2009年3月30日 (月)
2009年3月29日 (日)
リヤドレストラン情報
1月から食べ歩いた記録をまとめてみました。まぁ、これだけ食べたら太るわけです。グーグルマップの画面キャプチャを利用してがんばって地図も作ったのですが、利用規約をよく読んだら二次利用はだめとのことでした。がっかり。ということで地図は載せられませんが、リヤドのレストランの充実ぶりを見ていただくには十分かと。評価っぽいことも書いてありますが、ごく個人的な感想ということで。もちろんこれらはほんの一部で、まだまだリヤドには星の数ほどレストランがあります!
(1サウジリヤル=26円)
お世話になった食堂
この2軒とも職場のすぐ近くにあります。1年以上、お昼ご飯はほぼ毎日どちらかで食べていました (前半はほとんど①、後半はほとんど②)。
①ブハーリーレストランのカレー。安いわりにへたなインドレストランよりずっとおいしくて、何度食べても飽きませんでした。今思えば、珍しく日本のカレーに近かったのかもしれません。とろとろのルーがたっぷりで。大釜で炊いたご飯もおいしかった。
②タイ・フィリピンレストランのライスヌードルとビーフ&ブロッコリー。100種類あるメニューのうち、食べたのはせいぜい10品ですが、その中でも特によく食べたのがこの2品。後半になるともう連日ビーフ&ブロッコリーで、店員も半ば呆れ顔でしたが、こちらも一応恥ずかしいので一瞬考えるふりをして、「うーん、えーと、どうしようかな、よし、ビーフ&ブロッコリー」 といった調子でいつもオーダーしていました。
なんでしょうね、この、同じメニューをくり返し頼み続ける恥ずかしさというのは。「そんなに好きなのかよ!」って思われたくないというか。別に店員は気にしてないのかな?
2009年3月28日 (土)
2009年3月26日 (木)
サウジ国産ハンバーガー
アメリカにマクドあり、そしてサウジにハルフィーあり。Herfy は創業27年、サウジアラビア純国産ハンバーガーチェーン店です。全国に120店舗を展開し、名実ともにサウジアラビアNo.1ファストフード店です。
以前リヤドにいた時もその看板はかなり目にしていたのですが、「何もわざわざハルフィーに」 という失礼な気持ちを抱いていたため、一度も入り口の扉をくぐることはありませんでした。
そして今回、離任まであと数日とせまったこの時期に、「何でわざわざハルフィーに」 と思わないでもありませんでしたが、これを逃せば一生その味にふれることはないと気を取り直し、家から一番近い店にとんでいったわけです。以下、コメント。
■サービス
世界最低レベル。若造がばんばん横入りするし、レジのサウジ人の兄ちゃんはこちらを完全無視だし、この国においてアジア人労働者が置かれている立場が少し理解できました。他のファストフード店よりサウダイゼーション (労働力のサウジ人化) が進んでいるため、こんなことになっているのかも。ほめていいんだか悪いんだか。
ようやく注文を終え頼んだスーパーハルフィーを待っていた時、パキスタン人で使用人とおぼしき男性が、何やら怒りまくってレジに突進してきました。「おい、また品物間違えてるぞ、これで4度目だ、お前らはバカか!」 ブロークンアラビックで怒鳴りちらし、もうとにかくすごい剣幕。どうやらテイクアウトして家に帰って中身を見たら、チキンバーガーの代わりにスーパーハルフィーが入っていたようです。で、主人がこうして交換しに越させた模様。
奥から出てきたマネージャーがどんな対応をするだろうかと見ていたら、まったく表情を変えず、もちろんひと言も謝りもせず、「返金?、それとも交換?」 と冷たい業務口調。パキスタン人が 「チキンバーガーがいるんだ」 と答えると、「じゃあ2リヤル払って」 と当然のように言い放ちました。
予想もしなかった切り返しにパキスタン人はあっけにとられていました。それはそうでしょう、これだけ客に手間をかけさせといて、さらに2リヤル (50円) 請求するとは誰が思うでしょう。彼がアーとかウーとか口ごもっていると、マネージャーはメニューを指さし、「これはいくらだ、言ってみろ、16だろ、こっちは18だ、だからあと2リヤル」
困ったパキスタン人は携帯で主人に電話し、マネージャーと直接話をさせていたようでしたが、結局どうなったのかな。最後までは見届けませんでした。混雑していたわりに、意外と早くスーパーハルフィーが来たので。
……これって、パキスタン人が突っ返してきたやつ?。車に乗り込んでふと悪い予感が頭をよぎり、あわてて中身を見てみました。とりあえず包みを開けた形跡はなし。温度も熱いとは言えませんがそれなりに温か。「まいっか…」 この状況ではそうつぶやくしかありませんでした。
■味
ひどいサービスの割に、味についてはバーガーキングのワッパーに似ていておいしかったです。トマトとマヨネーズがたっぷりで、玉ネギ、レタス、ピクルスも大きめ。パンもこだわりの自社生産で甘味があっておいしいし、とにかく全体のバランスが良い。ビッグマックよりは完全にこちらの方がおいしいと思いました。
ポテトはなんだかコクがなくていまいちだなと思ったら、袋に 「コレステロールフリー」 の文字が。なかなかあなどれません。世界進出もいけるんじゃないんでしょうか。というかそうすれば店員もサウジ人ではなくなるから、絶対にその方がいいでしょう。
■ロゴ
ハンバーガーのようなロゴは、アラビア語の 「H (ハー)」 です。ハルフィーのハ。外人の間ではハーフィーと言うのが一般的ですが、アラビア語の発音はハルフィー。ちなみにスーパーハーフィーではなく、スーバルハルフィー。ボテトとベブシもついてるよ。P音がないってちょっと不便。
2009年3月23日 (月)
2009年3月22日 (日)
ミックススパイス
中東やアフリカで現地人と接していると、彼らのきわめて保守的な食生活に驚くとともに、日本人が世界でもまれに見る雑食民族なんだと実感します。日本人なら誰でも和食、洋食、中華などを日替わりで食べていますし、東南アジアのエスニック料理も定番としてしっかり根付いています。珍しい外国料理を食べる機会に恵まれたら、嬉しいと感じこそすれ、「なんでこんなものをセッティングしたんだ!」 と怒り出す人など滅多にいないでしょう。むしろ外人に招待されて日本食が出たら、がっかりする人の方が多いのではないでしょうか。
エジプトで働いていた時、現地スタッフを食事に招待したのですが、さすがに日本食はハードルが高いだろうと思って、中華料理屋に連れて行くことにしました。メニューも無難なものを選んだつもりだったのですが、みんながみんな、ほとんど料理を口にしません。最初は遠慮しているのかなと思ったのですが、よくよく聞いてみたら、彼らは本気で中華料理など食べたくなかったのです。「ごめんね、じゃあどんな料理だったら良かったの?」 とたずねたら、「私たちはアラブ人なんだからアラブ料理が一番だよ」 と真顔で言われてしまいました。
エチオピアの時も、仕事で頻繁にエチオピア人と食事をしていたのですが、あまりにいつもエチオピア料理なので、「たまには中華でも行く?」 と聞いてみると、決まって 「とんでもない、エチオピア料理がいいんだよ」 と即答されたものです。確かにエチオピア料理はおいしいんですけど、日本人の感覚からすると、時々は毛色の違ったものを食べたくなるわけです。たぶんほとんどのエチオピア人は、一生エチオピア料理しか食べないんだろうなと思いました。もちろん、彼らにとってはそれが最高なんでしょうけど。
ということで、何を言いたいかというと、世界に冠たる雑食民族を擁する我が国日本ほど、世界中の食べ物が集まっている国はないのではないかと、そう思うわけです。ところが、いざスパイスとなると、これがなかなかそろっていません。本格カレーを作るための10~20種の単品スパイスなら今ではわりと簡単に手に入ると思いますが、サウジのスーパーにあるような、ある料理に特化したミックススパイスなどはほとんど皆無でしょう。それはそうです。日本では誰も脳みそカレーなど作りませんから。
写真のミックススパイスはインド風のものと (写真1、2)、サウジ風のカブサを作るためのものです (写真3)。お土産代わりに買ってみました。日本でこれを使って料理するかはわかりませんが。(ブレインマサラは豆腐でいけるかも)
2009年3月20日 (金)
2009年3月17日 (火)
ファドラッカーズ
これまでハンバーガーといえばマクドナルドのようなところでしか食べたことがありませんでしたが、リヤドにもいくつか本格アメリカンハンバーガーの店があって、前から興味があることはあったので、その中でも無難そうな 「ファドラッカーズ」 に行ってみました。
ビザとかグリルもありましたが、やはり目的はハンバーガー。店員におすすめを聞いて、素直にそれを注文しました。肉の大きさは一番小さい1/3ポンド (148g)。小さいといったって、すでにクォーターパウンダー (1/4ポンド) を越えているんですけど…。この上は1/2ポンド、2/3ポンド、そして堂々の1ポンド (453g)。写真を見ても、1ポンドは冗談としか思えない大きさです。(ちなみにホットドッグも長ーい)
注文後はしばらく時間がかかります。これも注文を受けてから肉を焼き始めるからとのこと。その間、ハンバーガーにはさむための野菜をサラダバー感覚で取りに行きます。トマト、玉ネギ、レタスなどがスライスされて大量に並べられていました。もちろんどれだけ取ってもOK。
10分後、テーブルに運ばれてきたハンバーガーは、もうこれ以上ないくらい、見事にカロリーの塊でした。厚い肉の上にとろとろチーズとかりかりベーコン。ご丁寧にパンまで油で焼いてあります。ポテトウェッジにもチリコンカルネとチーズがたっぷり。見ているとそれだけで満腹になりそうでしたが、意外や意外、黒コショウが効いたマッシュルームと絶妙な塩加減のおかげで、最後まで飽きずにパクパクと食べられました。
