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2008年4月21日 (月)

パクチーどっさり

初めてタイに旅行して、泊まったのはフアラムポーン駅にほど近い、ナントカ旅社 (中華系の安ホテル、ゲストハウス/名前は忘れました)。1泊80バーツ (当時で400円くらい) という格安の値段でしたが、部屋は相当広くてベッドも清潔、シャワーとトイレも水はジャンジャン出るし、イスタンブールで泊まったブルーモスク前の1泊700円のドミトリーよりよほど快適でした (イスタンブールは共同トイレが最悪…)。ただし、部屋のドアの鍵として大きい南京錠を渡された時は、ちょっとだけびびりました。

ホテルに食堂がなかったので、朝食は毎日周辺の屋台に行きました。ホテルの横道を入っていくと、ズラリと屋台が並んでいます。どれを見てもおいしそうでしたが、朝からコッテリ系はつらいので、やはりまずはヌードルから。麺も中華麺ではなくビーフンにしました。細麺から幅広麺まで何種類かあったので、とりあえずきしめんくらいのものを選択。あとはどんな具を入れるか指定して、通りに広げられた共同のテーブルに座って待ちます。ほどなく、熱々のタイ風ラーメンの丼が運ばれてきました。

麺の上には、シャキシャキのもやしと揚げニンニクがトッピングされています。具として選んだフィッシュボールもおいしそう。そこまでは良かったのですが、何やら緑色の葉っぱがモサッと乗せられているのが目を引きました。最初は「バクドゥーニス (葉っぱが平たいパセリ/アラビア語)」かなと思いましたが、しかしその鮮やかな緑色から、得も言われぬ香気が漂ってきます。思わず顔を近づけると、「!」。く…、なんだこの匂い…。ちょっと考えて、「あ、そうか、これが噂のパクチーか」とようやくそこで葉っぱの正体を理解しました。

「三つ葉みたいなもんだよ」とは聞いていましたが、香りのレベルがそんなもんではありません。言うなら三つ葉の1000倍。鼻腔をマッハで通り抜けて脳髄を直撃する刺激臭。思わずクラクラと眩暈がしました。「パクチーがなくてもおいしいのに。いや、なかったらもっとおいしいのに…」と心の中でつぶやきつつ、屋台のおばさんを恨めしそうに見やりましたが、向こうは「おいしいでしょ?」という自慢顔で微笑んでいました。確かにスープもおいしいし、麺もフレッシュ。しかしねぇ、パクチーはちょっと…。何しろこの時、生まれて始めてパクチーに出会ったわけですから、ちょっと刺激が強すぎました。

パクチーの香りに泣きそうになりながらも、それでもラーメン自体はおいしかったので、パクチーをよけつつスープまで飲み干しました。当然、パクチーは食べられませんでしたが、露骨に地面に捨てるのも悪いかなと思い、丼の底にそっと残しておきました。周りを見渡すと、みんなパクチーをムシャムシャ食べています。それを見てまたゲンナリ。この時点では、自分の意識として、パクチーを食べ物の範疇には入れていませんでした。どちらかというと、トイレの芳香剤の仲間という感じで。

それから1週間、朝はずっとこの屋台に通いました。明らかにタイ人ではないので、すぐに顔を覚えられてしまいます。「たまには違う屋台に」と思っても、おばさんが満面の笑みで、「今日もラーメンでしょ?」と先に丼とお玉を握りしめて目で訴えかけてくるため、素通りできるような雰囲気ではありませんでした。おいしいラーメンなので、別にそれを食べるのはやぶさかではないのですが、やはりパクチーが…。ご飯ものなら、まだパクチーエキスが広がらないと思ったんですけどね。

4日目に、やはりその屋台につかまったのですが (通り過ぎようとしたら大声で話しかけられて…)、今度は勇気を振り絞っておばさんに「パクチー、ノーノー」と繰り返し言ってみました。おばさんは最初キョトンとしていましたが、こちらも身振りを大きくして、パクチーを指さし「パクチーを」、指を口に持ってきて「食べるのは」、手をプルプル振って「ムリムリ」、と、言った、つもり…。

ドキドキしながら丼を待っていましたが、果たして、テーブルに届いた丼には、いつもの3倍くらいのパクチーが盛られていました。パクチーを指さし何やらわめいている自分を見て、よほどのパクチー好きと勘違いしたのでしょうか。ガックシ。もちろん、翌日から3日間、パクチーどっさりのスペシャルサービスが続いたことは言うまでもありません。

まぁ、それから、橋の下をたくさんの水が流れ (←開高健風)、ついに2008年の香港で、ようやくパクチーのおいしさを認めることができたわけです。時間かかったなぁ。

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