2009年8月22日 (土)

娯楽が貧困を救う⁉

「テレビ普及で人口抑制」 インドの新政策が物議 [2009.08.22 CNN]

貧しい農村に電気を引き、夫婦が夜遅くまでテレビを楽しむようになれば、子どもをつくる時間がなくなって人口増加を抑えることができる――。人口問題を抱えるインドで、世界人口デーの先月11日、アザド保健・家族福祉相がこんな政策を打ち出した。「わかりやすく、効果が期待できる」「いや、ばかげている」と、賛否両論が巻き起こっている。

オマル・モハメドさんは、国内で最も人口の多いウッタルプラデシュ州に住む80代の男性。「人口抑制策など聞いたことがない」と語るオマルさんには、男13人、女11人と計24人の子どもがいる。「これは私の意志ではなく、神様のおぼしめしだ」と、信じて疑わない。

一方、首都ニューデリーに住む2児の母、アンジャナ・アロラさんは「水も電気も不足しているのだから、子どもは2人までにしておくべき」という意見だ。9年前に生まれたアロラさんの娘は、「インドで10億人目の赤ちゃん」と認定された。国が直面する人口問題の一端を実感したとの思いがある。

国連の統計によれば、インドの人口は世界2位。今後50年以内に、首位の中国を追い越す見通しだ。現在でも、世界の貧困人口の50%が同国に集中しているとされ、人口抑制策は政府の急務となっている。家族計画指導や避妊具の無料配布を試みた結果、国内35州のうち14州で、「一家につき子ども2人」の目標が達成された。しかし残る地域、特に貧しい農村などでは、依然として一夫婦間の子ども数が平均3.5人にも上っている。

同国で人口問題に取り組む「インド人口基金」の代表者、A.R.ナンダさんは、テレビ普及で子どもの数を抑える案に「高い効果」を期待する。「国民にはっきりとしたわかりやすいメッセージを送り、合理的な考え方を促すことができる」と考えるからだ。「テレビが子作りを抑制した例はすでにいくつか報告されている」と、ナンダさんは指摘する。イタリアの性科学者が06年に実施した研究では、寝室にテレビを置いている夫婦はほかのカップルに比べ、セックスの頻度が約半分にとどまることが分かったという。

一方、アロラさんは、この案を「ばかげたこと」と一蹴。「国民の考え方を変える方法は、教育しかない」と主張する。オマルさんもまた、「テレビで華やかな世界を見た後は、もっと子どもをつくろうという気分になるんじゃないか」と反論している。

………こんなことを言うとあれですけど、このアイデア、あながち間違ってはいないと思います。エチオピアの田舎を何十回とまわって、自分もまったく同じことを考えました。まずはパイロットプロジェクトでも始めてみたらいいのに。

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2009年3月28日 (土)

インドのレトルトカレー

リヤドのスーパーマーケットでインド製のレトルトカレーが並んでいたので、珍しくて衝動買いしてしまいました。豆のカレーにほうれん草とカッテージチーズのカレー。ともに7.5リヤル (200円)。でもマラズレストランでベジタブルカレーのセット (写真2) が6リヤルだから、なんだかちょっと高級品て感じ。味はなかなか本格的でおいしかったです。というか本場中の本場の製品ですからね、おいしくなかったらがっかりです。10種類以上あったのですが、全部試すことができないのがやや心残り。

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2009年3月19日 (木)

おおらか?

バトハの代理店でフィリピン人スタッフと話をしていた時のこと。彼はもう20年リヤドに住んでいて、あと2年で定年退職なのだそうです。そんな彼と交わした会話。

「じゃあ2年後はフィリピンだね」
「あぁ、家族がいるからね」
「子どもはいるの?」
「一人大学で勉強中、上の二人はアメリカの大学を卒業して、そのまま向こうで働いているよ」
「へぇ、お父さん、仕送りがんばったねぇ」
「まあね、本当によく20年も働いたよ、こんな町で」

そんなことを話しながら、それにしてもサウジって生活大変だよねぇ、などと一通りサウジの苦労話をお互いにした後、ふと彼が顔を暗くして、少し低い声で話し始めました。

「でも国に帰るのには問題があるんだよ」
「仕事がないの?」
「まあ仕事はもうね、それよりもさ…」
「ん?、どうしたの??」
「リヤドの奥さんがさ」
「ふんふん」
「マニラの奥さんとさ」
「!!」

ここでしばし絶句。彼はマニラに奥さんと子どもを残しサウジで働いているわけですが、なんとここには第二の奥さんがいるのだそうです。それが同棲なのかちゃんとした結婚なのかはさておき、第二夫人の存在は家族にも話してあって、子どもをサウジに呼び寄せた時にはきちんと紹介もしたのだとか。

「だって20年もやもめ暮らしなんて無理でしょ?」

いや、「でしょ?」って言われてもどう返事をしたらいいのか…。はたして2年後はどうなるのでしょう。穏便解決か、それとも修羅場か、かな~り興味津々。それにしてもさすがフィリピン人、おおらかというかなんというか。

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2009年2月18日 (水)

フィリピン人のバイタリティー

さるレストランに行った時のこと、店員がメニューを渡しながら 「チャイニーズ?」 と聞いてきました。「ノー、ジャパニーズ」 と答えると、すかさず満面の笑みを浮かべて 「オレ、日本で働いてたんです」 といきなり日本語を話し始めました。フィリピン人の彼は、すぐ近くにいた別の店員を呼び寄せ、「これ、オレの友達です、よろしく」 となんだか強引に紹介してくれました。

メニューを頼みつつ日本語であれこれ話していると、「携帯の番号教えてください。友達になりたいんです」 とあきれるくらいの直球を投げてきました。「うーん、もう来月日本に帰っちゃうんでよねぇ (←ホント)」 とやんわりと拒否したのですが、「じゃあ日本の電話は?。また日本に行きますよ」 とけっこう食い下がってきました。「住所が決まってないんですよ、残念ながら (←ちょっとウソ)」 なんて感じで結局名前も電話もちゃんと教えませんでした。

フィリピン人と会って一通りの世間話の後こんな会話になったことはよくありますが、初対面からわずか1分くらいでここまで食いついてきたフィリピン人は初めてだったので、逆に見上げた根性だと感心してしまいました。友達になりたいのも半分は本当でしょう。ただ、それ以上のことは何もできませんからねぇ。ビザとか取ってあげられないし。それにしても、どれだけサウジの仕事が嫌なんでしょうか。

支払いの時、「サウジアラビア、大変でしょ?」 とお決まりの質問をされました。ここで本当のこと (決して嫌いではないこと) を言うとすごくがっかりされるので、いつものように 「本当に大変だよねぇ」 と適当に相づちを打つと、「ウンウン」 と満足そうにうなずいていました。たぶん彼らは本当にきついんだと思います。給料不払いとか人間扱いされないとか、いろいろ聞きますから。

店を出る時、広い店内に響き渡るほど大きな声で 「どうもありがとうございましたー! (←もちろん日本語)」 と言ってくれましたが、正直、恥ずかしかったです。周りのサウジ人の視線が痛かったし。しかしこの店は二度と行かないだろうなぁ。今度行ったら 「友達OK!」 と言っているようなものだし。というかご飯がいまいちだったんですよね。そっちの方が大きいかな。「この料理、日本でビジネスできる?」 と聞かれた時も、「絶対無理!」 とは言いませんでしたが、「ちょっと難しいかも」 と思わず口をついて出てしまいましたから。

いずれにしても、こういうバイタリティーのある人にいつか幸運 (お人好しの日本人?) が巡ってくることを祈ります。

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2009年1月31日 (土)

インドネシア料理

リヤドのスレイマニヤ地区のプリンス・マムドゥーフ通りには目移りするほどレストランが軒を連ねています。アラブ料理、インド料理、中華料理、ファストフードなどよりどりみどりですが、その中にインドネシア料理屋 「デンデン (Dendeng)」 があります。この通りは今まで何度も車で走っていたのですが、店の看板がアラビア語ばかり目立っていたので、まさかインドネシア料理だとは思いませんでした。

ということで人を誘って行ってみましたが、料理の方は、正直言うとなんだかとってもいまいちでした。ガドガドは野菜があまり入っていなくてえびせんばかり。ミーゴレンはスーパーで売っているインスタント麺。ナシゴレンは自分で作る醤油チャーハンを思い出して、おいしかったですがレストランの食事ではないなと思いました (家庭の味とも言えますが)。全体的に見た目もちょっと…。でもサテは普通においしかったです (鶏、牛、エビ)。

店の名前にもなっているデンデンは牛の干し肉を揚げたもので、パリパリしておいしかったですがやはり相当脂っこい。ルンダンは牛肉をココナッツミルクで煮た料理で、味はけっこういいのですがやはりしつこい味なのでたくさんは食べられませんでした。オセン・ジャワはレストランで出てくる料理とはちょっと言い難いような。いや、別にまずくもないし普通に食べられましたけど。アヤム・ケチャップ (鶏) が一番おかずらしくておいしかったかな (トマトケチャップではなくてインドネシアのケチャップ・マニスです)。

たぶんチョイスを間違えなければきっと満足できるお店だと思います。一人で行った時に頼んだナシ・チャンプル (4枚目の写真/ご飯+おかず4品=260円。6品と9品のバージョンもあり) はとてもおいしかったですから。この時はズラリと並んだおかずの中から自分の好きなものを選ぶシステムだったのが勝因ですね。いずれにしてもアジア料理のお店は貴重ですから、これからも頑張ってほしいものです。

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2009年1月24日 (土)

ご馳走カレー

サウジアラビアで食べるカレーは、インド人がインド人のために作る本場のカレーです。普段はオレイヤロード沿いにあるマラズレストランという大衆食堂でばかり食べていて、1人で行く時はもっぱら7リヤル (180円) の定食 (ご飯にミートカレー1種と野菜カレー3種がついている、ご飯と野菜カレーはおかわり可能)、数人で行く時は単品カレーを何種類か頼んでも1人あたりせいぜい15リヤル (390円) ですみます。インド、パキスタンのタクシー運転手でいつも大繁盛していますが、なるほどこの値段では文句のつけようがない見事な味です。

そんなわけでマラズレストランには大いに満足していましたが、ある日ふと高級インド料理屋に行ってみたくなりました。マラズではもう決まったものしか食べなくなっていたし、初期の頃のように本当においしいと思って食べることもなくなっていました。何か壁のようなものにぶつかっていて、あんなに好きだったインドカレーへの情熱が冷めつつあることに妙なあせりを感じていました。「もう一度インドカレーの素晴らしさを味わいたい」 大げさに言えばそう思ったわけです。目指すは「アヴァドゥ (Avadh) レストラン」。ガイドブックによれば、リヤド在住インド人おすすめの高級店だそうです。

夜、ライトアップされたレストランの店構えはなかなかの高級感。広い店内は噴水が流れていたりして、高そうな感じがひしひしと伝わってきました。メニューを見ると、なるほど高い。肉のカレーは全部56リヤル (1450円) だし、スープからして16リヤル。「スープがマラズの定食2食分」 などという計算が一瞬頭をよぎりましたが、逆に、この値段で一体どんなカレーが出てくるんだろうと期待も一気に高まりました。

メインはやはりマトンにして、いくつもある中から一番のおすすめを店員に聞き、素直にそれを注文しました。あとはレンティルスープ、パンの盛り合わせ (ナン、チャパティ、パラタ)、ニンジンのデザートと紅茶。本当はもう1品野菜カレーを頼もうと思ったのですが、ここで店員がキッパリと注文を繰り返してきたので、「あぁ、もう終わりなんだ」 と悟り、無言でメニューを返すしかありませんでした。ちょっと雰囲気に飲まれた?

やけにクローブが効いたレンティルスープを食べ終わり、なかなか出てこないメインディッシュのブナ・マトンを待っている時間はとても長く感じました。いや、実際長かったです。カレーなんてチャッチャッと作れるようなイメージがあったので、「高級店はずいぶんもったいぶるなぁ」 などと思いつつじっと待っていたのですが、ようやく運ばれてきたそれは、まるで予想だにしない料理でした。なんとパイ包みです。もちろん初めて見ました。これなら時間もかかろうというものです。

思わず動きが止まってしまったこちらを横目に、店員がさっさとパイを開けようとしたので、「ちょ、ちょっと待って、写真を…」 と言いながらあわててカメラを取り出しました。写真を撮るのは少し恥ずかしかったのですが、店員の方は 「ふむふむ」 と満足そうにうなずいていたと思います。写真を撮った後は店員がおもむろにパイ皮を開き、中から肉とたっぷりのカレーをお皿に取り分けてくれました。こう見るとまるで洋食ですね。でも、立ちこめるスパイスの香りの向こうには、確かにインド悠久の大地が見え隠れしていました (←言い過ぎ)。

カレーそのものはコルマ (ヨーグルト、生クリーム、ナッツのペーストがベース) の味に似ていました。しかし色はもう少し茶色。ブナ (Bhuna) というのはどうやらタマリンドとトマトが入ったソースを言うようですが、このカレーもやや甘酸っぱくて辛さひかえめ、マイルドですがコクのあるカレーでした。お肉もたくさん入っていて実質2人前の量なので、56リヤルもそう高い値段ではありません。実は甘ったるいコルマ系よりはスパイスの香りがガツンと鼻腔に抜けるマサラ系の方が好きだったりしますが、これは香りと味に奥行きがあってかなり満足度の高いカレーでした。

チャパティがおいしいのにもびっくりしました。これまで灰色でいかにもな感じのチャパティしか食べてこなかったので、この店の白っぽくて甘味のあるチャパティは一緒に出てきたナンよりもおいしいと思いました (もしかして全粒粉じゃないのかな)。紙のように薄いのに焦げ目もついてきちんと焼けていたのも技ありです。カレーのパイ皮も食べようと思ったのですが、それでなくともパンが山盛りだったので、食べたのはほんの一口か二口。でもパイ包みには甘いカレーがしっくり来るのかなと思ったりしました。

単純に値段を考慮して、この味が大衆食堂より5倍も6倍もおいしいかと言われるとそう断言する自信はありませんが、やはりパイ包みという自分にとって未知のスタイルを味あわせてくれたことに感激しました。これがこの店のシェフの思いつきなのかそれとも歴史ある料理手法なのかはわかりませんが、やはり庶民の台所とは一線を画す、まさにご馳走カレーでした。ミルクセーキ風味のニンジンのデザートも、食事のしめにふさわしい穏やかな味で満足満足。ということで、まだまだカレーは奥が深いなぁと思い知らされた食事でした。

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2008年12月19日 (金)

香港B級グルメ②

香港の空港で思わぬ舌鼓を打ちました。

①豚モツ入りお粥、豚肉入りライスロール、豆乳のセット (珍満粥)
香港のお粥はおいしいですねぇ、本当に。しみじみとうまい。サウジを夜12時に出発して香港の空港に着くといつも時差ボケでフラフラですが、そんな時でも優しく胃に流れ込んでいきます。よく見れば安い材料ばかりですが、出来上がるのはこの上なく上品な料理。中華料理職人の魂を感じます。甘い醤油をつけてツルリといただくライスロールもおいしかった。

②水餃子入りラーメン、魚の皮のフライのセット (陳福記)
このラーメン、見た目はどんくさいですが、実は手延べ麺だったりして空港のレストランにしては本格的すぎる一品。しっかり最後の一滴までスープを飲み干しました。魚の皮がまたカリカリでおいしかった。どうしたらこんなにカリカリに揚げられるのか不思議。

香港B級グルメ万歳!

