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2008年4月24日 (木)

タイのフカヒレにメロメロ

フカヒレといえば高級中華料理の代名詞です。高級ということは、それだけ貴重なんでしょう。フカヒレスープといっても実際に入っている量はごくわずか。へたをすると、フカヒレが何本入っているか数えられそうな寂しい器もあります。しかもそんなのに限って春雨が入っていたりして、周りのテーブルからは、「あいつフカヒレスープ食べてるぞ、しかもあんなに入ってやがる」などと恨めしそうな視線を浴びせかけられ、一方こちらは、「違う違う、フカヒレそんなに入ってない、これほとんど春雨だから」などと心の中で悲鳴を上げつつ、お店の共犯者になったような罪悪感を感じたりするわけです。

本当は声を大にして叫びたいのです。「ほとんどフカヒレ入ってないぞ」と。まぁ結局は、せっかく思い切って頼んだ高い料理が、よもや期待はずれなどとは決して認めたくないという心理が働き、「やっぱり高いやつは1本1本が太いね、高級フカヒレだ」なんてわざとらしくつぶやきつつ、さも満足した風にウェイターに目線を送ったりなんかするわけですが。かのシャア少佐が自らに発した反省の弁、「認めたくないものだな、自分自身の若さゆえの過ちというものを」なんて台詞を我が身に重ねて感じるのはこういう時ですね。あ、これ、初めて香港に行った時の話です。「フカヒレ=高い=メチャメチャおいしい」と思っていた若かりし頃のこと。

よく考えると、フカヒレそのものに味があるわけではありません。「このフカヒレ旨い!」なんて言っている人は、フカヒレの味ではなく、周りのスープやタレを味わっているだけです。だから、「フカヒレ=おいしい」ということはないはず。そもそもフカヒレスープでは、フカヒレそのものを味わえるだけの量なんて入っていないのが普通です。「だったらフカヒレ100%、フカヒレの姿煮だ!」なんて勢いよくメニューをにらみつけても、そこに書かれた値段を見た瞬間、目の焦点がぼやけ、手足はブルブルふるえ、気が動転した末にはたと天を仰ぐ、なんてことになりかねません。ま、自分がそうでしたから。香港で。

そんな敷居の高いフカヒレですが、バンコクではとてもリーズナブルに食すことができます。2度目のタイ旅行で、ヤワラー (中華街) のどこかを歩いていた時のことです。急に、フカヒレの看板を掲げるお店がズラリと並ぶ通りに出くわしました。あわてて1軒をのぞいてみると、地元の人がのんびりとフカヒレスープを食べているではないですか。店内にはりっぱな乾燥フカヒレも飾ってありました。吸い込まれるようにテーブルにつき、もらったメニューを見てみると、日本円に換算して1000円、1500円、2000円という、にわかに信じがたい、価格破壊もはなはだしいフカヒレの姿煮が、写真付きで掲載されていました。

「こ、これは!」。あまりの安さに衝撃を受け、一旦は血が沸騰したかのように身体中が熱くなったのですが、すぐに「まさか、この値段でそんなにちゃんとしたものは出てこないよな」と我に返ったため、とりあえず1500円のものを注文しました (日本人は真ん中が好きですから)。しかし、土鍋の中でスープ (とろみがついたタレ) とともにグツグツ煮立ちながら運ばれてきたそれは、やや小ぶりではあるけれどまさにフカヒレの姿煮。けっこう重量感もあって、初めてフカヒレをほおばるという体験ができました。味は、オイスターソースベースのタレがちょっとシンプルすぎて、さすがに「旨い!」と言い切る自信はないというか、むしろ「普通?」みたいな。値段が値段なだけに、余裕しゃくしゃくのコメントです。味云々は別にして、この時はフカヒレの姿煮を食べたという事実が素直に嬉しかったです。

一度こういうものを食べたおかげで、次からはわりと冷静にフカヒレと対峙できるようになりました。値段が高いからおいしいわけではないことも、こうやって段々と学習していきました。そして2006年のバンコク。たまたま手にした「歩くバンコク」というガイドブックで絶賛されていた、「キアック・シャークフィン」というレストランに行きました。結論から言うと、そこで食べた3200円のフカヒレの姿煮は、まさに絶品!。あんなにコクのあるスープ (タレ) はこれまで味わったことがありません。フカヒレも1本1本が太いし食べ応え十分。まさに「フカヒレを食べたぞ」と思わしめる、おいしさとボリュームを合わせ持つ逸品でした。満足、満足。こうなると、もう香港では、ましてや日本でなんてフカヒレを食べる気にはなりません。フカヒレはバンコクに行った時の楽しみにとっておこうと、気持ちに余裕ができましたから。

ちなみにこのお店、フカヒレ以外のメニューもかなりおいしかったです。魚の浮き袋の炒め物なんて珍しいものも食べられます (タイでは珍しくないの?)。アワビご飯にもやられました。あまり良い匂いがしたものですから、料理の写真を撮ることをすっかり忘れて食べてしまったくらいです。高級ぶっていない店内の様子も好印象でした。というかほとんど普通の食堂です。その感じにますますやられました。まさに町の名店。繁盛して、店を拡張して、支店まで作って、結局味が落ちる、なんてことにならないよう祈るばかりです。

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