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2020年5月の35件の記事

2020年5月31日 (日)

タイ映画鑑賞:SuckSeed

「SuckSeed」は2011年のタイの学園ドラマです。十代の頃のもどかしい気持ちがよみがえってくるような、バンド、友情、ロマンスといろんな要素が詰まった、思いっきり笑えて最後は泣ける、青春ど真ん中の物語。

高校3年生のペットは幼馴染で親友のクンに誘われバンドを組むことに。ドラマーとしてX (エックス) も加わり、女の子にモテることを目指して "クン&フレンズ" の活動が始まりましたが、演奏はハチャメチャ。

クンの双子の弟ケーはギターの腕前も良く学校一の人気者。二人は昔から反りが合わず、ケーが組むバンド "アリーナ" が学生バンドコンテストに出ることを知り、対抗してクンもコンテストへの参加を決めました。テーマは "Love" という単語を使わないラブソング。

クンは最近バンコクから転校してきた女生徒で、ギターの凄腕をもつアーンをバンドにスカウト。彼女は小学校の幼馴染で、当時からペットは彼女のことを密かに想い続けていましたが、クンもアーンが好きだったと知ると、自分の気持ちは封印してしまうのでした。

作詞担当のペットが書きかけた歌を気に入るクンでしたが、アーンに告白したところ見事にフラれ、そのことからアーンをメンバーから外してしまいます。そして自らのやけくそになった気持ちを綴り歌にして、バンド名も "サックスィード" と改名しました。

一方アリーナは、ボーカルが作った歌にケーがぜんぜんOKを出さず内紛、ボーカルが脱退してしまったところに、アーンがスカウトされギター兼ボーカル、そして作詞を任されました。

アーンがバンドを離れた後、ペットは子供の頃アーンのために歌った歌を吹き込んだカセットテープを渡し、また自分の気持ちを綴りアーンに渡すと、二人はお互いの気持ちを確認しあい、クンには内緒で付き合うようになりました。

コンテストは決勝進出20組のうち、アリーナが1位通過、サックスィードはぎりぎり20位で通過しました。本戦で、1組前の出番であるアリーナの歌を舞台袖で聴くサックスィードのメンバー。演奏を聞くのは初めてでした (予選はCDで応募)。

その歌詞は、ペットがアーンに渡したものでした。驚くペットを舞台からアーンが笑顔で見つめています。そしてクンも、それがペットが書きかけていたものであることに気づいてしまいました。

クンは怒りが収まらず、自分たちの演奏途中で舞台を降りてしまいました。追いかけるペットに、なぜ本当のことを言わなかったんだと怒鳴り、その場を去っていったクン。二人の友情は壊れ、責任を感じたペットはアーンとも別れてしまいました。

4年後、高校の同窓会、ステージではCDデビューを果たしたアリーナが演奏していました。アーンと再会したペットがあらためて自分の気持ちを伝えると、アーンも未だにペットのことが好きだと言ってくれました。

高校時代のビデオが上映される中、ペットはクンに話しかけますが、受け流されしまいました。するとペットはステージに上がり、ベースを持ってサックスィードの歌を歌い始めました。しかしペットに背を向け歩き出すクン。

会場を出かけたところに弟のケーがいました。クンは大粒の涙を流しながら、ケーにピックを貸してくれと言いました。ピックを受け取るとステージに駆け上がり、ギターをかき鳴らし歌い始めたクン。それを見たエックスもあわててドラムに駆け寄りました。

久しぶりのサックスィードの演奏は、けっして上手とは言えないものでしたが、4年間のわだかまりを吹き飛ばすような、熱い熱い演奏でした。

ちなみにこのピック、高校時代にクンがバンコクの音楽ホールで偶然会った有名ロックバンドのボーカルに "いつかまた会おう!" と言って渡したもので、コンテストで優勝したアリーナが後にこのバンドの前座をつとめた時、双子のケーに勘違いで戻されたものでした。

主演4人の瑞々しい演技もいいし、映画のために書き下ろされた楽曲もいいです。また、当時の人気ロックバンドのメンバーも多数出てきます。Modern Dog、Blackhead、Paradox、Big Ass、So Cool、Bodyslamなど。So Coolの "Joke" は本作でも最高の演技でした。

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2020年5月30日 (土)

タイ映画鑑賞:30+ Single on Sale

「30+ Single on Sale」は2011年のタイのロマンチックコメディ映画です。7年間付き合った末に30歳でフラれたイン (彼氏は外国に行っていてほとんど会えていなかった模様) が、焼き鳥屋兼占い師のジュートと、有名カメラマンのタンとの間で揺れ動くお話。

この時実年齢29歳のCherman Boonyasak (Ploy)が、見事な負け犬っぷりを演じています (まあ後半はモテモテなのですが)。インの友人役のSudarat Butrpromもさすがのコメディエンヌぶり。実際この人モテると思います。

彼氏が別の女性と結婚してしまい傷心のインは、焼き鳥 (実際にはたぶん豚) を使って占いをするジュートと出会い、彼の優しさに触れるうち次第に好きになっていきます。というか優しさ云々よりジュート (Arak Amornsupasiri) がイケメンすぎますね。

一方、インは写真スタジオを経営しているカメラマンで、憧れの有名カメラマン、タンとの出会いは、あれよあれよという間に北極探検隊への帯同 (タンのアシスタント) という話に。つまりはプロポーズ。

タンは世界各国に10の家を持つセレブ中のセレブ。高級車でインを出迎えたりしますが、まったく嫌味のないナイスガイ。対して、心優しきイケメンながら生活はかなり庶民派のジュート (移動は自転車)。

とにかく王道のストーリー展開でした。本作のいいところは、ライバルのタンを悪く描いていないところ。これはインも悩むよなあと。それでも最後はジュートを選んだイン。これはこれで納得。

でも、タンと一緒にチェックインまでしたのに、土壇場で飛行機に乗らなかったのは、さすがにドン引きかも。女性にはウケるかもしれませんが、男性目線だと「勘弁してよ・・」といったところ。

まあ多少ありますが、あまり深く考えずに、美男美女がワチャワチャやっているのを素直に見て楽しむ作品かと。そういう意味では十分及第点の良作でした。

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2020年5月29日 (金)

タイ映画鑑賞:London Sweeties

「London Sweeties」は2019年のタイのロマンチックコメディ映画です。英語がまったくしゃべれない3人 (ポン、ボー、ジュード) がそれぞれの事情からロンドンに行ってドタバタをくり広げ、最後はなんだかんだそれぞれいい感じになって終わる、極上のハッピームービー。

ポン (プロン/Pron) は姉の結婚式のためロンドンに呼ばれますが、フィアンセのマイケルから英語で話しかけられるのが怖くて逃げ回ってばかり。ボーやジュードと一緒に通う英会話スクールでは、フランス語しかしゃべらないトゥアンに一目惚れされ、こちらもかなり迷惑しています。

ボーはロンドン留学中の恋人フォーのもとを訪れますが、ルームシェアしている韓国人留学生ジュンオンとの仲を疑いケンカ別れしてしまいました。実はジュンオンはゲイなのでボーの勘違いでしたが、混乱したボーはフォーの説明に聞く耳を持ちませんでした。

ジュードは白人女性と寝たい一心で友人と賭けまでしてロンドンに来ましたが、バイト先で目をつけたケイティーからはとことん嫌われる始末。タイ人マネージャーからも厳重注意を受けましたが、謝罪をしようにも英語が出てきません。

こんな3人がポンの姉ペンの家に入り浸っていると、当然マイケルが訪ねてくるのですが、言葉のコミュニケーションを完全拒否する3人に、越えられない異文化の壁を感じたマイケルは、婚約破棄を言い出してしまいました。

ポンは責任を感じ、なんとか二人を仲直りさせようと努力しますが、結局、二人の仲は出会った時と同じく、運命の導きによって奇跡的に修復されたのでした。英語のスピーチと英語の歌を必死に練習したポンは、式の当日、あれこれ間違えながらも堂々と披露し喝采を浴びました。

最初はトゥアンから逃げ回っていたポンでしたが、ある時、トゥアンが聴いている音楽をイヤホンで聴かされた時、言葉の意味はわからないのに、心に訴えかけてくるような不思議な感情が湧きました。

インターン先の上司ポップがわざわざポンを訪ねてやって来ると、一度は一緒にタイに戻ろうとしたポンでしたが、空港に向かう車中でトゥアンと聴いたあの音楽を中断され (イヤホンを引き抜かれ)、ポップが強引にタイ語のラブソングを聴かせてきたことから、ポンの中では想いが固まりました。

最後、ポンは再びトゥアンのもとを訪れ路上で熱唱 (ジェイソン・ムラーズの "I'm Yours")、ボーはすれ違いで帰国してしまったフォーを追いかけ、ジュードはケイティーとなぜか仲良しに。それぞれ多少無理矢理感はあるものの、やっぱりハッピーエンドは気持ちがいい。

何よりポン (Maylada Susri) がとびきりキュートでした。仕草や表情が大げさでオッチョコチョイでいつもジタバタしてばかり。こんな挙動不審者、現実世界ではありえませんが (本当にいたらかなりイタい・・)、ラブコメ映画なのでやりすぎくらいで丁度よかったなと。

ただしジュード、あれはストーカーだしほぼ逮捕案件かと。彼のパートだけはもうちょっと何とかならなかったのかな。。

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2020年5月28日 (木)

タイ映画鑑賞:ホームステイ

「ホームステイ ボクと僕の100日間」は2018年のタイの青春ファンタジー映画です。森絵都の名作ジュブナイル小説「カラフル」を原作に、タイの文化にあわせ脚本が練り上げられています。

「ボク」の魂が、自殺した高校生ミンの身体に乗り移り、一時的に生まれ変わります。100日以内にミンの自殺の原因を見つけられたら、その後も生き続けることができるという条件。

ミン役にはバッドジーニアスで注目されたティーラドン・スパパンピンヨー、ヒロインのパイ役にはBNK48のキャプテン、チャープラン・アーリークンと、主演に若手スターを起用。

ミンと母親の思い出にドリアンを使ったり、橋の上でシャンプーしながら走るなど (神聖な場所で奇妙なことをすると願いが叶うという若者文化から)、タイならではのアイデアが満載です。

時々お目付け役の天使が姿を変えて現れますが (ビル清掃員、看護師、精神科医、老婆、子供)、とくに前者3人はみんな主演級の俳優で、こうした "オイシイ" 役を楽しんで演じていたように見えました。

最初はミンもぜんぜん謎解きをせず、いきなり20日とか一気に数字が減るので、ちゃんと終わるのかなと不安に思ったりもしましたが、その分ひとつのシークエンスが丁寧な描写で、登場人物の気持ちの変化にも納得。

2時間11分という長めの尺でしたが、なんだかんだ最後まで飽きずに観ることができました。そして結末は、まあこうなるんだろうなと予想はしていましたが、それでもやはり感動しました。

時間が止まり降っていた雨が空中で止まるシーンなど所々に凝ったCGが使われていて、映像はとてもきれい。これも映画がヒットした要因です。詳細なあらすじはWikipediaをどうぞ (映画→コチラ、小説→コチラ)。

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2020年5月27日 (水)

タイ映画鑑賞:Phobia 2

「Phobia 2」は2009年のタイのオムニバスホラー映画です。5つの物語がそれぞれ異なるテイストで、どれも短編らしくヒネリが効いているため、最後まで飽きることなく楽しめました。"Phobia" の続編ですが、前作にも増してタイ国内でヒットしたのもうなずけます。

#1. Novice (見習い僧)
母親から強制的に出家修行に出された少年ペー。僧侶たちに連れられ山奥に行くと、そこでは餓鬼の霊を鎮める儀式が執り行われていました。異様な雰囲気と夜間に襲われる幻覚からその場を逃げ出そうとするペーでしたが、連れ戻され、洞窟で祈りを捧げながら一晩明かすよう命じられます。そこで彼が見たものは、自らが犯した罪でした。【後悔先に立たず】

#2. Ward (病棟)
足に大怪我をして入院した少年アーティット。大部屋にはもう1人、脳死状態の老人がいました。深夜、動くはずのない老人がアーティットを襲います。夢か現実か区別がつかぬまま朝を迎えたところ、老人は死亡が確認され、アーティットはなぜか態度が横柄に。ラストは車椅子を押され廊下を進むアーティットを、ひれ伏し崇める多数の患者たち。【魂は何処へ】

#3. Backpackers (バックパッカー)

愛想の悪い中年ドライバーと気弱そうな助手が乗るトラックをヒッチハイクした日本人カップル。荷台には数十人の死体が乗せられていました (ゴム詰めの麻薬を飲まされた密入国者、みんな麻薬の急性中毒で死亡したと思われる)。ドライバーが死体を畑に捨てると次々に死体が動き出し、トラックを襲いました。最後は日本人女性が生き残りの子供をつれてようやく町にたどり着きますが、子供はにぎわう朝市の人混みに突っ込んでいきました。【ゾンビは不滅】

#4. Salvage (廃物利用)