でもそもそも厚いので、ここにトマトや玉ネギをはさんで食べるのはかなり難しく (ぽろぽろ落ちてしまう)、結局野菜はそれだけで食べました。それにしても、マクドナルドとは別次元の食べ物ですね。ああいうチェーン店のハンバーガーはおやつです。量からしても。こちらはちゃんとした食事という感じ。もちろん、こんなのを頻繁に食べていたらあっというまに太ってしまいますが。
ということで、ちゃんと作ればハンバーガーっておいしいんだなぁと、目から鱗の一食でした。
2009年3月16日 (月)
2009年3月 5日 (木)
麻婆豆腐・再び
リヤドの中華料理屋では老舗と言ってもいい 「ガルフロイヤル」 には、当時、家から近いということもあって月に1~2回行っていました。料理がどれも甘ったるくて、口の悪い人は 「フィリピン中華」 などと言っていましたが、かといって決してまずいわけでもなく、いいメニューを選べばほどほどにおいしく、それなりに満足できていました。今回、13年ぶりに行ってみようと思ったのは、先日の麻婆豆腐食べ比べ (3店) がどれもいまいちだったからです。
しかし今回の目的は麻婆豆腐。ピリッと辛味の効いた麻婆が食べたい自分としては、かなりの不安を抱えつつお店に入りました。まずは蒸し餃子 (肉&エビ) を注文。味の方はというと、うーーーん、かなーり疑問。肉は細かく挽きすぎていて、さらに蒸しすぎのため旨味が全部抜け出ています。エビの方はあまりにもパサパサで、きっとエビを茹でてから細かく挽いたんだと思いますが、こちらも旨味は何もなく、2個食べても 「鶏肉?」 と思っていたくらいです。
なんだか当時よりもさらにレベルが落ちていたので、麻婆豆腐もどんなものが出てくるのかヒヤヒヤしながら待っていたのですが、テーブルに運ばれてきたそれは見た目にはとても立派な麻婆豆腐でした。少し嬉しくなって、「どれどれ」 とおもむろに豆腐をひとつパクリと口に放り込むと、豆腐自体は今までの3店とくらべても一番おいしい!。が、しかし、味が…、甘い、そして酸っぱい、さらに相当辛い。ついでに言うと深みのない表面的な辛さ。山椒も使っていません。
「コレハナンダ?」 と首をかしげつつ食べ進めていると、しばらくして、ふと、これはタイ料理の味だと思いあたりました。酸味と甘味が強烈で、さながらトムヤムクンのような味つけです。そう考えて食べると、これはこれでアリかなとも思いましたが、でも、決して自分が思い描く麻婆豆腐ではありませんでした。前はフィリピン中華でしたが、現在はタイ中華になったということでしょうか…?
料理というのは常に人々の嗜好に応えなければならない宿命があって、そうでなければ淘汰されてしまうわけですから、当然、味も変わって然るべきだと思います。特に中華料理は世界中に進出して各地で根付いていますから、味の振れ幅が大きくなるのは仕方ありません。たとえサウジの中華料理に不満を感じたとしても、それは料理がまずいのではなく、ただ自分の嗜好に合わないだけです。実際、ガルフロイヤルはもう20年以上続いているし。
なんて理屈をこねて自分を納得させようとしていますが、やっぱりこの麻婆豆腐の味つけはちょっと悲しすぎました。豆腐がおいしかっただけに。餃子はさすがに論外ではないかと。断言する自信はありませんが。
2009年3月 3日 (火)
スシ・フレンチ
リヤドのタハリヤストリートにあるフレンチとお寿司の店 Furusato。なぜお寿司をフレンチと合体させたのか不思議ですが、ヌーヴェル・キュイジーヌとしてとらえれば、フレンチの感覚にはピタリと合うような気もします。お寿司を白いお皿に盛って、ディルとプチトマトを添え、バルサミコ酢とオリーブオイルを点々と垂らせば、立派なフランス料理に見えてきます。(このお店では思いっきり和のテイストで出てきますが)
Furusato ではもちろん同じお皿の上に2種類の料理が載っているわけではありません。料理はそれぞれ単体。メニューをめくっていくと最初にフレンチやスペインぽい料理が続き、突然 「SUSHI」 のページが現れます。なんとも新鮮。
板前さんはフィリピン人。値段はかなり高めなのに、残念ながら外国でありがちなギューッと力一杯握った寿司飯でした。うーん。一度自分に握らせてくれー。
レジの前にあったディスプレイはなんだかダイナミックでした。生エビと生魚がパラパラと氷の上に飾ってあって。微妙に何かを誤解しているような…。
2009年3月 2日 (月)
カレーのシメに砂糖
リヤドにカレー屋は星の数ほどあれど、なかなか自分の好みに合うお店にあたりません。そんな中、最近ようやくピンとくるお店に出会いました。インディアンサマーというインド料理屋で、一度夕方に出かけた時はおいしいけれど少し割高に感じたのですが、毎日お昼はカレービュッフェをやっていると聞き数日後に行ってみると、これがなかなかの大ヒットでした。ほどほどに種類がありどれも味が良く、値段も45リヤル (約1200円) と文句なし。
ただ、お勘定を頼んだらなぜか一緒に粒砂糖と粒チョコが出てきました。インド料理屋だったら最後はクミンの粒が定番なので (ひとつまみ食べると消化にいいらしい)、なんとも不思議な感じでした。たぶんバングラデシュの大使も来ていたのでそれなりの格のお店だと思いますが、まぁ、ある種の贅沢感でしょうか。「おっ、砂糖!」 …いや、思わないか。
2009年2月25日 (水)
麻婆豆腐狂想曲
エチオピアで中国人コックが同胞のために作る庶民的かつ本格的な中華料理を味わったことと、去年から香港に行く機会が多かったので、酒も豚もないリヤドで中華料理などとても食べられないとは思っていましたが、このところ麻婆豆腐が食べたくなって、何軒かお店をまわってみました。
■1軒目: Peking
まるでダメ。肉は鶏、辛味は唐辛子がほんの少し。辛くもなければ旨くもない。豆腐はスカスカ。でも餃子 (というか焼売) は魚介系でおいしかったので、他の料理は少し期待できるかも。そもそもイギリス人コミュニティーのサイトで絶賛されていた店なので一番最初に行きましたが、料理の味でイギリス人の言うことを信用してはいけなかったでしょうか。
■2軒目: Nawader
2月21日の夕方に行ったら、シャッターが下りていてそこには 「サービスを維持できなくなりました。2月20日をもって廃業します」 という貼り紙が。この店、昔は一番おいしいと言う人もいて、1年前に麻婆豆腐を食べた時もエチオピアの味には及ばないもののなかなかおいしいと思ったので、この知らせはかなりショックでした。前の日に行っていれば良かった…。
■3軒目: Golden Dragon
ここの麻婆豆腐はおいしい、と人づてに聞いていたので、かなり期待して行きました。餃子も肉汁たっぷりで本格的。ワンタンスープもさりげなく美味。しかし肝心の主役は、どう見ても麻婆豆腐ではなさそうな料理でした (写真1)。「これ、麻婆豆腐?」 と店員に聞いてみたのですが、「イエス、ボス!」 と言われてしまいぐうの音も出ませんでした。味は、別物としてもちょっと…。というより自分は揚げ豆腐があまり好きではないことを再確認。
■4軒目: Riyadh Chinese
ここも1度行ったことがある店でした。餃子 (焼売) は魚介系で旨味も食べ応えも十分。スープヌードルは実は昨日書いたのがそうなんですが、見た目にくらべて味はとてもいいんです。麺はまさに手打ちうどん、エビもプリプリ。で、麻婆豆腐はというと、なんとここも揚げ豆腐。しかも鶏肉。前の店では絶対に間違って出されたと思っていたのですが、もしかして広い中国では揚げ豆腐の麻婆が主流なのかも、などと弱気になってしまいました。でも、いわゆる麻婆豆腐とは味が違いました。当然、満足感はありませんでした。
■5軒目: Golden Dragon 再び
前回のオーダーがどうにも納得できなくて、先日ここで麻婆豆腐を食べたという人にメールで写真を送って確認すると、やはりその人が食べたものとは違う料理とのこと。逆にある意味ホッとして、ならば再び麻婆豆腐を注文せねばなるまいと、鼻息も荒いまま店に駆けつけたわけです。
注文を取りに来たのは前回と同じ店員でした。麻婆豆腐と伝えると、次のような会話になりました。
「あぁ、この前のと同じですね」
「いや、あれはカントリースタイルの方だ、マーボースタイルをくれ」
「マーボーはあれですが」
「ノー、あれはカントリースタイル、自分が食べたいのはマーボースタイル」
「えぇと、豆腐がこれくらいの形で、フライになっていて…」
「フライじゃないやつ、マーボーはフライになってない」
「でもあれが…」
「とにかくこの前のとは違う方にして」
「じゃあ、チャイニーズスタイルですね」
「ん?」
「トウフ・チャイニーズスタイルですね」
「いや、マーボーなんだけど…、まぁいいや、それで」
メニューには豆腐料理はカントリースタイルとマーボースタイルのふたつしかありません。まさか 「第三の麻婆豆腐」 が出てくるのでは、と一抹の不安を覚えましたが、結果、ついに念願の麻婆豆腐をゲットすることができたのでした (写真2)。
「ボス、これがマーボーです」
「おぉ、パーフェクト、これだよ、欲しかったのは」
「ボス、今日は勉強になりました」
「OK、OK、ノープロブレム」
「前回はベリーバッド、でも今日はベリーグッドでしょう」
「そうだな、ありがとう」
パーフェクトもなにも2品しかないんだからそれくらい憶えていてよ、と思わないでもなかったのですが、まぁ、この若い店員もほめられて伸びそうなタイプだったし、最後はちゃんと食べられたんだから細かいことは気にしない、ということで。それよりいったい何人の人が違う麻婆豆腐を食べさせられたのかと、他人事ながらちょっと心配になってしまいました。
さて、味の方はというと、ま、ねばったわりには普通でした。山椒を使っているのはいいけれど、エチオピアのはもっとドッサリ山椒が入っていました。こう考えると、Nawader を逃したのが本当に痛い…。
