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2009年1月24日 (土)

ご馳走カレー

サウジアラビアで食べるカレーは、インド人がインド人のために作る本場のカレーです。普段はオレイヤロード沿いにあるマラズレストランという大衆食堂でばかり食べていて、1人で行く時はもっぱら7リヤル (180円) の定食 (ご飯にミートカレー1種と野菜カレー3種がついている、ご飯と野菜カレーはおかわり可能)、数人で行く時は単品カレーを何種類か頼んでも1人あたりせいぜい15リヤル (390円) ですみます。インド、パキスタンのタクシー運転手でいつも大繁盛していますが、なるほどこの値段では文句のつけようがない見事な味です。

そんなわけでマラズレストランには大いに満足していましたが、ある日ふと高級インド料理屋に行ってみたくなりました。マラズではもう決まったものしか食べなくなっていたし、初期の頃のように本当においしいと思って食べることもなくなっていました。何か壁のようなものにぶつかっていて、あんなに好きだったインドカレーへの情熱が冷めつつあることに妙なあせりを感じていました。「もう一度インドカレーの素晴らしさを味わいたい」 大げさに言えばそう思ったわけです。目指すは「アヴァドゥ (Avadh) レストラン」。ガイドブックによれば、リヤド在住インド人おすすめの高級店だそうです。

夜、ライトアップされたレストランの店構えはなかなかの高級感。広い店内は噴水が流れていたりして、高そうな感じがひしひしと伝わってきました。メニューを見ると、なるほど高い。肉のカレーは全部56リヤル (1450円) だし、スープからして16リヤル。「スープがマラズの定食2食分」 などという計算が一瞬頭をよぎりましたが、逆に、この値段で一体どんなカレーが出てくるんだろうと期待も一気に高まりました。

メインはやはりマトンにして、いくつもある中から一番のおすすめを店員に聞き、素直にそれを注文しました。あとはレンティルスープ、パンの盛り合わせ (ナン、チャパティ、パラタ)、ニンジンのデザートと紅茶。本当はもう1品野菜カレーを頼もうと思ったのですが、ここで店員がキッパリと注文を繰り返してきたので、「あぁ、もう終わりなんだ」 と悟り、無言でメニューを返すしかありませんでした。ちょっと雰囲気に飲まれた?

やけにクローブが効いたレンティルスープを食べ終わり、なかなか出てこないメインディッシュのブナ・マトンを待っている時間はとても長く感じました。いや、実際長かったです。カレーなんてチャッチャッと作れるようなイメージがあったので、「高級店はずいぶんもったいぶるなぁ」 などと思いつつじっと待っていたのですが、ようやく運ばれてきたそれは、まるで予想だにしない料理でした。なんとパイ包みです。もちろん初めて見ました。これなら時間もかかろうというものです。

思わず動きが止まってしまったこちらを横目に、店員がさっさとパイを開けようとしたので、「ちょ、ちょっと待って、写真を…」 と言いながらあわててカメラを取り出しました。写真を撮るのは少し恥ずかしかったのですが、店員の方は 「ふむふむ」 と満足そうにうなずいていたと思います。写真を撮った後は店員がおもむろにパイ皮を開き、中から肉とたっぷりのカレーをお皿に取り分けてくれました。こう見るとまるで洋食ですね。でも、立ちこめるスパイスの香りの向こうには、確かにインド悠久の大地が見え隠れしていました (←言い過ぎ)。

カレーそのものはコルマ (ヨーグルト、生クリーム、ナッツのペーストがベース) の味に似ていました。しかし色はもう少し茶色。ブナ (Bhuna) というのはどうやらタマリンドとトマトが入ったソースを言うようですが、このカレーもやや甘酸っぱくて辛さひかえめ、マイルドですがコクのあるカレーでした。お肉もたくさん入っていて実質2人前の量なので、56リヤルもそう高い値段ではありません。実は甘ったるいコルマ系よりはスパイスの香りがガツンと鼻腔に抜けるマサラ系の方が好きだったりしますが、これは香りと味に奥行きがあってかなり満足度の高いカレーでした。

チャパティがおいしいのにもびっくりしました。これまで灰色でいかにもな感じのチャパティしか食べてこなかったので、この店の白っぽくて甘味のあるチャパティは一緒に出てきたナンよりもおいしいと思いました (もしかして全粒粉じゃないのかな)。紙のように薄いのに焦げ目もついてきちんと焼けていたのも技ありです。カレーのパイ皮も食べようと思ったのですが、それでなくともパンが山盛りだったので、食べたのはほんの一口か二口。でもパイ包みには甘いカレーがしっくり来るのかなと思ったりしました。

単純に値段を考慮して、この味が大衆食堂より5倍も6倍もおいしいかと言われるとそう断言する自信はありませんが、やはりパイ包みという自分にとって未知のスタイルを味あわせてくれたことに感激しました。これがこの店のシェフの思いつきなのかそれとも歴史ある料理手法なのかはわかりませんが、やはり庶民の台所とは一線を画す、まさにご馳走カレーでした。ミルクセーキ風味のニンジンのデザートも、食事のしめにふさわしい穏やかな味で満足満足。ということで、まだまだカレーは奥が深いなぁと思い知らされた食事でした。

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