事故車を安く仕入れ、きれいに修理した上で無事故と偽り高く売る悪徳中古車ディーラーのヌット。彼女の子供はこの展示場が遊び場です。夜遅く、帰宅しようとしたところ子供の姿が見えません。暗い展示場を探し回るうち、彼女は車に閉じ込められ、ありえないものを見ます。やっとの思いで車のエンジンをかけ展示場を出ると、エンジンルームからクツの片方としたたる血が。ボンネットを開けヌットが見たものは。【残酷な天罰】

#5. In the End (とどのつまり)
ホラー映画の撮影中、ラストシーンを残したところで幽霊役のケイトが体調をくずし、病人に運ばれました。ほどなくケイトが病院から戻り、撮影が再開されようとしていた時、一緒に病院に行ったスタッフのエーから「ケイトが死んだ」という連絡が。

監督以下ほとんどのスタッフは恐れをなして逃げ出してしまい、残ったのは助監督などスタッフ3人と主演女優マーシャのみ (マーシャは事情を知らない)。ラストシーンを撮ればケイトも成仏するだろうと考え、彼らはなんとか撮影を終えると、セットを飛び出しました。

しかしそれでも追いかけてくるケイト。病院からもどったエーも加わり、スタッフ4人は大慌てで車に乗り込むと撮影所をあとにしましたが、突然頭から血を流し始めるエー。道端に運転席が激しくつぶれた事故車 (撮影所の車) を見つけた彼らは、エーを残し慌てて車を飛び降りました。

その場にケイトも追いつき、あわや幽霊二人に襲われるかと思ったその時、実は二人とも死んではいなかったことが明かされました。ケイトが死んだと言った病院の医師は双子で、別の患者のことを言っていました。エーは軽く事故って車を降りた時に、大型車に突っ込まれたとのこと。

誰も死んでいなかったんだああ良かったと彼らがホッとしたのもつかの間、ガス欠になったためヒッチハイクしようとした車 (お疲れで居眠り運転のマーシャ) が猛スピードで彼らに突っ込んできて・・・。【二転三転】

どれも面白かったです。#1はもっとじっくり脚本を広げて1本の映画にできるでしょう。#2はオチの急展開にビックリ。タイでもこういうのあるんだなと思いました。#3はそれこそ本格ゾンビものにできそうです。#4は死亡事故車に憑いた霊に驚かされる (翌朝目が覚める) パターンかと思いきや、はるかにひどいバッドエンドでした (ここまでが夢であってほしい・・)。

#5は極上のホラーコメディ。内容も濃いし役者 (有名なコメディアン) の演技もよく、見応え充分でした。本作の2年前のホラー映画 "Alone" に主演したマーシャを本人役で使い "Alone 2" を撮っているという設定も面白かった。

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2020年5月26日 (火)

タイ映画鑑賞:暗くなるまでには

「暗くなるまでには (By the Time It Gets Dark)」は2016年のタイのドラマ映画です。アートムービー、というかインディーズムービーと言うのでしょうか。いろいろなストーリーラインが重なりそうで重ならない、単にシークエンスの羅列にも見えるこの作品は、ひとつのドラマのようでもあり、実はただ観る者にそうした深読みをさせたいだけの実験作にも見えます。

商業的成功は最初から放棄しているようにも思えますが、タイ版アカデミー賞ともいわれるタイで最も権威のある映画賞「第26回スパンナホン賞」で、最優秀作品賞を受賞。さらにアノーチャ・スウィチャーゴーンポン監督は最優秀監督賞を受賞しています。タイ人の心の琴線には十分刺さるものがあったということでしょうか。

日本の映画祭では、『映画監督、70年代の学生運動家、職を転々とするウェイトレス、男優と女優。見えない糸で繋がる人々の物語を通じて、タイの現代史と美しさを描く。国際的評価も高い新鋭監督による詩的な秀作』と紹介されています。

ある女性映画監督が、地方のペンションに泊まり込み、1970年代に学生運動家だった婦人に脚本のためのインタビュー取材をするのが一応メインのストーリーラインですが、この1本のラインでさえ、かなり危ういもの。

婦人は1976年10月6日の "血の水曜日事件" により弾圧され、(タイ北部の森に男子学生と一緒に) 逃亡した経験がありますが、インタビューでは監督もあまり核心をついた質問をしないし、婦人もステレオタイプな回答ばかり。

むしろ、停電した夜にキャンドルを灯し、監督が婦人の求めに応じ歌を歌っていたら突然また電気がパッとついた瞬間の、蛍光灯に浮かび上がった白々しい2人の顔の方が印象に残りました。

その後、監督は1人で山の中を散策しますが、藪の先に着ぐるみを着た10歳くらいの子供を見つけ、あわてて追いかけるものの、見失い、へたり込んだその手に触れたものは、キラキラ光るキノコでした。暗転。

夜の道路を走る車。夜の森。虫の声。ベッドで泣きながら目覚める監督。起き上がり居間に行くと、暗闇にキャンドルを灯し年配の女性2人がお茶を飲んでいました。お茶をもらう監督。たぶんここまで夢。

朝、買ってあった食パンにカビ。監督、カメラに向かって自分語り。子供の頃一度だけ念動力が使えたが、友達に見せようとしたらダメだった。それ以来、二度と力は戻らなかったし、他人に言うこともなかった。

シーンが変わり、仄暗い時間にベッドに横たわる男性が誰かに顔をなでられている。バッタの大群。古い無声映画 (キノコ)。椎茸、カビ、粘菌 (たぶん)。ちなみに粘菌は個人的にツボ。得体の知れない感じがいい。南方熊楠はタイでも知られているのだろうか。

舞台は変わって地方のタバコの一次加工場。貯蔵された葉の乾燥を検査する男性。ここまではドラマの撮影?。この男性が地方の空港で飛行機に乗ろうとしていた際、若い女性に声をかけられ一緒に写真を撮る。人気俳優の設定っぽい。

舞台は再び最初のペンションへ。監督と婦人が来た初日のことを、同じセリフ、同じ動きで、違う3人が演じている。しかも、Penpak Sirikul (大物女優)、Inthira Charoenpura (国民的女優)、Apinya Sakuljaroensuk (若手実力派女優) という豪華なキャスティング。

インタビューをもとに脚本を書き上げ実際に映画撮影が始まったということなのかもしれませんが、それにしてはこのシーンだけだし、何を言いたいんだろう。例えば:

①同じシーンでも無名女優だとつまらないけど有名女優なら観るでしょ?結局あたなは内容ではなく上辺だけ観ているのだよ。
②セミドキュメンタリーだとしたら無名女優の方がむしろ説得力あるでしょ?(実際後者の方が作り物に見えてしまった)。

うーん、どうなんでしょうね。

シーンが変わり、再びベッドに横たわる男性。女性が寄り添っている。男性は全裸。Apinya Sakuljaroensuk (女優のタック役) とArak Amornsupasiri (男優のピーター役)。昔つきあっていた設定?それとも映画撮影?。ピーター、パイロットに扮して撮影。その後メーキャップしながら歌唱。そしてMV撮影。ナンノコッチャ。。

ピーターがジムのプールで泳ぐ姿をバックに、ジムで拭き掃除に励む女性スタッフ。この人、さっきまでペンションで働いていました。公式の説明では職を転々とする女性だそうです。その後、船上レストランのウェイトレス、尼さん、クラブで踊り狂う若者に。

ピーターが海辺のレストランで彼女と友達と一緒にカニを食べている。店員から写真撮影をせがまれる。人気俳優の設定だな。ホテルの廊下ですれ違うピーターとタック。お互い彼女・彼氏連れ。なんとなく気まずい雰囲気で別れる。

タックが車の中で思いつめた表情。これは撮影済みフィルムでした。スタッフのもとに1本の電話。ピーターが交通事故で亡くなったとの連絡。気を取り直し編集を続けるスタッフ。車を運転するピーター (たぶん撮影済みフィルム)。タイ語版タイトルの "Dao Khanong" の交通標識。

再び、元学生運動家の婦人が若かりし頃のシーン。この翌日に弾圧事件が起きたとのこと。こう語るのはPenpakではなく最初に出てきた女優。当時の惨劇が語られますが、あくまで淡々としたもの。こんな暴力を容認する社会には同化できないと、逃亡を図ったらしい。

職を転々とする女性が尼さんになりますが、気がつく人なら「なぜ黄色い僧衣ではなく白いのを着ているの?」と思うでしょう。実はこれらの女性たちは正式な僧侶 (尼僧) ではありません。

タイで尼僧が禁止されているというわけではなく、タイ国内では女性が僧侶となるための受戒がはるか昔に禁じられたため、今はなろうと思ってもなれないということです。数少ない尼僧は外国で僧侶になった人たち。(関連記事はコチラ)

この女性がクラブで踊っているシーンの映像が段々乱れ、次第に映像が戻ると地方の山というか野原の風景に。ピンク色の空が紫、そして青に戻っていき、風に揺れるススキの映像のまま終劇。

うーん、、難解というか、まあとにかくいろんな要素が詰まった作品でした。たぶん正解はひとつじゃなくて、「いったいあれは何だったんだろう」と思いを巡らすのが正しい観方なのかなと。そういう意味では最後まで飽きずに観れました。

職を転々とする女性という設定も、実はみんな違う人間でそれを同じ女優が演じているのではないかとも思いました。顔が同じ、イコール没個性というか。男性ではなく女性だったという点も意味があるかのように思えるし。

映画の一番最初に出てきた郊外の家 (その後何度かシーン挿入) はきっと何か意味のあるものなんだろうな。ポスターにもあるくらいだし。例えば当時殺された活動家の実際の家だとか。解説ほしいなー。

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2020年5月25日 (月)

タイ映画鑑賞:The Down

「The Down」は2015年のタイのドキュメンタリー映画です。4組5名のダウン症候群のタイ人 (みんな20歳前後) の日常に密着し、彼らと一緒に奮闘する家族や職場の人々にもフォーカスを当てながら、普通の人々と同じ生活を送ろうとする姿を追った作品。

映画のトーンは明るめで、終始なごやかな雰囲気です。監督自身も画面の中では常に笑うよう心がけているように見えます。あまりシリアスな空気にはならないので、個人的にはこういう切り取り方はいいなと思いました。

5名の症状には多少の差異がありますが、実際に会社で働いている3名のうち、ユニクロで働いている男性には会ったことがあるような気がして (違うサイズある?と聞いた記憶が)、別に普通だったよなと思い返しています。(あと2名はスターバックスと通信大手のAIS)

朝食にもち米が出ないとヘコむとか、仕事中に名探偵コナンを見ないと集中できないとか、すぐ別のことに気が行ってしまうとか、スポーツ大会で優勝しても嬉しくないとか、歌が下手だとか、人前でゲップするとか、いろいろありますがみんな個性でくくれる範疇かなとも思いました。

もちろん実際にはもっともっと大変なことはあるだろうし、社会的弱者であることは間違いないと思います。なぜなら今の社会は健常者を基準に作られていますから。そう思うと、マイノリティーの立場に立って考える必要性をあらためて強く感じました。

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2020年5月24日 (日)

タイ映画鑑賞:祟り蛇ナーク

「祟り蛇ナーク」は2019年のタイのホラーコメディ映画です。25歳の厄年を迎え災難続きのノーンは、父の勧めで、腐れ縁のオネエコンビ、バルーンとファーストと共に人里離れた寺院に出家します。

しかし、そこは出家志願者を呪い殺す大蛇ナークの伝説があり、何も知らずに寺院を訪れた3人は、身の毛もよだつ怪奇現象に次々と巻き込まれるのでした。

タイのドラマには欠かせないオネエが最初から最後まで甲高い声でギャアギャア騒いでいるドタバタコメディです。俳優は人気者をそろえ、タイ人にはしっかりウケたようですが、外国人にはちとツラいかなと。

古いお寺のセットや雰囲気作りなど美術にはけっこうお金をかけているように見えるので、ここまでお金をかけて、徹頭徹尾バカバカしさを追求しているのは逆にすごいことです。

最後は母の愛で丸く収まって、意外といい話で終わったなと思っていたら、ラストシーンで「また出たッ!?」とうかがわせるあたり、続編やる気満々で制作スタッフの手応えを感じます。(実際に続編できました)

こういう映画をもっと楽しめるようになりたいなと、そう思ったり、思わなかったり。。

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2020年5月23日 (土)

ドリアン食べ納め

ドリアンはモントーン種なら一年中売られていますが、いろいろな種類が出回るのはタイがもっとも暑くて乾燥する4月前後。去年の4月、5月はドリアンの食べくらべなどずいぶん楽しませてもらいました。

・過去記事
バンコクで食べられるドリアン
ドリアン食べくらべ (1)
ドリアン食べくらべ (2)

今年は新型コロナの影響で物流が止まってしまい、農家も果樹を出荷できず大変というニュースは聞いていましたが、4月になってもバンコクではモントーンしか買えず、残念な気持ちで過ごしていました。

5月に入りコロナ規制が解除されてきたことが関係あるのか、バンコクの路上でやけにドリアン屋台が目につくようになり、今週はようやく近所のスーパーにモントーン以外のドリアンが並ぶようになりました。