2009年2月24日 (火)
2009年2月15日 (日)
サウジアラビア IKEA
下に書いたイギリス人コミュニティーの情報サイトにスウェーデンレストランというのがあって、「なんだろ?」 と思って興味津々で読んでみたら、IKEA の中のレストランのことでした。実際に行ってみて、ずらりと並んだ数々の料理が果たしてスウェーデン料理なかのはわかりませんでしたが (トレーを持って並ぶ学食スタイル)、少しだけヨーロッパの雰囲気を感じることができてうれしかったです。思っていたより値段が安く、味も悪くありませんでした。ミートボール10個+ポテトで12リヤル (300円)、スモークサーモンサラダ14リヤル (350円)。
*アラビア語のカタログが新鮮 → サウジアラビア IKEA のHP
(アラビア語のページに飛びます)
フィッシュ&チップス
イギリス人のコミュニティーがウェブサイトを立ち上げてリヤドの生活情報を公開しているのですが、レストランのページにはやはりと言うべきかイギリス料理のレストランはひとつも載っていません。その代わり、「フィッシュ&チップス」 のお店が2軒あったので、その名もずばり 「フィッシュ&チップス」 というまったくひねりのない名前のレストランの方に行ってみました。
お店で頼んだのはコッドフィッシュ (タラ) のフライ (30リヤル=720円)。もともとフィッシュ&チップスは大好きなので、最初こそテーブルに運ばれてきたフライの巨大さに唖然としたものの、マヨネーズやピリ辛のタルタルソース、後半は赤いビネガーをふりかけて、あっという間に平らげてしまいました。さすがに山盛りのチップスはほとんど残しましたが。
端的に言えば、とてもおいしかったです。揚げ方もバッチリ。衣サクサク、身はプリプリ。クセがなく甘味のあるタラの身は、口の中でとろけるおいしさでした。これが揚げすぎていたり古い油を使っていたりすると途端に世界最悪の食べ物になりますが、これはもう100点満点。
…いや、そう言いたいのはやまやまですが、やはり付け合わせの野菜がまったくないのはいかがなものかと思いました。見た目も茶色ばかりだし。キャベツの酢漬けでも添えてくれたらうれしいんですけどね。そうでなかったらせめてパセリかプチトマトをひとつ。格段に料理っぽくなると思います。
2009年2月14日 (土)
カレーは作りたてがおいしい
最近行った2軒のインド料理屋で感じたことは、やはりインドカレーは作りたてでスパイスの香りがフレッシュな方がおいしいということでした。1軒はリヤドのタハリヤ通りにある重厚な店構えの高級店、Copper Chandni。その外観に違わず出てくる料理もなかなかのお値段です。その日は軽く食べようと思ってチキンビリヤニとダルしか頼みませんでしたが、それでも本場の味を十分に感じることができました。(写真1~3)
スパイスがかなり粗めに挽いてある感じで、口の中で 「いま黒コショウを噛んだ、あ、カルダモン、これはクミン、げげっ、クローブ噛んじゃったよ」 などと分かるくらいのザックリ感。トータルではまとまっていながらも、非常に荒々しく鮮烈なイメージの料理でした。特にダル。こんなにスパイスが入って (乗って) いるのは初めてでした。しかも旨い。これが本場の味なのかと感動する一方、ここまで荒々しいと外国人は好き嫌いが別れるだろうなとも思いました。
数日後に行ったもう1軒は Makani という庶民派のカレー屋。場所柄か、客は全員サウジ人の若者でした。頼んだのはマトンカレーとパニール (カッテージチーズ) のカレー (写真4~5)。羊肉はそれなりに食べつけているつもりでしたが、近頃滅多に食べないような臭いの強い肉だったので、嬉しいと言えば嬉しいし、さすがにもうこのレベルは辛いかなと思ったりもしました。味は個人的にあまり好きではないブラウンソース系の味だったのでなおさら厳しかったです。良く言えばスパイスが渾然一体となって熟成の味わいですが (カレーマルシェっぽい)、もう少し各スパイスの個性が感じられた方が好みなので。
それより問題はパニールの方で、見た目も味もどう考えてもカレーではなくピザソースでした。ピザソースに軽く揚げたチーズを入れているだけ。かすかに見える緑色の葉っぱもたぶんバジルで、こうなるとほぼ100%イタリア料理です。ここにクミンを入れるだけで一気にインドっぽくなるとは思いましたが、マイ・クミンなど持っているはずもなく、最後まで納得いかずに食べました。
そもそもインドカレーというものはインドにはないわけですから、別にどう作ったって自由ですけれど、さすがにここまでかけ離れたものは初めて食べました。やはりインド料理はインドっぽいスパイスが効いていてほしいし、できれば香りがフレッシュな作りたてを食べたいわけです。たぶんこの店の味が好きな人はいると思いますが (実際サウジ人でにぎわっていたし)、自分にはちょっと合いませんでした。
インドカレーは作りたて、日本のカレーは作り置きがおいしいかな、やっぱり。
2009年2月13日 (金)
スシヨシ
最近ガッカリしたこと。リヤドのタハリヤストリートにできた 「スシヨシ」 で食べたカニのみそ汁がカニカマだったこと。カニなんてスーパーでいくらでも売ってるでしょうが。もうちょっと頑張ってくれ、フィリピン人。寿司もギュッと握りすぎ。こっちはド素人だけど、たぶんもっと上手く握れるぞ。寿司ってご飯の塊に刺身を載せただけじゃないんだからね。けっこう技がいるのだよ。昔小僧寿司でバイトしてた頃が懐かしいぜベイビー。
なんて、ちょっとプンプンしてしまいましたが、逆にこれはビジネスチャンスかもと思ったりもしました。こんなレベルでも欧米人がけっこう来ていたし、もっとおいしい寿司を出せば大当たりするんじゃなかろうかと。お店に交渉してみようかな…。
2009年2月12日 (木)
サウジアラビア料理のメニュー
「ナジュドビレッジ (Najd Village)」 はアラビア半島内陸部、ナジュド地方伝統の建物を模したレストランです。サウジアラビアはドアの装飾が特徴的で、国立博物館にもドアコレクションが展示されているほど。メニューはナジュド料理がメインで、ここまでサウジアラビア料理がそろっているレストランはなかなかありません。
思っていた以上にメニューが多かったこととどれも見た目が似通っていたため、一通り料理の名前を聞いた後にみんなでお皿を回しあって配置がバラバラになったら、もうよく分からなくなってしまいました。しかも写真を撮ったと思っていたら実はまだ撮っていないものもあったりして、みんなで一緒になって 「あれ?、これ違う料理?」 などと言い合いながら食べていました。
メニューと照らし合わせてもよくわからないし、写真を持って料理名をお店に聞きに行こうかどうか、けっこう真剣に悩んでいます。
朝顔
1週間も肉食が続くと、もうなんだか明らかに体調が悪くなります。寝覚めは悪いしお腹は張るし。そんな時に行くのがリヤドのDQ (外交団用地) 手前にある 「ビラレストラン」。パッタイと空芯菜がお決まりのメニューです。空芯菜を食べると次の日は心身ともにすっきり。まぁすっきりというかどっさりというか、とにかく効果てきめんです。
しかし空芯菜はモーニンググローリー (Morning Glory=朝顔) と言うんですね。本当に朝顔の仲間なんでしょうか。茎はもっと太いですけど。口の悪い人は、「空芯菜なんてチャオプラヤー川から引っこ抜いてきた雑草だぞ」 などと言いますが、とにかくこの食感が好きで、野菜嫌いの自分がパクパク食べられる数少ない青菜です。
やっぱりアジアはいいなぁ。
2009年2月11日 (水)
豪快トルコ料理
リヤドのトルコ料理屋 Assaraya にて。
■パン
長い。ひたすら長い。このサイズが焼ける釜を持っていることがすごい。でもみんなでちぎりながら食べていく様は、まるでアリが食べ物に群がっているような異様な光景に写りました。それから、こういう時って最初は誰もパンを分断しないんですね。できるだけ最後まで長いままキープしておきたいという心理が働くようで。
■ミックスグリル
これでたぶん7~8人前。とにかく豪快にドサッと盛られています。この店、味はいいんですけど見た目もへったくれもありません。もう少し小洒落た盛りつけだとうれしいんですが。
■ケーキ
よく見ると、底にしいてあるのはお皿ではなく段ボール紙だったりします。細かいことは気にしないというか、なんとも豪快、いや、やっぱり無神経か。まぁ、ケーキ自体はおいしかったですけど。
2009年2月 9日 (月)
野菜萌え
サッカーワールドカップでいえばサウジアラビアだってアジアなんですが、やはりなんだかんだいってサウジとアジアは果てしなく遠いとずっと思っていました。距離的にも文化的にもそうですが、特に食べ物の違いを考えるとますます 「遠いなぁ」 とため息が。アジアでは当たり前の葉物野菜がほとんどなかった13年前。唯一韓国人経営のスーパーに白菜が出たと聞けば、みんなこぞって買いに出たものでした。
今日はバトハ地区を歩きながら、そんな遠い日の出来事をうっすらと思い出しました。八百屋には目の覚めるような鮮やかな色をした野菜が堂々と並べられています。しかもどれもアジア的。感慨深いとはこのことです。サウジとアジアの距離感がだいぶ縮まったことを実感しました。こういった野菜が常時手に入るのですから、なんというかそれだけで安心してしまいます。
野菜をじっと見ていたらうずうずしてきて、お店のお兄さん (フィリピン人) に 「写真を撮らせてくれ!」 と思わず懇願してしまいました。怪訝そうな顔をされましたが、こちらは本気と書いてマジです。とにかく 「リヤドにもこんなに野菜があるんだぞー!」 と誰かに向かって叫びたいわけです。「だいぶ暮らしやすくなったよー」 なんてことも。
本当に、ほれぼれするような野菜たちでした。細いけど立派な大根は一束50円。安い!