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香港B級グルメ①

尖沙咀、厚福街の「桂記」で「招牌雲呑麺」を食べました。ピンポン玉をふた回り大きくしたくらいの立派なエビ雲呑が4個も入っています。桂記の雲呑はこれまで香港で食べた中でもひときわ大きく、3回くらいに分けて食べないととても口に収まりきれません。プリプリの食感、口中にあふれるエビの旨味。なかなかの人気店と聞きましたがそれも納得です。しかしおいしいのは雲呑だけではありません。スープはコクがありながらもきれのある味わい、細麺は噛むとプチプチと小気味よく切れていく絶妙のゆで加減で、トータルバランスも申し分なし。これで19HK$ (250円) なんだから文句のつけようがありません。またひとつお気に入りの店ができました。

厚福街でもう一軒、「正仁利潮州菜館」に行きました。ちょっと奮発してフカヒレスープを頼み、あと一品何にしようか迷っていると、店主からしきりにカニをすすめられました。横のテーブルのカップルも食べていたのできっと名物なんでしょう。でもそんなにお腹が空いていなかったので、結局潮州焼きそばをひとつだけ頼みました。フカヒレスープは濃厚のひと言。焼きそばは素朴な味。料理と一緒にだされた小さい茶碗にいれられた苦いお茶が、口の中の油をさっぱりと流してくれました (工夫茶というのかな?)。最後に何か甘い物がほしくなり、漢字のメニューから「潮州ナントカ芋」というのをオーダー。ホクホクに揚げられた少し甘味のある芋を砂糖でカリカリにコーティングした熱々のお菓子で、見た目はいまいちですが後を引くおいしさでした。

いやはや、満足満足。

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2008年9月17日 (水)

カルボンマーケット

セブ島のカルボンマーケットをのぞいてきました。活気と熱気と臭気にガーンとやられました。やっぱり市場って楽しい!

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2008年9月16日 (火)

セブ島のホテル

プランテーションベイというホテルに泊まりました。輝く太陽の下、青々ときらめく人口のラグーンがリゾート気分を盛り上げてくれる一方、「またリヤドに帰るのか…」 なんて空しさがこみ上げてきたのも事実。リフレッシュできたようなできなかったような。

8月のフィリピンは雨期ということでホテル代もだいぶ安くなっていましたが、6泊して雨は一度も降らず、むしろ毎日かんかん照りでした。世界的に気象がおかしくなっているのでしょうか。初日でけっこう背中がヒリヒリしてしまったので、あまりシュノーケリングができなかったのは残念。

全体的にそこはかとない老朽感が漂うのは否定できないものの (老舗だから…)、依然セブ島の中では1、2をあらそうおすすめリゾートホテルなんじゃないでしょうか。ただ、食事が眩暈がするほど高かったです。特に朝食は鼻血もの。朝から、さ、3千円て…。セブシティーで食べる5~10倍くらいの値段。まぁ、雰囲気も込みの価格ということで。


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2008年9月12日 (金)

ブタの丸焼き

古の昔から、言霊 (言魂) といって言葉には霊的な力が宿ると信じられていますが、やはり言葉の響きというものは侮りがたいエネルギーを持っていると感じます。日々何千、一生に何億と聞く様々な言葉。その中でも、おそらくトップ級の破壊力、そして抗しがたい魅力を持つのが 「ブタの丸焼き」 ではないでしょうか。トリの丸焼き?、いやいや、ヒツジの丸焼き?、全然。やはりブタの丸焼きのインパクトにくらべたら月とスッポンです。(スッポンもヘンな言葉だ)

とまぁ、子どもの頃からブタの丸焼きという言葉を聞くにつけ、心が荒ぶるというか、いてもたってもいられないというか、嵐を予感させるようなそんな猛々しい心持ちになったわけですが、先月、フィリピンのセブ島で、ようやく念願の対面を果たしました。その名も 「レチョン (Lechon)」。いや…、レチョンじゃなくて…、やはりここは断固ブタの丸焼きと言いたい!。言いたいのですが…。

その日、ホテルのレセプションに1枚の告知がありました。「今夜はフィリピンビュッフェ! みんな来てね!」。そんな軽いタッチの書きぶりでしたが (実際は英語ですけど)、メニュー一覧にその名を見つけるや否や、一気に闘志に火がつきました。そいつを自らの歯で食いちぎり、ムシャムシャと咀嚼しながらその烈火の如きエネルギーを我が身に取り込みたい。魂の雄叫びを天空に轟かせたい!。右の拳に力を込めつつ、静かに、そして熱くそう思ったわけです。

そんな鼻息の荒い状態のまま、夕方6時にビーチサイドのオープンテラスに出向くと、いましたよ、きゃつが!。しかし、………あれ?、何この表情?。なんだかとてもフレンドリー。断末魔のうちに腹を割かれ、太い鉄の棒で串刺しにされたうえ丸一日全身を業火でジリジリと焼かれ、あげくその身をバラバラに刻まれたというのに、怨・恨・呪、そんな苦悶の表情は一切なく、むしろ 「ね、ね、食べて食べて!」 と誘っているかのようなレチョン君でした。

肝心のお味の方ですが、まずパリパリの食感がこたえられません。香ばしく飴色にパリッと焼き上がった皮。なのに真っ白な肉はジューシーそのもの。塩味も絶妙、噛むほどに肉汁がジュワーッと広がります。鼻に抜ける香りも上品そのもの。日本の豚肉もおいしいと思いますが、フィリピンのも本当においしかったです。見た目のワイルドさとはうらはらに、むしろ繊細な料理じゃないかなと思いました。(食べるお店でだいぶ差がありそうです)

「ブタの丸焼き食ったどー!」 という雄叫びはあげそこないましたが、レチョンは本当に 「おいしゅうございました」。


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2008年9月 6日 (土)

フィリピンの宇多田ヒカル?

セブ島のショッピングセンターに行った帰り、タクシーのラジオからは軽快なフィリピンポップスが流れていました。そして曲調は一転、しっとりしたバラードが始まり聴き入っていると、サビの所で 「えぇっ!?」 とビックリ。そのメロディーは宇多田ヒカルの First Love そのものでした。それ以外の部分は微妙。というかあえて微妙にずらしている感じ。

いわゆるパクリなのかなと思って、よほど運転手に聞こうかと思ったのですが、なんだかとても売れていそうな雰囲気の歌だったし、もしこの運転手が大好きな曲だったとしたら、「これ日本の歌の真似かもよ」 なんて言うと夢を壊してしまいそうだったので、道中ついに聞くことはできませんでした。

その後インターネットで検索してみると、あっという間に見つかりました。トニー・ゴンザガの We Belong という歌。YouTubeでぜひ真贋をご鑑賞あれ。

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2008年9月 5日 (金)

小技の効いたフィリピン人

セブ島のホテルにて。

部屋に戻ってきたらベッドの上にブルドッグが!

ナイス、フィリピン。

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2008年8月30日 (土)

香港の夜景

九龍から見た香港島の夜景。なんともサイバーな雰囲気が漂っています。そういえば攻殻機動隊がハリウッドで実写映画化されるとか。あの原作が持つ哲学的な要素をちゃんと再現してくれるんでしょうか。生命の定義が自己を増殖させることであれば、はたしてコンピュータウィルスは……、なんて感じの深い話になればいいんですけど。でも、作るのはアメリカ人だし…。それにしても、今から考えるとキャシャーンはすごかったなぁ。 (←アニメの方です。古ッ!)

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2008年8月29日 (金)

足つばマッサーヅ

マッサーヅ。ちょっとなまってるな、マッサーヅ。この短いフレーズでここまで見事に間違うとは、逆にアッパレ。でも本当に "足唾" なら激しくイヤです。ゴムマットの方は同じのが横にもう1枚しいてあって、そちらは正しい日本語でした。なんで?

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2008年8月28日 (木)

香港グルメ

夏の休暇で香港にトランジット泊した際、前回の旅行で気に入った 「糖朝」 でまた安グルメを堪能してきました。エビワンタン麺、モツのお粥、鶏足の蒸し物、漢方ゼリー、豆腐花。どれもおいしかったです。

個人的に点心の中で一番好きなのが鶏足の蒸し物。見た目こそちょっとグロいですが、ピリッとくる甘辛のゼラチンは、ご飯には最高のおかずです。漢方ゼリーは始めて食べましたが、なんとも不思議な味でした。満足、満足 pig

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2008年5月22日 (木)

プーケットのカエル

プーケットに旅行したのは7月。雨期のため毎日曇りがちで、日中晴れ間はのぞくものの、夕方から夜半にかけては必ず短時間、土砂降りになりました。雨が降ると少しは暑さもやわらぎますが、熱帯の湿った空気が身体中にまとわりつき、歩く時も空気の重さを感じたものです。それでも、夕立の後の散歩は殊の外気分が良いものでした。

その日も、ホテルで夕食をとった後、ちょうど雨も上がったので庭を散歩することにしました。すると、まもなく「パチン、パチン」あるいは「ポコン、ポコン」という、かわいい感じの破裂音が聞こえてきました。「何の音だろう」と考えながら歩いていると、そのうちに、少し低音からやや甲高いものまで、あちらこちらからパチパチポコポコと合唱のように音の洪水が押し寄せてきました。

しかし辺りは闇に暮れかかっています。どこから聞こえてくるのか、また何の音なのか、さっぱり見当がつきませんでした。立ち止まってよくよく耳をすましてみると、どうやらそれは地面の下から聞こえてきます。最初は目をこらしても暗い地面に何があるのかさっぱりわかりませんでしたが、目が慣れてくると、そこに雨水を流すための側溝があることがわかりました。

側溝には金属製の目の粗い網がかけられています。そしてそこに耳を近づけると、ひときわはっきりと音が聞こえてきました。その時です。以前、マレーシアに住んでいた人から、田んぼのカエルの大合唱のテープを聴かせてもらったことを思い出しました。その泣き声がまさにこの音。テープを聴いた時は「これがカエルの鳴き声?、冗談でしょ?」となかなか信じなかった自分ですが、ようやく納得できました。

そのカエルの情報はないものかとインターネットでいろいろ探しましたが、今のところ見つかっていません (名前もわからないし)。本当に、不思議な鳴き声なんですよねぇ。

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2008年5月 1日 (木)

チベット音楽

日本の隣国が何かと騒がしい今日この頃ですが、ふと、エチオピアで知り合ったネパール人ヨガインストラクターにもらったCDのことを思い出しました。タイトルは「Yoga Tibetan Incantations」。CD 1枚に入っている曲はわずか3曲。それもそのはず、どれも20分以上の曲です。1曲目の「Om Mani Padme Hum (オムマニペッメホム)」で延々繰り返されるこのフレーズは、もともとはサンスクリット語のマントラ (真言) です。チベット族は五体投地のときもこれをずっと唱えるそうです。

このところ毎日この曲を聴き、国を持たない民族のことをあれこれ考えたりしています。

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2008年4月29日 (火)

チャーハンに砂糖?

レストランのテーブルの上には、普通どんな調味料あるいはスパイスが乗っているでしょう。日本だったら、まず醤油、そして塩コショウはかなりの確率であります。次いで七味唐辛子、酢、ラー油など。ソースは案外ないですね。ソースが必要な料理には直接かけられています。もちろんトンカツ屋は別ですが。基本的には、日本料理は出されたものをそのままの味で食べられるよう、味付けがされていると思います。調味料が必要な場合も、刺身には醤油、フライにはソース (または醤油かタルタル)、天ぷらには天つゆと、その組み合わせもほぼ決まっています。いくら好きずきとはいえ、お刺身にソースをつける人は相当変わり者扱いされるでしょう (マグロにマヨネーズはけっこういけますが)。

中東の場合は、もっぱらオリーブオイルと塩コショウが置かれています。オリーブオイルはサラダにかけても良いですが、料理を頼むとだいたいパンがついてきますから、小皿にオリーブオイルを注ぎかるく塩をふって、それをちぎったパンにつけて食べるととてもおいしいんです。料理のメインディッシュは、サウジアラビアならカフサ (スープで炊いたご飯の上にヒツジ肉が乗っている)、ヨルダンならマンサフ (ほぼカフサ、ヨーグルトソースの「ジャミード」をたっぷりかけて食べる) というご飯ものが有名です。ミックスグリル (ヒツジ、チキン、シシカバブなどのBBQ) は中東全体で一般的なメインディッシュです。どれもそのままで十分おいしいので、調味料をつかうとしても、塩コショウを少々といった感じです。

中華料理は、醤油、酢、チリソース (唐辛子ペースト?) が多く、むしろ塩コショウはあまり置いていないというイメージがあります (コショウは多いかも)。また、春巻きには甘辛のトロッとしたソースがついてきます。蒸し餃子には刻みショウガが入った酢醤油。中華料理もやはり完成された味付けで出てきますから、チャーハンや焼きそばの上にあらためて醤油などをかける人は少ないでしょう。酢はお好みで。

一方、タイ料理は事情が大きく異なり、テーブル調味料がかなりにぎやかなことになっています。タイ料理の基本の味は、辛味、酸味、甘味だと言われますが、これらがからみあって、より複雑な味を醸し出すことが最良とされます。このためレストランのテーブルには、砂糖、ナンプラー、唐辛子の酢漬け、粉唐辛子の4点セットが必ず置かれ、客は料理にさらに味を足し、好みの味にして食べるのが普通です。そういった意味では、コックさんも100%完成型の味付けで調理するわけではなく、お客も出てきた料理をそのまま食べるような横着はしないというわけです。

こうやって事前に聞いていれば「なるほどね」ですむわけですが、初めてバンコクの食堂でご飯を食べた時、頼んだチャーハンと一緒に調味料4点セットが出てきて、「え、砂糖?」と驚いたことをおぼえています。しかも、周りのお客はラーメンとか焼きそばとか、料理に関係なく砂糖も含めてこの4点セットをけっこうな量、投入していたのでまたまたビックリしました。こうなると、味がなんでも一緒になってしまいそうですが、よく考えたら日本料理も基本は鰹ダシと醤油と砂糖 (みりん)、なのに肉じゃがとカツ丼、親子丼はまったく別物だし、それぞれ旨い・不味いがわかりますから、慣れ親しんだ味であればあるほど、微妙な違いが分かるのかもしれません。こだわりも三者三様。おそらく外国人にはわからない世界なんでしょうね。

ということで、タイのテーブル調味料4点セットのうち粉唐辛子は使いますが、今まで他の3つは使ったことがありません。今度こそ使ってみようとタイレストランに行くたび思うのですが、でもチャーハンに砂糖をかけることは、たぶん一生ないと思います。ラーメンにナンプラーを入れることも。もし日本でうどん屋にダシ醤油が置いてあったら、時々は入れたりするのかな、なんてぼんやり考えてみたりもしますが。

ちなみに、料理にはどんな「味」があるか。中国では五種の味、すなわち「酸、苦、甘、辛、鹹 (しおからい)」、インドでは6つのラサ (6つの味覚)、すなわち「マドゥー (甘味)、アムラ (酸味)、ラヴァナ (塩味)、カトゥ (辛味)、テクタ (苦味)、ケシャイ (渋味)」と言われています。日本では「塩味、甘味、酸味、苦味」あたりが基本でしょうか。「渋味」も加えた方が良いかもしれませんね。ところで「旨味」って味の種類なのかな。旨味調味料とかありますけど。

写真はサウジのタイレストランのもの。ナンプラーの代わりに普通の醤油が入っていました。

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2008年4月28日 (月)

タイ料理の色彩

今でこそタイ料理は大好きですが、初めてのタイ旅行でパタヤにいった時、海岸通りのレストランで食べたカレーには、驚きを通り越して静かな怒りをおぼえたものです。バンコクでは知らず知らずのうちに中華風のものばかり食べていたため、タイ料理っておいしいなぁと毎日ご機嫌でした (パクチーをのぞいて)。汁そば、焼きそば、チャーハン、豚足ご飯、串焼きなどなど、何を食べてもおいしくて、このままだと幸せすぎてバチが当たるかも、などと考えたりしました。学生時代の一人暮らしで、カレー、ラーメン、吉野屋と、野菜も食べずに好きなものばかり食べていた時のちょっとした罪悪感にも似ています。