今日、スーパーでモントーン以外のものを見つけ、今年の旬はこれで最後、食べ納めだなと思いつつ、はやる気持ちを抑え、閉店間際までねばり (今はコロナ規制で閉店が夜の8時)、値段が半額になったところでゲットしてきました。

プアンマニーは甘さが際立っていて、あまりクセは感じませんでした。同じプアンマニーでも農園によって差が出るのかな。去年食べたのはクセのかたまりみたいでした (でもそれが好きだった)。

もうひとつは初めて食べるノックイップ (Nokyib)。ノックラチップと同じく、トーンヨイの派生種。甘さは強烈、ブランデーのようなほろ苦さがあって相当美味しかったです。

ドリアン5大ファミリー
・コップ (Kop, Gop):50品種に派生
・ルアン (Luang):10品種に派生 (チャニーなど)
・ガーンヤオ (Ganyao):最高級品種 (派生なし?)
・トーンヨイ (Thong Yoi):ノックラチップ、ノックイップなど
・ガンパン (Gampan):モントーンなど

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タイ映画鑑賞:ヘッドショット

「ヘッドショット」は2011年のタイのクライムサスペンス映画です。警官からヒットマンに転向した男トゥンが任務中に頭を撃たれ、昏睡から目覚めると視界が上下逆さに見えるようになってしまい、やがて彼自身が命を狙われるようになり・・・、というストーリー。

トゥンは正義感の強い警官でした。7年前、大規模麻薬取引の現場をおさえた後、某大臣の兄弟である黒幕が送った弁護士の買収に応じなかったため、ハニートラップをしかけられ懲役刑となってしまいました。

収監中、トゥンを訪ねてきた一人の女声。それは、トゥンとの一夜の情事の後、バスタブで血を流して死んでいたはずのジョイでした。ジョイは金をもらった男からただ言われるがままに演技しただけと言いました。

またある日、一人の男がトゥンを訪ねてきました。この男はトゥンに、悪徳政治家が絡む犯罪者を処分するヒットマンになるようオファーします。政治家の買収にも応じなかったトゥンの正義感を買ってのことでした。

3年の収監の後、出所したトゥンを迎えたのはジョイ (本名ティワ) でした。行くあてのないトゥンはティワの家に転がり込み、そうしてつかの間、ささやかな幸せの日々を送る二人。

トゥンはティワに結婚を申し込みますが、ティワは薬物の過剰摂取により死んでしまいました。それを機に、ヒットマンの世界に足を踏み入れたトゥン。そして数年の後、冒頭の事件につながります。

退院後、トゥンは自宅で狙撃され、そのまま拘束されました。犯人はトゥンの組織のボスを追っている一味でした。なぜだかここでの拷問がちょっとユーモラス。金切り鋏とか意味深に見せておいて、実際はパンツをおろし溶けた熱々の蝋を股間にぽたりぽたり。間抜けな一味だ (笑)。

案の定、簡単にその場を脱出するトゥン。道路に飛び出てカージャックすると、乗り込んだ車の女性リンを脅して郊外 (リンの行き先チュンポン) に逃亡しました。トゥンは着いた先で、お寺の門をくぐり僧侶になりました。

トゥンはティワが死んだ日のことを思い出します。彼女が薬物をやっていたことは知らなかったけれど、不正が蔓延するこの世を離れ安らぎの世界に行けたのが羨ましかったこと。到着した警官が、売春婦が薬物で死ぬなんて日常茶飯事だと言ったこと。そして、ヒットマンになりたいと手紙を書いて送ったこと。

ほどなく、トゥンのお寺に殺し屋がやって来ました。襲われたトゥンは命からがら寺を飛び出ると、カージャックしたのは偶然にもまたもやリン。車がパンクしリンを連れ林に逃げ込んだトゥンは、反撃し、なんとか難を逃れました。

リンの車でバンコクに戻る車中、リンはトゥンの話を聞くといぶかしみ、「何かおかしくない?ティワの死も仕組まれていたんじゃないの?」と言いました。リンと別れた後、トゥンは再び拉致され、クライマックスへ (わりとあっさり)。

エピローグ。トゥンがすべてを知り、再び仏門に入って5年の月日が流れたある日、僧衣に身を包むトゥンは銃弾に倒れ、静かに息を引き取るのでした。

目に映る世界が上下逆さまになってしまったことは、トゥンにとって何が真実で何が嘘なのか、何が正義で何が悪なのか、自分は正しかったのかそれとも、という混乱のメタファーかと思います。

秀逸なアイデアだし、映像的にも時々映る上下逆さまの画はスタイリッシュで印象的です。ただ、本当は単に歩くだけでも大変なはずなのに、その後のドンパチではほとんど影響もなく、普通に戦っていたのがなんだか残念でした。逆さまならではの何かがあれば。。

ちなみにタイ映画を50本以上観て、女性の胸があらわになるシーンがあったのは2本だけ、本作と「Ploy」のみ (Ployのレビューはコチラ)。2本ともペンエーク監督の作品でした。本作ではお坊さんも殺されるし、いろいろ攻めてるなぁ。

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2020年5月22日 (金)

タイ映画鑑賞:アンニョン!君の名は

「アンニョン!君の名は (Hello Stranger)」は2010年のタイのロマンチックコメディ映画です。モラハラ彼氏の束縛を逃れ一人韓国に来た女性と、彼女にふられなりゆきで韓国行きの飛行機に乗った男性が、旅先で偶然出会い、お互いの名前も知らないまま恋に落ちる物語。ほぼ全編韓国ロケで、旅行気分も味わえます。

性格に難のあるクズ男 (ダーン/仮名) とメンタルに難のあるイタ女 (メイ/仮名) のやりとりには、正直イライラがつのりました。あえてお互い本名を明かさず、だからこそずけずけ本音を言い合おうという設定は、後で伏線として効いてくるのですが。

出会いにも無理があるし、コメディパートも微妙に韓国を小馬鹿にした笑いで、舞台がタイならまだしも、外国でこれをやってしまうとあまり笑えないし、なかなか二人に感情移入もできませんでした。

ようやく映画に引き込まれたのは1時間半を超えたあたり、二人が本音をぶつけ合うシーンからでした。そうして一度は結ばれますが、タイ映画はここから一旦関係が破綻して、ラストにどんでん返しで明るい希望を感じさせるエンディング、というパターンが多いので、どうやって二人を別れさすんだろうと思っていたら、そこはすごく上手かった。

二人旅の途中、彼女にふられ電話にも出てもらえない状況に落ち込むダーンに、メイは自分が好きなラジオ番組の恋愛相談コーナーを再現して、悩みを話すよううながします。原因は、ダーンが8年付き合った彼女から結婚を求められ、拒否したことでした。

結婚しなくても愛情はあると言うダーンを、彼女は理解できず喧嘩別れしてしまいましたが、今ダーンはあらためて結婚を申し込みたいと考えていました。メイは電話がダメならハガキを送ればいいと言い、翌日ダーンは「結婚してください」とひと言書いたポストカードをタイに送るのでした。

しかし偶然会ったタイの知人から、彼女が結婚することになったと聞き、自暴自棄になるダーン。旅の途中でメイも彼氏と別れていたので、そんな二人がようやく心を通わせ結ばれたわけですが、タイに戻る当日、ホテルを出た二人の目の前に、突然ダーンの彼女が現れました。ホテルのポストカードを使ったため、彼女はそれを頼りに韓国に来たのでした。

「結婚するって聞いたけど・・?」 おそるおそるダーンがたずねると、「私が結婚する人は一人しかいない、私が本当に愛している人」 そう笑顔で答える彼女を、ダーンはおずおずと抱きしめました。一人で先にタクシーに乗り込み、車中で大粒の涙を流すメイ。

これは辛い。切なさマックスです。それにしてもダーン、ぜんぜん女心がわかっていなかった。映画のラストは1年後、メイがカーラジオでいつもの恋愛相談コーナーを聞いていると、そこに流れてきたのはダーンの電話相談でした。

去年、韓国でたった数日間一緒に旅をした女性のことが1年たっても忘れられないと話すダーンの声を聞き、メイは涙があふれそうになりました。なぜもう一度会わないのかDJがたずねると、名前も知らないことを伝えるダーン。今後手助けできるかもしれないから本名を教えてくれと言うDJに、ダーンが「ぼくの名前は・・・」と答えかけているところで終劇。

うまい!最後はすごく面白かったです。この先を想像すると、メイがラジオ局に名乗り出て二人は無事再会、そして真のハッピーエンド。

ただ、クズ男のダーンのことですから、彼女との結婚話を断りきれず、実は結婚しているけれど未だにメイのことが忘れられないとうだうだ言っている可能性がなきにしもあらず。メイと再会できたら離婚しよーとかね。

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2020年5月21日 (木)

タイ映画鑑賞:The Library

「The Library」は2013年のタイの恋愛映画です。30分の短編。図書館に務めるアンと、定期的に本を借りに来るジムとの、7年に渡る密かな愛の物語。図書館の標語 "Quiet Please! (お静かに!)" が影を落とします。

短編映画らしいサクサクした展開とラストの意外な種明かし。YouTubeにあるので、気になる方はぜひ (→コチラ)。

※ポスターの下にあらすじ (ネタバレ) を書きました。
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2006年7月11日、アンは図書館を訪れたジムに一目惚れ、彼の来館を心待ちするようになります。初めて会った時、アンには夫がいましたが、その後破局。逆にジムは女性を連れて来るようになり、1年後には結婚、その翌年には子供が生まれました。

2年の月日が流れ、今では娘を連れ家族3人で図書館に来るようになったジム。それを複雑な表情で見つめるアンでしたが、その裏で、ジムと妻の間には隙間風が。3年後、ジムは妻と離婚、愛する娘とは週に1回しか会えません。

ジムの心の隙間を埋めるように、アンとの仲が進展していきました。二人きりで訪れた深夜の図書館。アンは1冊の本 "地上より永遠に" を手に取り、ジムに渡しました。書架の扉のガラスをはさんで交わされる口づけ。

しかしそこから3ヶ月、ジムが図書館に現れることはありませんでした。彼の電話番号すら知らず不安になるアン。次に会ったら必ず気持ちを伝えようと決心するアンでした。

2013年9月1日、アンの元にあの本が返ってきました。ハッとして顔を上げると、そこにはジムと別れた元妻の姿が。彼女はジムが病気 (肝がん) で亡くなったことを伝えました。

誰も居なくなった夜の図書館で悲しみにくれるアン。図書カードに書かれたジムの名前に涙の粒が落ちました。ふとカードを手に取り裏返すと、そこにはジムの手書きのメッセージが。

「おそらくこれが最後のメッセージになるけれど、今までありがとう」 アンはふと何かに気づいたように、これまでジムが借りた本を次々と手に取りました。すると、すべての図書カードの裏に、ジムのメッセージが書かれていたのです。

初めて出会ったあの日、すでにジムはアンに気持ちを寄せていました。図書館に貼られた「お静かに!」のステッカーを気にして、ジムは言葉を発するのではなく、1冊目から図書カードに気持ちを記していたのでした。

もしもメッセージに気づいていれば・・・。ジムの笑顔を思い出し、嗚咽するアンでした。

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2020年5月20日 (水)

タイ映画鑑賞:トロピカル・マラディ

「トロピカル・マラディ」は2004年のタイのドラマ映画です。後年「ブンミおじさんの森」でカンヌ映画祭パルムドールをとることになるアピチャートポン・ウィーラセータクン監督の作品。叙情的で寓話のような語り口の本作はカンヌで審査員賞をとり、またこの年のカイエ・デュ・シネマ誌の年間ベストワンにも輝きました。

※カイエ・デュ・シネマはフランスの映画批評誌で、アメリカのハリウッド映画 (の大作) は入りにくく、フランスを中心としたヨーロッパやその他の国の作品 (どちらかというとストレートな娯楽作品よりはひねりの効いた作品) が選出されやすく、 アピチャートポン監督は常連です (本作、ブンミおじさん、光りの墓などほとんど選出)。

本作はふたつのパートに分かれています。前半はタイの地方都市で森林警備隊を務めるケンと、森近くの村に住む青年トンが、出会い、惹かれ合うストーリー。

「またゲイ!?」と思わないでもありませんが (タイ映画のゲイというかLGBT率は非常に高い)、別に美青年同士でもないわりに、二人のたたずまいは違和感なくスッと気持ちに入ってきます。

二人は無邪気というか、きっと魂で惹かれ合っているんだろうなと、そう思えるような自然な絡み具合。いや、そんなに深い描写はありません。マックスでも最後にちょっと立ちションの後トンの拳をペロペロ舐めるだけ。(不思議と「オエーッ!」とはならなかった)

前半で何か大きく物語が動くわけではありません。ケンとトンの日常が淡々と綴られていきます。画面は雑然とした街並みが多いし、感心するような仕掛けもないのですが、なぜか、見入ってしまいます。そして物語は後半へ。

後半は、森林警備隊員 (ケンの俳優) がシャーマンの霊を宿したトラを追って森をさまようストーリー。シャーマンはいろいろ姿を変えることができ、人間の姿の時はトンの俳優が演じています。ケンともみあって、ケンを急斜面から突き落としたりもします。