2009年2月 5日 (木)
アメリカンな感じ
トニーローマに続いて、アメリカンカジュアルダイニングの世界的チェーン店、TGIフライデーズの紹介です。以前レストランの外観を車で走りながらチラ見した時は 「立派なハンバーガー屋?」 くらいにしか思わなかったのですが、調べてみたら日本語のホームページもあって、世界60ヶ国で900店以上展開しているとのこと。トニーローマがちょっと微妙だったので、今度こそというつもりで行ってみました。場所はリヤドのリングロード・イーストのExit10から東に延びる道を進むと、最初の交差点の角にあります。
■フレンチオニオンスープ
店の雰囲気からして、8リヤル (200円) というのは安すぎるような。しかもとってもおいしいし。キャンベルのスープなのかな。まぁ別に嫌いじゃないからいいですけど。
■ローデッドポテトスキン
ジャガイモとチーズとベーコンの組み合わせは文句のつけようがありません。おいしくないわけがない。しかし量が多い。これでもハーフサイズ。
■ベイビーバックリブ
本家はポークみたいですが、さすがにサウジはビール (子牛) です。まず、うたい文句の 「骨から落ちてしまうほど軟らか」 に偽りなし!。BBQソースは日本の焼き肉屋の甘ダレ風で、トニーローマのケチャップ系より断然いいと思います。骨を手で持って肉にかぶりついた瞬間、あふれる肉汁と甘いソースのマッチングに思わず 「旨いっ!!!」 と叫びそうになりました。夢中でガツガツと食べ進めながら、心の中では拍手喝采です。
ただし量が…。ハーフ/フルの表記がなかったので普通に一人前と思って注文したのですが、テーブルに運ばれてきた実物を見て目が点になりました。ここ10年で一食分の量を見誤った度合いでは断トツナンバーワンです。横幅25cmありますから。これ、アメリカ人は一人で全部食べるのかな?
食べきれなかった料理をテイクアウトした帰り道、スターバックスによってダブルモカマキアートを買いました。うまい肉をたらふく食べて、スタバのコーヒーを飲んで、そして思ったこと。「これが、アメリカンドリームなんだろうか…?」
↑
たぶん違うと思います。
健康志向のアラブ料理店
リヤドのリングロード・イースト、Exit10の近くにあるレストラン 「アウシャール (Awshal)」。道から見える瀟洒な外観がいつも気になっていたのですが、先日ようやく行ってきました。店の特徴はずばり 「健康志向」。脂の少ない肉とオリーブオイルやキャノーラ油を使いコレステロールや塩分を低く抑え、また、肉はその日の朝に仕込んだフレッシュなものしか使わないとのこと。とかくコッテリしがちなアラブ料理なので、これはうれしい配慮だし他店には見られない戦略です (それをちゃんとメニューに能書きとして載せています)。
それからとにかくメニューが多彩です。基本はアラブ料理で、スープ、サラダ、冷たい前菜、暖かい前菜、メインディッシュのグリルも羊、鶏、シーフードとそれぞれ何種類もある上、パスタやインド料理、さらにステーキまであります。アラブ料理の方もモロッコ風クスクスやタージンがあったり、なんとも多国籍でバラエティーに富んだラインナップです。あれこれ目移りしましたが、この日は結局ハリーラスープ、タブーレサラダ、ミックスグリルを注文しました。我ながら平凡ですね。でも期待が持てそうな店だったので、逆に奇をてらわないものにしました。
スープは写真を見ても黄色いのがわかると思いますが、カレー風味というよりほとんどカレーでした。これとパンだけでも十分一食になるんじゃないかというくらいのボリュームです。先日行ったモロッコ料理店マラケシュのものとはだいぶ様相が異なりますが、野菜はたくさん入っているし、カレーのスパイスが効いていてなんだか健康になりそうな気がしました。
ちなみに自分は体調が悪い時、漢方薬のつもりでスパイスたっぷりのインドカレーを食べに行くことにしています。でも高級店は油たっぷりでむしろ気持ち悪くなるので (インド通の友人がカレーのうまさはスパイスの香りが移った油のうまさだと言っていました)、できるだけ安い大衆食堂でサッパリした (油をけちった) カレーを食べます。ま、それはさておき。
ミックスグリルは鶏と羊のカバブ (串焼き)、鶏と羊のコフタ (つくね)、若鶏のグリルの5種にポテトと野菜がついて50リヤル (1200円)。安くはありませんが量が多いので十分リーズナブルではないでしょうか。カバブは可もなく不可もなく。だいたいどこで食べてもおいしいですからね。でも、どちらかと言えば脂っこくなくてさっぱり。それでいてちゃんと柔らかくジューシーでした。
コフタは他の店より太めなのでフワッとした焼き上がりに。脂が少なく塩分もひかえめで、なるほど健康志向をうたうだけのことはあります。特に鶏のコフタがおいしいと思いました。若鶏は肉の量は少ないのですが、シコシコとして噛めば噛むほど旨味が口に広がるなかなかの出来映え。まったく臭みもなく、本当においしかったです。これだけの量を食べても食べ飽きたということがなかったし。お腹ははち切れそうでしたが。
ということで、アウシャールはもう一度行ってみたいと強く思えるお店でした。次はアラブ料理もさることながら、ぜひシーフードパスタやインドカレーにも挑戦してみたいです。なお、店名の意味はシャウル (水滴) の複数形 (涙という意味もあります)。乾燥した砂漠に住むアラブ人にとって、透明な一滴の水はまさに甘露なんでしょう。
2009年2月 3日 (火)
砂漠のトリュフ
世界三大珍味、あるいは台所のダイヤモンドともいわれるトリュフ。フランス産黒トリュフとイタリア産白トリュフが世界的に有名ですが、世界には同種のキノコが30種以上あるそうです。中東地域では、古くは古代エジプトのファラオが食したとパピルスに記され、またアラビア遊牧民の間でも、砂漠で採れるこの貴重なキノコは昔から珍重されてきました。欧米人はこれを 「砂漠のトリュフ (Desert Truffle)」 と呼んでいますが、現地の名前はいろいろです。
テルフェズ (モロッコ)
テルファス (エジプト西部の遊牧民)
ファッガ (クウェート)
ファグウ、ファガア (サウジアラビア)
ハラスィ (サウジ東部) ※ローカルの品種名 (黒)
ズバイディ (サウジ東部) ※ローカルの品種名 (白)
カマー (シリア)
キマー、チマー (イラク)
ファガ、ズバイディ (オマーン)
ファガアの香りは濃厚なマッシュルームあるいはナッツ風味といった感じで独特のねばっこい匂いですが、実際は香りを楽しむよりファガアそのものを食べることが目的となります。火を通して食べると栗のようなホコホコした食感と甘味が口に広がって、何より大粒なのでなかなか食べ応えがあります。
何種類か調理法を試しましたが、結局丸のままオーブンで焼くのが一番おいしいと思いました。卵くらいの大きさなら220℃で20分くらい。焼けたら半分にカットして、熱いうちにスプーンですくって食べます。お好みで醤油をたらしてもいいでしょう。焼くのを10分くらいにすればよりフレッシュな香りとサクサクした食感が楽しめ、30分焼くと一段と汁気が分離して旨味が増しますが、香りはだいぶ飛んでしまいます。
ちなみに皮はパリッとしたままなので、手で持って食べられます。皮には砂がたくさんついているので食べられません。アルミホイルを巻いて焼くと食感がグニュグニュした感じになるのでおいしさ半減と思いました (好みでしょうけど)。ベドウィンはそのまま火の中に放り込んだら数分で取り出し、ガブリと豪快に食べるそうです。通ほどあまり火は通さないようです。
他に試したのは、ファガアを薄切りにして熱いお吸い物を注ぎしばらく蒸す方法。これもサクサクと食べられておいしかったですが、香りはあっという間になくなりました。もうひとつは厚めに切ってソテー。これもなかなかいいですが、どうせならもっと大きいものを買って、分厚くした方がおいしいと思いました。でも、大きくなると値段が跳ね上がるんですよね。シーズンはこれからなので、まだちょっと様子見です。
それにしても、道ばたで売っていたファガアを我ながら目ざとく見つけたものです。おかげで13年ぶりの珍味を堪能しました!