バンコクからバスに乗り、パタヤに着いたのは昼前の時間でした。適当に安宿を決めてから海岸通りに出かけると、立ち並ぶレストランのうちひときわ大きなタイレストランに入りました。それまでほとんど屋台かフードコートで食事を済ませていたので、メニューを見た時はバンコクよりもかなり高めの値段設定にややあせりましたが、中でもあまり高くないタイ風カレーを選択しました。旅行に来て、初めて食べるカレーです。というより、その時はタイ料理にカレーがあるということを知りませんでした。「タイ風のカレーを食べるぞ」と意気込んでいたわけではなく、単にインドカレーみたいなものを想像していただけです。

オープンテラスに座って海を眺めていると、すぐに料理が運ばれてきました。しかし、大きな器の中にはオレンジ色のトロトロの液体が入っています。「カレー、……なの?」と首をひねって、ウエイターの方をチラリと見たのですが、別に間違ってここに運ばれてきたわけではなさそうです。カレーが黄色オンリーではないことはわかりますが、想像とはかなり違ったものが出てきたので、少し取り乱してしまいました。水を1杯飲んでから、気を取り直してスプーンでひと口すくって味見をしてみると、辛い、そして甘い。それもそのはず、ココナッツミルクが山ほど入っています。しかしベースは真っ赤なカレーだけあって、メチャメチャ辛い。そこにココナッツミルクの甘さが入るので、色はオレンジに、辛さもマイルドに………、なってなーい!。これではただ激辛で激甘なだけです。

お腹は減っているのにまったく食が進まず、20分ほどカレーとにらめっこをしたのですが、結局ほとんど残してしまいました。この時のショックと言ったらありませんでした。「この値段だったらバンコクの屋台でラーメンが5杯食えるのに」などとせこいことも考えましたが、日本も含めて外食で頼んだ料理をほとんど残すなんて生まれて初めての経験だったため、我ながらなんともいえない敗北感というか、やり場のない憤りをおぼえたわけです。ココナッツミルクはその後ほどなくして大好きになったのですが、この時の自分にとってはあまりにも違和感のある味で、どうしてもスプーンを口に運ぶことができませんでした。

お金を払う時、ウエイターがテーブルの上のほとんど手をつけられていない料理を見て、心配そうな顔つきでこちらを見たのですが、それを無視して無言でレストランを出てしまいました。その時自分はどんな顔をしていたんでしょう。勝手に一人で怒って憮然としていたのなら、今考えるとすごく恥ずかしいです。「こんなまずい料理食えるか」と思っていたなら、当時にタイムスリップして、「まずい料理じゃなくて個人的に口に合わないだけ」と自分自身に注意してあげるのですが。

パタヤからバンコクに戻って、今度は屋台だけでなくいわゆるレストランという所にも行ってみました。そうしてメニューを見たら、あるわあるわ、色とりどりのカレーが。レッドカレー、イエローカレー、そしてグリーンカレー!。今でこそグリーンカレーは月に1度は食べないと気が済まないのですが、当時はなんとも奇妙な食べ物に思えました。インドにも緑色のカレーはありますが、それはほうれん草ペーストのカレーです。グリーンカレーって何故あの薄緑色なんでしょう。見当もつかない。

カレーだけではなく、タイ料理は全般的にカラフルです。日本料理も色彩は豊富ですが、どちらかというと地味で渋いテイスト。中華は自分の知っている範囲では茶色が基本て感じ。フランス料理とイタリア料理も、経験の範囲ではあまり特筆すべきカラフルさはないような。しかしタイ料理は、色鮮やかな上に原色が多いように思います。その上、1皿の中にたいてい赤、黄、緑の三色が入っています。赤はカニ、エビ、赤唐辛子など。黄はココナッツミルクが溶けたスープ、もやし、パパイヤなど。緑は空心菜、ネギ、青唐辛子、パクチーなど。というかたいがいパクチーは乗っているので、緑はほぼ確実に確保されていますが (泣)。

タイ料理にはいろいろときれいなものが多いですが、個人的に一番見た目でほれぼれする料理が、カニのカレーソース炒め卵とじ (プーパッポンカリー)。有名店ソンブーンに行ったら必ず注文します。というよりも、これを食べにソンブーンに行くのですが。マイフォトに載せた写真は、すでに途中まで食べ進んだものなので、見た目がかなり汚くなってしまいました。テーブルに運ばれてきた直後のお皿は、それはもう完璧なまでに美しい姿をしています。情熱的なカニの赤、全てを包み込むような優しい卵の黄色、抜群のアクセントを醸し出すネギの緑。見た目良し、香り良し、そして何より味が良し。

タイ料理ってすごいなぁとつくづく思います。味覚と嗅覚に加え、視覚も楽しませてくれるわけですから。日本料理も、例えば海鮮丼なんて素晴らしく色鮮やかですが、残念ながら嗅覚にはほとんど訴えかけてきません。日本料理で嗅覚といったら、やはりウナギの蒲焼きでしょうか。甘辛のちょっと焦げた匂いはこたえられません。お腹がぐうぐう鳴ります。焼き鳥もいいなぁ。特に鶏皮。いや、最後は関係ない話になってしまった。

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2008年4月27日 (日)

魔王ドリアン

初めてドリアンを食べたのは、東京での学生時代。インドネシア語科の友人と連れだって、"高級"インドネシアレストランに行った時のことです。そのお店では、同じくインドネシア語科の友人がアルバイトをしていました。インドネシアにも旅行したことのある友人たちは、さすがに的確に「これとこれとこれだったら、そんなに高くないし初めての人にも食べやすいよ」と言って、パパッとメニューを選んでくれました。運ばれてきた料理は、なるほどどれも食べやすく、たちまちお皿は空っぽになっていきました。一通り料理を楽しんだ後、「さて」といった感じで、1人がちょっと姿勢を正しながら、「あれ、いっとく?」と意味深な発言をし、バイトの友人を呼んで、「ドリアンひとつ」と伝えました。

一応その名前だけは知っていたので、「おー、ついにドリアンを食べるのか」とワクワクしながらその登場を待ちました。数分後、白いお皿にデロンと乗せられた、クリーム色の物体がテーブルに届きました。薄暗い店内だったので、顔を近づけてもっとよく見ようととした瞬間、いきなりムッとする臭気に鼻がツーンとしてきて、思わず顔をそむけてしまいました。そして目をシバシバさせて、「何これ!?」と友人たちに聞いてみると、なんだかみんなニヤニヤと好奇な目をこちらに向けています。「ま、食べてみてよ」とみんなは言うのですが、このタマネギが腐ったような、ドブ川のような、干からびた犬のフンのような、およそ果物とは思えない異様な臭いは一体何なんでしょう。

「本当においしいんだから」と言いつつ、友人はスプーンでそれをひとすくいしてパクリと口に運び、「く~、おいしい!」とうなるようにその味を絶賛するのですが、それを聞いてもまだこちらは及び腰です。しかし、他の料理に比べたら、断トツに高いドリアン。貧乏学生の食事会ですから、なんとしても割り勘負けは避けたいところです。おそるおそるスプーンの先にちょっとだけつけて、目をつぶって思い切りパクッと口に入れると、「お!」と小さく声が出るくらい、驚きの甘さが感じられました。例えて言うならカスタードクリームのようなクリーミーさと甘さ。「えぇっ!?」とのけぞっていると、周りはもう大笑いです。そしてみんな「でしょ?」と言うものですから、こちらもあわてて「うん!」と答えずにはおれなかったわけです。

ドリアンの味だけとったら、まちがいなく果物の王様でしょう。あの甘さは唯一無二。天然のものとはにわかに信じがたいほど、濃厚な甘味を持っています。ただ、あまりにも臭いが衝撃的なことから、人呼んで果物の魔王。こちらの方が呼び方としてはふさわしいと思います。見た目もトゲトゲで暴力的な感じがするし、ドリアンを凶器に使った「ドリアン殺人事件」なんて、あながちないとも言い切れないでしょう。くさやとかナンプラ (魚醤) の臭いも相当きついですが、それは臭いが極端に濃いだけであっ、何万倍かに希釈していけば、やがて食欲をそそる良い香りに変わります。これとは違ってドリアンは、なんだか決定的に食べ物方面の香りとは異なっています。薄めても薄めても、やっぱり「オエ~」となることは間違いありません。ドリアンを最初に食べた人は、果たして正気の持ち主だったんでしょうか。あるいはよほどお腹が減っていたのか。

時は流れ、タイにも旅行するようになり、露店でドリアンの山を見る度に「いいなぁ、いいなぁ」と指をくわえた子供のように立ち止まっている自分がいました。相変わらずその臭いには辟易としていましたが、学生時代の舌の記憶が鮮やかによみがえって、どうしても食べたくて仕方ありませんでした。ただ、ドリアンはホテルにも持ち帰れませんし、タクシーやバスへの持ち込みも大迷惑です。買ったが最後、その場で食べてしまうか、歩きながら頬張るしかありません。こうして、初めてのタイ旅行では、ついにドリアンを食べることはありませんでした。しかし、2度目の旅行で「今回はやけにたくさんドリアンを売っているなぁ」と思いつつ市場を歩いていたら、ある露店でドリアンがパカッと割られ、1房 (1サク) ずつ売られているのを発見しました (通常、1個のドリアンには5房の実が入っています)。

「ラッキー!」と小躍りしながら露店に近づき、さっそくひとつ購入すると、まずは臭いの確認。鼻を近づけると案の定、「オエ~、この臭いだぁ」と思わず眩暈がするくらい臭います。ちょっとむせながら、ビニール袋を少しずつめくり、おそるおそるパクリとひと口。甘い。相変わらず甘い。やっぱりおいしい!。あっという間に1房食べきると、もうひとつ買おうかどうかけっこう悩んだのですが、考えている間に出たゲップの臭いに我ながら気分が悪くなったため、結局断念しました。ドリアンの臭いって、すべてのやる気をなくす臭いですね。世をはかなむというか、自暴自棄になるような。こんなひどい臭いなのに、味はものすごく甘いってどういうことでしょう。本当に摩訶不思議な果物です。

実はこれ以降、タイで生のドリアンは食べていません。あの甘さは認めますが、やはり臭いがちょっと…。なので、その後の旅行ではもっぱら「さくさくドリアン」を買って食べています。これはドリアンの実をフリーズドライしたもので、臭いも正真正銘ドリアンです。メイド・イン・タイランドですが、缶のパッケージになぜか日本語で「さくさくドリアン」と書かれています。その実を口に入れると、まずフワッとドリアンの臭いが広がりますが、だいぶ薄まっているのでなんとか耐えられます。名前の通りサクサクの食感ですが、噛むとあっという間に口の中でトロトロになって、ドリアンの甘味を楽しむことができます。これはお土産にも最適です。好きな人にはたまらないでしょうし、場合によっては罰ゲーム的な使い方も…。

リヤドのスーパーマーケットにも、時々ドリアンが売られていることがありました。ある日、いつも行っているタミーミースーパーに入った瞬間、懐かしくも強烈な異臭に襲われ、たちまちドリアンがあることがわかりました。果物コーナーに直行すると、案の定10個ほどドリアンが並べられていて、それが何者なのか知らないサウジ人の眉をひそめさせていました。かなり迷いましたが、結局ひとつ買って帰り、その臭いに「オエ~」を連発しながら、なんとか実を取り出しました。しかし、正直なところあまりおいしくなかったですね。高かったんですけど。輸出品として、当然完熟するはるか前に収穫して流通に乗せるわけですから、よく考えたらおいしいわけがありません。大失敗でした。

この時は、念のためと思って買ったもうひとつのタイの思い出、「果物の女王」であるマンゴスチンを食べて、なんとか気持ちを落ち着かせることができました。マンゴスチンは果物の中で一番好きです。あの華やかな酸味と甘味のバランスが絶妙。半分凍らせてシャクシャクにして食べると、夏の風呂上がりなんかには最高です。

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2008年4月24日 (木)

タイのフカヒレにメロメロ

フカヒレといえば高級中華料理の代名詞です。高級ということは、それだけ貴重なんでしょう。フカヒレスープといっても実際に入っている量はごくわずか。へたをすると、フカヒレが何本入っているか数えられそうな寂しい器もあります。しかもそんなのに限って春雨が入っていたりして、周りのテーブルからは、「あいつフカヒレスープ食べてるぞ、しかもあんなに入ってやがる」などと恨めしそうな視線を浴びせかけられ、一方こちらは、「違う違う、フカヒレそんなに入ってない、これほとんど春雨だから」などと心の中で悲鳴を上げつつ、お店の共犯者になったような罪悪感を感じたりするわけです。

本当は声を大にして叫びたいのです。「ほとんどフカヒレ入ってないぞ」と。まぁ結局は、せっかく思い切って頼んだ高い料理が、よもや期待はずれなどとは決して認めたくないという心理が働き、「やっぱり高いやつは1本1本が太いね、高級フカヒレだ」なんてわざとらしくつぶやきつつ、さも満足した風にウェイターに目線を送ったりなんかするわけですが。かのシャア少佐が自らに発した反省の弁、「認めたくないものだな、自分自身の若さゆえの過ちというものを」なんて台詞を我が身に重ねて感じるのはこういう時ですね。あ、これ、初めて香港に行った時の話です。「フカヒレ=高い=メチャメチャおいしい」と思っていた若かりし頃のこと。

よく考えると、フカヒレそのものに味があるわけではありません。「このフカヒレ旨い!」なんて言っている人は、フカヒレの味ではなく、周りのスープやタレを味わっているだけです。だから、「フカヒレ=おいしい」ということはないはず。そもそもフカヒレスープでは、フカヒレそのものを味わえるだけの量なんて入っていないのが普通です。「だったらフカヒレ100%、フカヒレの姿煮だ!」なんて勢いよくメニューをにらみつけても、そこに書かれた値段を見た瞬間、目の焦点がぼやけ、手足はブルブルふるえ、気が動転した末にはたと天を仰ぐ、なんてことになりかねません。ま、自分がそうでしたから。香港で。

そんな敷居の高いフカヒレですが、バンコクではとてもリーズナブルに食すことができます。2度目のタイ旅行で、ヤワラー (中華街) のどこかを歩いていた時のことです。急に、フカヒレの看板を掲げるお店がズラリと並ぶ通りに出くわしました。あわてて1軒をのぞいてみると、地元の人がのんびりとフカヒレスープを食べているではないですか。店内にはりっぱな乾燥フカヒレも飾ってありました。吸い込まれるようにテーブルにつき、もらったメニューを見てみると、日本円に換算して1000円、1500円、2000円という、にわかに信じがたい、価格破壊もはなはだしいフカヒレの姿煮が、写真付きで掲載されていました。

「こ、これは!」。あまりの安さに衝撃を受け、一旦は血が沸騰したかのように身体中が熱くなったのですが、すぐに「まさか、この値段でそんなにちゃんとしたものは出てこないよな」と我に返ったため、とりあえず1500円のものを注文しました (日本人は真ん中が好きですから)。しかし、土鍋の中でスープ (とろみがついたタレ) とともにグツグツ煮立ちながら運ばれてきたそれは、やや小ぶりではあるけれどまさにフカヒレの姿煮。けっこう重量感もあって、初めてフカヒレをほおばるという体験ができました。味は、オイスターソースベースのタレがちょっとシンプルすぎて、さすがに「旨い!」と言い切る自信はないというか、むしろ「普通?」みたいな。値段が値段なだけに、余裕しゃくしゃくのコメントです。味云々は別にして、この時はフカヒレの姿煮を食べたという事実が素直に嬉しかったです。

