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2008年4月13日 (日)

イスラム銀行 (2) システム

イスラム銀行 (イスラム金融) は、「融資と利子を禁止」し、「投資と利潤 (儲け) を追求」するシステムを採用しています。そのため、銀行への預金者は、単にお金を預けるのではなく、銀行の資金運用計画の一部資金を負担する投資者として、傍観者ではなく当事者としての立場を求められます (共同事業契約/ムダーラバ)。資金運用が成功すれば利潤も大きい分、失敗すれば元金すら返ってこない可能性もあるわけです。利潤 (配当) は当事者間で割合が定められるだけで、最終的に投資額の何%が返ってくるかは、当初は明記されません (現代においては元金保証をするケースや、予測利率を事前に定めるケースもあるそうですが)。

また、銀行も資金のみを第三者に融資して利子を稼ぐことは禁止されていますから、例えば、タクシー会社に対して車の購入資金を融資するのではなく、銀行が車を買ってからそれをリースするという形を取ります (預金者も含めて共同事業契約を結ぶ)。タクシー会社は一生懸命商売をして、利益のなかから一定の割合の金額を銀行に還元し続け、さらに預金者にも利益が配当されることで、イスラム金融システムが成り立ちます。銀行にとっても、投資者 (預金者) にとっても、投資先の審査は極めて重要な意味を持ちます。

ちなみに、イスラムの教義に反する業種、養豚業とかアルコール製造業は、当然投資先としては除外されます。たぶんパチンコ屋もダメでしょう (コーランで賭け事は禁止されています)。不動産投資は手堅い物件として人気があるようですが、土地転がしのようなマネーゲームに陥るものは禁止。先物取引も実体がないのでダメ。もちろん貸金業なんて以ての外。

イスラム金融の特徴は、銀行、預金者 (投資者)、事業実施者 (投資先) の三者がそれぞれ共同事業者としてリスクを負うところです。そうしないと預金者が不労所得を得ることになってしまうので仕方ないのかもしれませんが、個人的には、銀行に預けて元本が保証されないなんて、と少々びびってしまいます。いずれにしても、銀行が勝手にバンバン対外融資をして結局貸し倒れになってしまい、そのツケが知らぬ間に預金者に跳ね返ってくる、ということがないので、その点は明快です。

さて、1970年代以降、原油価格の歴史的高騰とイスラム回帰という時流を背景に、イスラム金融制度が名実ともに実践され始めたわけですが、当初は無利子銀行という特異な目で見られていたイスラム銀行も、現在では国際通貨基金 (IMF) などの国際金融機関も認める金融システムとなり、イスラム圏以外でも、「無視できない存在」から、もはや「積極的に活用していくもの」となりました。果たして21世紀はイスラムの世紀になるのでしょうか。

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