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2011年3月 9日 (水)

一夫多妻制、サウジの場合

イスラムでは同時期に4人まで妻をめとることを認めていますが、当然ながら男性の経済的負担は大きく、多くの国では法律上可能というだけで、実際に複数の妻をもつ男性はきわめて少ないというのが実情です。

しかし、イスラムの伝統を堅持し、総じて所得レベルの高いサウジアラビアでは、一夫多妻はそれほど珍しいケースではありません。当時の自分の職場でも、何人もそういう人がいました。ところが、一夫多妻制が女性の人生に与える影響というものが、近年は大きな議論をよんでいます。

[2011.3.08 Arab Newsより] ※すべてサウジ女性
■ホルード (二児の母) の場合
「私はまだ学生の時、18才で結婚した。傲慢な父と、それに逆らおうとしない母が嫌いで、家を出られるならと承諾した結婚だった。結婚後の夫の態度は好ましいものではなく、自然と夫婦仲は冷えていった。夫が私に何の相談もなく2人目の妻をめとった時、私は夫に離婚を切り出した。その後、幼子を抱えシングルマザー生活を続けたが、理想の男性が現れることもなく、苦しい日々の中、私はある男性の2人目の妻になった。心が痛むのは、1人目の妻が私の存在を知らないこと。過去に傷つけられた私が、今度は他人を傷つけている」

■エマーン (二児の母、30才) の場合
「夫が2人目の妻をめとりたいと言い出したとき、私は猛反対した。平等にあつかうなどと言っても、すぐに新しい妻に夢中になってしまうだろうから。私は大家族で育った。父親は3人と結婚していたが、私はそれが嫌で仕方なかった。夫は離婚をほのめかしてきた。子どもたちの将来を考えると、私は夫の結婚に同意せざるを得なかった」

■ニハール (夫がヨルダン人) の場合
「私は夫の結婚に反対した。嫉妬だけではない、もっと複雑な感情。気が変になりそうで、自分自身が怖かった。夫が私に飽き飽きして、他の女性と結婚するなんて考えられない」

■オムニア (四児の母) の場合
「夫が2人目の妻をめとったとき、私は深く傷ついた。自分と子供たちに興味をなくしてしまうだろうという想像は現実のものとなり、その離婚歴のある子連れの新妻に、夫は夢中になってしまった。私とは話し方もファッションも人生観も違うその女と、夫はほとんどの時間を過ごすようになった。夫はその女の娘をとても可愛がり、イードの時もそちらにより多くのお金を費やした。夫は月に数回、お金を渡すためだけに私を訪れるようになり、婚姻は形だけのものになった。関係を修復するよう求めたが、夫はそれを無視した。世間体もあるし離婚はしたくない。でも、一番かわいそうなのは子どもたちだ」

研究によれば、サウジアラビアは他のアラブ諸国にくらべて、一夫多妻制を受け入れる女性が多いそうです。古い因習が根強く残っており、「それも人生」とあきらめる女性が多いのでしょう。こうした女性たちは、世間が思う以上に精神的苦痛を味わっています。けれども、子どもたちの将来を考えると、離婚は避けなければなりません。妻が我慢するしかないのです。

キングサウド大学の調査によれば、男性が2人目の妻をめとることが、1人目の妻との離婚原因の55%を占めるのだそうです。母親世代では当たり前だった一夫多妻制が、現代では通用しなくなっているようです。最近のサウジアラビアで離婚が多いのも、こうした現実を聞くと深くうなずけますね。

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コメント

一夫多妻で妻たちを平等に扱うなんてあり得ないですしね。自分の子供でも何人かいれば、本音では一番かわいいのがいたりするでしょうし、教師の立場になればやはり、気に入った生徒がいたりします。人間だものbyみつを(笑)

投稿: 在米 | 2011年3月10日 (木) 16時12分

このルールができた (啓示が下った) 当時はまだしも、現代社会ではただ女性に不利なだけかなぁと思ったり。

難しいですね。

投稿: shukran | 2011年3月11日 (金) 13時11分

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