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2008年5月30日 (金)

サウジアラビア料理

以前「ベドウィン料理」という記事を書きましたが、今回リヤドに再赴任したらそのレストランはすでに廃業していました。今度こそちゃんとサウジアラビア料理を味わおうと考えていたのでかなりがっかりしたのですが、しかしなんと、実は自分の職場のすぐ近くに、それを食べられるレストランがあることがわかりました。建物の外観が素晴らしいので前々から気になっていたレストランだったのですが、今回立て続けに2回行ってきました。

この半年間、職場のサウジ人に「サウジアラビア料理ってどこに行けば食べられる?」とことあるごとに聞いていたのですが、一度も的確な答えをもらったことはありませんでした。むしろみんな、「そういえばサウジアラビア料理と言い切れる食べ物ってなんだろう」などと悩んでしまうことも多かったです。

もちろん、これまでもたびたびお世話になってきた「ブハーリーライス」や、結婚式には欠かせない「カフサ」と「マンディー」がそうだと言えるかもしれません。ただ、これらの米料理はカタールにもあったし、サウジアラビア料理と言うよりは「アラビア半島料理」といった方が適切でしょう。シシカバブや羊肉のグリルは、それこそどのアラブ諸国に行っても普通に食べることができます。

さらに、今では当たり前のように米料理を食べているサウジ人ですが、もともと稲作文化があったわけでもないこの国にここまで米食が広まったのは、原油収入が飛躍的に増え、アジアから出稼ぎ労働者が百万人単位で入ってきた1970年代以降のことではないかと思います。その時から町にはアジア人労働者のためのレストランが無数にでき、またサウジ人の家庭に入ったメイドやコックが頻繁に米料理を作ったことは想像に難くありません。

なので、そういう環境で育った今の若い世代にとっては、例えば100年以上前から食べられているサウジアラビア特有の郷土料理と言えるものがあるのかどうか、そしてそれはどこに行けば食べられるのかなどということは、あまり関心がないのかもしれません。そもそも料理について熱く語るサウジ人にはお目にかかったことがないし、郷土料理がどういう意味を持つかなんてあまり深く考える人もいないようです。

それはさておき、レストランの紹介を。店の名前は「Al-Mazrah」。「マズラア (農場)」というだけあって中はとても広々した敷地で、コテージ風の小部屋やマジュリス風のテントルームがたくさん並んでいます。客は絨毯の上に車座になって食事をいただくスタイルで、なんとも雰囲気がよろしい。敷地の一角には馬がつながれていて、おそらくリクエストすれば乗れるんじゃないかと思います。食事中、風向きによってはプーンと馬の匂いが漂ってきましたけど。

メニューにおなじみのアラブ料理が並ぶ中、「シャアビーヤ (国民の)」という項目に3品がありました。それが「グルサーン (Qursan)」、「ジャリーシュ (Jarish)」、「マスルーサ (Mathlutha)」です。「グルス」は丸くて平べったい薄焼きパンのことなので、グルサーンはたぶんそのパンをちぎってトマトソースで煮込んだ料理。ジャリーシュは「つぶした麦、米」というその意味の通り、麦のおじやといった料理。マスルーサはこの2品の上にご飯をドサッと盛りつけたものです。

グルサーンは2枚目の写真の茶色い方。焼いたパンの香ばしさとチキン、トマト、野菜の旨味がマッチしていて、あっという間に食べてしまいました。そして白い方がジャリーシュ。何も入っていないシンプルなおじやですが、口に入れるとほんのりミルクとバターの風味が広がり、見た目以上に満足感のある一品。絶妙な塩気で味付けされていました。おいしかったけれど、何かおかずもほしかったなぁ。今回は"純"サウジアラビア料理という趣旨だったので、これ以外頼みませんでした。

ちなみにもうひとつ写真に写っているのは「クナーファ」というデザート。ヨルダンで食べたクナーファはココナッツの下がモッツァレラみたいなフレッシュチーズで、本当はそれが正解のようですが、マズラアレストランのものは固めのライスプディングのようでした。まぁ、これはこれで。

ということで、久しぶりにグルサーンを食べましたが、昔シャアビーヤレストランで食べたものよりずっとおいしいと思いました。見た目もちょっと違ってたし。コックがサウジ人ということはないでしょうし、ヨルダン人とかレバノン人のコックが料理しているのだとしたら、何かが変わってしまうのも仕方ないことですね (味は良くなっていると思いますけど)。

伝統的な"純"サウジアラビア料理の味が、どこかで引き継がれていることを願わずにはいられません。というのも、「母親から娘に家庭の味って教えるの?」とサウジ人に聞くと、だいたいいつも「うーん、たぶん…」という微妙な答えでしたから。確かに、ほとんどの家庭にメイドさんがいて料理はお任せできますから、奥さんが自分で料理する必要はあまりないのかも。

1枚目:レストラン入り口 (男性用)
2枚目:グルサーンとジャリーシュ (今回テイクアウト)
3枚目:マスルーサ (先日お店で食べた時のもの)

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