一度こういうものを食べたおかげで、次からはわりと冷静にフカヒレと対峙できるようになりました。値段が高いからおいしいわけではないことも、こうやって段々と学習していきました。そして2006年のバンコク。たまたま手にした「歩くバンコク」というガイドブックで絶賛されていた、「キアック・シャークフィン」というレストランに行きました。結論から言うと、そこで食べた3200円のフカヒレの姿煮は、まさに絶品!。あんなにコクのあるスープ (タレ) はこれまで味わったことがありません。フカヒレも1本1本が太いし食べ応え十分。まさに「フカヒレを食べたぞ」と思わしめる、おいしさとボリュームを合わせ持つ逸品でした。満足、満足。こうなると、もう香港では、ましてや日本でなんてフカヒレを食べる気にはなりません。フカヒレはバンコクに行った時の楽しみにとっておこうと、気持ちに余裕ができましたから。

ちなみにこのお店、フカヒレ以外のメニューもかなりおいしかったです。魚の浮き袋の炒め物なんて珍しいものも食べられます (タイでは珍しくないの?)。アワビご飯にもやられました。あまり良い匂いがしたものですから、料理の写真を撮ることをすっかり忘れて食べてしまったくらいです。高級ぶっていない店内の様子も好印象でした。というかほとんど普通の食堂です。その感じにますますやられました。まさに町の名店。繁盛して、店を拡張して、支店まで作って、結局味が落ちる、なんてことにならないよう祈るばかりです。

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2008年4月22日 (火)

タイの豚足ご飯

学生時代、JR阿佐ヶ谷駅のすぐ横に、台湾料理屋がありました。中国語科の友達に誘われてお店に行くと、中華料理に漢方薬の匂いを足したような、なんともいえない本場っぽい香りが充満していました。注文は友達にお任せしたのですが、台湾風ラーメンやチマキなど、これまで食べたことがない味で実においしい。日本風の中華料理屋 (ヘンな言い方ですが) とはまったく味の方向性が違っていました。独特の香辛料やザーサイの風味が効いていて、調味料もすべて中国産を使用しているとのこと (店のご主人がちょっとカタコトの日本語で自慢していました)、チャーハンひとつとっても、海の向こうの異国の風味に富んでいました。

そこで生まれて初めて食べたのが、豚足です。軽くしょう油で煮込まれた、プヨプヨしたゼラチン質の皮がおいしいのはもちろんですが、初めて味わうその食感がとても心地よく、また足にかぶりついている自分の姿を客観的に見ると、なんだか滑稽で、すごく楽しくなってしまいました。豚足をかじりながら「クククッ」と笑う自分を見て、店のご主人は「ヘンな客が来ちゃったなぁ」と思ったかもしれません。その後、横浜も含めて何軒か大きな中華料理屋に行って豚足を食べましたが、どの店も味付けしないで蒸しただけの豚足に甘い酢味噌をつけて食べるスタイルでした。正直、こちらはまったく好きになれません。

そしてバンコク。ワット・トライミットで黄金の仏像を見た後、ヤワラー (中華街) をブラブラ歩いていると、小汚い食堂が軒を連ねる通りにぶつかりました。横道をのぞくと生鮮市場があって、中はずいぶん活気にあふれています。表通りにも人力車を手にした人がたくさんいたので、このお店は買い物客から人夫まで、毎日地元の人たちのお腹を満たしているのだろうと想像しました。「よそ者お断り」的な雰囲気がなきにしもあらずで、さすがにタイ語ができないと料理を注文するのは厳しいかなとも思いましたが、あるお店の軒先で、よれよれのランニングシャツに短パン姿のおじさんが食べていたものがあまりにおいしそうだったので、思わずお店に引き寄せられると、おじさんを指さし「あれをくれ」とジェスチャーしました。

店内の床に散乱する野菜くずを踏み分け、ハエだらけのテーブルに座るやいなや、すぐにやって来ました。甘辛く煮込んだ豚足を乗せたご飯「カオカームー」です (料理の名前は後で知りました)。トロトロのグズグズになった豚足は、けっこう肉もたくさんついていて食べ応え十分。甘辛いタレと豚の脂がご飯にネットリとからみつき、コッテリしたおいしさが口いっぱいに広がります。ネットリ&コッテリは大好物。また、鼻から抜ける香りも豚一色。本当においしいんだブーpig。これが豚の角煮になると、半分は肉であってほしいし、箸でつかんで脂だけだったりすると「ゲゲッ」と思ったりしますが、カオカームーの場合、全部脂でも良いなぁ。

ただし、やはりここにもいました。緑の魔物パクチーが。ご飯の上に威風堂々と鎮座する豚足の上に、したり顔で居座っています。そして、あの独特の香気 (臭気) を放っているのです。これはたまらんと、思わず全てのパクチーを (わずか1mmの欠片まで)、丁寧にお皿の端っこに追いやって、ふたたび豚足をパクリ。むーー、おいしい。しかし、このわずか数分の間に、すでにパクチーの香りがご飯や豚足に移っています。どれだけ強力な香り成分なんでしょう。その後もタイに旅行する度カオカームーを食べましたが、特にMBK (マーブンクロンセンター) のフードコートは多用しました。ここでカオカームーとエビワンタンメンを食べるのが、いつも本当に楽しみでした。

サウジアラビアにいると、時々無性に豚足が食べたくなります。決して叶わぬことだとは知りつつも。

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2008年4月21日 (月)

パクチーどっさり

初めてタイに旅行して、泊まったのはフアラムポーン駅にほど近い、ナントカ旅社 (中華系の安ホテル、ゲストハウス/名前は忘れました)。1泊80バーツ (当時で400円くらい) という格安の値段でしたが、部屋は相当広くてベッドも清潔、シャワーとトイレも水はジャンジャン出るし、イスタンブールで泊まったブルーモスク前の1泊700円のドミトリーよりよほど快適でした (イスタンブールは共同トイレが最悪…)。ただし、部屋のドアの鍵として大きい南京錠を渡された時は、ちょっとだけびびりました。

ホテルに食堂がなかったので、朝食は毎日周辺の屋台に行きました。ホテルの横道を入っていくと、ズラリと屋台が並んでいます。どれを見てもおいしそうでしたが、朝からコッテリ系はつらいので、やはりまずはヌードルから。麺も中華麺ではなくビーフンにしました。細麺から幅広麺まで何種類かあったので、とりあえずきしめんくらいのものを選択。あとはどんな具を入れるか指定して、通りに広げられた共同のテーブルに座って待ちます。ほどなく、熱々のタイ風ラーメンの丼が運ばれてきました。

麺の上には、シャキシャキのもやしと揚げニンニクがトッピングされています。具として選んだフィッシュボールもおいしそう。そこまでは良かったのですが、何やら緑色の葉っぱがモサッと乗せられているのが目を引きました。最初は「バクドゥーニス (葉っぱが平たいパセリ/アラビア語)」かなと思いましたが、しかしその鮮やかな緑色から、得も言われぬ香気が漂ってきます。思わず顔を近づけると、「!」。く…、なんだこの匂い…。ちょっと考えて、「あ、そうか、これが噂のパクチーか」とようやくそこで葉っぱの正体を理解しました。

「三つ葉みたいなもんだよ」とは聞いていましたが、香りのレベルがそんなもんではありません。言うなら三つ葉の1000倍。鼻腔をマッハで通り抜けて脳髄を直撃する刺激臭。思わずクラクラと眩暈がしました。「パクチーがなくてもおいしいのに。いや、なかったらもっとおいしいのに…」と心の中でつぶやきつつ、屋台のおばさんを恨めしそうに見やりましたが、向こうは「おいしいでしょ?」という自慢顔で微笑んでいました。確かにスープもおいしいし、麺もフレッシュ。しかしねぇ、パクチーはちょっと…。何しろこの時、生まれて始めてパクチーに出会ったわけですから、ちょっと刺激が強すぎました。

パクチーの香りに泣きそうになりながらも、それでもラーメン自体はおいしかったので、パクチーをよけつつスープまで飲み干しました。当然、パクチーは食べられませんでしたが、露骨に地面に捨てるのも悪いかなと思い、丼の底にそっと残しておきました。周りを見渡すと、みんなパクチーをムシャムシャ食べています。それを見てまたゲンナリ。この時点では、自分の意識として、パクチーを食べ物の範疇には入れていませんでした。どちらかというと、トイレの芳香剤の仲間という感じで。

それから1週間、朝はずっとこの屋台に通いました。明らかにタイ人ではないので、すぐに顔を覚えられてしまいます。「たまには違う屋台に」と思っても、おばさんが満面の笑みで、「今日もラーメンでしょ?」と先に丼とお玉を握りしめて目で訴えかけてくるため、素通りできるような雰囲気ではありませんでした。おいしいラーメンなので、別にそれを食べるのはやぶさかではないのですが、やはりパクチーが…。ご飯ものなら、まだパクチーエキスが広がらないと思ったんですけどね。

4日目に、やはりその屋台につかまったのですが (通り過ぎようとしたら大声で話しかけられて…)、今度は勇気を振り絞っておばさんに「パクチー、ノーノー」と繰り返し言ってみました。おばさんは最初キョトンとしていましたが、こちらも身振りを大きくして、パクチーを指さし「パクチーを」、指を口に持ってきて「食べるのは」、手をプルプル振って「ムリムリ」、と、言った、つもり…。

ドキドキしながら丼を待っていましたが、果たして、テーブルに届いた丼には、いつもの3倍くらいのパクチーが盛られていました。パクチーを指さし何やらわめいている自分を見て、よほどのパクチー好きと勘違いしたのでしょうか。ガックシ。もちろん、翌日から3日間、パクチーどっさりのスペシャルサービスが続いたことは言うまでもありません。

まぁ、それから、橋の下をたくさんの水が流れ (←開高健風)、ついに2008年の香港で、ようやくパクチーのおいしさを認めることができたわけです。時間かかったなぁ。

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タイにて思うエチオピア

アジスアベバは2400mの高地で空気が薄く、長期滞在者は時々健康管理のため、空気が濃い低地に下りるよう指導を受けています。よくみんなが行くのはカイロやドバイですが、バンコクにもエチオピア航空 (ET) の直行便があり、日本食の買い出しができるので長期滞在者には人気の旅行先です。ということで、エチオピア赴任中の2006年お正月、アジスからバンコクに旅行に行きました。

それまで何度も乗ったETでしたが、なんとこの時の飛行機は、行きも帰りも5分のくるいもなく、初めてオンタイムで運航されました。前年11月、ザンビアに出張に行った際、アジスからルサカに直行のはずが、「先にジンバブエに降りま~す」というアナウンスとともに本当にジンバブエに降り、結局3時間遅れでザンビアに着いた、なんてことも遠い記憶です。そういえば、アクスムに行ったときは飛行機が飛ばず、1日延泊なんてこともありました。

それはさておき、ETのタイムテーブルを見ると、アジスアベバは見事にアフリカのハブ空港になっていることがわかります。バンコクに行く飛行機も、ナイジェリアやその他の国からのトランジット客が大半を占めています。それ故、飛行機に乗り込むため階段を下りていく時は、手荷物を山ほど抱え、我先にとあわてふためくアフリカ人たちによって混乱を極めます。ドミノ倒しになりそうで本当に危険なのですが、混乱を避けて後からのんびり乗り込んだりすると、自分のシートの上の荷物スペースは当然他の客の荷物で埋まっていますし、他人が自分のシートに座っていることもよくあります。

それと、アフリカの人たちは、ヘッドホンを最大音量で聴く人が多いのはなぜでしょうか。ヘッドホンから漏れてくる音楽で、飛行機の中がいつもかなり騒がしいことになっています。そういう天真爛漫なお客を、もう少しスチュワーデスが毅然とした態度でさばいてほしいのですが、ETのスタッフもいい加減イヤになっているようで、わりとみんな自由に過ごさせています。モコモコとふくれ上がったアフロヘアーに、大きめのクシをかんざしのように差している姿なんてマンガでしか見たことありませんでしたが、けっこうやっている人がいました。

この時のフライトで驚いたのは、アジスを出た飛行機がバンコクまで直行で行って、その先、中国の広東省広州までルートを延ばしていたことです。近年の中国によるエチオピア進出 (アフリカ進出) にはすさまじいものを感じていましたが、ついにフライトもダイレクト便ができていました。バンコクで降りた客は半分ほどでしたから、残りの客はみんな中国ビジネスに出かける人たちだったのでしょう。

午前1時半に定刻通り出発した飛行機は、午後1時半、これまた定刻にバンコクに降り立ちました。アジスとは4時間の時差があるので、トータル8時間のフライトです。アフリカからタイに来た旅行者は、サインボードに従って所定の入国カウンターに行き、イエローカードを提示し検疫を受けなければなりません。エチオピア入国時にはイエローカードは不要ですが、他の国に行くことを考えると、結局イエローカードは必須となります。

初めてタイに旅行したのは、1988年のことです。この時はカタールに赴任していたのですが、同じ地球上でもずいぶん違う世界があるんだなぁと、ずいぶんため息が出た記憶があります。その後も中東での仕事が続き、何度か一時帰国の際などにタイに旅行しましたが、数年おきに旅行するバンコクは、行くたびにどんどん発展していると感じます。特にこの時度肝を抜かれたのは、Siam Centerの横に新たにオープンした Siam Paragonです。

BTS Siam駅の通路からこのショッピングセンターに入ると、噴水や高級スポーツカーのディスプレイにまず驚かされます。地上階には他のショッピングセンターと同じくフードコートがありますが、面積がかなり広く、また他店に比べると全体的におしゃれな感じで、若者から家族連れまでいろいろな人たちでどこも混み合っていました。そして地下には、なんと水族館があります。入場料がタイの物価に比べたら高目の設定で、また時期が時期だけに入場者の多くは外国人旅行者でしたが、まちがいなくバンコクの観光新名所になると思いました。

この時の旅行では、とにかくBTS (高架鉄道) やMRT (地下鉄) が便利で、昔感じたバンコクの交通渋滞の不便さを一切感じませんでした。前に来たときはよくトゥクトゥク (三輪タクシー) を使っていたのですが、電車は渋滞知らずの上、車内は冷房がよく効いています。さらにSiam CenterやEmporiumなど、主要なショッピングセンターにはいちいち地上に降りなくても高架駅の通路から入れます。トゥクトゥクは情緒があって結構好きなので今回もあえて1回乗りましたが、電車の快適さと比べると天と地ほどの差がありました。トゥクトゥク運転手も商売あがったりでしょう。このバンコクの風物詩も、いずれ消えていくんでしょうか。

バンコクで一番悲しかったのは、食べ物がおいしすぎることでした。エチオピア料理もかなりおいしいとは思いますが、それも「アフリカの中では」という枕詞付きです。この旅行でもトムヤムクン、グリーンカレー、カニカレー、エビチャーハン、フカヒレスープなどなど、毎日食べたいものをお腹いっぱい食べました。そのどれもがあまりにおいしくて、エチオピアに帰ったあとのことを想像しては悲しくなったものです。ただ、どこで何を食べても全部おいしいということでもなく、やはりガイドブックに従って人気の店を選んでいく必要はありました。

それにしても、バンコクの外食産業の隆盛ぶりは目を見張るものがあります。屋台、レストラン、フードコートなど、食事ができる場所はそれこそごまんとあります。しかも、エチオピアに比べても、ずっと安くおいしいものが食べられます。1988年の旅行から、バンコクに行くたびに食べているのが、MBK (マーブンクロンセンター) のフードコートにある、豚足の煮込みをかけたご飯 (カオカームー) です。この時は1皿40バーツ (120円) と少し値上がりしていましたが、あいかわらずのとろけるおいしさでした。1食100円の食事も、あるいは1食5000円の食事でも、それに見合った満足感が得られるのがタイの魅力でしょうか。

