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2020年4月 8日 (水)

タイ映画鑑賞:フェーンチャン

「フェーンチャン、ぼくの恋人」は2003年のタイ映画です。子供時代の淡くほろ苦い思い出を、当時 (1980年代) のヒット曲とともに描いたノスタルジックなストーリーは、多くの共感を得てこの年タイで大ヒットを記録しました。

都会で忙しく働いているジアップにある日、ノイナーから結婚式の招待状が届いたと、実家の母親から電話がありました。ジアップは週末友人の結婚式があるため、自分は行けないといったん断ります。

電話のあと車を運転しながら、記憶の奥底にしまっていたノイナーのことを思い浮かべると、ジアップはダッシュボードから当時のヒット曲が詰まったカセットテープを取り出しました。音楽を聴くと、子供の頃の懐かしい日々をありありと思い出すのでした。

内気で少し臆病なジアップは幼馴染のノイナーと仲良しで、いつも彼女と一緒に女の子グループと遊んでいました。通学バスの中でも毎日ノイナーの隣に座るジアップを、同じ小学校の悪ガキグループが茶化します。

ちなみにジアップは寝坊グセがありいつも父親にバイクに乗せてもらい、近道をして途中でバスに追いつき飛び乗ります。(この寝坊と近道も伏線になっています)

次第に悪ガキグループと男の子の遊びがしたくなるジアップでしたが、なかなか仲間に入れてもらえません。しかしサッカーをきっかけにガキ大将ジャックに認められると、グループに入るテストとしてノイアーを遠ざけるようなふるまいをします。

そして最終テストとして、ジアップはノイナーの大好きなゴム跳びの紐を切ってしまうのでした。その日からノイナーはジアップと口をきかなくなります。ずっと謝ることができず気にしていたジアップでしたが、そのうちノイナーは町から引っ越すことに。

ノイナーが町を離れる日の朝も、ジアップは寝坊してしまいました。ジャックたちを巻き込み、近道も使って必死にノイナーの車を追いかけるジアップでしたが、ついに追いつくことはできませんでした。

場面は現代にもどり、両親には何も言わずとつぜん帰省したジアップ。少し外をぶらつくと、町並みの変貌ぶりには驚くばかり。ここで友人から電話が入ると、急用ができたため友人の結婚式には出席できなくなったとわびを入れました。

夕方、思い出を胸にノイナーの結婚式会場に来たジアップ。ぎっしり並んだ円卓を埋め尽くす来場者を見つめながら、ここにいる誰ひとりとして思い出せないことに、すべてが変わってしまったことを思い知ります。

顔を上げて見渡すと、白いウェディングドレスを着て新郎とともにフロアを回る彼女の後ろ姿が目に入りました。ジアップにとって、ひとつだけ変わらないものがありました。ゆっくりふり向くノイナー。そこには、小学校当時の輝くばかりの笑顔で「ジアップ!」と呼びかけるノイナーがいました。

さて、この映画、小学生の初恋を描いた映画とも言われていますが、実際にはそうした描写はほとんどありません。そもそも小学生男子がそんな繊細な気持ちに (たとえ持っていたとしても) 気づくはずもありません。

むしろジアップが男子として成長していく、通過儀礼的に女子の遊びから脱していく、そんな物語だと思いました。ストーリーテリングも最初から最後までジアップの目線です。

異性との記憶に関し、女子は"上書き保存"、男子は"名前を付けて保存"とはよく言ったものですが、この映画もご多分にもれず、いつまでも昔の美しい記憶が忘れられない、女々しい男子の物語です (いい意味で)。

映画を終盤まで観ていて、最後はどういうオチになるんだろうとあれこれ考えていましたが、最後にノイナーがふり返った瞬間、それが子役の女の子だったので、大いに納得しました。

もちろんジアップの心の目で見た姿という演出ですが、やはりジアップにとってのノイナーは、小学生のまま時が止まっていたようです。真っ赤な頬をしたお下げ髪の少女というイメージは、きっとこれからも変わらないでしょう。

であるならば、カメラが切り替わってジアップが小学生の姿であれば、ノイナーもジアップを当時の思い出のまま見てくれている、つまりまだ当時のことを強く想ってくれていると、そう解釈できるのですが、果たして。。

残念ながら、カメラに映し出されたジアップは大人のままでした。ノイナー目線では過去はよみがえらなかったということなのでしょう。上書きされちゃったんですかね。これはちょっと切ないな。

(そもそもノイナーはふり向いてもいないという見方もできます、すべてジアップの妄想、でもさすがにそれは悲しすぎる・・・)

悪ガキグループ含め、とにかく子役がみんな素晴らしかったです (ガキ大将ジャックも後半大活躍)。最後のノイナーの笑顔も最高に愛らしくて、思わずちょっと涙ぐんでしまいました。名作。

360fanchan

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