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2008年10月13日 (月)

邪視 (アイン)

中東やヨーロッパ地域で広く人々に信じられている邪視 (Evil Eye)。先日、サウジアラビア現地紙にこれの関連記事が載りました。どうやらラマダン中にエジプトの衛星テレビが邪視に関する番組を放送したようで、サウジ人も気にする人はいつになく気にしている様子です。日本でお盆の頃やる心霊番組もそうですが、きっとそれなりの視聴率を稼いだんでしょう。

邪視はアラビア語で 「アイン」 と言います (「目」の意味)。邪視の効果が発現するパターンはいろいろありますが、この新聞記事では人の妬み・ジェラシーが他者に及ぼす影響について論及していました。

その昔、預言者ムハンマドも邪視の影響はあり得ると述べたそうです。そのため、他者 (の持ち物) を褒める時は 「マーシャーアッラー (神が望んだ結果だ)」 と言うのが決まり文句になっています。直接的に褒めるとその人に災いが起こったり、その物が壊れたりすると信じている人は決して少なくありません。

邪視を防ぐための方法として、お香を焚く、邪視のシンボルを飾る、ニンニクの皮を焼くなど各地に様々な民間信仰がありますが (「ファーティマの手」 もそう)、イスラムではコーランの一節を暗誦するのが良いとされています。それに加え、日頃の礼拝と寛大さが何より大切なのだそうです。

突然理由もなく悪いことが起こって、行き場のない怒りや不安感にさいなまれた時、自分自身を納得させるという意味で邪視信仰を持ち出すのは、そう悪いことではないかもしれません。ただ、すべての事象の裏に邪視がある、と考えるのはいささか行き過ぎです。以下、新聞のインタビューを引用します。

①ある母親の場合
息子がジェッダからカナダに留学する際、愛車のポルシェを持って行った。日頃から自分たちが金持ちだと妬まれないよう気にしていた母親は、息子の車の中にお守りとしてひとつまみのブラックシードを置いた。ある日、カナダで息子がポルシェで交通事故を起こした。その直前、息子は車の掃除をして、ブラックシードを捨てていたのだ。それによって周囲の妬み (邪視) を防ぎきれなかったのだと母親は信じている。

②マハ (28才女性) の場合
ある時、マハは昔からの友達グループにひとりの新しい女友達を加えた。ある家にみんなで集まった時、彼女はマハのサングラスを見て良いデザインだと褒めた。しばらくして、マハはソファーの上に置いてあったサングラスに気がつかず勢いよく腰掛けてしまい、サングラスは壊れてしまった。マハが初産を終えた後、彼女がお見舞いにやってきた。赤ん坊にたくさん母乳を飲ませるマハの姿を見て、彼女はうらやましいと言った。数日して、マハの胸には不可解な湿疹が広がった。別の日にみんなである家に集まった時、彼女は部屋のカーペットがとても素敵だと言った。水タバコを楽しんでいると、炭火が落ちカーペットに黒い焦げ跡がついてしまった。その跡はまるで目のようだった。この瞬間、マハたちは二度と彼女に連絡を取らないことを決めた。

というわけで、これらのケースは決して特殊なものではなく、多かれ少なかれサウジ人の心の中には邪視を恐れる気持ちがあるということです。ただ、なんでも邪視だと言っていつも誰かのせいにしていると、そのうち誰も友達がいなくなってしまうかもしれませんね。

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