(→過去記事)
2009年2月 2日 (月)
東京レストラン
東京レストランはリヤドで以前から営業を続ける日本料理の老舗です。当時はやはり日本人や欧米人の方が多かったと思いますが、今回リヤドに再赴任して何度か行った限りではサウジ人の客がけっこう入っていて、なんだか感慨深いものがありました。
昔は、「お寿司は食べたいけれどちょっと高いしなぁ、日本に帰るまで我慢するか」 といった感じで滅多に行かない店でした。その値段を払うならもっと他に選択肢があったし。今回もその時の記憶を引きずっていて、この1年でも数えるほどしか行っていなかったのですが、最近100リヤル (今日のレートで2400円) 前後の食事が続いていたので、あらためて東京レストランのコストパフォーマンスの良さがわかりました。というか13年前とくらべてほとんど値段が上がっていないのでは?
1枚目の写真は「幕の内弁当」。税込み70リヤル (1700円)。鮪と鰆のお刺身、海老と白身魚の天ぷら、野菜かき揚げ、鶏と魚の照り焼き、コロッケ、サラダ、酢の物、お新香。おみそ汁、ご飯、デザートの自家製抹茶アイスがついてこの値段は、オルーバロードにあるレストランの相場としてはかなり安い方です。近所のアラブ料理店3軒 (バールベック、ブルジュルハマーム、フィシャーウィー) より間違いなく安くておいしいです。最近アラブ料理に食傷気味だったので本当にしみじみそう思いました。でも、日本に戻ったら食べられないということで、結局またアラブ料理屋に行くわけですが。
ここ3週間外食を続けていますが、一番のヒットは東レスの幕の内弁当と言っても過言ではありません。見た目も断トツにきれいです。ただし、やはり量が多い。量は半分で値段も半額というわけにはいかないもんでしょうかねぇ。(2枚目の写真は蕎麦セット)
2009年2月 1日 (日)
トニーローマ再び
前回、BBQリブを食べた時にうすうす感じた、「シンプルなステーキの方がおいしいんじゃ…」 というのを確認しに、先日人を誘ってまたトニーローマに行ってきました。今度は3人だったので前菜の盛り合わせもハーフではなくフルを注文。さすがにでかい。必死にタマネギフライをほおばりました。
ステーキはサーロイン (280g) をチョイス。もちろんレアで。店員が 「え、ウエルダンじゃないの?」 と聞いてきましたが (アラブ人はウエルダンが基本)、しつこく 「レアで」 と繰り返しました。中東だとレアと言ってもミディアム、ミディアムと言ったらウエルダンくらいに焼かれてしまうおそれがあったのでこう言いましたが、焼き加減はきっちりレアでした。お見事。
280gはかなりの量だと覚悟していましたが (4種あるステーキはみんな300g前後)、食べてみると肉自体がおいしくて、それからペッパーソースが絶妙に自分好みの味だったので (一緒に行った人は辛すぎると言っていた)、あっという間に完食してしまいました。肉は火を通しすぎない方がおいしいですねぇ。そうするとやはり究極はエチオピアの生肉!?
オニオンスープもいけました。スタイルはフレンチオニオンスープ風ですが、そこまでタマネギを炒めていないしスープもクリアー。チーズはなぜかブルーチーズ風味でしたが、これがサッパリ味のスープと合っていて軽く感動するくらいおいしかったです。今度自分でもやってみよう。
レバノン料理②
先に紹介したオルーバロードのレバノン料理店バールベックと同じ並びにあるもうひとつのレバノン料理店が 「ブルジュ・アルハマーム」 です。アラビア語のメニューをもらうと (英語はない)、メインディッシュとしてグリル以外にもスペシャルメニューが書かれています。迷った末にその中からヒツジのマハシを注文しました。マハシというくらいなのでご飯が肉に巻かれているのかなと思ったのですが、出てきたものは写真の通り、ご飯の上に煮込んだヒツジ肉がどっさり載っているものでした (量が…)。
あまりピリッとこない、もっさりしたアラブ料理独特のスパイスが効いた味付けご飯と、トロトロに煮込まれたヒツジ肉、そしてコクのあるグレイビーソースが渾然一体となって、半分くらいはおいしく一気にいただきました。次第に味に飽きてきたところで、今度は一緒についてきたヨーグルトをドッサリかけて食べると、なんともサッパリしてさらに食が進みました。味付けご飯にヨーグルトって相性抜群 (のような気がする)。吉牛とかにも合うかな (←適当)。味も良かったし、英語のメニューがあればもっと外人が来るかなと思いましたが、アラブ人で十分混んでいたので、まぁ、今のままでいいのかもしれません。
ちなみにブルジュ・アルハマーム (ブルジュルハマーム) は 「鳩の塔」 という意味 (ハマーム=鳩)。3枚目の写真のような、アラブ風の鳩の巣箱 (集合住宅) ですね。アカバにも同じ名前のレバノン料理店があったと思いますが、アラブ料理店ではわりと良くある名前です。なお、まったく同じ綴りで読み方をハンマームにすると風呂、スパ、サウナになります。
2009年1月31日 (土)
インドネシア料理
リヤドのスレイマニヤ地区のプリンス・マムドゥーフ通りには目移りするほどレストランが軒を連ねています。アラブ料理、インド料理、中華料理、ファストフードなどよりどりみどりですが、その中にインドネシア料理屋 「デンデン (Dendeng)」 があります。この通りは今まで何度も車で走っていたのですが、店の看板がアラビア語ばかり目立っていたので、まさかインドネシア料理だとは思いませんでした。
ということで人を誘って行ってみましたが、料理の方は、正直言うとなんだかとってもいまいちでした。ガドガドは野菜があまり入っていなくてえびせんばかり。ミーゴレンはスーパーで売っているインスタント麺。ナシゴレンは自分で作る醤油チャーハンを思い出して、おいしかったですがレストランの食事ではないなと思いました (家庭の味とも言えますが)。全体的に見た目もちょっと…。でもサテは普通においしかったです (鶏、牛、エビ)。
店の名前にもなっているデンデンは牛の干し肉を揚げたもので、パリパリしておいしかったですがやはり相当脂っこい。ルンダンは牛肉をココナッツミルクで煮た料理で、味はけっこういいのですがやはりしつこい味なのでたくさんは食べられませんでした。オセン・ジャワはレストランで出てくる料理とはちょっと言い難いような。いや、別にまずくもないし普通に食べられましたけど。アヤム・ケチャップ (鶏) が一番おかずらしくておいしかったかな (トマトケチャップではなくてインドネシアのケチャップ・マニスです)。
たぶんチョイスを間違えなければきっと満足できるお店だと思います。一人で行った時に頼んだナシ・チャンプル (4枚目の写真/ご飯+おかず4品=260円。6品と9品のバージョンもあり) はとてもおいしかったですから。この時はズラリと並んだおかずの中から自分の好きなものを選ぶシステムだったのが勝因ですね。いずれにしてもアジア料理のお店は貴重ですから、これからも頑張ってほしいものです。
2009年1月30日 (金)
シリア料理
リヤドのタラーティーン通りにあるアラブ料理店 「セット・アッシャーム」 に行ってきました。セットはレディー、シャームは北アラブ諸国であるシリア地域の旧称。ということで、店名を訳せば 「シリアの貴婦人」 あるいは 「北国の女」。なんだか演歌みたいなのでやはり前者の方がいいですね。
ここは一昨年オープンしたお店で、店内の装飾品や家具はすべてシリアから輸入したものだそうです。店員もほとんどシリア人でした。ただしサービスのてこ入れかフィリピン人が要所要所に配置されています。やはり実際にサービスを受けてみて、アジア人のきめ細かさには感心させられました。
週末 (水木金) の夜はビュッフェで、この日もシリア料理がずらりと並んでいました。といってもいわゆるアラブ料理なので、特に目新しいものはありません。ただすべてがちょっとずつ平均点を上回っている感じで、素直においしかったです。残念ながら値段が180リヤル (4700円) とシェラトンホテルのレバニーズビュッフェより高いのですが、食材の内容は完全に負けているし、ここでしか食べられない目玉料理もありません。結局、値段の半分くらいはお店の雰囲気とサービス料なのかなと思いました。
実際この日は自分1人なのに、4人用の個室に通されました。部屋の中がアラブの雰囲気満点なのはいいのですが、さすがに1人だと若干の空しさが。もっとも、店員が入れ替わり立ち替わり声をかけてくれてそれほど寂しさは感じませんでした。その代わりみんなどんどん料理を持ってきてくれるので (自分でも取ってきているのに…)、本当にお腹がはち切れそうなほど食べてしまいまた。
ぜひ他の部屋も見てと言われて、6人用と8人用の個室や大人数用のVIPルーム (写真) も見てきました。料理はそこそこおいしいし、こんなムードたっぷりの部屋で食事できるなら4700円も高くないかな? (自分は一食の値段としては今までで最高額でした)。廊下 (写真) がまたいいんです。部屋の扉から電灯まですべてシリア製で。入り口で出迎えてくれたシリア人スタッフ (写真) のソフトな対応も二重丸。
まさに 「一度は行っておきたい店」。(一度で十分…?)