年々、目に見えて変わっていくバンコクの街ですが、この時は特にその発展ぶりに圧倒されました。ただ、実際のところ「本当にこのペースでずっとやっていけるの?」という不安を覚えたのも事実です。新しいショッピングセンターはどこも人で満杯でしたが、買い物袋を抱えた人は実はあまり目にしませんでした。ショッピングセンター自体がきれいすぎて、維持費もだいぶかかりそうです。もちろん、そのあたりは十分計算しているのでしょうが、他人事ながら心配になってしまいました。

しかし、タイとエチオピアのこの埋めがたい差はどこにあるのでしょう (あるいはアフリカとアジアの差と言っても良いでしょう)。もともと国内に流通しているお金の総量が違うのがまずひとつ。やはりお金は天下の回り物ですから、回っていくお金の総量がそもそも少ないエチオピアでは、その点から不利です。また、タイではお金を使う場所がいくらでもあります。食事、買い物、観光、エステ、観劇、スポーツ観戦、宝くじ、等々。地元人でも外国人でも、お金がいくらあっても足りないくらいです。

エチオピアの場合、お金がないのが先かもしれませんが、お金を使いたくてもあまりそういう場所がありません。外食はいまいち、遊園地もなく、ショッピングセンターもありません (ないことはないですがたいしたものを売っていません)。観光名所として地方に世界遺産がありますが、アクセスが悪い上に現地のホテルもいまいちで、こんなに観光しづらい国はそうそうないと思います。他にアジスアベバで一応産業と呼べそうなものはせいぜい飲み屋ですが、どこもたいして賑わっていません。そもそもウイスキー水割り1杯が7ブル (90円) 程度と格安なので (エチオピア人には贅沢価格ですが)、どんなに繁盛していてもそんなに儲けにはならないそうです。

まぁ、総じてエチオピア人は真面目だということでしょうか。しかし国が発展していくためには、(極めて資本主義的な考え方ですが) 国民がどんどんお金を使ってくれなくてはどうしようもありません。例えば国営で、総合娯楽センターのようなものを造るというのはどうでしょう。税金も期待できるし、少なくともエチオピアにいる外国人は、お金を使いたがっていると断言できます。もちろん、毎年100万人が飢餓にあえいでいるという現実を考えれば、それも不謹慎な話なんですが。うーん、難しいですね。でもタイだって貧しい時代はあったわけですから、何がここまでの差を生んだのでしょうか。研究に値するテーマですね。

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2008年4月20日 (日)

タイ写真

タイの写真をマイフォトにアップ。タイには1988年から2006年まで、5年おきくらいに全部で5回行きました。中東から南回りで日本へ帰国する途中、1週間ほど立ち寄るパターンが多かったです。サウジアラビア (リヤド) のように極度に乾燥していつも砂埃をかぶっているような土気色の街からバンコクに行くと、その活気溢れる街並み、湿度を含んだ重い空気、総天然色のお寺の鮮やかさなどが渾然一体となって、まるでパラダイスに来たかのような錯覚に陥りました。この50年ほどの間に、ある程度都市計画に基づいて造られたペルシャ湾岸諸国の街並みが持つ、整然としているけれど、どこか人工的で取っつきにくい印象とは大違いです。飛行機に乗ってわずか8時間ほどで、これほど別世界になってしまうんですね。

今回、タイの写真を整理していたら、バンコクで買ってきたかっぱえびせんがアジスアベバでは気圧の変化で袋がパンパンになった、という写真が出てきました。かっぱえびせん好きなんですね、我ながら。

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2008年4月18日 (金)

インドネシアのパチパチタバコ

学生時代、日本語科にインドネシア人の留学生がいて、半年ほどの間、他の友人たちと一緒になって毎日のように遊んだりご飯 (自炊) を食べたりしていました。そして彼のアパートの押し入れの中には、それこそ山のような「ガラム」が。これは正式には「Gudang Garam (塩の蔵)」という名前で、インドネシアの国民的タバコです。クローブ (丁字) がブレンドされていて、火をつけて吸うとパチパチ (Kretek) と音をたてるため、クレテックとも呼ばれます。これがまた南国のタバコらしく、ネットリと甘い良い香りがするので、こちらは興味津々。しかし「1本ちょうだい」と言うより早く、彼からガラムを差し出されました。これがガラムとの出会いです。

その後、ガラムとはつかず離れずといった関係で、何年かインターバルをおいて、急にふと吸いたくなったりしました。もっとも、タールがかなりきついので、吸うというよりはいつもプカプカパチパチと煙をふかしている程度。むしろその香りの方を楽しんでいました。逆に自分で吸わなくても、隣で誰かが吸っていればそれで十分、あるいはガラムの香りをプンプンさせたインドネシア人が、横にいてくれるだけでも良いくらいです。学生時代の友達も、彼が学食に入ってくると、「来た!」と誰もがわかるくらい、ガラムの香りが染みついていました。いや、本当に良い香りでした。

鳩のヒナが残念なことになって、このところ少し落ち込んでいました。そうしてふとガラムの香りが恋しくなり、ちょっと考えた後、おもむろに台所にあったクローブを取り出し、火をつけてみました。結果は、うーん、惜しい。近い、けっこう近い香りです。ただ、ガラムも単にタバコ葉とクローブを混ぜただけではなく、甘い香りのフレーバーもブレンドされているのだそうです。「やっぱりダメか」と思って、昔バトハスークの一角でガラムを買った記憶をたぐり、買い物に出かけることにしました。

バトハスークはリヤド市中心部にあり、ありとあらゆるお店がゴチャッと固まっているような場所です。昔からそのゴチャゴチャ加減はすさまじく、渋滞と路上駐車がひどいためなかなか自分で車を運転して行くような気にはなりませんでした。しかし今回はガラムのためです。12年ぶりのバトハは、あまりに雰囲気が変わっていて、たどり着くまで (たどり着いたのにそこがそうだと気付くまで) ちょっと時間がかかりましたが、車を路駐して最初に入ったお店ですぐにガラムを見つけました。家に戻ってすぐに1本火をつけると、久しぶりの甘い香りに癒やされました。でもやっぱりきつい。もともとタバコ苦手だし。今度は香炉を買ってきて、そこでほぐしたガラムを焚いてみようかな。

ちなみに、写真のお菓子もバトハで買ったものです (マレーシア製)。バトハはアジア系の雑貨もいろいろ売っているので、通ったら面白いだろうなと思います。それにしても、かっぱえびせんて偉大ですね。いろいろな国でこうやってフォロワーを生んで (パクリとも言う?)。でも、この辛いかっぱえびせんはかなりおいしかったです。

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2008年2月15日 (金)

香港の「ずとてのぺうくろ」

「いらっしゼいませ」も微妙におかしいが、「ずとてのぺうくろ」とは一体何なのか。

ヒントはおそらく2枚目の写真にある「男の楽園」。「ずとての」=「おとこの」でほぼ間違いないが、「ぺうくろ」と「らくえん」を結びつけるのはなかなか難しい。まず何かの拍子に一文字ずれてしまい、「うくろ」=「らくえ」。「ぺ」と「ん」は、うーん、似ていると言えば似ているかも。あるいは、「ぺうくろ」=「んえくら」かもしれない。ということで、「ずとてのぺうくろ=男の楽園」。これが今のところの結論です。誰か正解を知っている方はいませんか?。というか、誰か言ってあげたら? >香港在住の人

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香港のヘンな看板

「伊藤家の」 (いや、だから伊藤家の何なの?)
「即戦力!高級錦鯉」 (錦鯉の即戦力って??)
「美珍香」 (ビーチェンヒァンと読みますが…)

最後のはお下品でした。失礼!

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2008年2月14日 (木)

香港写真 2

香港写真2をマイフォトにアップ。夜の写真と食べ物中心。旧正月だったので街は人の洪水でした。夜になると俄然妖しい雰囲気が増しますね。みんなお祭り気分て感じ。食べ物は、こうして見ると安いものばかり。でもどれもおいしかった。

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2008年2月13日 (水)

香港写真 1

香港写真1をマイフォトにアップ。昼間の写真中心。香港と言えば道路に張り出す大量の看板というイメージがありますが、期待に違わず看板だらけでした。満足満足。九龍側でも建物の密集度はかなり高いと思いましたが、香港島ではさらにその密度が増していました。しかもビルが高い。いきなり縦写真ばかりになりましたから。中環、上環ではずっと上を見上げていました。香港人も、「上の住人になりたい」とみんな強烈に思っているんでしょうね。

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2008年2月12日 (火)

中国語の学習

香港行きを決めてから、自分が知っている中国語が「ニイハオ、シェーシェー、サイチェン、ハオチー、メイヨー」だけだということにあらためて気がつき愕然としました。これではいけません。早速インターネットで中国語学習アイテムを検索したところ、iTunesミュージックストアに「サバイバルのための中国語 −入門編−」というオーディオブックがあったので即購入。iPodに入れて毎日少しずつ聞くことにしました。

その後「eureka!」のホームページにテキストが載っていることも発見し、旅行までの10日間になんとか一通りの例文を覚えました。もちろん、短期間で覚えられるくらいですから、例文の量はそんなに多くはありません。というかかなり少な目。ごく基本的なフレーズ、しかし厳選されたものだけがピックアップされています。さて、香港ではどの程度役立ったのか。以下、実際に会話したにわかスピーカーの記録です。もちろん全部「サバイバルのための中国語 -入門編-」からです。

■あいさつ
・ニイハオ (こんにちは)
・ニイハオマ (元気ですか)
・フンハオ (元気です)
・シエシエ (ありがとう)
・ツァイチエン (さようなら)

※これらは普通語 (標準語) なので、香港人が話す「広東語」とは違うのですが、あえて広東語を学習するより標準語を習った方が良いとのことだったので、今回は素直にそうしました。もちろんみんなわかってくれます。発音は四声も含めてがんばって覚えました。これらのあいさつは毎日いろいろなところで多用しましたが、あいさつだけでもこうやって中国語で話すと、なんとなくその場の雰囲気が良くなるような気がしました。ちなみに、四声もあるしカタカナでは表記しきれない音もあるので、これらのカタカナ表記は便宜的なものです。

■レストランにて
・シャオジエ (ウエイトレス)
・シエンシェン (ウエイター)
・ウォーヤオチェーグ (これください)
・メイヨー (ありません)
・マイタン (お勘定)

※レストランではメニューに値段が書いてありますから、ウエイトレスを呼んで「これください」とメニューを指差すだけで注文できます。無言で指差しするよりはスマートですね。ウニを頼んだときは「ありません」と言われがっかりでした。「粗菜館」では珍しくメニューが漢字のみで、英語表記も料理の写真もなかったため、ウエイターを呼んで店の外に連れだし、おいしそうな料理の写真を指差し「これください」。ちょっと格好悪かったですけど、おいしい料理が食べられるならこれくらい平気。

■夜店にて
・ウォーヤオチェーグ (これください)
・トゥオシャオチエン (いくらですか)
・シーウークァイ (15HK$)

※夜店で「豆腐花」を買ったときの会話です。値段は書いてありませんから「いくら?」と聞かなくてはなりません。また、もし数字を知らなかったら大きめのお札を渡し、適当にお釣りをもらうしかないでしょう。なので、たったこれくらいでも知っているとかなり買い物が楽になります。値段を言うとき「元 (ユエン)」ではなく「クァイ」を使うということも習っていたので、初心者にしてはスムースに買い物できました。もちろん、ここで一声値切るべきだったかもしれません。ただ、「ヌンブヌンピェイディエン (まけてくれませんか)」の発音が難しく、伝える自信がまるでなかったので、言い値で払ってしまいました。

■骨董品市場にて
・チェーグトゥオシャオチエン (これいくらですか)
・サンパイパー (380)

※上環の摩羅上街でのやりとり。「サンパイパー」は漢字で書くと「三百八」ですが、308ではなく380のことを表します。308はサンパイリンパー。実はこの380という数字、「サバイバルのための中国語 -入門編-」の例文とまったく同じ数字でした。このおそるべき偶然に感謝。ちなみに、もともと買う気がなかったので「ありがとう」と言ってその場をそそくさと離れました。

■タクシー
・ウォーシァンチューチャー (ここに行きたい)

※山頂 (ビクトリアピーク) からタクシーに乗り、文武廟に行くためガイドブックの地図を指差し「ここに行きたい」とひと言。運転手は大きくうなずき「マンモーミュー」と言っていました。この運転手がけっこう英語を話す人だったので、寺に着くまでの20分ほどの間いろいろな話をしましたが、今年の香港は10年ぶりの寒さだと言っていました。どうりで寒いわけだ。

■マッサージ店にて
・チンディエン (もっと軽く)
・シューフ (気持ち良い)
・シンクーラ (お疲れ様)
・ウォーヤオシュイ (水ください)

※初日に足マッサージを受けたとき、かなり痛く感じたので思わず「軽く」と口から出てしまいました。イメージトレーニングの賜ですね。そして終わった後は「お疲れ様」。また、マッサージを受けた後はのどが渇きます。どの店でも冷温水器を置いてあるので、毎回頼んでいました。実はもうひとつ、店内の大画面テレビに映った尖沙咀の映像を指差し「チェーグ、シェンツァイ? (今)」とも言いました。「ライブ映像なの?」と尋ねたつもりでしたが、伝わったかどうか…。楽しそうな画だったのでライブだったらすぐに行ってみようかなと思っての質問でした。いずれにしろ、返答は中国語 (広東語?) だったので意味はわかりませんでしたが、そのニュアンスから、録画映像だったみたいです。

■あるお店の前で
・シュウシ (休み)

※ホテルの近くでフカヒレ屋を見つけました。残念ながらシャッターが下りていて、それでもしばらくじっと店の前に立っていたら、横にいたおじさんが「○△◇☆…シュウシ…○△◇☆…イーアルサン…○△◇☆…」と話しかけてきてくれました。たぶん「正月三が日は休みだよ」と教えてくれたんだと思います。

■その他
・ウォーティンブドン (わかりません)

※特にマッサージ店で、ひと言ふた言中国語を話すと、機関銃のように中国語で何かを話しかけられるのですが、さっぱりわからないので素直に「わかりません」と言いました。もしかしたらこれは「聞こえない、聞き取れない」という言い方かもしれませんが、とにかくわからないということは伝わるようです。いつもそこでピタッと話が途絶えてしまいましたから。ま、仕方ないですね。

以上、香港で話した中国語会話のすべてです。「たったこれだけ?」と言うなかれ。自分にとっては「こんなに!」というくらいの達成感がありました。にわか勉強にしては上出来でしょう。というか「サバイバルのための中国語 -入門編-」がすごいのかな。まさに必要にして十分。わずか数百円の投資でこれほど大きな満足感を得られるとは。講師の山崎こずえさんに感謝です。

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2008年2月11日 (月)

旧正月の香港 5

2月10日。朝10時前にホテルをチェックアウト。地下鉄で尖沙咀まで行き、再び「糖朝」へ。10時開店のところ、10時15分に店に着くとすでに8割方席が埋まっていました。1軒手前のレストランもすでに行列ができていたし、この時期、香港でご飯を食べるのはなかなか大変な作業です。一番奥の席に座り、注文用紙にメニュー番号を記入して、甘い物×2と点心×3を注文しました。5分ほどすると、まずマンゴープリンと蓮の実入り黒胡麻汁粉が出てきました。確かに甘い物は作り置きできるから注文してすぐに出るのは当たり前なんでしょうけど、順番てものを少しは考えて欲しかった…。