その後なかなか森を抜け出ることができないケン。開けた場所に出ても険しい岩だらけの涸れ川だったり、獣に食い殺された牛を見つけ恐怖を感じたり。

再び森に分け入ったケンは、猿の導きを得ます。トラはケンに殺されることにより幽幻界から抜け出ることができる、あるいは、ケンがトラに食い殺されることにより、ケンがトラの世界に入れるのだそう。

身体に泥を塗りたくり、小川の貝や魚を貪り食うケンは、そうして準備を整えると、ついにその日の夜、暗闇の先に気配を感じ銃弾を放ちました。しかしそこに倒れていたのは1頭の牛でした。

側の大樹が光を放ち (ホタル?)、抜け出た牛の魂の後を歩いてついていくと、「私を待っていろ」という声が聞こえてきました (実際は字幕のみ)。力が抜け、がっくりと膝を落とすケン。ここからのシークエンスがちょっと複雑です。

そのまま四つん這いで歩き始めたケン。鳴り響く虫の声。暗闇に浮かび上がるトラの顔。シャーマンについてのナレーション。導きの猿。一瞬時間がさかのぼりケンが森に迷い込む前の場面。そしてまた四つん這いのケン。山の遠景。銃声。

四つん這いで毛づくろいのような動作をしていたケンは、急に我に返ったようにポケットからナイフを取り出すと、ついにトラと対峙しました。ポケットから取り出したナイフを手に、ふるえながら樹上のトラを見つめるケン。

ここで語り。「そして私は自分自身を見出した。母、父、恐怖、悲しみ。それはとてもリアルで、私に命をもたらした。私がお前の魂を食らえば、私達は獣でも人間でもなくなる。呼吸を止めろ。寂しくなるよ、ソルジャー」 夜の森。暗転。

さらに語り。「化け物よ、私は肉体と魂を差し出した。そして私の記憶も」 画面はトラと人間がつながる絵。再び語り。「私の血が滴るたびに歌を歌う。幸せの歌を。お前には聞こえるか」 夜の森。虫の声。木々のざわめき。暗転し終劇。

映画の冒頭、中島敦の『山月記 (昭和17年)』の一節が引用された後、山で遺体を回収するケンたち森林警備隊、山を歩く裸の男、立ち寄った村で食事を施されケンがトンと出会うシーンなどが描かれます。

時間的には "後半→前半" と考えるのが自然でしょうか。ケンがトンに惹かれ、トンも自然に彼の気持ちを受け入れたことに合点がいきます。ストーリーがつながり、運命の環の完成を見ました。

エンドロール (キャスト紹介) もBGMは森の音 (木々のざわめきと虫の声)。この監督、森に並々ならぬこだわりがあるのでしょう、さすがのひと言です。この余韻は、"完全には理解できなかったけれど何かすごいものを観た" という感想につながりました。もう1回最初から観てみよう。

※「ブンミおじさんの森」の感想はコチラ

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2020年5月19日 (火)

タイ映画鑑賞:Ruk Jub Jai: The Movie

「Ruk Jub Jai: The Movie」は2013年のタイのミュージカル映画です。2012年にタイ国内で49公演、6万人の観客を動員した同名の大ヒットミュージカルの舞台を再現。新たに撮影したのか、舞台の記録映像の編集版なのかわかりませんが、まるで本当の舞台を見ているような迫力と臨場感です。

男性シンガーのサンは、分刻みでスケジュールをこなすショウビズ界のスーパースター。自由に外出することもままならない毎日に疲れを感じていたある日、町の食堂で盲目の女性ウィウと出会い、自分を特別視しない (自分を知らない) 彼女に心惹かれます。

サンは素性を偽り、自分はサンのスタントマンのヌイだと嘘をついたまま会瀬を重ねます。次第にウィウもヌイ (サン) のことを愛するようになりますが、ウィウの眼の手術が成功すると、ヌイはいなくなっていました。

サンは自叙伝のライターとしてウィウを指名しますが、スーパースター然としたサンの振る舞いに、ヌイは嫌悪感をいだきます。サンもなかなか本当のことを言い出せず、果たして真実は明かされ、この恋は成就するのでしょうか・・・というストーリー。

もともと舞台だからか、とにかく演者のテンションが高い、セリフが多い、そして早口。英語の字幕も1秒か2秒、目で追っていくのが大変。緩急のうち緩は2割くらいであとはずっと急のイメージ。

最後までテンションが落ちず、観終わった後はこちらもどっと疲れが出ました。ストーリーもオチはベタですが途中のプロットはけっう複雑だったし。しかし歌も踊りもすごかったです。笑いと涙、そして感動、すべてがそろったいい映画 (舞台) でした。

Ruk Jub Jai (ラック/Love, チャップ/Touch, チャイ/Heart)=Love touches heart、"愛は心に触れる/届く/響く" みたいな意味かな。

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2020年5月18日 (月)

タイ映画鑑賞:Inhuman Kiss

「Inhuman Kiss」は2019年のタイのホラー映画です。タイ (や東南アジア) に伝わる "ガスー (クラスー/Krasue)" というお化けにまつわる物語です。ガスーは、内蔵をぶら下げたまま夜な夜な飛び回り動物の生き血を吸う女性の生首 (通常若くてきれいな女性) で、同様の男性版はガハン (クラハン/Krahang) と呼ばれます。

タイでは生前に人を呪うなど多くの罪を犯した女性が死後ガスーになると言われますが、本作ではヒロインのサイが幼少期にガスーから呪いをもらってしまったことになっています。

物語は数十年前、バンコクで内乱が起きている時代のこと。サイの住む村に、幼馴染のノイが戻ってきました。彼はガスーを狙うゴーストハンター集団と一緒でした。

ゴーストハンターのボスは粗暴な男で、村長 (サイの父) は山賊のような集団に疑心暗鬼でしたが、実際、このところ村では家畜が殺される事件が頻発しており、仕方なく滞在を許可しました。

サイはノイの帰郷が嬉しくて仕方ない様子で、サイのことが好きなジャード (彼も幼馴染) は気が気ではありません。ほどなく、サイがガスーであることにノイがいち早く気づいたため、二人の距離はさらに縮まりました。

ノイは僧侶の言葉を信じ、ガスー化を抑える薬草の存在を突き止め、サイを連れて森の廃屋に行きました。そこはサイがガスーの呪いをもらう原因となった場所です。彼女たちは幼少期にそこでかくれんぼをしていたのです。

密かにサイの後をつけていたゴーストハンターのボスは、そこでガスー (サイ) の逆襲にあって仲間たちを失いました。その日の晩、サイに詰め寄りますが、薬草を食べたサイはどう見ても普通の人間でした。

ここから、なかなかの超展開になります。ボスの正体は○○。ボスの怒りを受けジャードも○○化。サイは村人の衆人環視の中、ガスー化。襲いかかるジャード。しかしとどめをさせず、代わりにボスがガスーを襲います。

そこをジャードが邪魔をして、ボスによりジャードは絶命。ガスー絶体絶命のところ、ボスに銃弾を撃ち込んだのは、例の僧侶でした。実はこの僧侶、サイを呪った末に消滅したガスーの元旦那さんだったのです。

村人によりサイの身体 (首なし) はずたずたにされていましたが、ノイは身体を川まで運び、小舟に乗ってバンコクに逃亡するつもりでした。川に来ると、サイの首 (ガスー) も追いついてきました。

一緒に行こうと涙ながらに訴えるノイ。サイの首は一瞬人間の表情に戻り、ノイに別れのキスをしました。すでに元に戻ることを諦めたサイ。その時、追いかけてきた村人の銃弾が、サイの頭を撃ち抜きました。ノイ号泣。

ラスト、情勢が落ち着いたら一緒にバンコクに行こうと指切りで約束をするサイ、ノイ、ジャードの3人 (回想シーン)。あの笑顔はもう二度と戻ってはこないのでした。

うーん、最後はなんだか感傷的にまとめられていますが、トンデモ展開が度を越していたので、個人的にはちょっと違和感しかなかったですね。水木しげる的世界観に突然ハリウッドが入ってきたみたいな。

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2020年5月17日 (日)

タイの新型コロナ (5/17)

タイは感染者増加がだいぶ抑えられていて、5月3日に規制解除第一弾として理髪店や公園が再開されたのに続いて、今日 (17日) は規制解除第二弾としてショッピングモールが営業再開しました。

待ってましたとばかりにもっと一気に人が押し寄せるのかなと思っていましたが、意外とタイ人は慎重なのか (あるいは日曜日の朝10時はまだ早かったのか)、思っていたより人は少なかったです。

ただ、モールのエントランス (入口自体数をしぼっている) でスマホによる登録、検温、また消毒噴霧器などがあるため (その後入店許可のシールを各人貼られる)、そこだけちょっと人が密集していました。

エムクオーティエに入ってみましたが、エントランスで一度チェックしているのに、モール内の各店舗でもう一度入店時に同様のチェックをするため、どこのお店も入店待ちの人が並んでいました。紀伊國屋書店に行きたかったけれどそこだけ100人くらい並んでいたので断念しました。

レストランは3日からすでに店内での食事もOKになっていますが、4人がけテーブルでも対角線に2人しか座れないこともあってか (2人がけなら1人で座るか間に透明なついたてが必要)、パッと見、客足はぜんぜん戻っていません。

ドル箱のエンタメ系店舗は第三弾で再開予定ですが (2週間後の状況による) 、こちらもそんなにあっという間に元どおりにはならないかもしれません。旅客機の受け入れ停止も6月30日まで延長されたし、経済的困難はまだまだ続きそうです。

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タイ映画鑑賞:OMG! (Oh My Ghost)

「OMG!(Oh My Ghost)」は2013年のタイのコメディ映画です。"クイーン・オブ・コメディ" こと Sudarat Butrprom と、「Bangkok Traffic (Love) Story」でコミカルな演技を披露した Cris Horwang のダブル主演。二人の容姿とサイズ感の違いがもうそれだけで面白く、ばかばかしくもハートフルなストーリーに、最後は温かい気持ちになりました。

このタイトルの映画は他にも何本かあって、2009年の「Oh My Ghosts!」で主演を努めたゴッティー・アラムボーイも印象的な、もちろん笑える役どころで出演しています。このあたり、タイ人には大いにウケたことでしょう。

テレビのオーディション番組に次々挑戦しては落選しているキティ (Sudarat)。ある日、本物の女性の髪でできたエクステをつけたところ、その日から女性の霊が見えるようになりました。

最初は怯えていたものの、話を聞いてみると、幽霊のビーは生前のボーイフレンドに会いたいのだと言います。あの手この手でボーイフレンドのコーンにコンタクトするものの、キティの幽霊話を一切信じないコーン。

なぜなら、ビーは死んでははおらず、事故にあって意識をなくしたまま病院のベッドに寝たきりになっていたのでした。今ビーは、身体と魂が離れている状態で、なんとか身体に戻る方法を考えようとしますが、手立てが見つかりません。

キティはビーのおかげで最終オーディションに進むことができましたが、一方のビーは岐路に立たされていました。次の脳外科手術が成功すれば目覚めるが、失敗はすなわち死を意味していました。

キティは最終オーディションを無事に終えると (テレビに映るという目標は果たした)、ビーに対して早く病院に行ってなんとか身体に戻れるよう何でもいいからトライしろと強く言いました。

しかしビーは、手術が成功し目覚めたとしても、90%の確率で後遺症が残ると聞いてしまったことから、これ以上コーンの人生に負担をかけたくないと、いっそこのまま目覚めない方がいいと言います。

ビーの態度にあきれ、ひとり病院に行こうとするキティ。ビーが止めても聞きません。キティを阻止しようと、ビーは思わずキティの口から体内に入ると、キティの身体を乗っ取りました。

身体の内部からビーの抵抗にあい、まともに歩けないキティでしたが、
なんとか病院に到着 (この辺の演技はクイーン・オブ・コメディの面目躍如)。そこにはコーンと、手術に失敗して心臓が止まったビーがいました。

身体を自由に動かせずジタバタするキティ。コーンは制止しようとしますが、もみ合ううちにコーンに倒れかかると、転倒した勢いでコーンの唇にキスしてしまいました。すると、ビーの魂はコーンの体内に。

キティは駆けつけた病院スタッフに引っ張り出されながら、「ビーにキスしろ!」とコーンに叫びました。半信半疑でビーにキスするコーン。果たして、ビーの心臓は再び動き出したのでした。

数ヶ月のリハビリ後、元気な姿でキティを迎えるビー。二人の友情はこれからもずっと続いていくようです。あー、面白かった。ビーがお化け (魂) なんですがとにかくオシャレでキュート。

キティも嫌味のない芸達者なコメディエンヌぶりでした。「ファーストラブ (A Little Thing Called Love)」(2010年映画) のイン先生も最高でしたが、本作もよかった。

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2020年5月16日 (土)