2009年1月24日 (土)
ご馳走カレー
サウジアラビアで食べるカレーは、インド人がインド人のために作る本場のカレーです。普段はオレイヤロード沿いにあるマラズレストランという大衆食堂でばかり食べていて、1人で行く時はもっぱら7リヤル (180円) の定食 (ご飯にミートカレー1種と野菜カレー3種がついている、ご飯と野菜カレーはおかわり可能)、数人で行く時は単品カレーを何種類か頼んでも1人あたりせいぜい15リヤル (390円) ですみます。インド、パキスタンのタクシー運転手でいつも大繁盛していますが、なるほどこの値段では文句のつけようがない見事な味です。
そんなわけでマラズレストランには大いに満足していましたが、ある日ふと高級インド料理屋に行ってみたくなりました。マラズではもう決まったものしか食べなくなっていたし、初期の頃のように本当においしいと思って食べることもなくなっていました。何か壁のようなものにぶつかっていて、あんなに好きだったインドカレーへの情熱が冷めつつあることに妙なあせりを感じていました。「もう一度インドカレーの素晴らしさを味わいたい」 大げさに言えばそう思ったわけです。目指すは「アヴァドゥ (Avadh) レストラン」。ガイドブックによれば、リヤド在住インド人おすすめの高級店だそうです。
夜、ライトアップされたレストランの店構えはなかなかの高級感。広い店内は噴水が流れていたりして、高そうな感じがひしひしと伝わってきました。メニューを見ると、なるほど高い。肉のカレーは全部56リヤル (1450円) だし、スープからして16リヤル。「スープがマラズの定食2食分」 などという計算が一瞬頭をよぎりましたが、逆に、この値段で一体どんなカレーが出てくるんだろうと期待も一気に高まりました。
メインはやはりマトンにして、いくつもある中から一番のおすすめを店員に聞き、素直にそれを注文しました。あとはレンティルスープ、パンの盛り合わせ (ナン、チャパティ、パラタ)、ニンジンのデザートと紅茶。本当はもう1品野菜カレーを頼もうと思ったのですが、ここで店員がキッパリと注文を繰り返してきたので、「あぁ、もう終わりなんだ」 と悟り、無言でメニューを返すしかありませんでした。ちょっと雰囲気に飲まれた?
やけにクローブが効いたレンティルスープを食べ終わり、なかなか出てこないメインディッシュのブナ・マトンを待っている時間はとても長く感じました。いや、実際長かったです。カレーなんてチャッチャッと作れるようなイメージがあったので、「高級店はずいぶんもったいぶるなぁ」 などと思いつつじっと待っていたのですが、ようやく運ばれてきたそれは、まるで予想だにしない料理でした。なんとパイ包みです。もちろん初めて見ました。これなら時間もかかろうというものです。
思わず動きが止まってしまったこちらを横目に、店員がさっさとパイを開けようとしたので、「ちょ、ちょっと待って、写真を…」 と言いながらあわててカメラを取り出しました。写真を撮るのは少し恥ずかしかったのですが、店員の方は 「ふむふむ」 と満足そうにうなずいていたと思います。写真を撮った後は店員がおもむろにパイ皮を開き、中から肉とたっぷりのカレーをお皿に取り分けてくれました。こう見るとまるで洋食ですね。でも、立ちこめるスパイスの香りの向こうには、確かにインド悠久の大地が見え隠れしていました (←言い過ぎ)。
カレーそのものはコルマ (ヨーグルト、生クリーム、ナッツのペーストがベース) の味に似ていました。しかし色はもう少し茶色。ブナ (Bhuna) というのはどうやらタマリンドとトマトが入ったソースを言うようですが、このカレーもやや甘酸っぱくて辛さひかえめ、マイルドですがコクのあるカレーでした。お肉もたくさん入っていて実質2人前の量なので、56リヤルもそう高い値段ではありません。実は甘ったるいコルマ系よりはスパイスの香りがガツンと鼻腔に抜けるマサラ系の方が好きだったりしますが、これは香りと味に奥行きがあってかなり満足度の高いカレーでした。
チャパティがおいしいのにもびっくりしました。これまで灰色でいかにもな感じのチャパティしか食べてこなかったので、この店の白っぽくて甘味のあるチャパティは一緒に出てきたナンよりもおいしいと思いました (もしかして全粒粉じゃないのかな)。紙のように薄いのに焦げ目もついてきちんと焼けていたのも技ありです。カレーのパイ皮も食べようと思ったのですが、それでなくともパンが山盛りだったので、食べたのはほんの一口か二口。でもパイ包みには甘いカレーがしっくり来るのかなと思ったりしました。
単純に値段を考慮して、この味が大衆食堂より5倍も6倍もおいしいかと言われるとそう断言する自信はありませんが、やはりパイ包みという自分にとって未知のスタイルを味あわせてくれたことに感激しました。これがこの店のシェフの思いつきなのかそれとも歴史ある料理手法なのかはわかりませんが、やはり庶民の台所とは一線を画す、まさにご馳走カレーでした。ミルクセーキ風味のニンジンのデザートも、食事のしめにふさわしい穏やかな味で満足満足。ということで、まだまだカレーは奥が深いなぁと思い知らされた食事でした。
2009年1月23日 (金)
サウジでトニーローマ
2007年、ドバイに続いて中東の拠点としてリヤドにオープンしたアメリカンスタイルのカジュアルレストラン 「トニーローマ (Tony Roma's)」。世界30ヶ国で190店舗を誇る人気店だそうですが、さて、味の方はどうなのでしょうか。かなり期待しつつ、オレイヤロードにある店に行ってみました。
■トニー・サンプラー/ハーフ (前菜)
オニオン・ローフ、レッドホットバッファローウイング×4 (手羽先)、スピナッチディップの盛り合わせ。迷いましたが、とりあえずハーフサイズを注文。しかし運ばれてきたお皿を見て唖然としました。「これ、ハーフ?」 フィリピン人スタッフに聞くと 「イエッサー!」 と力強いお返事。すかさず 「テイクアウトできますから!」 と言ってきたので、やはり食べきれないお客が多いのかもしれません。フルにしなくて良かった。
名物のオニオン・ローフは3種類のソースで食べ進めればパクパクいけますが、もう少しサクッと揚がっていれば最後までおいしく食べられたかもしれません。手羽先の唐揚げはほとんどタバスコ味。アジアの辛い発酵調味料に慣れた舌だと、タバスコの味はどうも薄っぺらい気がします。酸っぱすぎるし。スピナッチはクリームの方が勝っていてとことんこってり系。いや、それぞれはおいしいんですけど、きっと腹ぺこの高校生ならむさぼるように食べると思うんですけど、いかんせん量が多すぎ。半分食べて味に飽きてきた頃にメインディッシュが出てきたので、残りはテイクアウトすることにしました。
■ビーフ・リブ/4本
ハーフだと少ないかなと思って、ハーフ+1本にしました。計4本。ソースはオリジナルを選択。そして運ばれてきたお皿の上には、かなりの大物がドカッと乗っていました。前菜でけっこうお腹に来ていたのですが、それでも思わず 「うまそー!」 とつぶやいてしまいました。立ちこめる甘酸っぱい匂いに期待しつつ1本目に手を伸ばし、ガブリと一口。「うまい!、けど…、甘~」 味の感想はこの一言につきます。トニーローマ秘伝のオリジナルソースだそうですが、ちゃんとアメリカ本店と同じ味なのかな?。なんと言うか、ケチャップと砂糖と酢を煮詰めたような味で、これはこれでまぁおいしいのですが、なにしろたっぷり塗りすぎです。肉の味がほとんどしません。
そうは言っても、最初の1本はやはりガツガツと食べました。骨に付いたパリパリの膜のようなものがおいしくて、丁寧にこそげ落として食べていたら骨は見事に真っ白に。しかし2本目で早くも躊躇してしまいました。ソースのどぎつい甘酸っぱさに舌はしびれ、脳が 「ここで止めといたら?」 という危険信号を発していました。どうせテイクアウトするなら2本も3本も同じでしたが、店員が笑顔で 「味の方はどうですか?」 と聞いてきた時に、こちらも思わず 「あぁ、最高においしいよ!」 とビシッと答えてしまったものですから、ここで手を止めてはいけないような感じになってしまい、ちょっと無理して2本目を食べることにしました。優しさ (あるいは優柔不断) が自分の首を絞めるパターンですね。
結局、前菜もリブも半分はテイクアウトすることになりました。これがいわゆるアメリカンサイズなんでしょうか。ハーフという表示に完全にしてやられました。今回店内で食べられたのはハーフのハーフでほとんどクオーター (4分の1) くらいだし、一緒に出てきた大きなパンと大盛りのトルティーヤチップスにはとても手をつけられませんでした。もしリブがシンプルに塩コショウで焼いたものだったら、あるいは4本全部食べられたかもしれませんが、BBQソースはトニーローマの命ですから、そこを否定してしまうのはダメなんでしょうね。肉 (オージービーフ) 自体はおいしいと思ったので、今度はステーキに挑戦してみようかなんて考えています。
ちなみに家に持ち帰った料理はソースの匂いが鼻についてもうまったく食べる気が起きなかったのですが、半額 (1500円) 捨てるのはもったいないと、かな~り無理してその日のうちに食べました。翌日は一日中胸がムカムカして、気道が狭くなるような息苦しさもありました。よほど添加物が多かったのかも。結論、「一口目はおいしい」。
2009年1月20日 (火)
モロッコ料理③ デザート
普段食べているアラブ料理でもクナーファやオムアリーなどおいしいデザートはいろいろありますが、リヤドのモロッコ料理レストラン 「マラケシュ」 で食べたあちら風のデザートを2品紹介します。
■シェバキヤ (Shebakiya)
