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2008年5月 2日 (金)

サウジアラビアではデートも命がけ

5月1日付けサウジアラビア現地英字紙 Arab News によれば、3日前、フィリピン人女性看護師と西洋人の男性同僚がレストランで一緒に食事をしたところ、勧善懲悪委員会 (宗教警察) によって、その場で身柄を拘束されたとのことです。罪状は、インモラリティー (不道徳行為)。男性の方は拘束されてから数時間で解放されましたが、彼女は現在も刑務所に拘禁されています。

フィリピン大使館が彼女の釈放要求を続けていますが、当局によれば彼女のスポンサー (勤務先=リヤドミリタリーホスピタル) からの嘆願がない限り、それは不可能とのことです。しかし、病院側もこれまでにそういった措置をとったことはないそうで、また、刑務所の中の彼女は外部への連絡を一切取れない状況にあると考えられるので、本件の早期解決は難しいかもしれません。何より、彼女は「罪を犯した」のであり、法で裁かれるのは仕方ありません。

サウジアラビアでは、公共の場で男女が同席することは法に反する行為です。レストランも男性用のシングルルームと、女性および家族向けのファミリールームに分かれています。もし関係性のない男女がレストラン (のファミリールーム) で一緒に食事をした場合、通常、4ヶ月の禁固と、むち打ち100回の処罰が下されます。それがデートなのか、仕事のつき合いなのか、理由は問いません。男女とも同量の処罰とされていますが、どちらかというと女性に厳しいような印象があり、今回のケースでは、西洋人とアジア人の国籍の差も出ているように感じます。

釈放された西洋人男性によれば、彼らを拘束したメンバーは、身分証明も見せず、無理矢理彼の足を縛り上げ車に放り込んだそうです。弁護士への連絡も許されず、有無を言わさぬ連行だったそうです。その時、レストランでは他にも西洋人が食事をしていましたが、誰も彼を助けようとせず、目すら合わせてくれなかったことをとても嘆いていました。もしかして、みんなデートだったのかも。それに、なぜ見つかったんでしょうね。店の外に監視がいたのか、店員が通報したのか。どこのレストランだったかも気になるところです。

このように、レストランで食事をしただけでもひどい刑罰ですから、これがどこか密室で二人きりで会っているところを見つかったとしたら、ほとんど死刑ですね。姦通罪で。恋愛もまさに命がけです。これまでは欧米人とフィリピーナという組み合わせが多かったですが、これは欧米人が被害者 (いや、加害者か?) だとニュースになって世間に知れるからです。世に出ていない事件はきっと山のようにあるんでしょうけど。

最近はサウジの若者もレストランの手前で落ち合って、一緒に店内 (ファミリールームの方) で食事デートをする人が出始めているのだとか。インターネットと携帯電話が解禁されて、男女の出会いのチャンスは確実に増えていますから、当然の成り行きかもしれません。たぶん政府もそのことは承知していて、時々こうやってフィリピン人をスケープゴートにしているんじゃないかと、勘ぐったりしています。

それにしても、「男女席を同じうせず」という法律が悪法であるかどうかは別にして、とりあえず法律は法律ですから、サウジアラビアに住む以上、それは遵守しなければなりません。サウジ政府も、中途半端にこの法律を無効化することなく、この先もずっと堅持してほしいものです。22世紀になったら絶対に価値が出ますよ。「恋愛は死刑の国」といって、世界遺産 (文化遺産) 入りも確実でしょう。

写真は首都リヤドのタイ・フィリピンレストラン。カーテンが下ろされたファミリールームの中は、独身男性にとってはあこがれの秘密の花園。誰か妻帯者を誘って、また今度連れて行ってもらおう。

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コメント

なんて、住みにくいところなんでしょうか。
単身サラリーマンはそちらで、なにしてるんでしょうね。
ドバイに行って、はねをのばすと、聞いたことがあります。
日本人にとってもインターネットは命のつぎ位に大切なコミュニケーションツールでしょう。
いとも簡単に、新しい人間関係ができるともいえますが。。はぁ。。なにしてるのかな。。
そちらでは精神が衰弱する人多いですか?
『恋愛は死刑の国』・・ 笑ってしまいました。

投稿: | 2008年5月 2日 (金) 14時14分

他にも刑罰はいろいろと厳しくて、先週のジェッダで2名に続いて、今週はリヤドでもパキスタン人3名が麻薬所持の罪で公開斬首刑に処されました。もう今年は150名以上処刑されたそうです。首切り広場では、親が小さな子供を肩車してまで、その瞬間を見せようとします。「悪いことしたらこうなるからね」という「教育」だとしたら、あまりに強烈、確実にトラウマになると思うのですが…。

(ちなみに処刑のニュースはカタールの新聞情報です。カタール人はどういう気持ちでこのニュースを読んだのでしょう)

投稿: shukran | 2008年5月 3日 (土) 00時58分

このような国の未来ってどうなるんだろう。
笑うところではないですが、150人ですか!

石油が出るうちはいいけど、このままじゃ、他国から相手にされなくなりそう。

衣食住満たされた、平和ぼけしてそうな王様達と、神への祈りと三度の食事の幸せを感じていそうな庶民の生活の違いが、大きすぎて想像できないから、笑ってしまうんだと思います。

でも確実におかしい人達だといわざるをえません。
外資はこのおかしい人達と付き合いながら仕事をしているわけで、ご苦労の程お察しします。


投稿: AKEMI | 2008年5月 3日 (土) 04時09分

著しい価値観の相違を日々感じています。どちらが正しくてどちらが間違っているなどとは言えませんが、未来をつくる若い世代が望むのはやはり…。

投稿: shukran | 2008年5月 6日 (火) 01時43分

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