タイ映画鑑賞:トッツィーズ&フェイクスター

「トッツィーズ&フェイクスター」は2019年のタイのコメディ映画です。3人のゲイと1人のレズからなる仲良し4人組が、大事な仕事を控えたスター女優キャシーを怪我させてしまったことから、偽物 (スターに憧れて同じ顔に整形した屋台の女店主ナム) を使ってトラブルをクリアーしていくお話。

本当にもうコテコテのタイコメディー。あらすじを書く気にもなりません。いや、面白いんですが、さすがにコテコテのベタベタすぎて (*_*)。とにかくタイ映画には欠かせないオカマと下ネタとパロディーが満載。

冒頭の "愛しのゴースト"(これは夢) はまだしも、続いて飛行機内でのウ○コぶちまけ (しかも女子、ブツの表現はファンタジー)。これはキツそうだと覚悟を決めて最後まで観ました。

あまりにも下らないギャグ (まあ良い意味で)、ゲイの痴話喧嘩 (何を見せられているのか・・)、素っ頓狂な設定 (財産は娘ではなく飼い猫にとか)。こういうノリが最後までくり広げられます。

逆に良くこのハイテンションなノリを最後まで保てたなと、妙に感心してしまいました。さすがはコメディー映画大国です。タイ人の評価は高く、興行収入も良かったようです。

ヒットの要因のひとつは、キャシー本人とキャシーの顔を持つナム (+料金所のおばさんとソープ嬢) を演じたタイの人気女優 Araya A. Hargate の超振り切った演技でしょう。振る舞いが下品すぎるナムを全身全霊で演じていました。

この人、17歳から20年間タイのテレビや映画で活躍する人気女優で、モデルとしてはロレアル・パリのアンバサダーをやったり、カンヌ映画祭のファッションウィークではレギュラーゲストだったり、インスタグラムは970万人のフォロワーがいます。

こんなファッションクイーンが口汚い言葉や変顔を連発するので、タイ人は爆笑が止まらないんでしょう。最後、ナムは事故に遭ってしまい顔にダメージが。そのため次に選んだ顔は、これまた大女優の Taksaorn Paksukcharern (King Naresuanシリーズ等、インスタフォロワー数490万人) という徹底ぶり。

本当にお見事でした。

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2020年5月15日 (金)

タイ映画鑑賞:Nakee 2

「Nakee 2」は2018年のタイの伝奇ロマン映画です (ジャンルはこういう言い方でいいのか不安ですが)。TVシリーズ "Nakee" の続編として、映画が作られました。ラスト20分は怒涛の展開が続き、観終わっても内容が整理できなかったので、あらためてTVシリーズのあらすじを読んでみました (最終話は視聴)。

* * *
“Nakee"(TV版) はタイに伝わるナーガ (蛇神) の伝説をモチーフにした歴史ファンタジーです。出生に謎がある村の美しい娘カムゲーオは、彼女自身も気づいていない不思議な力が備わっていました。

考古学を学ぶ学生トサポンは、"ナーキー" という女神の像を発掘したことにより、 ナーガの魔力で恋に落ち、全てを捨ててカムゲーオの側にいることを誓いますが、この愛は多くの困難に見舞われます。

ナーガの生まれ変わりであるカムゲーオは、3つの魂 (美しい娘、美しい蛇の女王/守護神、恐ろしい蛇の亡霊/破壊神) を宿しており、村の多くの人々がナーキーの力を目の当たりにしたことで、恐れおののき、やがてカムゲーオへの攻撃につながっていきました。

カムゲーオはナーガの輪廻から抜け出そうとしますが、ついにカムゲーオの母親が村人のせいで亡くなると、カムゲーオは巨大なナーガに姿を変え、母殺しの首謀者を次々と殺していきました。結果、トサポンとは永遠に別れることになってしまい、トサポンは仏門に入るのでした”
* * *

さて、"Nakee 2"(映画版)。オープニングは伝説の語りから。村に伝わるナーキーの伝説は、1000年に渡るナーガとガルーダの戦いで始まります。1000年の戦いが終息する間際、殺されようとしていたナーキー (蛇女神) を救ったのは人 (男性) であるチャイヤシンでした。チャイヤシンはガルーダの軍勢と戦い、ナーキーとチャイヤシンは強い愛で結ばれました。

二人の子供は、ガルーダの罰を受けるのを防ぐためナーキーの願い通り白いウナギの姿で生まれましたが、その年、ひどい旱魃が国を襲い、そのため白いウナギが災難の元凶であると非難され、(おそらく) 殺されてしまいました。

愛し合った二人の魂は、1000年の後に生まれ変わって再び出会い、考古学者トサポンと、日蝕の日に生まれたカムゲーオとして再び愛を交わしますが、母を殺され怒りに狂い村人を殺してしまったナーキーは再び罰を受け、1000年の間その魂は眠りについたのでした (TVシリーズはここまで)。

映画の舞台は現代です。ナーキーの伝説が伝わるタイ東北部の村に赴任した若き警察署長ポンは、次々と起こる殺人事件の捜査を進めます。あまりにも異常で恐ろしい殺され方に、村人はナーキーの呪いであると恐れ、日蝕の日に生まれたソイ (スロイ/Sroi) をナーキーの生まれ変わり、つまり彼女が殺人犯と断定しました。

ソイは普段、祖母と一緒にナーキーの像がある神殿 (古刹) で花売りをしており、毎日のようにナーキーに祈りを捧げていました。実はソイも、自分の夢に死体として現れた村人がことごとく殺されたため、自身がナーキーの生まれ変わりではないかと悩んでいました。

捜査に行き詰まったポンはソイから話を聞きます。ナーキーの殺戮は母を殺された怒りから来るものであること。昔、村人のラムジアックが母をナーキーに殺され、トサポンもラムジアックを二度と愛することはなかったため、失意のうちに亡くなったこと。

※急にラムジアックの話が出てきて、ここで言うトサポンがどの時代の人なのかよくわからないのですが、きっとTVシリーズから (ラムジアックの女優さん含め) つながっているのかなと。ソイや村人の話し方から、1000年前の伝説の人という感じはしなかったのですが。。

ヒントをつかんだポンは、今は廃墟となったラムジアックの家に急行します。そこで得体の知れない巨大な何かに襲われるポン。その時、ポンの両目が金色に光ったかと思うや否や、家全体が光りの爆発に包まれました。

村人に捕獲され、火炙り寸前のソイのもとにポンが駆けつけ、犯人はラムジアックだと言いました。ポンにかまわず火をつけようとした村人を制するように、今度は謎の僧侶が出現しました。そして、すべてラムジアックの仕業だと告げるのでした。

村人の前に姿を現したラムジアック。瞬時に僧侶の前に立つと、僧侶の姿も若き日のトサポン (TV版の本人) になりました。出会うべきではなかったと後悔の言葉を口にするラムジアックに対し、これ以上誰かを傷つけるなと言うトサポン。トサポンを心の底から愛していたラムジアックは、ナーキーだけを愛したトサポンをなじりました。

場面転換。時空が変わり、トサポンはナーキー (TV版の本人) に "何があっても出ていくな (正体を晒すな)、呪いの輪廻を終わらせるんだ" と言いました。涙を流すナーキー。果たして現実世界では、ラムジアックが巨大な赤いナーガに姿を変え、トサポンを食い殺してしまうのでした。

時空の中で、ナーキーの目の前で姿を消していくトサポン。ナーキーは泣き崩れました。現実世界ではラムジアックがソイを襲います。必死に助けようとするポン。その時、白いナーガが現れました。時空を超え、ナーキーが姿を変えて出現したのです。

村人を守りながら、赤いナーガ (ラムジアック) と戦う白いナーガ (ナーキー) でしたが、形勢は不利。ナーガに向かって走り出したソイは「お母さん!」と叫ぶと白いナーガに変身し、戦いに身を投じました。

しかし、勝ったのは赤いナーガでした。人の姿に戻り涙を流し見つめ合う二人にとどめを刺そうとする赤いナーガ。そこに現れたのは、炎に包まれた巨大なガルーダでした。赤いナーガをその爪でガシリと掴むと、空の彼方に消えていきました。(ちょっと時間をおいて) ソイの身体を抱きしめるポン。すべてが終わりました。

後日、ソイとポンはナーキーの像の前で、愛を育みはじめるのでした。また別の場面では、TV版トサポンとナーキーそっくりの男女が偶然出会うシーンも。

さて、いろいろつながらないことが多いのですが、たぶん1000年前のTV版のナーキーの魂は、現代においては守護神と破壊神のふたつに分かれて転生したようです (数年あるいは十数年の時差はあったかもしれない)。

ただ、時空の中のナーキーは善悪両方の魂を宿しているわけで、意図的に守護神だけに変身できたのはなぜなのか。というか1000年の時を越えて姿を現せたのはなぜなのか。ソイの母親のことは何も語られていなかったのですが (存在自体まるで無し)、なぜソイは白いナーガを見て母だと思ったのか。

伝説ではナーキーの子供は白いウナギなので、ソイにそれを匂わせるような描写があったかと言うと、それもありませんでした。てっきりソイがナーキーの (善の心の) 生まれ変わりだと思っていたので、ナーキーの娘という設定には驚きました。

また、ポンはトサポンの生まれ変わりだと思っていたらそれも違い、どうやらガルーダの化身だったようで (はっきりとは語られていない)、ラムジアックの家で目が光るまで一切匂わせがなかったのは疑問。

しかも、もともとの伝説ではナーガとガルーダは戦う敵同士でしたから、最後にそこが結ばれたのは一体なぜなのかなと。TVシリーズの決着を無理やりつけた恰好なんでしょうか。いや、決着ついたことになるのかな。。

ナーガの造形などCGはかなりしっかりしていて、殺された村人の描写は相当過激 (肉の塊、下半身食われ内蔵露出、身体縦に真っ二つなど)、ちょっとびっくりしましたが、撮影にはかなりお金をかけた大作ということがわかります。主演二人はもちろん、TV版の二人もいい演技でした。

とても面白い作品でしたが、惜しむらくは映画版だけだとちょっとわかりにくかったことでしょうか。

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2020年5月14日 (木)

タイ映画鑑賞:Dear Galileo

「Dear Galileo」は2009年のタイのドラマ映画です。二人の女子大生がヨーロッパを旅しながら他者とふれあい、時に困難に直面し、時に自身を見つめ直し、そうしてあらためて友情を確認する物語。

大学の建築科で非凡な才能を見せるチェリーは、担当講師が不在の日に製図室に入るため、講師のサインを偽造して部屋の使用許可を取ったことから、単位の取り消しと1年間の停学処分を下されました。そうして、彼氏と喧嘩別れしたばかりの親友ヌーンとともに、チェリーはヨーロッパに旅立ちます。

この二人、ロンドン、パリ、ベニスを数ヶ月かけて旅します。画面にはそれぞれの街の雰囲気がよく出ていて、観ている自分も旅しているような気分になるのは良かった点。また、二人とも英語が上手で、ヨーロッパ人と対峙してもとくに気後れすることがないのも感心してしまいます。

難点は、旅費節約というか旅費稼ぎのため、旅先でバイトをする前提になっていること。はっきり言って不法就労です。ロンドンでは警察の手入れに慌てて店を飛び出したり、パリの地下鉄では無賃乗車を見つかり警備員からギリギリ逃げおおせたり、ベニスではレジをごまかしてお金を盗もうとしたり、危ういシーンが多数。

結果、ヌーンはベニスで逮捕され、国外退去 (タイに帰国) になりました。実はヌーンをそそのかしたのはチェリーなのですが、チェリーはパリで知り合ったイタリア人の建築家から誘われ、一人ミラノで仕事兼勉強を続けます。チェリーはそれからヌーンに連絡するのが怖くなってしまいました。

映画の中で、ヌーンはたびたび "ガリレオ占い" をします。橋の上から二人同時に石を落とし、同時に着水したら願いが叶う (または問題の回答が得られる) というもの。これは最後にチェリーがピサの斜塔の上からボールをふたつ落とすシーンにつながります。(見るからに軽そうなゴムボールでしたが本当はダメですよね、物を落としちゃ)

チェリーはヌーンがまだ怒っているか心配でガリレオ占いをしたのです。すると、ヌーンからメッセージが返ってきました。二人の友情は壊れてはいませんでした。チェリーは停学が明けるタイミングでタイに帰国しますが、空港にはヌーンが待っていてくれてめでたしめでたし、というエンディング。

これまで観てきたタイ映画とは毛色が異なるもので、なかなか新鮮でした。主演の二人もグッド。でも、不法行為はダメ。ゼッタイ。

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2020年5月13日 (水)

タイ映画鑑賞:Happy Old Year

「Happy Old Year」は2020年のタイのドラマ映画です。3月に開催された第15回大阪アジアン映画祭で、最優秀作品賞(グランプリ)を獲得しました。とてもいい映画だったので、今後日本で一般公開かDVD発売されるといいな。おおよそのあらすじは次のとおりです。

ミニマリズムを学び、スウェーデンからタイに帰国したジーンは、かつて父親が経営していた音楽教室兼自宅を改装し、自分のオフィスにしようと試みます。ミニマリストとして、過去や思い出にこだわらないジーンは、兄に手伝ってもらいながら思い切った断捨離を進めます。

