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2008年4月21日 (月)

タイにて思うエチオピア

アジスアベバは2400mの高地で空気が薄く、長期滞在者は時々健康管理のため、空気が濃い低地に下りるよう指導を受けています。よくみんなが行くのはカイロやドバイですが、バンコクにもエチオピア航空 (ET) の直行便があり、日本食の買い出しができるので長期滞在者には人気の旅行先です。ということで、エチオピア赴任中の2006年お正月、アジスからバンコクに旅行に行きました。

それまで何度も乗ったETでしたが、なんとこの時の飛行機は、行きも帰りも5分のくるいもなく、初めてオンタイムで運航されました。前年11月、ザンビアに出張に行った際、アジスからルサカに直行のはずが、「先にジンバブエに降りま~す」というアナウンスとともに本当にジンバブエに降り、結局3時間遅れでザンビアに着いた、なんてことも遠い記憶です。そういえば、アクスムに行ったときは飛行機が飛ばず、1日延泊なんてこともありました。

それはさておき、ETのタイムテーブルを見ると、アジスアベバは見事にアフリカのハブ空港になっていることがわかります。バンコクに行く飛行機も、ナイジェリアやその他の国からのトランジット客が大半を占めています。それ故、飛行機に乗り込むため階段を下りていく時は、手荷物を山ほど抱え、我先にとあわてふためくアフリカ人たちによって混乱を極めます。ドミノ倒しになりそうで本当に危険なのですが、混乱を避けて後からのんびり乗り込んだりすると、自分のシートの上の荷物スペースは当然他の客の荷物で埋まっていますし、他人が自分のシートに座っていることもよくあります。

それと、アフリカの人たちは、ヘッドホンを最大音量で聴く人が多いのはなぜでしょうか。ヘッドホンから漏れてくる音楽で、飛行機の中がいつもかなり騒がしいことになっています。そういう天真爛漫なお客を、もう少しスチュワーデスが毅然とした態度でさばいてほしいのですが、ETのスタッフもいい加減イヤになっているようで、わりとみんな自由に過ごさせています。モコモコとふくれ上がったアフロヘアーに、大きめのクシをかんざしのように差している姿なんてマンガでしか見たことありませんでしたが、けっこうやっている人がいました。

この時のフライトで驚いたのは、アジスを出た飛行機がバンコクまで直行で行って、その先、中国の広東省広州までルートを延ばしていたことです。近年の中国によるエチオピア進出 (アフリカ進出) にはすさまじいものを感じていましたが、ついにフライトもダイレクト便ができていました。バンコクで降りた客は半分ほどでしたから、残りの客はみんな中国ビジネスに出かける人たちだったのでしょう。

午前1時半に定刻通り出発した飛行機は、午後1時半、これまた定刻にバンコクに降り立ちました。アジスとは4時間の時差があるので、トータル8時間のフライトです。アフリカからタイに来た旅行者は、サインボードに従って所定の入国カウンターに行き、イエローカードを提示し検疫を受けなければなりません。エチオピア入国時にはイエローカードは不要ですが、他の国に行くことを考えると、結局イエローカードは必須となります。

初めてタイに旅行したのは、1988年のことです。この時はカタールに赴任していたのですが、同じ地球上でもずいぶん違う世界があるんだなぁと、ずいぶんため息が出た記憶があります。その後も中東での仕事が続き、何度か一時帰国の際などにタイに旅行しましたが、数年おきに旅行するバンコクは、行くたびにどんどん発展していると感じます。特にこの時度肝を抜かれたのは、Siam Centerの横に新たにオープンした Siam Paragonです。

BTS Siam駅の通路からこのショッピングセンターに入ると、噴水や高級スポーツカーのディスプレイにまず驚かされます。地上階には他のショッピングセンターと同じくフードコートがありますが、面積がかなり広く、また他店に比べると全体的におしゃれな感じで、若者から家族連れまでいろいろな人たちでどこも混み合っていました。そして地下には、なんと水族館があります。入場料がタイの物価に比べたら高目の設定で、また時期が時期だけに入場者の多くは外国人旅行者でしたが、まちがいなくバンコクの観光新名所になると思いました。

