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2020年4月22日 (水)

タイ映画鑑賞:人肉ラーメン

「人肉ラーメン」は2009年のタイのホラー映画です。ホラー映画にもいろいろジャンルがありますが、これは相当ハードなスプラッター。全編血まみれ肉まみれです。人を出汁にして人肉団子と一緒にラーメンとしてお客様に提供してしまうという、狂気の女性の物語。

主人公の名前がちょっとややこしいのですが、日本語字幕では "バス"、いろんな映画サイトでは "ブス"。音を聞くと "ブッ(ト)"(←最後は子音、英語表記するなら "But")。

極悪非道で残虐極まりない主人公ですが、その悲惨な境遇が明らかになってくると、こんな恐ろしい殺人鬼になってしまったのにも、それなりに理由があったのかなと、どこか同情的になってしまいます。

主人公を演じたマイ・チャローンプラはこの時40歳。映画の中では、体の線も崩れかけのくたびれたおばさんに見えたり、やけに肉感的で色気のある魅力的な女性に見えたりします。設定は30歳くらいかなと思いますが、大学生に惚れられるのも、わりとすんなり納得。

現在と過去の映像が交錯するのでストーリーを追うのが少々厄介で (過去はモノクロ) 、つじつまが合わないようなところもあったりするのですが、B級感満載の邦題 (実は改題される前のタイ語の原題のようです) からは想像もつかない、なかなかの良作でした。

つねに愛を求めて生きてきた孤独な女性の、哀感漂うセンチメンタルスプラッターホラー。必ず記憶に残る1本になるはず。ただしグロ描写はかなりのものなので、スプラッター映画に慣れていない人は視聴注意です。

主人公の境遇としては:
・母親が一族秘伝のレシピで人肉料理をしていた
 (そういう環境だったので自然と受け継いだ)
・母親からきつい折檻を受けていた
・父と兄に同時に犯され子供を身ごもった
・その子を妊娠中、無理やり結婚させられた
・父と兄は母親が毒殺、その後調理
・生まれた娘を母親は床に落として蹴る
 (この後主人公は母親を殺したのかもしれない)
・生まれた娘に自分も折檻をしていた
・夫は借金を作ったうえ若い女といなくなった
・夫と若い女の情事を目撃した娘が夫に殺された
・しばらく娘の幻影と暮らしていた
 (もう精神的にイカれていた)

惨殺した借金取り3人の解体作業をしているとき、惨殺の翌朝に訪れた大学生と全裸で抱き合ったことを思い出している主人公。流れるBGMはラブソング、"初めての愛、それは拷問" というキャッチーな歌詞。大学生の愛がたとえ一時でも本物であったらと願うばかりです。

主人公が大学生と出逢うきかっけとなったのが学生運動鎮圧デモなので、映画の舞台は1970年代なんだと思います。当時のニュース映像風のフィルムが差し込まれていたり、警官隊から逃げた学生のひとりが "森へ逃げよう" と言っています (血の水曜日事件を想起)。当時は突然人がいなくなってもすぐ警察が調べてくれるような世相ではなかったんでしょうね。

国外で先行上映された102分版にくらべ、タイでは検閲を受け大幅にカットされた84分版が上映されたそうです (今観られるのは後者かと)。タイ語の原題はもともと "人肉ラーメン" でしたが、タイのラーメン業界から猛反発を受け、"食べる前のスライス (肉の下ごしらえの意味?)" という曖昧なタイトルになったようです。

ラストシーンでは主人公が自宅に戻ると母親が地下室で大量の人肉をさばいているのですが、たぶんこれは幻影かなと (主人公も直前におそらく死亡している)。母親を見つめる主人公が子供時代の姿になっているのがまた悲しみを誘います。

381ramen

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