家の中にあふれる物を次々とゴミ袋に放り込むジーンでしたが、友達からもらったプレゼントまで捨てているのを友達本人に見つけられ、非難をあびてしまいます。そこからジーンは、人から借りっぱなしになっていた物をすべて返していこうと決めました。

数年ぶりに物を返された友人たちの反応は様々でした。素直に喜ぶ人、嫌悪感をあらわにする人。留学を機に一切の連絡を絶った元カレのエームのカメラは郵便で送りましたが、受取り拒否で返送されたため、仕方なく直接エームの家に届けることに。

エームは快く迎え、ジーンを家に上げてくれましたが (おわびとして彼女の得意なコーンスープを作ってくれと頼んだ)、そこには恋人のミーがいました。もうすぐ二人でシンガポールに転居する予定です。しかしジーンの来訪が思わぬ展開を生むことに。

この映画、"借りたものは返しましょう"、"過去の過ちは謝りましょう" という話ではありません。ましてや、映画ポスターにあるような、彼氏と一緒に部屋を片付けながら思い出に浸る話でもありません。

過去の過ちをひと言謝ってチャラにしようなんて虫のいい話だぞ、それは自分がすっきりしたいだけだ、謝ることなくずっと過去を背負って生きていけ、人間てそういうものだろう、というお話。

他にも家族の問題もあって、けっこう重いストーリー展開なのですが、渋い色合いで抑制の効いた画面が淡々と流れていくので、エグい話の割にどこかスタイリッシュな印象も受けます。そういう意味ではとても観やすい作品でした。

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2020年5月12日 (火)

タイ映画鑑賞:Cat a Wabb

「Cat a Wabb」は2015年のタイのロマンチックコメディ映画です。インターンとしてCM制作会社に入ったメイヨーと、ハンサムな助監督モーの恋愛模様を、猫を使ったCM撮影とドタバタコメディを通じて描いた作品。

ストーリーは陳腐でキャラクターは薄っぺらく、コメディパートも (自分の感覚では) なかなか笑いにつながらず、真面目に批評すれば映画の出来としては100点満点中30点くらいかなと思います。

なので、これはただひたすら、メイヨーを演じる Pimchanok Luevisadpaibul (Baifern) を鑑賞すべき映画であり、その点においては十分及第点です。ゆるいソバージュ (毛量多め) もBaifernにしては珍しい髪型。

あとはCMに使われる猫たち。CMクライアントの日系企業社長 (ヤクザ) が、彼ご自慢の愛猫をCMに使うよう注文するのですが、どの猫も頑として演技をしないのが最高です。

爽やかイケメンのモーが裸になって相撲のまわしを締めたり突然ギターで下手な歌を歌いだしたり、また全編にゆるいギャグが散りばめられているので、タイ人の笑いのツボを知るにはいいかもしれません。

残念なのは、せっかくのコメディ映画なのに、Baifernがコメディエンヌを演じていないこと。コメディパートは周囲の面々が担っています。メイヨーはインターンのくせに最初から仕事そっちのけで、ただモーにデレているだけです。

映画中、最大の事件はヤクザの猫の逃亡。申し訳程度にモーの元カノも登場しますが、いずれもまったくハラハラすることもなく、予定調和のまま猫のCMは完成するし、二人の恋も成就した感じで終わります。

文句ばかり書きましたが、頭を空っぽにしてタイコメディを楽しみたいならアリですし、Baifernファンにはありがたい映画です。あと猫好きにも。日本人が終始小バカにされていることには目をつぶりましょう。

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2020年5月11日 (月)

タイ映画鑑賞:Back to the 90s

「Back to the 90s」は2015年のタイのSFドラマ映画です。今年20歳になるコーンが偶然20年前 (1995年) にタイムスリップしてしまい、若き日の両親 (父タム、母マム) と、父に想いを寄せていた女性ソムと出会う物語です。

タイムトラベルものなので伏線がたくさんあって、細かい部分までつじつまが合うよう良く練られた脚本です。タイの "バックトゥーザフューチャー" とはよく言ったもので、もちろん本家BTTFにくらべたら粗さはあるものの、十分に面白い作品でした。以下、ネタバレです。

タイムスリップ前 (2015年)、コーンの父タムは仕事優先で家庭を顧みるような人間ではなく、また母マムは、ソムという女性の影を20年も引きずるタムに愛想を尽かしていました。そんな両親の不仲に悩むコーン。

自宅で見つけた古いページャー (ポケベル) に導かれるように、コーンは1995年にタイムスリップしてしまいます。コーンは、タムが叔父とカセットテープショップを経営する家 (2015年現在と同じ場所) に住み込むことになりました。

若き日のタムとマムはこの時から付き合っていましたが、いつもソムの件で口論になっていました。ソムは、タムの亡くなった親友の妹で、タムにとっては妹のような存在でしたが、ソムはタムを心から愛していました。

タムの影響で自身も学生バンドを組んでいたソムは、コーンにギターを習うようになりました。マムの嫉妬を気にして、タムがコーンに頼んだのです。

最初は不満たらたらのソムでしたが、次第にコーンと仲良くなっていきました。コーンのタイムスリップの原因となった古いポケベルも、ソムがコーンに渡したものです。

ほどなく、マムはタムの子供を身籠りました。コーンは誕生日から逆算して、それが自分自身であることがわかりました。結婚と出産に反対するマムの父親に対して、タムは自身の夢であったバンドデビューをあきらめることで、結婚の承諾を得たのでした。

コーンは2015年に戻ると、タムに感謝の言葉を伝えました。ソムがその後どうなったかたずねると、ソムはタムとマムの結婚式当日にバンコクを離れ、夜行バスでチェンマイに旅立ったものの、途中でバスが事故を起こし亡くなったのだと言われました。

タムは、最後にソムが残していった彼女の歌 (タムへの想い)をカセットテープで聴くたび、亡くなったのは自分のせいだと悔やみ、20年間ずっと引きずっていました。その辛い思いを、仕事に打ち込むことで紛らわせていたのです。

コーンが急いでもう一度1995年に戻ると、それは結婚式当日でした。すでにソムはチェンマイ行きのバスターミナルに行っているはずだと聞き、スクーターに乗ってターミナルに急ぐコーン。

ソムのポケベルに「バスに乗るな、降りて僕を待て」とメッセージを入れた後、該当するバスを見つけましたが、ちょうど発車したところでした。スクーターで追いかけ、ようやく追いつくとバスを止め、車内に乗り込むと、ソムの姿はありませんでした。

ひとつ空いた座席に落ちていたソムのプリクラノートを見つけ (コーンとの写真も)、バスを降りてくれたんだとホッとするコーン。そこに、大型トラックが突っ込んできました。

気がつくとコーンは2015年に戻っていました。家に帰ると、今まで見たこともないほどラブラブな両親がいました。あっけにとられるコーンでしたが、何かが変わったことを感じ、思い切ってソムの電話番号にかけてみました。

最初は存在しない番号だと応答されましたが、市外局番を入れてかけ直してみると、今度はつながりました。そして、電話に出たのはソムその人でした。言葉に詰まってしまい、すぐに電話は切られてしまいましたが、心の底から安堵するコーンでした。終劇。

映画の中では20年の時差を示す小ネタがたくさん出てきます。パソコンはWindows95、ネット接続は64kbps、Googleはまだなく、プリクラ (1995年発売) やたまごっち (実際は1996年発売) も登場。コーンが使う2015年の若者言葉はたまに理解されません。

また、1995年ぽい音楽がふんだんに流れていて、音楽映画としても楽しいです。若きタムがオルタナティブロック好きという設定で、"Smells like teen spirit" のイントロみたいなBGMが出てきたり、レッチリのスラップベースっぽいBGMがあったり、演奏シーンもたくさん。

ソム役のBaifernはバンドのボーカルとして上手な歌を披露しているのですが、後年、"フレンドゾーン" では音痴として下手なカラオケを歌っているので、それもパロディとしてつながっているのかなと思ったり。

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2020年5月10日 (日)

タイ映画鑑賞:May Who?

「May Who?」は2015年のタイのロマンチックコメディ映画です。スクールカーストの底辺を自認するポンは、憧れの女生徒ミンを主人公にマンガを描き続けていましたが、ある日宿題と間違ってマンガのノートを提出してしまい、ミンとクラスの全員に知られ呆れられてしまいました (たまたまミンのパンチラを描いていたので)。

マンガノートを教員室からクラスに持ち帰ったのは、クラスでもっとも地味で目立たない女生徒メイナイでした (ノートに名前がなかったのでとりあえずミンに渡した)。ポンはメイナイに抗議しますが、謎の電撃を受けて吹き飛ばされます。

実はメイナイは、心拍数が上がると高電圧を放電する特殊な体質の持ち主でした。運動負荷をかけたりびっくりしたり異性にドキドキすると勝手に発動してしまい、今までそうして電撃トラブルを起こすたびに転校を繰り返していたのでした。

メイナイは学校一の人気者フェームに密かに想いを寄せていますが、彼に近づくことはおろか、毎日息を潜めるように学校生活を送っていました。ポンと同じくどのスクールカーストにも属せないメイナイに、ポンは秘密を口外しないと約束し、二人は友達になりました。

ちなみにメイはタイ女性の名前としてはごくありふれたもので、メイ・ナイ? (May who?/どのメイ?) と聞くのがパターンになっていて、地味で存在感が薄い (存在感を消している) メイナイの設定上の名前の由来になっています。

実はフェームもメイナイのことは気になっていたようで、直々にクラス対抗リレーのランナーにスカウトし、二人は練習を通じ徐々に距離を縮めていきますが、リレーで金属製のバトンを受け取るたびドキドキしてしまうため、彼に電撃を知られるのが怖く、メイナイはあと一歩が踏み出せません。

一方、ポンが描いたミンのマンガノート24冊をぜんぶ読んだメイナイは、これはミンに見せるべきだと言い、必ずミンはふり向いてくれると後押ししましたが、結果は惨敗。(ミンはマンガそのものは好きだと言ってくれました)

リレーの練習中に大雨が降り出し、屋根下のスタンドでいい雰囲気になりかけたメイナイとフェームでしたが、二人の足元に雨水が流れてきたため、ドキドキしたメイナイの電撃を受けフェームは失神、ショックのあまりメイナイは家に引きこもってしまいました。

部屋から出てこないメイナイを両親も心配していましたが、ポンはメイナイの部屋の前で彼女を主人公にしたマンガを描き続け、愛があれば何でも乗り越えられる、メイナイは無事にフェームと結ばれるとエールを送りました。

メイナイは部屋から出てポンに感謝し、ようやく笑顔が戻りました。そしてこの日以降、ポンのマンガの主人公もメイナイに変わりました。この後、学校のチアリーダー (スクールカースト上位) とメイナイの間でひと悶着あり、これをきっかけにメイナイはフェームに自身の秘密を告白します。

リレー大会決勝当日、電撃のことを理解してくれたフェームに、優勝したら彼女になるという約束を一度はしたメイナイでしたが、気持ちはゆれているようでした。そこに、マンガノートを手にグラウンドに現れたポン。フェームに、メイナイをかけて勝負だと勝手に宣言し、フェームと一緒に走り出しました。

「マンガの続きを読みたくないか!?」と叫びながらフェームのはるか後方を走るポンに、メイナイは思わずドキドキしてしまいました。フェームから最終走者としてバトンを受け取る時、思わず電撃が出てしまいましたが、これはフェームに対するものではなく、ポンに対する気持ちでした。

圧倒的な差でゴール寸前だったメイナイに、優勝なんかするなと叫ぶポン。メイナイは一瞬迷いましたが、結局、1着でゴールテープを切りました。フェームはメイナイに、自分の気持ちに素直になればいいと優しく言い、そうして最後にメイナイが選んだのはポンでした。

感想。すごく面白かったです。こういうのでいいんだよな、学園ラブコメはこういう奇天烈な設定がいいんだよなと、あらためて思いました。随所に挟み込まれるアニメ (ポンのマンガのアニメ化) とそれに合わせたポップな音楽もいい。スクールカーストの各グループの描写もコミカルでした。

誰も不幸にならないし、安心して笑える、そしてちゃんと感動する作品。なかなかの秀作でした。

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2020年5月 9日 (土)

タイ映画鑑賞:ブラザーオブザイヤー

「ブラザー・オブ・ザ・イヤー」は2018年のタイのドラマ映画です。日本留学から帰ってきた才色兼備な妹と、同居する人生負け組の兄との家族ドラマ。妹ジェーンの結婚をなんとか邪魔しようとする兄チャット。妹の婚約者モジを巻き込みコメディータッチでストーリーが進んでいきます。(あらすじ→Wikipedia)

タイではこの年大ヒットを飛ばした作品です。主演もいい役者を揃えています。なのに、自分にはあまり響かなかったかなあ。ジェーンが帰国後に就職した日系企業の面接担当官モジとすぐに結婚の約束をしたのもちょっと安易だし、チャットがぜんぜん良い意味ではなく本当にダメな兄なので、なかなか感情移入できませんでした。