マンゴープリンは南国のフルーツらしいまったりした風味とフレッシュな甘さが口の中に広がり、さすがのおいしさ。濃いです。果肉もたっぷり入っていました。お汁粉は甘さ控えめながらけっこうこってりで、この一品だけでも十分満足できる仕上がり。しかし先にデザートを食べると思いの外満腹感が出てしまいます。気をつけながらひと口ふた口とのんびり食べることにしました。

15分ほどして、ようやくエビ餃子が来ました。正直言うと「鶏足の甘辛煮乗せご飯」がまず来て欲しかったのですが…。点心の中でもこの鶏足は大好きな一品です。どの店でもいつでも置いてあるというわけではないので、何年かに一度しか巡り会わないのですが、久しぶりに食べられると喜んで注文しました。ちなみにエビの蒸し餃子2種は、可もなく不可もなく、というかどこで食べてもハズレなくおいしいので、逆に特別においしいと思うことも滅多にありません。あっという間にパクパクと食べてしまいました。そして、ひたすら鶏足ご飯を待ちました。5分たち、10分たち、20分が過ぎ…。ここで我慢の限界。

入店したとき英語で (と言っても"This way" くらいだけど) 案内してくれた黒服を呼びました。「まだ来ていない品がある」と英語で言っても、何かさっぱりわからないという素振り。メニューを指さして「これこれ、鶏足ご飯がまだ」と言ったら、手をバッテンにしてごちゃごちゃ言っています。そしておもむろにご飯メニューのページの上に小さく書いてあった「11:30~」という文字列を指さしました。……なんだ、そういうことか。……だったら先に言ってくれーーー!!。あぁ時間損した。あまり時間がなかったので、結局ご飯はあきらめて店を後にしました。次に鶏足に出会うのは何年後になるでしょう…。

店を出て、今度は足マッサージ。また「康恵 (Hong Wai)」に行きました。足35分+肩首腰15分で150HK$ (2100円) は、初日に行った旺角の店より2割以上高いのですが、店内は明るく清潔感があるし、何よりマッサージが丁寧で良く効くので、断然こちらの方が良いです。店のチラシに足裏ツボの反射区が書いてあるのもグッド。店内は常にお客が絶えません。ここで、3日間の旅行の足腰の疲れを癒やしました。実は「ロウソクを使った耳垢取り (45分 80HK$)」というのにものすごく興味があったのですが、今回はあと一歩勇気が出ず試しませんでした。次回に持ち越し。

マッサージの後、地下鉄に乗って対岸の中環駅へ移動、連絡通路を歩いて香港駅へ。エアポートエクスプレスのチケットを100HK$で買ってから地上階に上がり、サウジアラビアに戻るフライトのチェックインを済ませました (In-Town Check In)。なかなか便利なシステムです。4時半のフライトまで3時間あるので、近辺で軽く何かを食べようとシティーホールに向かいました。結局、ホール内のレストランは順番待ちのお客でごった返していたため、そこで食べるのはあきらめましたが。

それにしても、香港駅からシティーホールへと続く道に、延々とフィリピン人らしき女性たちが座っていたのには驚きました。最初はコンサートの入場待ちかと思ったほどです。さらにシティーホール建物の周辺と中庭にも、何百人もの女性がいました。それぞれ5~10人のグループですが、それらがあちこちに陣取り、段ボールを敷いてお弁当片手におしゃべりやトランプに興じている様は圧巻のひと言。一瞬ここはマニラかと目を疑いました。出稼ぎのメイドさんたちでしょうか。日曜だったし。

彼女たちを横目に、歩道橋を通ってスターフェリーの波止場に行きました。香港島から九龍側を見ると、なかなかに美しい眺め。綺麗な高層ビルが建ち並ぶ風光明媚な港湾都市、といった風情です。しかし実際には、あのビル群の下の通りはいかがわしい看板であふれ、八角と油とドブと排気ガスの匂いにまみれているわけです。美しさと醜悪さ、知性と下世話、近未来と過去が同居している不思議な街、香港。その魅力 (魔力?) は尽きることはありませんが、ここを訪ねる人間もそのパワーを受け止める覚悟 (あるいは軽く受け流す度量) が必要かもしれません。個人的には、10年に一度くらいの訪問で良いかな。香港に住んでいる日本人は本当にすごいと思う…。

波止場のパン屋さんでチャーシュー入りパンとポークカレーパンを買ってから香港駅に移動。お金がまだ少し残っていたので、駅ビル内の「大家楽」で「鴨肉乗せご飯」を買って急いで立ち食いしました。鴨肉は赤身で鶏よりもずっと身がしまっていて、ずいぶん食べ応えがあります。脂身も多く、もっと良いレストランで食べたらさらにおいしいんだろうなと思いつつも、こういうテイクアウトの店でも十分おいしいと感じました。ただしお米は今イチですね。全然香りがない。同じ長粒米でも、ちゃんとしたお店で食べる白飯は、ふわっと良い香りが立ち上ってきます。そういうお米は「ジャスミンライス」とか「香り米」とか言うんでしょうか。まぁ、こんな場所でそこまでは求めませんけど。

空港行きの鉄道、エアポートエクスプレスはとても快適でした。車窓の風景を楽しむほどの時間もなく、30分弱で空港に到着。出国手続きもさっと終わり、ボーディングの30分前にはゲートに着きました。飛行機はオンタイムで出発。バハレンに降りるので、香港からリヤドまで、結局丸々12時間かかりました。行きは8時間ちょっとで着くんですけどね。気流の関係とかあるんでしょうか。でも、足マッサージを受けていたからあまり疲れもたまらず、なかなか快適な空の旅でした。あ、亀ゼリー食べるの忘れていた!

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2008年2月10日 (日)

旧正月の香港 4

2月9日 (旧正月3日)。なんとか9時起床。朝食は女人街の「極之好粥麺」。この店、香港でもっとも愛されているインスタント麺「出前一丁」を使った料理コンテストで優勝という栄誉に輝き、その名も「香港B級グルメ界の覇王」。ただ、お店に入ってわかったのですが、売れ線メニューは汁そばではなく出前一丁の麺を使った焼きそば、そして値段は30~40HK$とけっこう高め。朝から焼きそばは胸焼けの可能性大だし割高感もあったので、他にも評判の魚のアラのお粥とエビワンタンスープを頼みました。魚のアラはおいしいですね。ダシがたっぷり出て。お粥も時間をかけて煮込んであり、とてもまろやかで優しい味。朝のお腹にはもってこいです。

エビワンタンは壁の張り紙の写真を見て急遽追加注文したのですが、エビと豚肉がギュッと詰まった大振りなワンタンは、朝食べるには少々ヘビーなほど濃厚な味わいでした。でももしかしたらスープは出前一丁をベースにしているかも。お店の厨房には焼きそばが山のように (本当に山のように) 盛られていましたから、スープがたくさん余っているはずだし。もちろん、もっと複雑で奥深い味わいでしたけど。朝から満足&満腹。ちょっと食べ過ぎ。

朝ホテルを出るまでは特に予定は立てていなかったのですが、前日とうって変わって天気が良く、これならばとビクトリアピークに行くことにしました。まずは地下鉄に乗って中環 (Central) へ。少し坂道を上り、ヒルサイドエスカレーターに乗りました。これは映画「恋する惑星」にも登場した世界一長いエスカレーターです。全長800m (短いものが連結されている)、高低差135mで 、途中でバックの街の景色を楽しみながら、鼻歌まじりで快調に上っていきました。しかし一番上に着いてから、今度はピークトラム駅までくねくねした道を20分歩くことがわかり、ちょっと弱気に。多少道に迷いながらもなんとか駅にたどり着くと、みんな考えることは同じで、トラムのチケットオフィスの前には長蛇の列ができていました。

ピークトラムには乗りたかったのですが、ここで何十分もロスすることになりそうだったので、タクシーを捕まえさっさとピークに上がることにしました (と言ってもなかなかタクシーが捕まりませんでしたけど)。ピークには立派なショッピングセンターができていました。お正月っぽい飾り付けが施され、あちこちで歓声があがっていました。一番高い展望台が有料 (10KH$=140円) なのにはみんな少し不満顔でしたが、展望台に上るとそんなことはあっという間に忘れてしまうのでしょう、眼下に広がる素晴らしい景色にみんなかなりテンション高めでした。残念ながら少し霞がかかってきてしまい、あまりくっきりした風景は見られませんでしたが、気分は爽快そのもの。元気が出てきたのでもう1ヶ所観光することにしました。

タクシーに乗り込み、上環 (Sheung Wan) の文武廟へ。これは1847年に建立されたと言われる香港最古の道教寺院で、学問の神様である文昌帝と三国志で有名な関羽の文武二神が祀られています。現場に到着すると、2ヶ所の入り口に200人くらいずつ行列ができていました。ここでもまた行列です。みんな中国本土からの観光客かなと思っていましたが、30分ほど並んでようやく中に入ると、みんな長いお線香に火を着けて一生懸命お参りをしていました。カメラを出している人間は自分ひとり。やはりみんな観光ではなくお参りをしに来たんですね。ところでこのお寺、渦巻き型の巨大線香でも有名です。中はものすごい煙でむせそうになりました。

文武廟のすぐ下には骨董品屋が立ち並ぶ小さな通りがあります。さすがに旧正月なのでお店は半分も開いていませんでしたが、なかなか面白そうな物が並んでいました。ここで時間は午後2時。そろそろ昼食を食べたいと思って、文武廟の前を通る荷季活道 (ハリウッドロード) を中環側に移動、いくつか目当てのレストランを決めて歩き始めました。ところが、九龍側と違ってこちらはほとんどのお店が閉まっています。レストランもその例に漏れず、期待していた4軒とも旧正月の三が日は休業の張り紙が。がっかり。仕方なく、地下鉄に乗って九龍に戻ることにしました。

佐敦で電車を降り、目指したのは「粗菜館」。香港一の美食家として有名な蔡瀾氏による、広東の伝統的な家庭料理が食べられるお店だそうです。しかし店内はガラガラ。一瞬、失敗したかなと思いましたが、蜜味東坡肉 (中国風豚の角煮)、招牌炒猪什 (豚のレバーとモツの炒め物) はともに素晴らしいおいしさでした。二皿とも量が多く、きっと残すだろうなと思いつつ食べ始めたのですが、一口食べるとまた次の一口が欲しくなる、食べても食べても飽きが来ない味には、「中華料理は脂っこくてくどくて、おいしいけれどあまりたくさん食べられない」というこれまでの考えがガラリと変わりました。というわけで、あっという間に完食。いやはや、お腹いっぱい。ちなみに、白ご飯にはラードと中国醤油が付いてきましたが、さすがにそれをご飯にかけることはしませんでした。

帰りがけにおやつとしてヤマザキパンでエッグタルトを買ってホテルにもどり小休止。夜はなかなかお腹がすかず、6時半頃からランガムプレイスなどをぶらぶらと散策、2時間ほど時間をつぶしていました。しかし、いざどこかお店に入ろうと思ったらどこも満員かつなかなかの行列。さらに、少しでもあっさりした物をと考えていたので、入れそうなお店が全然見つかりませんでした。さらに30分ほど歩いていると、「楽園牛丸大王」という麺屋のメニューに「手漉魚麺」の文字が。「これだ!」と思ってすぐ店に入り迷わず注文。言ってみれば魚肉ソーセージを細切りにしたような麺のラーメンですが、こちらは手作り麺。もっと味が濃くて噛み応えがありました。スープも魚介のダシであっさり。パクチーのほどよいアクセントもナイス。一緒に頼んだ激甘のアイスコーヒーも、香港の雰囲気にバッチリ合っていました。あぁ、おいしかった。で、ホテルに戻り就寝。

ちなみに、旧正月3日目になって、昼間に通りを歩く人の数が急に増えたように感じました。香港人が外に出始めたのか、ホテル代が最も高い年始をずらしてさらに中国人観光客が押し寄せたのか。初日の閑散とした雰囲気も良かったですが、目抜き通りを歩くのも押し合いへし合いというこんな感じも香港らしくて良かったです。


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旧正月の香港 3

2月8日 (旧正月2日)、夕方6時にまた王家沙で夕飯。蟹肉入り小龍包、エビあんかけ堅焼きそば、ゴマ餡団子の3点。小龍包をパクリとほおばると、熱々の肉汁がジュワーッと広がり口の中はやけど寸前。頭がカーッと熱くなり汗は出るし涙目になるし。でもそれをハヒハヒ言いながら食べるのが最高においしい!。堅焼きそばはどん兵衛のような平麺をカリッとキツネ色に揚げてあり、まったく油臭さはなく、食感も軽くさほどしつこくありません。上にかかっているエビあんがまたおいしくて、麺の香ばしさとエビのプリプリ感であっという間に3分の2たいらげてしまいました (その後は正直満腹になってしまった)。デザートのゴマ餡団子は、たぶん黒糖を使っているのか、とても深い滋味のある甘さで、満腹のお腹にスッと入っていきました。

7時に店を出て、尖沙咀に向かいました。対岸の香港島のビル群がライトアップされるのを見に行くためです。ただ、この日は格別夜風が冷たく、地下鉄でサッと行って波止場であまり長く待つのも嫌だったので、腹ごなしもかねて歩いていくことにしました。旺角から油麻地 (Yau Ma Tei)、佐敦 (Jordan) と歩いていくと、しだいに人の数が増えてきました。佐敦を過ぎ、もうすぐ尖沙咀という所に来ると、明らかに数千人の人が同じ目的地を目指して歩いているのがわかりました。「この人数が波止場に行ったら場所取りが大変だ」などと考えつつ歩いていましたが、ペニンシュラホテルまで来ると、そこで人の流れが止まってしまいました。

どうも、バリケードが張られてそこで止められているようです。本当なら地下道を通って海の方に渡るのですが、そこも警官が止めていました。時間はもうすぐ8時。前後を見渡すと、軽く1万人くらいの人が集まっています。予定とは違いましたが、これだけ人がいるということは何らかのイベントがあることは間違いありません。もう動くのも面倒だったので、群衆の中で事が始まるのを待つことにしました。そして15分くらいたったとき、突然「ドドーン」という音が鳴り、群衆の目の前にあるドームの向こうが明るく輝きました。打ち上げ花火です。

「おぉーっ」という歓声があがるとともに、「ドームが邪魔だ!」と (言っていたんでしょう、中国語で) 悲鳴にも似た声が周囲から漏れ始め、それまでギュウギュウに詰まっていたその場所から、みんな慌てて左右に移動し始めました。いくら左右に移動しても、結局建物が邪魔なことには変わりなかったので、スカスカに空いたその場所で、時々他のよりも高く上がる大きな花火を見て楽しむことにしました。時間にして20分くらいでしょうか。かなりの花火が打ち上げられました。邪魔な建物にイライラしながら見ている我々を尻目に、右手上方にはペニンシュラホテルがあり、上の階の窓越しに悠々と花火を楽しんでいるセレブな人たちが本当にうらやましかった…。

花火がそろそろ終わりそうな気配だったので、少し早めにその場を離れようと人混みをかきわけつつ移動していくと、ちょうどクライマックスという感じで一気に花火が打ち上げられました。少し後ろに移動していたので、最初よりもずっとせいせい見ることができたのは不幸中の幸いでした。しかしそこから帰るときの人の数ったら!。これだけの群衆を見たのは久しぶりでした。「やっぱり中国には勝てないな、この数には負ける」となんだかそう思った次第です。帰りは地下鉄にしようか迷いましたが、何百人も地下鉄になだれ込んで行ったのであえなく断念。冷たい夜風をあびながら、また歩いて帰りました。

