« 東京レストラン | トップページ | 砂漠のトリュフ »

2009年2月 2日 (月)

産油国の貧困

サウジアラビアで国内の貧困層について語ることは長らくタブーでした。しかし2002年にアブドラ国王 (当時は皇太子) がリヤド郊外の貧困地域を突然訪問した時から、状況は一変しました。国王と随行員たちはそこで貧困にあえぎ苦しい生活を余儀なくされるサウジ人を目の当たりにし、その後、政府当局者に対しサウジ社会から貧困を無くすようたびたび訴えるようになりました。そうして、アラビア湾岸産油国の中でもっともリッチなサウジアラビアに内在する貧困層について語ることがオープンになったのです。

去年、サウジのある若者 (映像業界の経験者) が国内の貧困層に関する短いドキュメンタリーフィルムを作りました。タイトルは 「俺の給料は1000リヤル」。サウジに貧困など存在しないと信じている多くの国民の注意を喚起するため、彼はフィルムをインターネットで公開しました。その中で、政府の役人が貧困は大都市から離れた遠隔地にのみあり得ると発表していることについても、現実には都市部にも貧困層が存在することを告発しています。

イマーム大学のアルバーズ教授は、2005年にサウジ国内の貧困について調査を行いました。調査によれば、毎月の収入が1600リヤル (4万円) あればなんとか人並みの生活が送れますが、1200リヤルになると相当苦しくなるそうです。この場合、家賃は度外視されていて、つまり借家の場合はさらに厳しいことになります。

サウジアラビア社会問題省によれば、国内で66万世帯が生活保護 (社会保険) を受けており、全体では約200万人が苦しい生活を送っているとのことです。また、失業者は40万人に上ると言われています。人口1700万人に対してかなりの割合です。

地域の専門家によれば、この数字はまだまだ見積もりが甘いとのことで、昨年来のインフレがサウジアラビア人の90%を占めると言われる中流層の実収入を著しく目減りさせていると考えられるのだそうです。ある非公式統計によれば、国民の75%が何らかのローンを組んで生活費を捻出しており、そのうち20%は貧困生活を送っているとのことです。

サウジ女性が直面する貧困はさらに深刻です。これはガーディアン制度がある限り解決は難しいかもしれません。女性が自らの意志で働くことが極めて制限されているからです。ガーディアン制度は伝統的に女性を保護するための仕組みですが、それが逆に女性の自立をあり得ないものにしてしまっています。生活保護を受けているのもやはり女性が多いそうです (夫と死別、離婚、夫に捨てられた、親族の援助を受けられない結婚をした、受刑者の妻、etc)。弱者がますます困窮していく構図はどの国でも同じですね。

531poverty1531poverty2

|

« 東京レストラン | トップページ | 砂漠のトリュフ »

旅行・地域 サウジアラビア」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 東京レストラン | トップページ | 砂漠のトリュフ »