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2008年4月25日 (金)

ドリアンとカローラ、のはずが…

あれはいつかの夏。吉祥寺駅の構内で、真っ赤なスポーツカーが展示されていました。格好いいなぁと思いつつ、てっきり外車だと思って近づいたら、なんと日本車。そう、それはマツダのユーノス・ロードスターでした。そのテイストはまさに外国のスポーツカー。「日本車でもこんなデザインができるんだ」といたく感動したことを覚えています。一方、それから何年かして、日本の「国民車」、トヨタ・カローラが何年ぶりかのフルモデルチェンジということで、ポツポツと新聞を賑わせていました (1995年くらい)。しかしその新型車を写真で見た時は、思わず「気持ち悪く」なりました。

そのフロントマスクは、実にまったくなんの個性も感じられないデザインで、まさに没個性の極み。まるで全ての車を足して、その平均値を出したかのような姿をしていました。外に放ってくる主張のようなものが一切見受けられず、存在感がまったく感じられませんでした。おとなしい、あるいは落ち着いたデザインと言うのとはまた意味が異なっていて、あたかもすべての生命活動を停止したデスマスクのような、死んでいるデザイン。顔があるようで、実はのっぺらぼうに等しいその異常なデザインに、思わず吐き気をもよおしたほどです (←本当の話)。

工業製品、あるいは単に道具と言っても良いですが、これらにはすべからく用途があり、そのための機能を持たされて世に生み出されます。トンカチなら釘を叩く、ヤカンならお湯を沸かす。そして、用途を果たすため、その機能に特化された形に段々と進化していくものです。即ち、道具の形は存在意義そのものです。道具はその形によって、「オイラ、こんなことができるんだよ」とやる気満々で我々に語りかけてきます。つまり、すべての道具は主張しているのです。戦闘機の形状を美しいなどと言っては不謹慎ですが (戦争反対!)、機能を突き詰めると、必然的にあのようにウットリするほど美しいラインを描くことになるわけです。その存在感も圧倒的。

しかしあの時のカローラからは、まるで何も感じませんでした。いくら覚えようとしてもまったく覚えられない顔つき。ここまで自分というものを主張しないデザインは、逆に見事かもしれません。しかし、主張しない道具なんて、存在しないのと同じです。機械が生きているとかいうのも変ですが、あの顔は明らかに死んでいました。よくこのデザインで発売したなぁと驚いたものですが、結果としては、それまでと同じくかなりの数が売れたわけです。あのデザインが売れるくらいですから、日本人はよほど個性的なものが嫌いなんでしょうか。もっとも、カローラというだけで無条件に買った人も多いとは思いますが。

ホンダの高級スポーツカーNSXも、あそこまで趣味性を高めておきながら、なぜあんなおとなしいデザインにまとめてしまったんでしょう。どこかで見たスーパーカーをちょっと地味にしたデザインとでも言いましょうか。パッと見て、そつなくまとまっているのはわかるし、デザイン的に破綻がないのもいかにも優等生的。しかし、1000万円もする車に、誰がおとなしさを求めるでしょう。NSXを買うような人は、間違いなく見栄っ張りです。見栄っ張り限定車なんだから、もっと目立つ要素がないとダメだったと思うのですが。当時、海外の車雑誌を読むと、NSXは走行性能の評価が高かったわりに、「グラマラスではない」ということで、デザインの評価はいまいちでした。

ロードスターも、走行性能とコストパフォーマンス、何よりあの時代にオープンツーシーターを選択したコンセプトが海外でも高く評価されていました。後に数多くのフォロワーを生み出しましたし、歴史に残る名車と言っても過言ではありません。しかしデザインについては、「シンプルで良い」という人もいましたが、「もっと大胆でも良い」と言う人も多かったです (車雑誌の評価)。日本では画期的なデザインであっても、欧米人にとってはだいぶおとなしめのデザインだったんでしょう。でも、能面を意識したフロントマスクなど、「和」をモチーフにしたデザインだったそうなので、そう言った意味では日本人にしか作り得なかったスタイルだと思います。だから、初代が一番好きですね。

