見せています。世界最大の石油埋蔵量を誇るサウジアラビアも、毎年のように「確認埋蔵量はあと何年分」と発表されるものの、掘削技術の進歩なのか年を追うごとに逆に年数が長くなったりして、当面 (あと何十年か) は安泰だと言われています。しかし、このところサウジアラビア政府を悩ませるいくつかの問題が表面化し、今後の世界の覇権を握るのは一体何を持っている国なのかという関心がにわかに高まってきました。

そして、おそらくそれは「水」と「食料」です。アラビア半島は大体どの国も水には困っており、海水淡水化が行われるようになって久しいのですが、真水を取り出し濃くなった海水を海に戻すため生態系に深刻な影響があると言われていたり、またそもそも各国の人口爆発 (観光客の増大も含む) に淡水化が追いつかないという問題もあります。ドバイにも見事な芝のゴルフ場がありますが、相当な量の水を消費していることは間違いありません。近い将来、人の飲料水と観光的消費水とどちらを重視するかは大きな問題になる可能性があります。

また、北部のアラブ諸国も、チグリス・ユーフラテス川を巡り、イスラエルを巻き込んで政治的駆け引きが続けられています (→ヨルダンの過去の記事)。もしかしたら、50年後には水が石油より高い値段で取り引きされるようになるかもしれません。日本の奄美大島あたりの天然水は不純物が極めて少なく、タンカーにつめて2ヶ月ほどの航海を経ても腐ることがないそうです (ちょっとうろ覚え…)。今度は日本が資源輸出国になる番かもしれません。

次に食料ですが、数ヶ月前、サウジアラビア政府は、水 (地下水) を多量に消費する小麦の生産を段階的に減らしていき、5年後には国内の小麦生産を終了する計画を発表しました。数年前、ヨルダンでは、やはり水を多量に使うバナナの生産が禁止されました。食糧確保は国の生命線であるとわかってはいても、水がないから仕方ないわけです。ヨルダンはちょっと危なっかしいですが、少なくともサウジアラビアには石油という切り札がありますから、食料輸入に関しては何か問題が起こっても、外交交渉で十分対応できると判断した結果でしょう。当然の帰結だと思います。

ところが、サウジ政府に冷や水を浴びせかけるようなニュースが届きました。インドとベトナムが米の輸出に大きく制限をかけるというものです。現地英字紙 Arab News では、「すぐに米の価格は1.5倍になるだろう」と結んでいました。サウジアラビアでは昨年からの急激なインフレであらゆる物の値段が上がり、基本的な生活物資であるベビーミルクや卵の値段もすでに倍くらいになっています。

このインフレは、人口増加や生活レベルの向上に伴う消費の拡大から世界的に物価上昇傾向であることや、サウジ国内での鳥インフルエンザ発見も原因のひとつですが、結局、小売店が売り惜しみしているのだろうとサウジ国民は考えています。政府も小売業者に補助金を出すとか、高い値段で売っている業者は罰するなどと発表していますが、ほとんど効果が出ていません。そんなことを考えていたら、ロイターニュースでタイムリーな記事を見つけました。

*  *  *  *  *

■ロンドン ロイター (4/16)
商品価格の高騰を背景に、世界的に国内の食糧確保に向けた輸出規制などの動きが出ている。以下は、4月15日までに明らかになっている例。(カッコ内は関連ニュースの報道日時)

◎カザフスタン (4/15)
インフレ対策として小麦の輸出を9月1日まで停止。

◎ロシア (3/31)
5月1日に失効する小麦および大麦の輸出を規制する関税制度の延長を承認。

◎ウクライナ (4/15)
4月第1週の小麦の出荷を停止。黒海からの大麦の輸出量を8400トンと3月第1週の2万5620トンから削減。ヒマワリ油の輸出割当制度の適用期限を7月1日から9月1日に延長することなどを検討。

◎アルゼンチン (4/14)
新たな出荷分の輸出時期を先送り。事実上、小麦輸出手続きの停止期間を延長。同国は世界4位の小麦輸出国。

◎エジプト (3/26)
4月1日から10月までコメの輸出を禁止。小麦など穀物価格の高騰で国内のコメ需要が高まったことを受け。

◎インドネシア (4/15)
一部のコメ輸出を規制する方針。同国は東南アジア最大のコメ消費国。

◎パキスタン (4/15)
今年の小麦輸入量を2倍に拡大する一方、コメの輸出に関税をかける可能性。

◎ベトナム (4/03)
コメの輸出禁止期間を6月まで延長。

◎インド (3/31)
食用油の輸入関税を廃止。バスマティ(長粒米)種以外のコメの輸出を禁止。

◎カンボジア (3/27)
コメ輸出の2カ月禁止を発表。

*  *  *  *  *

どの国も表向きは国内消費を確保するためと言っていますが、すでに外交カードとして考えているのではないでしょうか。農業立国は概して所得水準が低いですから、富の分配という意味では丁度良い機会なのかもしれません。南米に目を向けると、食料になる穀物よりバイオ燃料用の穀物を生産した方が儲かるそうですから、農家がそちらを選択してもそれを咎めることはできません。食糧が不足気味になれば業者は売り惜しみをして、すると結局ツケを払わされるのは国民という図式。やっかいな問題です。農業生産者と消費者が両方とも幸せになれるやり方はないものでしょうか。

さて、この数十年で、サウジアラビア人は本当にたくさんお米を食べるようになりました。オイルマネーの増大に伴うアジア人労働者の流入が、米食文化を根付かせることになったのだと思います。このままだとお米 (100%輸入) の値段が上がり、いつもお世話になっているブハーリーライスも値上がりするかもしれません。今のうちにせいぜい食いだめしておこうか…。しかし、4分の1のローストチキンと野菜をつけて、このお米のボリューム (写真) で 7リヤル (190円) ですから、今が安すぎるのかな。というか太るわけだな >自分

340bukhari

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