この時の旅行では、とにかくBTS (高架鉄道) やMRT (地下鉄) が便利で、昔感じたバンコクの交通渋滞の不便さを一切感じませんでした。前に来たときはよくトゥクトゥク (三輪タクシー) を使っていたのですが、電車は渋滞知らずの上、車内は冷房がよく効いています。さらにSiam CenterやEmporiumなど、主要なショッピングセンターにはいちいち地上に降りなくても高架駅の通路から入れます。トゥクトゥクは情緒があって結構好きなので今回もあえて1回乗りましたが、電車の快適さと比べると天と地ほどの差がありました。トゥクトゥク運転手も商売あがったりでしょう。このバンコクの風物詩も、いずれ消えていくんでしょうか。

バンコクで一番悲しかったのは、食べ物がおいしすぎることでした。エチオピア料理もかなりおいしいとは思いますが、それも「アフリカの中では」という枕詞付きです。この旅行でもトムヤムクン、グリーンカレー、カニカレー、エビチャーハン、フカヒレスープなどなど、毎日食べたいものをお腹いっぱい食べました。そのどれもがあまりにおいしくて、エチオピアに帰ったあとのことを想像しては悲しくなったものです。ただ、どこで何を食べても全部おいしいということでもなく、やはりガイドブックに従って人気の店を選んでいく必要はありました。

それにしても、バンコクの外食産業の隆盛ぶりは目を見張るものがあります。屋台、レストラン、フードコートなど、食事ができる場所はそれこそごまんとあります。しかも、エチオピアに比べても、ずっと安くおいしいものが食べられます。1988年の旅行から、バンコクに行くたびに食べているのが、MBK (マーブンクロンセンター) のフードコートにある、豚足の煮込みをかけたご飯 (カオカームー) です。この時は1皿40バーツ (120円) と少し値上がりしていましたが、あいかわらずのとろけるおいしさでした。1食100円の食事も、あるいは1食5000円の食事でも、それに見合った満足感が得られるのがタイの魅力でしょうか。

年々、目に見えて変わっていくバンコクの街ですが、この時は特にその発展ぶりに圧倒されました。ただ、実際のところ「本当にこのペースでずっとやっていけるの?」という不安を覚えたのも事実です。新しいショッピングセンターはどこも人で満杯でしたが、買い物袋を抱えた人は実はあまり目にしませんでした。ショッピングセンター自体がきれいすぎて、維持費もだいぶかかりそうです。もちろん、そのあたりは十分計算しているのでしょうが、他人事ながら心配になってしまいました。

しかし、タイとエチオピアのこの埋めがたい差はどこにあるのでしょう (あるいはアフリカとアジアの差と言っても良いでしょう)。もともと国内に流通しているお金の総量が違うのがまずひとつ。やはりお金は天下の回り物ですから、回っていくお金の総量がそもそも少ないエチオピアでは、その点から不利です。また、タイではお金を使う場所がいくらでもあります。食事、買い物、観光、エステ、観劇、スポーツ観戦、宝くじ、等々。地元人でも外国人でも、お金がいくらあっても足りないくらいです。

エチオピアの場合、お金がないのが先かもしれませんが、お金を使いたくてもあまりそういう場所がありません。外食はいまいち、遊園地もなく、ショッピングセンターもありません (ないことはないですがたいしたものを売っていません)。観光名所として地方に世界遺産がありますが、アクセスが悪い上に現地のホテルもいまいちで、こんなに観光しづらい国はそうそうないと思います。他にアジスアベバで一応産業と呼べそうなものはせいぜい飲み屋ですが、どこもたいして賑わっていません。そもそもウイスキー水割り1杯が7ブル (90円) 程度と格安なので (エチオピア人には贅沢価格ですが)、どんなに繁盛していてもそんなに儲けにはならないそうです。

まぁ、総じてエチオピア人は真面目だということでしょうか。しかし国が発展していくためには、(極めて資本主義的な考え方ですが) 国民がどんどんお金を使ってくれなくてはどうしようもありません。例えば国営で、総合娯楽センターのようなものを造るというのはどうでしょう。税金も期待できるし、少なくともエチオピアにいる外国人は、お金を使いたがっていると断言できます。もちろん、毎年100万人が飢餓にあえいでいるという現実を考えれば、それも不謹慎な話なんですが。うーん、難しいですね。でもタイだって貧しい時代はあったわけですから、何がここまでの差を生んだのでしょうか。研究に値するテーマですね。

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