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2008年5月29日 (木)

キプロスでがっかり

これまでの海外旅行にたとえ1回でも「ハズレ」があったとは考えたくないのですが、どうもキプロスがそんな感じだったのかなと、時々思い出しては今でも首をひねっています。キプロス旅行に行ったのはエジプト滞在中、ハッジ明けの休暇でした。10日ほど続く休日をどう過ごそうかあまり考えていなかったのですが、ぎりぎりになって「やっぱりどこかに行こう」と思い立ち、カイロから国外に出るのに一番安い飛行機代はどこかとさがしているうちに、キプロスにたどり着いたわけです。

事前に知っていた情報は、以前知人から聞いたキプロス旅行の断片的な話だけ。とりあえず「リマソール」というビーチリゾートエリアにホテルを確保し、あとは特に情報もなく、「陽気は暖かいだろう、シーフードがおいしいだろう、ギリシャ的な雰囲気の景観だろう」などと想像して現地入りしました。しかしまず、空港からタクシーでホテルに向かう道中の風景で「アレレ?」と思いました。なんだか全然アラブを脱出した気分にならないのです。ギリシャの島というよりも、ずっとアラブっぽい景色が広がっていました。

この時は3月末、ちょうどイースターシーズンでもあり、そざかしホテルはヨーロッパ人でごった返しているだろうと思っていたら、ロビーにはほとんど人影がありませんでした。「みんなビーチで寝転がっているのかな」と考えつつ部屋に上がり、さっそくベランダに出てビーチを一望すると、これまたほとんど客の姿が見えません。ここでまた「ん?」。さらに、ベランダで受ける風のなんと涼しいことか。もうだいぶ暖かいと思っていたのに、「ビーチでのんびり」という思惑が外れてしまいました。

5日間キプロスに滞在したのですが、結局毎日涼しい天気が続き、海に入ることはありませんでした。ビーチのデッキチェアに寝ていることすら、あまりの風の冷たさにやる気が起きませんでした。「まぁいいや、とにかく新鮮なシーフードだ」と気を取り直して繁華街に出かけたのですが、ここで激しくガッカリすることになります。完全にあてがはずれました。味はいまいち、しかも冷凍食品ぽいものもちらほら。その店が悪かったということでもなさそうで、結論としては単に「季節外れ」だったようです。

キプロス観光のハイシーズンはやはり夏。7月になればまぶしい太陽の下、きっとどのビーチもレストランも観光客でごった返すことでしょう。港にもたくさん魚があがり、どこで何を食べてもはずれはなさそうな気がします。しかしこの時はホテルも町も、すべてが閑散としていました。「寒い、まずい、寂しい」という三重苦に見舞われ、旅行のウキウキ感はゼロ。ビーチリゾートには真夏に行くべきだなとつくづく思いました。「暑い、旨い、にぎやか」 これがあって初めてリゾートを楽しめるというものです。

シーフードがそんなだったので、せめてキプロスのローカルフードをと思ってメニューを見ると、なんだかアラブ料理と代わり映えしないものばかり。おいしいことはおいしいのですが、エジプトから海外旅行に出かけるからにはアラブを忘れたかったというのが正直なところ。なんだか逆に気落ちしてほとんど写真も撮りませんでした。ひとつだけ、「コマンダリア」という極甘口のキプロスワインだけは、良い旅の思い出として残りました。お酒飲めないんでひと口ふた口でしたが。

■コマンダリア (Commandaria)
キプロスのコマンダリア地方トロードス山麓の村で生産される、琥珀色をした甘口のデザートワイン。収穫したブドウを天日干しして糖度を高めるため、アルコール度数は15度に達する。この製造法については紀元前8世紀の古文献にも見られ、12世紀の十字軍の時代にはすでにコマンダリアの名前を冠していたため、現在も作られているものの中では世界最古のワインと言われる。

コマンダリアの歴史は、美神アフロディーテを祝うためワインを飲む習慣を持っていた古代ギリシャ時代にまでさかのぼることができる。キプロスの天日干ししたブドウから作るワインに関するもっとも古い記述は、紀元前800年のギリシャ語の詩 (Hesiod/Cypriot Manna) である。

12世紀の十字軍の時代、イングランド王リチャード1世、別名「獅子心王 (Richard the Lionheart)」はキプロスで結婚披露宴を催した際、このキプロスワインをいたく気に入り、「王のワイン、そしてワインの王」と讃えたと言われている。この時代にキプロスは他の諸侯 (テンプル騎士団など) に売却されたが、リマソール近郊のワイン生産地だけは手放されなかったという。

13世紀、フランス王フィリップ2世 (尊厳王) は世界初のワインテイスティング大会を開催した。フランスおよびヨーロッパ各国から集められたワインのうち、最優秀に輝いたのはキプロスワインであった (コマンダリアであろうと信じられている)。また、オスマントルコがキプロスを侵略したのは、唯一コマンダリアが目的であった。

コマンダリアはキプロス固有のMavro種とXynisteri種の完熟ブドウで作られる。それぞれ糖度が15~16度、12度になってから収穫されるが、さらに天日干しされ糖度が高められたブドウは、自然発酵でアルコール度数が15度に達する。これらのプロセスはコマンダリア地方の指定された14の村でのみ行われる。

コマンダリアと呼ぶことができるのは、樫の木の樽に最低4年以上寝かされたワインであると法律に定められている。しかしこの熟成工程に関しては、キプロス島の中であれば14の村以外でも行うことができる。同じように高いアルコール度数を持つ甘口ワインが他にもあるが、コマンダリアは完全に自然発酵のみによるものであり、強化ワインではない。

コマンダリアは1879年には年間385,000リットル生産されていた (税金を払った登録品のみの計算)。そのうち231,000リットルはリマソール港から輸出され、うち199,000リットルはオーストリア向けであった (当時のお金で2,075イギリスポンド)。2005年の生産量は年間449,290リットル。

コマンダリアはEU、アメリカ、カナダで原産地呼称保護 (PDO) に登録されている。コマンダリアはトロードス山麓の標高500~900mに広がる Ayios Yeorgios, Ayios Constantinos, Ayios Mamas, Ayios Pavlos, Apsiou, Yerasa, Doros, Zoopiyi, Kalo Chorio, Kapilio, Lania, Louvaras, Monagri, Sylikou の各村で生産されている。

2006年2月、キプロスワイン生産組合は、オーストリア・リーデル社のワイングラスをコマンダリア公式ワイングラスに選定した。

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