デザート盛り合わせの真ん中にある茶色いクネクネしたお菓子。アラビア語を忠実に発音するとシャバキーヤ。「網状の」 という意味の通りのクネクネした形です。ゴマの香ばしさとハチミツの濃厚な甘い香りに加え、爽やかな花の芳香が感じられました。柔らかめのかりんとうといった食感でかなり甘いのですが、香りが良いので 「これ何の匂いだっけ?」 と考えつつ食べていたらあっという間に3個なくなってしまいました。
しかしさすがにこのデザート盛り合わせはお店では食べきれず、シェバキヤの他に2、3個食べた他は包んでもらいテイクアウトしました。ナッツの粉を砂糖で練ったようなものが多く、甘かったですが渋茶と一緒においしくいただきました。甘い粉を固めたようなお菓子はアラブでは一般的ですが、ここのものはひと手間かけてそれを別の生地で包んでいるので、リヤドの極めて乾燥した状態でも中身のしっとり感が損なわれていませんでした。
■ムハンシャ (M'hansha/M'hanncha)
モロッコ方言でヘビの意味 (アラビア語では他にもサアバーン、ハイヤ、アフアー、ハナシュ)。形を見れば一目瞭然ですね。お店で食べた時は中身はココナッツかなと思いましたが、家に戻ってネットで調べてみたら、アーモンドの粉を砂糖や香辛料と一緒に練ったものだそうです。細長いヒモ状で外はパイ生地。蚊取り線香のように巻いて油で揚げた後、ハチミツにひたしてアーモンドをふりかければ出来上がり。これにもやはり花の香りが効いていました。
食感はネットリして重たいしかなり甘いのですが、アーモンドとハチミツと花の香りにつられて一気に半分まで食べてしまいました。結局そこでギブアップしましたが。
■ミントティー
アラブ料理屋ではよくミントティーを飲みますが、紅茶にミントの葉っぱが2、3枚入っているのが普通です。ところがこの店で飲んだものは緑茶がベースで、お茶の色も黄味がかっていました。ミントが主張しすぎず、とても穏やかな味。料理もそうですが、このひかえめな感じがいいですね。お茶を入れる時はできるだけ高い位置からカップに注ぐのがモロッコ流だそうです。この店の場合、カップを左手で持ち、右手のティーポットからお茶を注ぎ始めたら徐々にカップを下げつつポットの方は高く上げていき、最後は1メートルくらいの落差ができるくらいにして注いでくれました。泡だったところがおいしかったです。
■フラワーウォーター
後日、気になってスーパーに行きまずローズウォーターを手に取ってクンクンしてみると、あの時嗅いだシェバキヤの匂いとはちょっと違う感じ (フタ越しなのでよくわからない)。隣にあったオレンジブロッサムウォーターと、せっかくなんで初めて見た Kewra ウォーターと合わせて3本買ってきてあらためて匂いをくらべてみたところ、やはりオレンジだったろうという結論になりました。
一番安いの (どれも1本130円/レバノン製) を買ってきたせいかあまり上等な匂いはしませんが、寝る前に枕元にまいたりしています。ローズウォーターはアラブではおなじみ。日本でも薔薇ガムなんてのがありましたが、あの匂いです。オレンジブロッサムウォーターはその名の通りオレンジの実ではなく花の方の香り。Kewra (Pandanus) ウォーターは何日か前に食べたインド料理屋のデザートもこんな匂いでした。お香に少しフルーティーな酸味を加えた感じで、バンコクのお寺を思い出しました。
2009年1月19日 (月)
モロッコ料理②
リヤドのモロッコ料理レストラン、マラケシュにて。
■バスティーラ (Bastilla/Pastilla)
ハトや鶏の肉をタマネギ、卵、アーモンドなどと一緒にワルカ (紙のように薄いパイ生地) で包んで焼いたパイ。粉砂糖とシナモンをふりかけて食べるものが有名だそうで、メニューにもハトのバスティーラの写真にはそんな感じの模様が写っていましたが、気分的にシーフードのバスティーラをチョイス。残念ながら見た目はのっぺらぼうの大きなおまんじゅうという感じでしたが、逆にどことなくユーモラスで、ナイフを入れるのが忍びなかったです。
ひとしきり眺めた後、エイヤッと真ん中にナイフを入れると、パリパリッという小気味よい音が小さく響きました。中にはエビとイカと春雨がぎっしり詰め込まれていて、切った途端濃厚なシーフードの香りがフワッと立ち上ってきました。このところ連日アラブ料理を食べていてやや食傷気味でしたが、この香りに俄然食欲が出てきました。見た目はもっさりしていますが、油っこいという感じもなくペロリと食べてしまいました。
■タージン (Tajine)
前回のハムール (白身魚) に続いて、この時はコフタ (ラムの肉団子) のタージンを食べました。トマトソースで煮込んだコフタはまた格別で、塩味も濃いめだったので一緒に出された白いご飯があっという間になくなっていきました。実はテーブルに運ばれてきてフタをとった瞬間はグツグツ煮えていたのですが、フタを元に戻してとりあえずバスティーラから食べていたら、すっかり湯気もなくなってしまいました。写真で見る限りいまいちおいしさが伝わらなくて残念です。
マラケシュレストランには普通のグリルメニューもあってまだまだ楽しめそうですが、スープ、メイン、デザート、お茶を頼むと100リヤル (2600円) 以上になってしまいます。「ブハーリーライス10食分かぁ…」 などとつい貧乏性が頭をもたげてくる自分が悲しくなってきました。モロッコで食べたらクスクスなんてもっと安いんでしょうけどねぇ。
実はその昔カサブランカに旅行したことがあるのですが、料理の値段どころか何を食べたかすら忘れてしまいました。物乞いの女の子に 「チノ、アン・ディルハム」 と言われたことは憶えているのですが。ガイドブックも持たず、どこに何を見に行ったのかもさっぱり。3枚目の写真はどこかの路地をブラブラしたときのものです。
2009年1月18日 (日)
モロッコ料理①
モロッコ料理については以前こちらに嫌なことを書いていますが、その時の料理がたまたまトラウマになるくらいすごかっただけで、モロッコ料理は本来、レバノン料理やトルコ料理とともに、中東を代表する料理としてつとに有名です。今回サウジに戻ってきて、リヤドのキングファハドロードを走るたびに「マラケシュ (Marrakech)」 というレストランの大きなアラビア語の看板が目に入ってくるのでその存在はずっと気になっていたのですが、ようやく重い腰を上げて行ってきました。もちろん当時食べたのとは別のレストランです。
マラケシュの店内はやや薄暗く、アラブっぽい調度品や壁にかけられたアラベスク模様のタイルなどでシックに装飾されています。ビルのエレベーターで3階に行き、扉が開くと目の前にレストランの入り口が現れるということもあり、なんとなく隠れ家的な雰囲気がただよっています。外から遮断されているので、サラー (礼拝) タイムもあまり関係なさそうでした。
■ハリーラ (豆のスープ)
トマトベースのもったりとしたスープ。ラム肉が少し入っています。スパイスはコリアンダーなどを使っているようですが、ハーブの香りはあまりしませんでした。良く言えばくせがなく誰でも食べられるやさしい味、悪く言えばパンチに欠ける感じ。好きな味ですが、少し塩コショウを入れて食べました。塩コショウ入れがタージン (後述) を模したかわいい陶器だったので、ぜひ使いたかったということもあって。
■クスクス (ラム肉が載ったもの)
「クスクス(Couscousあるいはkuskus)は、硬質小麦の一種であるデュラム小麦の粗挽粉に水を含ませ、調理後の大きさが1mm大の小さな粒になるように丸めてそぼろ状に調整したものである。語源はマグリブ・アラブ語の kuskusu であるが、これはベルベル語の seksu (「良く丸められたもの」という意味) が元になっている。米国では通常パスタの一種として認識されているが、日本を含め他の多くの国では米やコーン、豆などの穀粒と同じように扱われることが多い。飯状に炊いたり蒸したりしたものが肉料理や野菜スープと一緒に供され、これがクスクス料理である。マグリブ地域の主食。 (Wikipediaより)
ということで、おそらくモロッコ料理で一番有名なのがクスクスではないでしょうか。上の説明のようにクスクスはご飯とほぼ同義語なので、クスクスの上に何をかけるかによっていろいろなバリエーションができます。マラケシュレストランのメニューにもラム、チキン、野菜など何種類かありました。いろいろ迷った末にラムを選択。昔食べたクスクスよりはそれなりに味がついていておいしかったですが、シンプルというか素材の持ち味を活かすというか、やはりかなりの薄味。肉、野菜ともにごく少量の塩で茹でただけのようでした。ハーブもほとんど入れてなさそう。
正直、ラムはもうちょっと塩気がほしいと思いましたが、逆に茹で野菜 (キャベツ、ニンジン、ズッキーニ、カブ、カボチャもしくはサツマイモ) の方は野菜そのものの甘味が感じられておいしかったです。この野菜の多さは嬉しい誤算でした。レバノン料理とは趣がガラリと異なりますね。ただ、クスクスはボソボソしがちな食べ物なので、おかずの方はもっとジューシーなものがいいと思いました。これはあらかじめ予想していて、もう一品そんな感じの品 (タージン) を頼みました。
■タージン (土鍋焼き)
エジプト料理でいうターゲンと同じものです (エジプトではJ音をG音で発音する)。ただしモロッコの方は土鍋のフタも含めてタージンのようで、必ず三角にとがったフタをしてテーブルに運ばれ、客の目の前でフタが開けられます。フタを開けた時に料理がグツグツ煮立っている様は、本当に食欲をそそります。今回はクスクスがラムなのでハムール (クエのような白身の高級魚) のタージンにしました。メニューにはラムのタージン8種、シーフードタージン2種、チキンタージン4種がありました。
