« 神を訴えた男 | トップページ | イギリス政府、UFOファイルを公開 »

2008年10月20日 (月)

憲法のない国

日本を含む大多数の国が持つ 「成文憲法」 を持たない国は、実はいくつもあります。代表的なところではイギリス。イギリスでは、中世に作られたマグナカルタや名誉革命の時に作られた権利の章典などの歴史的な文書、重要とされている裁判の判例法、政治的な重要慣習、そして重要な法律などを合わせて憲法とみなすため、「不文憲法」 と呼ばれます。その性格から改正手続きがしやすい 「軟性憲法」 とも言われますが、「国王の存在」 と 「議会主義」 の二大原則は不文律として変更することはできないとされています。

サウジアラビアは1932年の建国から60年を経て、ようやく 「統治基本法」 を制定しました。いくつか気になったところを抜粋してみます。

第1条
サウジアラビア王国は、主権を持つアラブ・イスラム国家であり、その宗教はイスラム、その憲法はコーランおよびスンナである。(注:スンナとは預言者ムハンマドの言行、または社会的慣行)

あらためてコーランが憲法であると規定しているわけですが、なにしろ1400年以上前の文書 (というか預言者が神から授かった言葉) ですから、現代社会に適合させるのはなかなか難しいんじゃないかなと、他人事ながら心配になります。それにしても、王様であっても宗教的見地には逆らえないという意味では、よくぞこの基本法を承認したと王様に拍手です。ま、結果として国民は窮屈な生活ですけど。イスラムの下では王様も庶民も平等なんですね。これぞイスラム。

第5条
サウジアラビア王国の政体は君主制である。王国の統治は、建国の父アブドゥルアズィーズ・アルサウードの息子および男の孫にゆだねられる。その中の最もふさわしい者がコーランとスンナに従って統治者となる。

ここでサウド王家の絶対的な支配を定義しているわけですが、後継者選びについてはなんとも曖昧です。今のところまだ初代国王の息子たちが王位継承を行っていますが (国を平定する時に敵対部族からどんどんお嫁さんをもらったのでとにかく子だくさん)、いずれも高齢になっています。いつかは孫たちの世代にバトンタッチしなければならないのですが、そのときに一悶着ありそうですね。

第13条
教育は、イスラムの信仰を若者に植え付けることと、知識と技術を習得させ、祖国を愛し歴史を誇りに思う、社会に有益な人間を作りだすことを目標とする。

うーん、教育の基本は宗教ですか…。科学と宗教って水と油みたいな気もしますけど。それに、宗教的に真面目なのと、勤勉・勤労なのは果たして両立するのかな?。あんまり見たことがないような気が…。

第26条
サウジアラビア王国は、イスラム法に則って人権を保護する。

というかそもそもイスラムが (特に女性の) 人権をちょっとアレしてるというか…。いや、やっぱりよその国が乱れすぎてるんです、ハイ。

第39条
情報、出版ならびに言論活動は王国の制度に準拠し、妥当な表現で実施され、国民の文化発展と統一促進に寄与しなくてはならない。煽動、分裂を導くもの、国家安全保障と広報活動に危害を加えるもの、個人の人権、尊厳を傷付けるものは全て禁止される。

つまるところ、それほど言論の自由はない、と。

第41条
サウジアラビア王国に居住する者は、その法令を遵守し、サウジ社会の価値観と伝統ならびに国民感情を尊重しなければならない。

外国人も、従いなさいと。

第43条
国王ならびに皇太子のマジュリス(座して行う会合)は国民および訴え事のある人々に開放されており、すべての人に陳情する権利がある。

素晴らしい制度です。対話を重視するのはサウジアラビア人の一番いいところだと思います。

以上、サウジアラビアの統治基本法でした。

|

« 神を訴えた男 | トップページ | イギリス政府、UFOファイルを公開 »

旅行・地域 サウジアラビア」カテゴリの記事

コメント

たぶん、白人の国はけっこう適当なんですよ、
アジア人やアラブ人のようにまじめじゃないんですよね?
アメリカに15年住んだんですが、若い国だからか民主主義だからか、誰も何も言わないと、州によっては、
規則が決まってないってものが身近に結構あって、びっくりします。

投稿: kilalaa | 2008年10月20日 (月) 21時12分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 神を訴えた男 | トップページ | イギリス政府、UFOファイルを公開 »