参考までに、サウジアラビアで評価の高い日本車は、トヨタ・ランドクルーザーが圧倒的首位。悪路走行では他車の追随をまったく許しません。ただし、悪路といっても砂漠を走る場合は、ランクルはちょっと重たすぎるのだそうです。実は砂漠で最強なのは、トヨタのピックアップトラックだと聞きました。パワーがあって車重が軽いのが武器なんだとか。続いて、やはりトヨタのレクサス。ベンツから乗り換えた人を何人も見ています。発売当初、サウジのテレビで、レクサスが線路の枕木に片輪を乗せて走行しながらも、車内のワイングラスがほとんど波立たないというCMを頻繁に流していました。サウジ人にもけっこう衝撃的だったみたいです。ずいぶん職場で話題になっていましたから。

………本当はさっさとドリアンの話に持って行きたかったのですが、結局ダラダラと車のことを書いてしまいました。ついでに自分の車のことも書いておこう。ドリアンのことはまた今度でいいや。

今日本で乗っている車は、スバルのトラビックというマイナーなミニバンです。実はドイツ・オペル社のザフィーラという車を、スバルが一時期自社名義で売り出したものです (タイでOEM生産)。2002年秋に、それまで乗っていたレガシィ・ツーリングワゴンを下取りに出して購入しました。もとが外車ということで、この時のモデルはハンドルに付いているウインカーとワイパーのレバーが左ハンドル用のままでした。つまり、右がワイパー、左がウインカー。日本車と違ってあまり細かいところまで気が利いたインテリアではなかったのですが、ウインカーレバーが日本車と反対という点は特に評判が悪かったようです。翌年には日本車と同じになりましたから。

ただ、自分の場合はもうずっと海外で左ハンドルばかり運転しているので、左手がウインカーというクセが染みついています。帰国してレガシィに乗ると、右左折の度にワイパーを動かしていましたから、こんなにありがたい「仕様」はありませんでした。自分にとってはこれだけでも「買い」でしたが、走らせてみると、自動車先進国ドイツの設計思想を十分に感じ取ることができ、すぐに購入を決断した次第です。トラビックの特徴をウィキペディアから抜粋してみると、こんな感じの車です。

「とにもかくにもこのクルマの最大の特徴のひとつは、ドイツのアウトバーンを7人フル乗車状態で時速170km/hで安全に巡航・長距離移動ができるように設計されていることで、全車トラクションコントロール、EBD機能付きABS、ドアロック自動解除機能を装備するなど、その安全性・高速走行でのスタビリティは高く、当時の日本の同クラスの車種とは異質のものを持っているといえる。これは姉妹車であるザフィーラの設計開発段階でポルシェが関与し、主に車体の操安性やサスペンションチューニングなどを監修、それらを徹底的に追求した結果だと言われている。」

この車の良さは、本当に身に染みて感じています。我が家は山間のド田舎にあるので、町に買い物に出る時は、クネクネと曲がりくねった峠道を越えていかなければなりません。村の人はビュンビュン飛ばして走るので、後続車からプレッシャーをかけられないよう、自分もこのワインディングロードをヒラリヒラリとスピードに乗って走るわけですが、ドイツ車らしくカチッとした足回りは、とても7人乗りのミニバンとは思えないほど軽やか、かつ安定した走行をもたらしてくれます。親がトラビックの後部座席に乗った時、知人のトヨタのミニバンに乗ると助手席でも酔ってしまうけど、トラビックはそんなことが全然ないと言っていました。確かにその通りだと思います。

しかしながら、作りが雑なのか細かいトラブルが多いのも事実で、頻繁にメンテナンスに出さなければならないのが玉に瑕です。その度に代車としてフォレスター、インプレッサ、R2など他のスバル車を借りるのですが、正直、レガシィツーリングワゴンも含めて、トラビックを越える走行フィーリングを持つ車はないなぁと感じています。トラビックにくらべたら、どれも皆車体の剛性感がまるで弱いと感じます。かといってゴツゴツした乗り心地ではないし、この辺りはチューニングの妙なんでしょうね。シートもトラビックは良いです。抜群。とにかく運転しやすいのひと言に尽きます。もしトラビックが壊れてしまったら、次に乗る車がまったく想像できないのが、最近の悩みです。

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