実はチャットがどれほどジェーンのことを大切に思っているかとか、学校の成績ではぜんぜんジェーンに勝てなかったチャットも社会に出たらこんなに活躍しているんだとか、一念発起してダメ男を脱却したとか、そういう描写もなし。"I Fine Thank You Love You" や "フリーランス" でナイスガイを演じてきた Sunny Suwanmethanont にしては珍しい役柄。

ジェーンの結婚式もすっぽかしたチャットが、モジと一緒に日本で暮らすジェーンにようやく会いに行ったのは、ジェーンに二人目の子供が生まれた時でした。チャットはジェーンの長男に、「妹は大切にしろよ」と言い、それを聞いたジェーンは今も変わらぬ優しい兄の気持ちを知るのでした。

残念だったのはジェーンの表情が終始曇っていたこと。父親代わりでもあったチャットが交際から結婚まで一度も賛成してくれないまま日本に嫁いで行きましたから、ストーリー上、ジェーンもそういう表情にならざるを得ません。

ラストシーンで、昔二人でやっていたキャッチボールを楽しそうにしていたのが一番の笑顔でしたが、せっかくの美人さんなのにちょっともったいなかったですね。映画のヒットはストーリーよりもジェーンを演じた Urassaya Sperbund (Yaya) とSunnyの人気のおかげかなと思ったり。

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2020年5月 8日 (金)

タイ映画鑑賞:フレンドゾーン

「フレンドゾーン」は2019年のタイのロマンチック・コメディ映画です。親友同士の男女 (パームとギン) が10年間の "フレンドゾーン" を経て、最後はどうなるのか、果たして友達以上恋人未満という関係に変化は訪れるのかという物語です。

7年間付き合った高校の同級生ルイスと別れたギンは (原因はルイスの浮気)、その後、音楽プロデューサーのテッドと付き合っています。高校以来、パームはずっとギンのベストフレンドでしたが、ギンへの複雑な想いもあって、自分の恋愛はいつもうまくいきませんでした。

テッドの子を妊娠したかもしれないと、マレーシアからパームに電話をかけ、すぐ来てくれと無茶を言うギン。兆候があったため妊娠テストキットを買ったものの、一人でする勇気がなくパームを呼び出したのですが、ミャンマーで彼女とデート中だったパームもデートを中断しマレーシアに駆けつけます。

テストキットを持ってトイレに入ったギンを心配してドアに聞き耳を立て、さらにおしっこが出ないと言うギンにドアの外から「シー、シー」と声をかけるパームもどうかと思いますが、チョロチョロいうリアルな効果音を入れた制作陣もまあいかがなものかと思ったりします (笑)。

密かに片想いしている女性から妊娠テストを見守ってくれと言われた男性の気持ちはけっこう辛いものがあるだろうと思いつつ、恋人よりも信頼を置いてくれていることは確かなんでしょう。複雑だけれどうれしい気持ちもあるに違いありません。

CM楽曲制作のためアジアの国々を飛び回っているテッドが浮気しているであろう数々の痕跡が見つかると、現場を抑えるためギンは香港に飛びます。空港で彼女を見つけたパームも急遽同行することに (タイ航空のキャビンアテンダントなので無理がきくらしい)。

結局、香港では決定的な証拠を得てしまい、傷心のギンはタイ南部のクラビに旅行し、遅れてパームも合流します。つかの間の楽しい時間を過ごす二人。途中で猿に襲われ、怖くてちびりそうになったギンは林に入って用を足そうとしますが、つい大きい方も出てしまいます。紙を持っていなかったため、仕方なく自分のTシャツを脱いで渡すパーム。

下手をするとお下劣な笑いになってしまうであろうギンのトイレ描写ですが、ギンのサバサバ系の立ち居振る舞いと透明感あふれる笑顔 (そして泣き顔) から、この点はぜんぜんマイナスになっていません。むしろギンへの愛着がわくし、こんなことでパームもギンのことを嫌いになったりしないだろうとはっきりわかります。

その日の夜、激しい口論になり本音を吐き出したパーム。ギンもテッドとちゃんと別れてからパームと付き合うことを宣言しました。しかしテッドに詰め寄ると、何の言い訳もせず素直に浮気を告白し、もう一度やり直したいと言われ、情にほだされるギン。

待ち合わせのミャンマーのお寺で、ギンから期待した答えがなかったことに失望し離れていくパーム。さて、物語の結末は。。

最初から最後までギンに翻弄されるパーム。かわいそうだけれど終始笑ってしまいました。惚れた弱みですね。そしてどんな行動をしても可愛げがあるギン。憎めません。結局はパームを一番頼っているのもわかるし。

ストーリーの語り方もひとひねりあって面白かったです。最後のギンの照れた感じも最高でした。タイ映画、本当に面白いです。とくにラブコメ系はうまいですね。

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2020年5月 7日 (木)

タイ映画鑑賞:ファーストラブ

「ファーストラブ (A Little Thing Called Love)」は2010年のタイのロマンチック・コメディ映画です。中高一貫校を舞台に、中等部1年のナムが高等部1年の心優しきイケメン、ショーンに3年間片想いをする物語。

特筆すべきはナムの容姿の変化です。ナムは色黒、メガネ、学校指定のダサいおかっぱ頭と、学校ではイケてない女子4人組の1人として登場します。見た目は本当にダサい。甘いマスクと穏やかな性格で学校一の人気を誇るショーンとはどう考えても釣り合いが取れません。

これはきっとナムが恋心をエネルギーに自身を成長させていく物語だな、結ばれることはまずないなと勝手に思いながら観ていましたが、2年生になって英語演劇部の白雪姫に抜擢されたところから突然、印象が変わってきました。ちなみに抜擢の理由は容姿ではなく英語力。

メガネを外し、軽くお化粧をして、髪型や服装を変えるだけでこんなにきれいになるのかと驚くほど、ナムの変化は劇的でした。さらにひょんなことから学校のマーチングバンドの先頭を務めることになり、ひたむきにバトンの練習に明け暮れる姿は美少女そのもの。

途中で転校してきたショーンの幼馴染で親友のトップはナムに一目惚れしてすぐ告白しました。ナムははっきり返事をしないまま、彼らのイケてるグループに入って一緒に遊ぶようになりましたが、ナムの目の先にはいつもショーンがいました。

ショーンとトップは以前の経験からけっして同じ人を好きにならないと誓いあっていたことから、ナムがはっきりトップに断りを入れた後も、実はショーンもナムのことが気になっていたのに、気持ちを伝えることはありませんでした。

モテモテになったナムはイケてないグループの3人とはしばらくギクシャクしていましたが (3人から拒否されていた)、後に和解。中等部卒業式の日に、3人の後押しを受けついにショーンに告白することに。

しかしショーンの答えはノー。1週間前にピンの告白を受け入れてしまったとのことでした (ナムに白雪姫のお化粧をしてくれたピンは性格も良くイケてるグループの一員でナムとも仲が良かった)。ショックは大きく、なぜもっと早く告白しなかったのかと後悔し泣き崩れるナムでした。

以前、アメリカに単身赴任中の父親から言われた、クラスで成績トップをとったらアメリカに越してきても良いという約束を目標に勉強に励んできたナムは、ついに一番の成績となり、その後アメリカに渡っていきました (たぶん高校からずっとアメリカ)。

そして9年後、アメリカで若きデザイナーとして雑誌に取り上げられたナムは、タイに戻った際、テレビ番組に呼ばれました。24歳になった (という設定の) ナム、さらにきれいになっています。タイで自身のブランドを立ち上げたいと語るナムに、インタビュアーが1冊のアルバムを見せました。

それはショーンが学生時代に3年間撮りためたナムの写真をまとめたものでした。ショーンが卒業式の後に、ナムの家にそっと置いていったものです。そしてインタビュアーが声を上げました。「さあ、このアルバムを作った人の登場です!」 突然のことに驚くナム。

インタビュアーにうながされ、ナムはショーンにもう結婚しているのかとたずねました。すると、アメリカに行ってしまった女性をずっと待っていた (結婚はしていない)、と答えるショーン。こみ上げる涙を抑えきれないナム。そのまま映画は幕を閉じます。

いやあ、面白かった。いい映画でした。途中は切なさの涙が、最後は爽やかな涙が流れました。Pimchanok Luevisadpaibu (Baifern) 演じるナムの、まるで蝶の羽化のような変化がすごかったです。英語教師のイン先生も最高。

しかしマリオ・マウラー (ショーン役) ほど心優しきイケメンの役が似合う役者はいませんね。ミウの歌、ファーストラブ、愛しのゴーストの3本を観ましたが、どれもはまり役でした。3本とも傑作です。

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2020年5月 6日 (水)

タイ映画鑑賞:タイの怪しい彼女

「突然20歳、タイの怪しい彼女 (Suddenly 20)」し2016年のタイのコメディ映画です。韓国版「怪しい彼女」のリメイク作品。日本、中国、ベトナム、インドネシアでもリメイクされたので、合計6ヶ国の怪しい彼女があるわけです。

タイは人気と実力を兼ね備えたトップスター、ダビカ・ホーンをヒロインに起用。タイでも随一の美貌を誇る彼女が、54年たったらこんなクソババアになるのかとけっこうな違和感はあるものの、彼女の変顔やババ臭い演技は特筆モノ。ストーリー自体は折り紙付きですから、面白くないわけがありません。

彼女の歌う姿も美しかったです。最初に歌うのは "ここに幸あり"。もちろんタイ語版。あらためて、いい曲ですね。タイ人もこれが日本の曲だとは知らないかも。その後もいろいろ歌うシーンはありますが、設定上オールドスクール (懐メロ) なのでどの歌も耳に心地よく、本作の大きな魅力のひとつになっています。

ロマンス要素もほどほどにあります。なので最後は、当然そういう選択をするんだろうなとは思いつつ、もしここで自分自身の道を選んでいたらと、別の未来を想像したくもなりました。ラストシーンのオチもなかなか洒落が効いています。あー、面白かった。

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カヌレ@Entree Coffee

シーロムの "Entree Coffee" でカヌレを買ってきました。普段はすぐに売り切れてしまうほど評判の一品だそうです。外側はカリッとしていてほろ苦く、中はネットリ食感で卵の風味と優しい甘さが良かったです。美味しかったけれど、カロリーは高そうだな。

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2020年5月 5日 (火)

タイ映画鑑賞:夏休み ハートはドキドキ!

「夏休み ハートはドキドキ!(Hormones)」は2008年のタイのロマンティック・コメディ映画です。高校生・大学生の夏休みの恋模様を4つの物語りで描いていますが、それぞれ独立したストーリーです。当時のフレッシュなヤングスターがたくさん出ている感じで、観ていて微笑ましかったです。ちなみにセクシー担当は蒼井そら。

・競争する恋
プーとマイはチェンマイのモテモテ高校生 (中学生?)。夏休みにバンコクから帰省したナナを巡って、どちらが先に電話番号を教えてもらうか競争をする。デートシーンあり、水着ありで、圧倒的にナナ (Pattie: Ungsumalynn Sirapatsakmetha、17才) が光り輝いています。この翌年に出た Bangkok Traffic (Love) Story でも小悪魔的な魅力が爆発していました。プー役はフェーンチャンで主人公ジアップを演じたCharlie Trairat。立派になって。

・歌手との恋
オーレックは台湾の歌手ティティーに憧れていて、バンコクで行われるライブを楽しみにしながら、中国語の勉強に励む毎日。しかし直前にライブは中止になり、失意のオーレックは彼の曲に乗せて、勉強した中国語を歌うビデオを作りティティーに送る。その後、家族で墓参りに出かけた先で奇跡の出会いが。オーレック (Focus Jirakul) がけなげで、観ているこちらもつい応援してしまいました。フェーンチャンの子役ノイナーが立派に育ったなあとしみじみ (10才→15才)。

・浮気の恋
ハーンは恋人ヌアンに会うためタイ南部のトランに出かけたが、列車の中で憧れの女優アオイ(蒼井そら)と出会う。アオイはパンガン島で開かれるフルムーンパーティーに一緒に行こうとハーンを誘い、ハーンはそれについていったが、ヌアンにばれてしまい別れを切り出される。タイ映画の蒼井そら、2本目です (もう1本はI Fine Thank You Love You)。

・片想いの恋
同級生のイケてる女の子シーに果敢にアタックするジョー。一度きつい言葉でふられてしまったジョーだったが、彼女の誕生日に一晩かけて学校の掲示板にシーへの大きな誕生祝いメッセージを残そうとする。ジョーの友達役はフェーンチャンでガキ大将ジャックを演じたChaleumpol Tikumpornteerawong。いろんな映画に引っ張りだこ。

どのストーリーもほろ苦さはあるものの、最後はちょっとハッピーな感じで終わっているのがよかったです。タイ語の原題は邦題とほぼ同じですが、なぜ英語の題名がホルモンなんだろう。。

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2020年5月 4日 (月)

タイ映画鑑賞:フリーランス

「フリーランス (Heart Attack)」は2015年のタイのドラマ映画です。仕事をこなすために数夜にわたる徹夜も厭わないフリーランスが、激務のために発疹を発症し、その診察のために通った病院の医師に密かに恋をする物語。