しばらくホテルで休憩した後、ちょっと夜食が欲しくなったので、また女人街方面へ。しかし行ってびっくり。夜も更けたというのに、何千人もの人が通りにひしめいています。みんなの目当ては屋台の食べ物。イカ焼き、揚げ豆腐、スープ、甘い物などなど、まるで縁日の夜店のように、とことん人でごった返しています。ただ、全体的にこってりした物が多かったので、何かあっさり系はないかとさがしていたら、ありました「豆腐花」。夜食にはちょうど良い豆腐のデザートです。作りたてでまだ暖かいそれに黒砂糖をたっぷりかけて、あっという間にいただきました。絹ごし豆腐よりももっと滑らかな口当たりで、大豆の甘さもほんのり感じられる、なかなかの一品でした。


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2008年2月 9日 (土)

旧正月の香港 2

2月8日 (旧正月2日)。午前10時起床。もう少し早く起きたかったのにこの時間。でもサウジ時間ならまだ朝5時だからがんばったほうかな。ホテルを出て朝食のため女人街方面へ歩き、昨日の晩、この界隈で一番にぎわっていたお店「明苑粉麺茶餐廰」へ。お粥を食べたかったのですが、150種類くらいあるメニューをざっと見渡しても粥の文字がなく、あきらめて本当はお昼に食べようと思っていたエビワンタンメンを注文しました。細くて黄色いチリチリの麺に、プリプリのエビワンタンが6個。この麺は固かったり臭かったりと、これまでにけっこう当たりはずれがあったのですが、この店はバッチリでした。

麺は細いのにシコシコ、しかし嫌な固さはなく、プツンと歯切れが良い。臭みはまったくなく、薄味のスープに良く合っていました。シンプルな白湯スープはいくら飲んでも飽きが来ないすっきり味。逆に、スープだけではやや単調な感じもしますが、スープに浮かべられたパクチーと一緒に口に運ぶと、その都度新鮮でエキゾチックな香りが鼻腔を抜けていきます。実はこれまでパクチーは苦手でしたが、今回初めてパクチーをおいしいと思いました。タイのパクチーよりまろやかなのかな。エビワンタンは、もう何も言うことがないくらいおいしかったです。さすが、看板に「雲呑大王」と書いているだけあります。

朝食後、女人街を通り抜けて金魚街へ。その名の通り、一帯に金魚屋がズラーッと軒を連ねています。残念ながら空いていたのは数軒だけでしたが、店頭では地元の人がひたすらじっと金魚を見ていました。模様の良いものをさがしているのでしょうか。縁起物としての金魚人気の高さを少し想像できました。金魚街をうろうろした後は、もと来た道をもどり花園街街市へ。ここは公設市場で、1階と2階は肉、魚、野菜、果物などの売り場、3階はフードコートになっています。しかし事前の情報通りここも旧正月のためほぼすべて閉まっていました。

そうこうしているうちに時間は12時半になりました。ちょっと小腹が空いてきたので、この市場の隣のレストラン「香港仔魚蛋粉」に入り、牡蠣と挽肉 (あるいは極少肉団子?) のお粥を注文。メニューにあったウニ刺しは残念ながらありませんでしたが (隣の市場が休みだから…)、牡蠣のスープがびっくりするほど濃厚で、最後の一口まで堪能しました。しかし香港は食堂から屋台まで食べ物屋には不自由しません。香港人の家には台所がないというのは本当なんでしょうか。家庭に台所がないから外食産業が発展したとも聞くし、外に食べる所がたくさんあるから家で料理する必要がないとも聞くし、どっちだろう。

ここからは、日頃の運動不足解消のためひたすら歩きました。尖沙咀 (Tsim Sha Tsui) まで、ネイザンロードと裏の道を出たり入ったりしながらのんびりと、街の写真をパチパチ撮りながらの気楽な散歩です。今回ものすごく久しぶりに香港を訪れましたが、もう昔ながらの建物はほとんど見られず (道の看板は相変わらずですが)、たまにあってもバックには高層ビル群の林立が見えたりして、その新旧のコントラストが面白くもあり、やるせなくもありました。もうすぐこういった古き良き時代を感じさせる建物はなくなってしまうんでしょうね。

ネイザンロードを突き当たりまで行くと、ペニンシュラホテル横の地下道を下り、そごうを抜けて反対車線の方へ。海沿いの遊歩道「星光大道 (Avenue of Stars)」を歩くと、海の先には香港島のビル群が見えます。この日は白く霞がかかっていて対岸はあまりよく見えませんでしたが、やはり観光客が多く、大変な賑わいでした。この歩道には香港・中国映画スターの手形とサインが刻まれています。ハリウッドにもあるやつですね。一番人気はやはりジャッキー・チェン。大人も子供もそれを見つけると「成龍 (ツェン・ロン)」と言って手形に手を乗せ記念写真を撮っていました。ブルース・リー、ジェット・リーも人気でした。

遊歩道の中ほどにあるブルース・リーの銅像の前では、その型をまねて記念写真を撮るのがお約束。中国の人たちが次から次へと「アチョー!」と言いながら写真を撮ってもらっていました。撮った後にみんな「あぁ、恥ずかしい、やっちゃった」みたいなことを言って (←想像です) 照れていたのがおかしかったです。しかし周りに何十人も中国人がいる中で、あえて自分に「写真撮って」と言ってきた人が3人も。最初から最後まで中国語だったし。まぁ、わかってなかったんでしょうけど。もう昔ほど日本人と中国人は区別できない感じですね。

遊歩道を抜け、またネイザンロードまで戻ると、来たときに準備をしていた中国獅子舞のグループが、デパートの前で踊っている真っ最中でした。ジャンジャーンという景気の良い楽器の音色は、お正月気分満点です。最後に獅子が「新年おめでとう」みたいな掛け軸をバッと垂らすと、見物客からは拍手喝采が。しかしみんな道にはみ出して見ていたので車には迷惑だったかも。その足で正面の重慶(チョンキン)マンションをのぞきましたが、相変わらずのいかがわしさとアフリカ人の多さに這々の体で逃げ出しました。

それから、3時のおやつを食べに尖沙咀の「糖朝 (Sweet Dynasty)」へ。蓮の実入りクルミのお汁粉、ツバメの巣が乗ったエッグタルトに舌鼓を打ちました。おやつの後はお店の近くにあった「康恵足マッサージセンター」でフットマッサージをして、足が軽くなったところで、地下鉄に乗ってホテルに戻り小休止。地下鉄は快適でした。チケットを買うのもとてもわかりやすかったし。こういう市民生活の快適さでは、知らないうちに日本はどんどんアジアの国に追い抜かれているように感じました。


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旧正月の香港 1

2月7日未明、旧正月の香港へ旅立ちました。フライトはキャセイのノンストップ便。リヤド国際空港は旧正月で帰省する中国人 (広東語っぽかったのでたぶん香港人) の一団が40〜50人並んでいるカウンター、10人くらいのインドネシア人のメイドさんとサウジ人の若者4人組が並んでいるカウンター、あとは雑多な人が20人くらいのカウンターとありました。どこに並ぶかはいつも迷いますが、この日は、メイドさんたちはチェックインに時間がかかることは承知で、やはり一番短い2番目のカウンターに並びました。

メイドさんがいるとなぜチェックインに時間がかかるのか。それは、彼女たちの荷物です。ほとんどの人が30kg超の荷物を持っているため、エコノミークラスの上限20kgをかなりオーバーしています。リヤドから香港までは無料にできても、その先、香港からジャカルタまでは1kgあたり100リヤル (3千円) 払わなくてはいけないと言われると、当然ながらみんなそんなお金はありませんから、そこで一悶着始まるわけです。ただ、普通はメイドさん達の帰省 (帰国) 時は、雇い主のサウジ人がサポートに来ているので、結局はオーバー分を取り出し、サウジ人に持って帰ってもらうということになります。しかし、メイドさんのあきらめがつくまでサウジ人も粘って交渉するし (これは偉いと思う)、そのため普通の2倍も3倍も時間がかかってしまいます。

さらにこの日は、サウジ人の若者4人組まで、荷物の重さでもめていました。キャセイはひとつの荷物が32kg以下でなくては受け付けてくれません。インドネシアに何を持っていくのか、彼らの荷物はひとつ35kgもありました。カウンターでひとしきりあぁだこぅだと言い合いをしてから、ようやくあきらめがついたのか、若者はスーツケースを計りから降ろし、列の後ろの方でいらなさそうな物を取り出していました。この日はチェックインする人が全員こんな感じでもめていたので、自分の番が回ってくるまで1時間かかりました。あぁ、疲れた。

飛行機に乗り込んだのは2月7日午前0時。シートの配列は3−3−3。まず前の席でサウジ人が、座っていたフィリピン人に何か言い始めました。どうやら、前の3席にサウジ人男性の奥さんと子供が座っているのですが、彼だけ斜め後ろの列だったため、席をかわってほしいということでした。サウジ人の席が3席の真ん中だったこともあってか、フィリピン人はノーと言いました。すると、近くに端っこが空いている席があったのでサウジ人は「そっちに移ってくれ」と言い始めたのですが、そこには誰かが来るかもしれず、やはりフィリピン人の答えはノー。しかしあまりサウジ人がしつこいので、そのうちフィリピン人は仏頂面で席を立ちました。こういう態度を見て、おそらくムッとしたのでしょう、サウジ人が急に声を荒げて「嫌だったらそう言ってくれ、決めるのはあなただから」と上から目線でこれまたしつこく言い始めました。フィリピン人ももう関わり合いになりたくないといった感じで無視していました。

自分の列はというと、隣が2席とも空席だったため、「ここに移っても良い?」と何人も乗務員にたずねていましたが、最終的に移動してきたのは赤ちゃんを抱っこしたインドネシア人の若夫婦。赤ちゃん用のシートベルトエクステンションをもらったのは良いのですが、さっぱり英語ができないため、やや困り顔。そのうち、急に乗務員から「チケットを見せて」と言われ、やはり夫婦そろってオロオロするばかり。結局、乗務員がカバンの中をあさりチケットを発見。何かチェックされていました。何だったのかな?。その後、定刻になったのに機体が動き出さないなと思っていたら、そのうちアナウンスがあり、「ひとり行方不明です、しばらくお待ちください」だって…。40分遅れの出発とあいなりました。

2月7日 (旧正月1日) 午後2時、香港着。曇天、気温15度。香港は年中暖かいようなイメージがあったので、この寒さにはびっくり。空港からエアバスで旺角 (Mong Kok) へ移動 (33HK$=460円)。旧正月のためか道路はガラガラ。あっというまに着きました。町に降り立つと、わかっていたとはいえ、確かにお店はほとんど閉まっています。旺角は繁華街なのでまだ店は開いている方ですが、ちょっと活気が足りません。ホテルにチェックイン後、まずは腹ごしらえ。香港に来たらおいしい中華料理をちょっとずつ1日に何回も食べたかったので (朝、昼、おやつ、夕飯、夜食、なんて感じで)、軽めの物をと考えていたのですが、豚肉の誘惑に負けてラーメンに東坡肉 (トンポーロー) まで頼んでしまいました。しかもこれが余裕で2人前の量があり、結局この日、夜食を食べる余裕はありませんでした。残念。この後、女人街を散歩したらなかなか活況を呈していて、あまり旧正月の雰囲気は感じられないものの、ようやく香港に来ていると実感しました。

写真は旺角にある王家沙 (Wong Jia Sha) の上海湯麺と東坡肉。お茶もついて106HK$=1450円。2人前と考えれば納得の値段ですけどね。湯麺はキャベツと豚肉の炒め物がどっさり乗っていて、麺は手打ちうどんのようなモチモチした食感の太麺。スープが真っ黒でしたが、塩辛すぎることはなく、深いコクとキレを感じる味わい。最後までおいしくいただきました。東坡肉は肉はホロホロ、脂はトロトロでおいしかった。脂が甘いんです。タレはお酒をたっぷり使っているような大人の味わい (下戸の自分には若干厳しい感じも…)。でもやっぱり豚肉はおいしいなぁ。イスラム教徒はこの味を一生知らないんですよねぇ。1日目は飛行機の疲れをフットマッサージ (40分 90HK$=1260円) で癒やした後、セブンイレブンで水を買ってからホテルに戻り就寝。


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2007年12月13日 (木)

香港の空港から

今、香港の空港です。フリーの無線LANでつないでいます(写真参照)。サウジのインターネット環境よりはるかに快適なのが逆に悲しい…。旅行に出たので更新はちょっと小休止。ちなみに、写真はMacBookの内蔵カメラ+Photo Boothで撮りました。絵が裏表(と言うのかな?)になるんですね。なんでかな?

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2007年11月21日 (水)

シルバーチップ (紅茶の王様?)

日本では銘茶の産地と呼ばれる地域に生まれ育った私ですが、小さいときからとにかく緑茶だけはおいしいものを毎日飲んでいました。なので、自然に「おいしい緑茶の味」がわかるようになったのだと思います。もちろん、地元ではお茶のおいしさなど特に意識することはありませんでした。お茶とは「そういう味のもの」だったからです。しかし、大人になって故郷を離れ、いろいろな所で緑茶を飲むにつけ、「世間の人はこんなに味気ないお茶を飲んでいるのか」とよくため息をついたものです。本当のところ、地元以外で「おいしいお茶だなぁ」と思ったことはほとんどありませんでした。もっとも、我が家は未だに山の湧き水を水道に引いていて、地元のお茶を地元の湧き水で煎れる、という最高の条件を備えているのですから、当たり前と言えば当たり前なのですが。

さて、それまで海外生活ではもっぱらコーヒーを愛飲していたのですが(自分がいかに緑茶を煎れるのがヘタか痛感したので…)、スリランカを旅行して、すっかり紅茶のおいしさに目覚めました。そうなると、最高級のものを飲んでみたくなるのは当然の心理です。緑茶でも、本当においしいものを飲んでいたからこそ、良いお茶、悪いお茶がわかるようになりました。紅茶でも然りです。「最高級=万人においしい」という訳ではないことも緑茶の経験からわかりますが、突き詰めれば、やはり高級品は通をうならせるだけのおいしさを秘めている、ということはわかります。そんなわけで、スリランカを発つ前日、コロンボのさも高そうな紅茶屋で「シルバーチップ」を買いました。

紅茶は普通、1芯2葉(One Bud Two Leaves)を摘み、それをぎゅうぎゅうと機械で押しつぶしてから、適温で酸化発酵させて作ります。しかし、シルバーチップは1芯(若芽)のみを摘み取って作るため、とても希少品なのだということは知っていました。スリランカに旅行することになって、なんとなくシルバーチップのことは頭にあったのですが、峠の茶屋で飲む紅茶ですら、そのおいしさに感動していた私は、是が非でも手に入れたいと思うようになっていました。

そのお店では、シルバーチップを店頭で陳列販売していたわけではありません。噂に聞いていた通り、かなりの高級品、希少品であるため、奥の方にそっとしまわれていました。「シルバーチップが欲しいのだが」と店員にたずねると、最初は「ない」の一点張り。しかしこちらが「日本で茶園をやっている(←嘘じゃない)、美味しい紅茶を求めてスリランカまでやって来たのだ、是非シルバーチップを売ってくれ」としぶとく頼み続けると、ようやく、奥から1パック出してくれたのです。値段は、緑茶の高級品より何倍も高い値がついていました。