ユーン
写真加工を得意とするフリーランスのグラフィックデザイナー 、仕事の虫、徹夜は5日まで可能、趣味なし、彼女なし、友人なし、土日関係なし、ご馳走はセブンイレブンの海老シュウマイ、電話の着信はほぼジェーのみ。

ジェー
広告代理店の女性マネージャー、ユーンの腕を信頼しもう何年も仕事を発注、ただしスケジュール管理は厳しく、ユーンが納期を守れそうにないとすぐさま代わりを探し出す、途中で結婚し退職。

イム
徹夜続きで体中に発疹ができたユーンが駆け込んだ公立病院の若い女医、ユーンを1ヶ月に1度診察、ユーンには友人として生活改善を諭す。

最初は、映画ポスターから想像して、ユーンが心臓発作 (Heart Attack) で倒れ入院した先でイム女医と恋に落ちるのかなと思っていたのですが、観ていて段々、そういうことではないんだなとわかってきました。

イムは重要な役柄ではあるものの、登場時間そのものは短かく (診察は1ヶ月に1度)、心の交流もなかなか進みません。一度、自身の診断ミスから患者になじられ落ち込んだイムを、ユーンが診察後に励ますというやりとりはありましたが。

逆に、長年に渡るビジネスパートナーであるジェーとの関係描写はとても丁寧。もしかしてこっちが友情以上に変わるのかなと思っていたら、途中でジェーは彼氏のプロポーズを受けてしまいました。もともと彼氏がいたことはユーンも知っていましたが、結婚を決めたことには驚いた様子。

さらに妊娠したから仕事も辞めると聞いて、すねたような態度のユーン。ずっと一緒にやっていくと言ったのにと、少し言葉を荒げてしまいました。後任には伝えるから仕事は心配しないでと言うジェー。しかしどんなに優秀な人だってジェーの変わりにはならないんだと悲しそうに吐き捨てるユーン。

謝るジェーに対して、謝るのは自分の方だと言うユーン。いつかこんな日が来ることはわかっていたけれど、自分はうまく対処できると思っていたのに、実際には感情的になってしまったと。そしてひとつお願いをします。仕事でなくても時々は電話してほしいと。

その晩、彼氏との写真をもっと見栄え良くしてくれというジェーの注文どおり、ニキビを消したり胸を少し大きくしたりしていた際、ユーンはジェーが彼氏からプロポーズされた時の動画を見つけました。彼氏がプロポーズした瞬間、「ここで泣いたりしたら蹴ってやるからな」とつぶやくユーン。

しかし動画の中のジェーは、「ごめんなさい、泣かなくて」と言いながらプロポーズを受け入れ (冷静だけれど嬉しそうではある)、 逆にユーンは自然と涙がこぼれるのでした。たぶん、失恋という感情ではなく、ジェーが幸せになったのが本当に嬉しかったか、でもちょっと寂しかったか。

それからユーンは完全に失業状態。しかしリラックスした日々を送ることで、発疹もすっかり癒えました。治ったということはもうイムには会えないということなので、ユーンは最後の診察ではちょっと複雑な心境から、イムが完治おめでとうと差し出した握手を拒んでしまいました。

その後ユーンは、業界では悪評が絶えないペンの無茶な発注を引き受け、徹夜が続きまた身体中に発疹ができましたが、それでもなんとか納期を守ろうと無理をして、ついに徹夜12日目に心臓発作で倒れてしまいました。

ユーンは遠のく意識の中で、自分の葬式をイメージしていました。来てくれるのはジェー、馴染みのコンビニ店員ガイ、ポンサトーン (最近彼の身内の葬式に行った)、母親の4人だけ。イムが来てくれるかはわからないけれど、握手しなかったことを謝りたいなとつぶやきました。友人としてもっと話をしたかったとも。

ユーンは締め切りの催促に来たペンに発見され、気がつくと病院のベッドで寝ていました。ペンはあと2枚なんだからここで仕事を完了しろとユーンに迫り、ベッドの上にパソコンをセットしましたが、ユーンはそれを断りました (ペンは悪態をついて出ていったそう)。

お見舞いに来たジェーは、仕事は探してあげるから心配するなと言い、二度と無茶はするなと優しく告げました。まだユーンのベストフレンドでいたいから、と。ちなみに入院のパートにイムは一切出てきません。病院も違ってそう。

退院後しばらくして、ユーンはもう一度イムに会うため病院を訪れました。イムはユーンのことをただの患者の一人ではなく、友人として接していたと言いました。だから握手を拒否されて悲しかったし、病気が治ったからもう二度と会えないと思っていたと。

ユーンは、イムの勧めに従ってビーチに行ったこと、何時間もビーチに座って時間の無駄だと思ったけれど、いつもより呼吸が楽で何か幸せな気持ちになったことを伝えに来たんだと言いました。その気持ちはここで診察を受けていた時も同じだったことも。

そう言ってからユーンが手を差し出すと、二人はしっかり握手をするのでした。しかしユーンの手には12日間の徹夜により再び現れた発疹が。イムは1ヶ月後の予約票を渡しながら、「1ヶ月後に会えないことを祈ります (病気が治っていたら来なくて良いので)」と笑いながら言いました。こちらも笑顔で出ていくユーン。

そうして映画は終わるのですが、うーん、これはちょっとパッケージ詐欺? 関係性と登場シーンでいえばジェーの方がはるかに濃厚だし、イムはヒロインというよりピンポイントでユーンの心の支えになっているマドンナ的役回りです。よく言ってダブルヒロインですね、ジェーとイムの。

映画のテーマは、仕事人間だったユーンが徐々に他人との関係性に目覚めるということなのかなと。同じく仕事人間だったジェーが、結婚という新しい世界も悪くないとユーンに言ったシーンは、じんと来ました。たぶん二人は似た者同士すぎて、恋愛関係にはなり得なかったんでしょうね。

ジェーによって考え方が少しずつ改まり、イムによって新たな世界 (恋愛というユーンにとって未知の領域) に一歩踏み出すユーン。ちょっとまどろっこしいくらいですが、そうした心の変化を丁寧に描いていて、とても良くできた人間ドラマだと思いました。

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2020年5月 2日 (土)

タイ映画鑑賞:App War

「App War」は2018年のタイのドラマ映画です。青年起業家によるアプリ開発の舞台裏を描くドラマパートと、ライバルを蹴落とすためのスパイ大作戦的なコメディパート、仕事上はライバルだけれどプライベートでは恋人同士という二人のロマンスパート、最後はコンペのプレゼンで決着をつける (投資家から開発資金を得る) というスポ根的なパートがあって、合間合間でサバゲーなんかも入るものですから、2時間10分と長めの尺にもかかわらず、ストーリーとテンポの良さから最後まであっという間でした。

映画を含めタイのエンタメ業界は美男美女がたくさんいます。とくに欧米とのハーフの俳優は男女ともに人気が高いです。この映画、そういう意味では主人公の二人はわりと普通の容姿。物語のキャラを反映して、主人公は自分の世界観にこだわりを持つオタク青年風、ヒロインは起業を成功させるためなら汚い手も使う勝ち気な性格がにじみ出ている顔つきです。

他の主要登場人物もみんな濃い感じのキャラで、彼らだけ見ていると胃もたれを起こしそうですが、ちゃんと可愛い系の担当もいるので (BNK48, Orn/オーン)、絵面もバランスがとれています。みんなはまり役に見えますから、この映画の凄さはキャスティングがちゃんとしているということなのかもしれません (当たり前のことなのかもしれませんが)。

最後はどうなるかいろいろ考えながら観ていましたが、予想はみんなはずれました。素直に結ばれればいいのに、タイ映画ってだいたい最後にひと悶着あって別れ、時間をおいて再会、希望を予感させるラストシーンで暗転みたいなパターンが多いかもしれません。総じて大変面白い作品でしたが、この最後のひと捻りは何なんでしょうね。

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ガパオライス@コンビニ

セブンイレブン:豚 (40バーツ/140円)
バジルの香り弱い、旨辛い、ナンプラーとニンニク強め、グリーンカレーの風味も (コブミカンの葉が入っていた)、お米美味しい
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ファミリーマート:
鶏+卵 (45バーツ/158円)
バシルの香り弱い、甘酸っぱ辛い、ニンニク強め、味濃いめ、かなり辛い、卵普通、お米普通
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ファミリーマート:豚 (40バーツ/140円)
バシルの香り弱い、甘辛い、ニンニク強め、かなり辛い、お米普通
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ローソン:豚 (39バーツ/137円)
バジル大量で香りも強い (写真では見えないが10枚以上重なっている、色もフレッシュ)、旨辛い、ナンプラーとニンニク強め、お米美味しい
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個人的評価
お肉:ファミマ豚>セブン豚>ローソン豚>ファミマ鶏
バジル:ローソン>その他
お米:セブン>ローソン>ファミマ

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2020年5月 1日 (金)

ガパオライス@Pak Bakery

以前、カオソーイを食べに来たアソークのレストラン "Pak Bakery"(→コチラ) で、ガパオライスをテイクアウトしました。バジルは効いていたものの、豚肉のカットもそうですが、味付けも中華っぽい感じがして、美味しいですが、よくあるガパオライスとは少しイメージが異なりました。

味は良いです。お米もタイ米だとは思いますが、少しモチモチ感のある品種なのかなと。日本人にもあまり違和感がないというか。自分はこういうお米も好きですし、もっとサラッとして香ばしい香りのするタイ米も好きです。

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タイ映画鑑賞:ザ・プール

「ザ・プール 」は2018年のタイのシチュエーションスリラー映画です。深さ6メートルのプールの底に取り残された男が脱出を試みますが、ただでさえ絶望的な状況の中、さらに不運に見舞われるお話。普段あまりこういう映画は観ないのですが、時間もあるしせっかくなので観てみることに。

主人公デイはクライアントの依頼により、使われなくなった飛び込み競技用の深くて大きいプールをアレンジしました。水を張り底にソファーを沈め、水中でドレスの女性がくつろぐ映像を撮るCM撮影クルー。撮影は順調に終わりました。翌日、撤収作業のため相棒と一緒にプールに来たデイ。

相棒はこの後海外に行くため、操作室で水栓を開けると、プールに空気マットを浮かべ寝そべっているデイにそのことを伝えました。最後にデイは相棒にピザのデリバリーを頼み、そのまま水上でうたた寝、ハッと目を覚ますと、水位は下がりすでによじ登ることはできなくなっていました。

ここからデイの身に降りかかる不運:

・プールサイドのスマホに着信あり。振動で落下しそう。キャッチしようと待ち構えていたその時、相棒が鎖につないでいったデイの愛犬ラッキーがプールに落ちそうになりました。あわてて対岸に泳いでいきラッキーを押し上げるデイ。結局スマホは水没、操作不能に。

・プールの底の排水口 (マンホール大) にタオルをあてて水位の低下速度を遅らせることにしたデイ。水中に潜って作業をしている最中、ピザのデリバリーがありました。気配に気づき上がろうとするデイ。しかし腰につけていたチェーンが排水口の蓋にひっかかりジタバタ。配達員はピザを置くと行ってしまいました。

・あきらめてマットに寝そべり考え事 (うたた寝) をするデイ。そこに彼女コイが現れました。コイは水上で寝ているデイを驚かそうと、飛び込み台からジャンプするつもりです。勢いよく飛び込もうと走り出したその時、ラッキーの吠え声で目を覚ましたデイは「やめろ、来るな!」と叫び、その声に驚いたコイは台で足を滑らせ、後頭部を強打しつつプールに落下しました。

・意識のないコイを抱え、さらに、動物園から逃げ出したワニがプールにやって来ました。ワニはラッキーの吠え声に驚き、足を滑らせプールに落下。この後デイはワニの恐怖にも耐えなければならなくなりました。しかしワニが生んだ卵を盗み食べることにも成功。栄養補給で命拾い。それを知ったワニはもちろん激おこ。復讐心メラメラ

・偶然ワイヤーが垂れ下がってきて、なんとかつかまり上まで行けそうでしたが、鉄条網のため手は血だらけになり、結局あと少しのところでワイヤーは支えを失いデイは底に落下、全身を強打しました。そして激痛で目を覚ますとワニが足に噛み付いていました。

・排水口から下水管を移動し、新たな出口を見つけたと思ったら隣のプールでした (同じく深さ6メートル)。その時、元のプールにドローンを落とした二人組がやって来ました。二人に見つけてもらうことはできませんでしたが、ドローンを拾うため下ろしたはしごをそのままにして帰った二人組。

・元のプールに戻り、はしごに駆け寄ろうとしたデイのその前に、怒りに燃えたワニが立ちはだかりました。格闘に時間をとられるうち、降り出した大雨によって、はしごはガラガラと引き上げられてしまったのでした (はしごを紐でつないでいた土管の山がくずれてしまった)。

この後なんとか上に上り (ラッキー殉職、ひどいよこのアイデア) 、地下の小部屋で溺れたコイもなんとか蘇生し、一応映画はめでたしめでたしで幕を閉じたのでした。いやここは全滅しないと!なんて思った自分はB級映画を観過ぎなのかも。。

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