翌日、リヤドに戻って来ると(サウジ暮らしの時です)、早速パックの封を切り、まずは香りを確認しました。すーっと鼻で香りを吸い込むと、いわゆる紅茶の香りではありません。甘くて香ばしいような、日向の匂いというか、とても優しい香りでした。手のひらに茶葉を広げてみると、普通の紅茶のように酸化発酵して赤黒くなってはおらず、白っぽいままです。そういえば、スリランカの製茶工場の一角で、お茶の若芽(芯)だけ天日干ししているのを見ましたが、どうやら、それと同じもののようでした。あの時そうだと気付いていたら、もう少しちゃんと話しを聞いたのに。写真も撮らなかったなぁ。

せっかくの高級茶ですから、おいしい煎れ方をしなくてはなりません。いろいろ聞いたり読んだりして、だいたい次のような手順が良いとわかりました。

①空気がたくさん入っている水が良い。ボトル入りミネラルウォーターよりむしろ水道水の方が良い。
②完全に沸騰させるが、沸騰しすぎると水から空気が抜けてしまうのでダメ。
③ティーサーバー、ティーカップは温めておく。
④抽出時間は2~4分。空気が入っている水(お湯)だと茶葉が良くジャンピングする。
⑤抽出した紅茶は毎回カップに注ぎきる。

まずは普通のリーフティーで何度か練習しました。水道水とボトル水、両方試しましたが、やはりボトル水はほとんど茶葉がジャンピングせず、水道水のお茶とはまったく違う香り・味の「まず~い」お茶が出来上がりました。しかし、こうやって比べなければ、この違いは一生わからなかったでしょうから、この発見は大きかったです(知っている人にとっては当然のことでしょうけど)。そもそもスリランカで紅茶がおいしかったのは、案外たったこれだけのことだったかもしれません。高級ぶって高いボトル水を使ったりしては逆にダメなんですね。

さてさて、シルバーチップです。煎れ方について上の手順と変えてみたのは、4分くらいではほとんど色や香りが出なかったため、抽出時間を6~7分とかなり長目にしたことです。これだけ置いても、色は薄い黄金色、香ばしい甘い香りがふわっと立ち上る程度です。ひと口すすっただけでパッと目が覚めるようなはっきりくっきりした味と香りはありません。ダージリンよりもだいぶおとなしいイメージのウバ(セイロンティー)に比べても、さらに穏やか、まろやか、ひそやか。角の立った自己主張は全くなく、舌を包み込むような、かすかに甘みを感じる優しい味が口の中に広がります。わずかにトロンとしたお湯を飲み込むと、日向の枯れ草のような風味が鼻腔をすっと抜けていきました。

正直な感想は「なんだこれ?、紅茶?」。味があまりにも淡いというか、味を知覚するために飲み手に努力を要求するというか、本体がなくて余韻が全てというか…。何ともはや、評価に困ってしまいます。おいしいと言って良いのか、はたまた値段がそのように思い込ませているのか…。とにかく、普通の紅茶の延長線上にあるものではありませんでした。渋みはまったくないし、おいしい紅茶に感じる青っぽさ(フレッシュな青臭さ)もないし、もちろんフルーティーな香気もありません。味としてはせいぜい「かすかに甘いような気がする」くらい(私の味覚と感性では)。シルバーチップが果たして「紅茶の最高級品」なのかは結局最後までわかりませんでしたが、ただ、何度飲んでも後を引く、あの不思議な味の余韻は、やはり唯一無二だと思いました。少なくともまだまだ巷にシルバーチップ信仰は多いし。(写真はシルバーチップ入りと銘打ったリプトンの紅茶)

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2007年11月19日 (月)

スリランカ

マイフォトにスリランカの写真をアップ。この時は、古都キャンディーからシギリヤ、ダンブッラ、そして茶園、植物園、宝石屋まで、とにかくいろいろと見て回りました。茶園で出来たてほやほやの紅茶をいただいて、紅茶のおいしさに目覚めました。キャンディーからコロンボに向かう列車の窓から見えた田園風景にもほのぼの感動。スリランカはもう一度行ってみたいなぁ。

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2006年6月17日 (土)

スリランカのソーメン

サウジで住んでいたアパートのマネージャーがスリランカ人で、ある日彼と世間話をしていたら「今度ぜひ一緒にキャンディーに行こう」と誘われました。キャンディーは彼の故郷で、スリランカ内陸部にある古く落ち着いたたたずまいの小さな町です。我々はラマダン明けの休暇を利用して一緒にリヤドを出発しました。こちらは1週間、彼は2週間の休暇です。コロンボ空港に降り立つと、そこで車をチャーター、一路キャンディーを目指しました。途中の風景は、まるでひと昔前の日本の田舎にタイムスリップしたようでした。田んぼと畑が延々続き、緑はあくまで濃く深く、太陽がさんさんと降り注ぎ、セミの鳴き声に子供の頃の記憶が鮮やかによみがえります。途中、車を止めて軽いランチを食べました。峠の茶屋といった風情の小さなレストランでしたが、チキンカレーを注文したらオマケにコロッケ (クロケット) がついてきてビックリしました。コロッケは「日本に帰ったら食べたい日本食」のひとつですが、よく考えたら名前からしてもともと外国から入ってきたものなんですね。しかしよもやスリランカの山奥でコロッケに出会おうとは。スリランカではその後何回もコロッケを食べましたから、かなりポピュラーな食べ物のようです。しかしいつどこで食べても、日本と同じコロッケの味でした。

さて、スリランカといえばカレーです。もう毎日カレー漬け。しかしこれが飽きません。辛さもほどほど、油も少な目、実にサッパリしています。もちろん油ギトギト、トウガラシたっぷりのご馳走カレーもありますが、全体的にアッサリ系が多いと思いました。ちなみにキャンディーでは、カレーの辛さの元はコショウです。スリランカ北部のタミル民族はインド文化圏なのでトウガラシを、南部のシンハラ民族はコショウをよく使うと聞きました。朝食もカレー。しかし朝はパンではなく「ソーメン」。実は見た目がソーメンそのものなので勝手にそう言っているだけですが、食感もパスタかソーメンかと言われれば圧倒的にソーメンよりです。名前は「ストリングホッパー」。これにカレーソースをかけていただきますが、朝からツルツルと食が進み、いつもお腹一杯食べていました。キャンディ滞在中は北に足をのばしてダンブッラの石窟寺院やシギリヤロックを見たり、南部に下りてヌワラエリヤの紅茶ファーム見学するなど素晴らしい体験をいくつもしましたが、とにもかくにもスリランカは食べ物がおいしかったです。老後はここに住めるかもと本気で考えました (実際には国内の民族紛争が深刻で、そんなお気楽に考えてはいけない)。
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モルジブの太巻き

リヤドのような内陸の乾燥した町にいると、無性に海が見たくなります。ある年、思い切ってモルジブに旅行することにしました。長時間のフライトの末、飛行機の窓からモルジブの島々が見えてきたときは、珊瑚礁のあまりの美しさに「ここは天国か」とため息がでました。空港からは、スピードボートに乗って約30分、クルンバビレッジというホテルがある島まで移動しました。クルンバは空港島から一番近く、真水のシャワー、7つのレストラン、多彩なハウスリーフと、設備・環境ともに申し分ありません。空港から遠ければ遠いほど海がきれいになっていくことは知っていましたが、遠くてへんぴな島のホテルは真水がないし、食事もそこそこです。手つかずの自然を楽しみたい人は遠い島の方が良いと思いますが (ドイツ人は遠くへ遠くへ行く傾向あり)、私にとってはクルンバの海も充分以上にきれいでした。シュノーケリングでカラフルな熱帯魚やエイ、フグを観察していると、急に小魚の大群に囲まれ、自分が魚の仲間になったような気がしました。でも、よくクチビルをツンツンと突かれたのはタラコクチビルだったから?。シュノーケリングに疲れたら、ビーチに上がり椰子の実ジュースを片手にヤドカリと遊ぶ。眠くなったらビーチマットに寝ころんで、波の音を聞きながらうたた寝する。なんとも贅沢な時間の過ごし方でした。

到着から3日目、首都マーレがある島に観光ツアーで行きました。マーケットに新鮮な魚が並ぶ中、カツオ節 (ナマリ節) を発見しました。味見させてもらったらまさに日本のナマリ節と同じ味で、お土産に思わず10本も買ってしまいました。しかしこれだけ新鮮な魚があがるなら、どこかでお刺身が食べられるんじゃないかと期待がふくらんだまさにその晩、ホテルのレストランで、メニューに「Sushi」を発見しました (まだ行っていなかった所)。迷わず注文しましたが、来てみればそれは「お寿司」とは明らかにイメージが違うものでした。お皿の上には直径15cm、厚さ3cmほどに切られた、言ってみれば「太巻き」が、ポンと1つ乗っています。中心部には卵焼き、タクアン、カンピョウ、ホウレンソウ、それらの具をご飯が取り囲み、周囲には黒ゴマがまぶされています。さらに全体がクレソンと何かのソースで彩られていて、見た目は確かにきれいでした。モルジブではお寿司がこのように解釈され、Sushiに昇華したわけです。当然ナイフとフォークで食べましたが、これはこれでアリだと思いました。
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2006年6月16日 (金)

香港のウナギソバ

海外1人旅の何が嫌かって、食事ほど憂鬱なものはありません。レストランではそもそも良い席には案内されませんし、相席は当たり前。すごくおいしい食事をしてもその気持ちを共有する人はいませんし、まずかったらそのやるせなさを自分1人で抱えることになり、ストレスがたまる一方です。香港を1人で旅したときも、こんな感じでした。ガイドブックにも載っている有名なラーメン屋だったので、最初お昼時に行ったら混みすぎていて入れず、夕方また出直しました。午後6時、店に入り小さなテーブルに座ると、中国語と英語で書いてあるメニューをペラペラめくりながら、何十種類もある麺の中から「ウナギソバ」を頼むことにしました。店には次々とお客が入ってきます。私のテーブルも、5分もしないうちにもう1人と相席になりました。その人は手早く注文を済ませましたが、その後私たちは特に目を合わせるでもなく、ラーメンが来るのをぼーっと待っていました。

しばらくして、店員がひと言何かを言いながらドンブリを置いていきました。テーブルの真ん中に置かれたそのドンブリは、注文の順番からして私のウナギソバだろろうと思ったので、とりあえず手前に寄せました。しかし、ドンブリの中は麺とスープのみ。肝心のウナギが乗っていません。「ウナギは麺に練り込んであるのか、スープにとけ込んでいるのか、はたまた日本人だからなめられたのか」と一瞬パニックになりましたが、1人旅のときはつい虚勢を張ってしまうもの。さも知っているようなフリをして、涼しい顔で麺を食べ始めました。相席の男性の顔は見ませんでした。2、3分して、店員が本物のウナギソバと、麻婆茄子のお皿を持ってくると、私はすべてを悟りました。彼は麻婆茄子と素ラーメンのセットを頼んでいたのです。もちろん私のウナギソバには見事なウナギが乗っていました。結局、相席の人には新しいラーメンが来ましたし、私はウナギソバ1杯の値段で素ラーメンも食べることができました。しかしあれは情けなかった。激しく落ち込みました。
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2006年5月26日 (金)

コーヒーのテイクアウト

シンガポールにはホーカーズという小さな屋台街がたくさんあります。もともとこういうところの食事が大好きなので、その時は1週間、昼夜を問わず毎日のように通っていました。チャーハン、焼きそば、汁ビーフン、水餃子、豚の角煮など、本当に私のストライクゾーンど真ん中です。アラブ料理も大好きですが、「やっぱり日本人はしょう油味だねぇ」などとしみじみ思いながら胃袋にかき込んでいました。ホーカーズも規模によっては食事のブースしかないところもありますが、少し大きめのところなら、必ずデザート系のものを扱っています。フルーツ、インドっぽいミルク系のお菓子、ソフトドリンク、そしてコーヒー・紅茶。シンガポールを歩いていると、突然街角で得も言われぬ香ばしい香りに出会うことがあります。これがシンガポールの炭焼きコーヒーで、今まで旅行中に飲んだコーヒーではダントツにおいしいと思いました (トルココーヒーはカテゴリーが違うような気がするので除外)。しかし極上の香りを漂わせている店に限って、見るからに汚いオープンカフェ形式のお店で、飲んでいるお客はランニングシャツに短パン姿のおじさん達ばかり。店に入ろうとしても気後れすること間違いなしですが、でもとにかくおいしい。その炭焼きコーヒーが、いつも行くホーカーズにもありました。

その日は、コーヒーをホテルで飲むためテイクアウト (Take away) することにしました。屋台といえばテイクアウト、これは東南アジアの常識です。チャーハンでも汁ビーフンでも、すべて袋につめてテイクアウトOK。お祭りで金魚釣りをしたあとに金魚を入れてくれるあんな感じの小さめのナイロン袋で、開口部のヒモを引っ張ると口がきゅっと閉まって持ち帰るのに便利です。で、こちらとしては「アイスコーヒー」のテイクアウトというつもりで伝えたのですが、言葉がまったく通じないためか、お店のおばさんは何の迷いもなく、ホットコーヒーをナイロン袋にひしゃくで入れたのでした。ストローをさし、ヒモをきゅっと閉め、おばさんはにこやかにコーヒーで満たされたナイロン袋を渡してくれました。学習したことがいくつか。まず「アイスコーヒー」という言葉は世界では通用しないこと。そして「ホットコーヒーはストローでは飲めない」という事実。世の中、知らないことばかり。

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2006年5月21日 (日)

スッポン?

日本でいうところの高級食材、すなわち「和牛、松茸、フグ、スッポン」のたぐいを、それまで食べたことがありませんでした。1年か2年に一度は日本に休暇で帰っていたので、その度に「今度こそ」という気持ちを持っていたにもかかわらず、日本円の価格表示があまりにもリアルで、結局機会を逸していました。たとえば外国で食べ物の値段が20ドルと言われても、そんなもんかなくらいにしか思いませんが、日本で2000円と言われれば、「そこは1000円に抑えて残りは雑誌と缶ジュースでも買って…」などという計算が働きます。まぁ、そもそも貧乏性なんですね。というわけで、同じ値段でも海外でなら比較的あっさり出せるという意識のもと、これまで香港でツバメの巣、バンコクでフカヒレの姿煮などを食べてきました。中東・アフリカから日本に帰るときは、南回りか北回りを選ぶことになります。南回りであればタイ、シンガポール、香港などが定番の経由地です。ある時、シンガポール経由を選びました。「あのホテルで点心を食べて、あそこでは鶏の足を食べよう」などと計画を立て、とにかくおいしい物を食べようと心に決めてシンガポールに向かいました。

シンガポール到着の翌日、ホーカーズという屋台街に出かけ、あちこちの屋台を冷やかしながら見ていたとき、ある1軒でカメの絵が飾ってあるのを見つけて立ち止まりました。食べるカメといえば、もうスッポンしかありません。日本では手が出ませんでしたが、ここでなら食べられると小躍りし、値段も聞かずにカメの絵を指さして注文しました。ようやくこれでスッポンを制覇できるとワクワクしながら待つこと数分。大きめのカップに並々と入れられた茶色いスープが運ばれてきました。いろいろ葉っぱのようなものが入っています。においはまさに漢方薬。そしていくつか肉片が見え隠れしていました。「なんかいかにも効きそうだな、さすがスッポン」などと悦に入りながらスープを食べ終わり、屋台の中にいたおばさんにお金を払おうと身を乗り出すと、内側に漢字で書かれたメニューが貼ってありました。「えーと、カメ、カメ…」とメニューを目で追っていくと、最後の方に「草亀」の文字を見つけしばし呆然としてしまいました。スッポンのシンガポール名は知りませんが、なんか絶対「草亀」じゃないような気がします。「もしかして今食べたあれは、スッポンではなくてお祭りで売っているあんなカメ?」そう思うと頭がぐるぐると混乱しましたが、その場では何の確認もできませんでした。やはり日本で本物のスッポンを食べろということでしょうか…。

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