ハムールとトマトソースの相性は言うまでもなく最高で、やや酸味が強いソースにパプリカとオリーブの風味がマッチしていました。大きめのニンジンとジャガイモはほくほくして甘味が強かったです。あまったソースはクスクスにかけていただきました。トマトソースで食べるクスクスは殊の外おいしく、これが 「世界最小のパスタ」 ということを思い出したりしました。
2009年1月16日 (金)
シャワルマ食べくらべ
レシピがシンプルで、だいたいどの店で食べてもそれなりにおいしいシャワルマですが、今まで違う店のものを同時に食べくらべたことはなかったので、いい機会と思ってチャレンジしてみました。
■チキンシャワルマ
1枚目の写真向かって左から、①シャワルマ・キングダム (家の近所の店)、②アッサラヤ (よく行くトルコ料理屋)、③ヤマール・アッシャーム (昔通っていた店)。どれも基本は鶏肉、フライドポテト、ピクルスをマヨネーズと一緒にホブズ (パン) で巻くスタイル。
①シャワルマ・キングダム (3リヤル=78円)
肉のカットが小さめ。肉の味付けは塩コショウ。肉だけつまんで食べるとやや物足りない。全体を食べた時、マヨネーズが多めなのでボソボソ感はない。シンプルだが全体のバランスが良い。マヨネーズの代わりにケチャップも指定できるが、はっきり言っておいしくない。
②アッサラヤ (3リヤル=78円)
この店のシャワルマは初めて食べました。肉のカットが大きめかつ多め。肉の味付けは塩コショウ。肉だけつまんで食べてもボリューム感があり肉本来の旨味が味わえる。マヨネーズは少なめで全体を食べると肉の存在感がはっきりしている。作りたての熱いうちに食べればボソボソ感はない。
③ヤマール・アッシャーム (4リヤル=104円)
肉のカットは中くらい。アッサラヤより焦げ肉が少なくジューシー (どんどん売れていくのでじっくり焦げるほど焼く時間がないのかも)。肉だけつまんで食べるとシコシコしていてとてもおいしい。肉の味付けは塩コショウ+スパイス (コリアンダーとかその辺りの感じ)。このスパイスの香りが 「本物」 を思わせる。ガーリックマヨネーズが効いていて、全体を食べると濃厚で奥深い味。
■ミートシャワルマ (ラム)
2枚目の写真向かって左から、①アッサラヤ、②ヤマール・アッシャーム。レシピは店によってまちまちな感じ。
①アッサラヤ (3リヤル=78円)
肉のカットが大きめ。肉の味付けは塩コショウ。フライドポテト、ピクルス、マヨネーズが入る。肉本来の旨味が味わえるとも言えるが、あまりにもストレートに肉なので、臭いも含めて自分には正直つらかった。マヨネーズも少なめで、全体を食べるとかなりボソボソした感じ。冷えてしまうとさらに厳しい。
②ヤマール・アッシャーム (4リヤル=104円)
肉のカットは小さめかつ多め。肉の味付けは塩コショウ。バクドゥーニス (イタリアンパセリ) とタヒーナ (ゴマペースト) がたっぷり。トマト一切れにピクルスも多めなので全体を食べるとジューシーさが際だつ。チキンシャワルマとは完全にレシピが違う。ラム肉専用に考え出されたレシピに好感が持てる。おいしい。
ということでチキン、ミートともに、やはりヤマール・アッシャームに一日の長があるという結果になりました。味については各人の好みですが。昔はチキンシャワルマ一本やりでしたが、今回ミートが思いの外おいしいということに気付きました。どの店もチキンの方が圧倒的に販売量は多いですが (キングダムもミートはやっていない)、また少しシャワルマ屋に通っておいしいミートシャワルマをさがしてみようかな。
2009年1月15日 (木)
黄昏のシャワルマ
リヤドにシャワルマ屋は数あれど、当時はヤマール・アッシャーム (Ya Mal Assham) がもっともおいしい店だろうと思っていました。サウジ人に 「そうだよね?」 と聞くと、みんな大体 「そうそう!」 と言ってくれたし。そして再びのリヤド生活。地域の開発とともに当時通っていたお気に入りのレストランはその多くがなくなっていて、ヤマール・アッシャームもそんなもののひとつでした。
この1年、シャワルマはもっぱら家の近所で買っていますが、特に疑問も持たず、十分おいしいと思って食べています。ただ、時々ヤマール・アッシャームのシャワルマを思い出すこともありました。今食べているものとどう味が違うかはうまく言えませんが、とにかく昔食べていたシャワルマはもっともっとおいしかったような気がします。
ある日、サウジ人の旧友と会った時、10年たってリヤドもずいぶん変わったという話題になりました。その中で彼は、町も人も変わったけれど、シャワルマのように町で食べる食べ物の味が変わった、昔の方がおいしかったとしみじみ言っていました。なんとなく自分もそんな風に考えていていたので、「やっぱりそうだよねぇ」 と深くうなずいてしまいました。
その後もずっとシャワルマは家の近所で買っていたのですが、先週、オレイヤ通りを走っていた時、アカリヤ交差点のすぐ先に巨大なヤマール・アッシャームの看板を見つけてハッとしました。何度か通っている道なので今まで気がつかなかったのが不思議なくらいですが、当時の小さな店とくらべたらとんでもなく大きく、そしてお洒落な外観だったので、意識に入ってこなかったようです。
数日後、そこが当時の店 (の発展型) なのかはわかりませんでしたが、とりあえず行ってみることにしました。近くの路上に車を止めて店に入ると、外観も大きいですが店内もかなり広めで20m×20mくらいありました。シャワルマ屋というよりはアラビックのファストフードを手広く扱うお店で、テイクアウトもそうですが店内のテーブルで食べている人もたくさんいます。若者が多いし学食のような雰囲気でした。
レジでメニューを見るとサンドイッチ系のものだけでもかなりの数で、レバー、タン (舌)、ブレイン (脳) など個人的にそそるものがたくさんあります。いろいろ迷ってシャワルマのチキンとミート (ラム)、それにレバーサンドイッチを頼みました。どれもひとつ4リヤル (104円)。残念ながらタンとブレインはありませんでした。もっと人が混みそうな夜の時間帯にくればあるのかな。
シャワルマとそれ以外のサンドイッチはレジを挟んで調理場が左右に分かれています。レジでお金を払ってレシートをもらったらそれぞれの場所に行き、レシートを渡すと注文品を作って渡してくれるというシステム。久しぶりのヤマール・アッシャームのシャワルマは、値段が1リヤルアップしてるわりにサイズダウンしていることと、前は筒状にきちっと丸められていたものが三角っぽくふわっと巻かれていることに多少の違和感を感じましたが (やっぱり違う店?)、なかなかおいしくいただきました。
微妙に残念感はありつつも、家の近所のシャワルマ屋よりはやっぱりおいしいかなと思ったりしたわけですが、当時の強烈なイメージ、味もそうですがどでかいチキンシャワルマが堂々と3つも並んでいた店内 (1枚目の写真) の、シャワルマにかける意気込みがひしひしと伝わってきたあの頃の熱気のようなものがほとんど感じられず、一抹の寂しさを感じたことも事実です。
古き良き時代は過ぎ去ってしまったのかと思う反面、変わったのは自分の方かな、などと妙に黄昏れてしまいました。
2009年1月14日 (水)
サウジアラビア料理/マンディー
カブサと同じくサウジアラビアの代表的な料理であるマンディー。以前、砂漠のテントで友人に作ってもらったマンディー (鶏) は次のようなものです。密閉した釜の中で炭火で蒸し焼きにした肉をご飯にのせて出すのが正しいマンディーのようですが、地面に穴を掘って釜にすることや肉汁でご飯を炊くことが絶対条件なのかどうかはわかりません。
①半分に切ったドラム缶を地面にうめる (常設)。
②ドラム缶の底で火をおこし、炭火にする。
③大きな盆に洗った米をしきつめ、中に置く。
④丸鶏にスパイスと塩コショウをまぶす。
⑤お米の上に丸鶏をつるす (写真参照)。
⑥ドラム缶にフタをして、土をかけうめる。
⑦3~4時間したらフタを開け中から取り出す。
鶏から脂と水分がポタポタ落ちるので、お米を炊くための水はほんのわずかでいいそうです。この時もそうだと言っていましたが、芯も残らずおいしく炊きあがりました。下手な人はつい水をたくさん入れすぎて、ご飯がベチャベチャになってしまうのだとか。この時は鶏でしたが、パーティーで出されるのはやはりヒツジが多いです。焼き上がった肉はいぶされていてとても香ばしく、カブサの茹で肉よりずっとジューシーな仕上がりになります (もちろんうまく調理すればですが)。カブサはジューシーというよりトロトロの食感。
この時も友人は4時間近くかけてじっくりと調理してくれたのですが (実際には彼が雇っているインド人)、本式にやろうとしたら個人ではなかなか大変です。ベドウィン伝統の由緒正しい料理ではありますが、現代の家庭料理とは言い難いかもしれません。しかしこのスモーキーな味わいはサウジ人の味覚をしっかりととらえており、あいかわらずパーティーではカブサとともに威風堂々、メインディッシュの地位を保っています。
そんなわけで、家の近所にあって前々から気になっていたマンディー屋に行って、マンディーをテイクアウトしてきました。レジで 「アボガー・マンディー・サファリー (マンディーください、テイクアウトで)」 と伝えると、まずラハム (ミート=ヒツジ) かダジャージュ (チキン) か聞かれ、続いて「カム? (いくつ?)」 と聞かれました。「ワーヘド (ひとつ)」 と伝えると、すかさず 「アルバイーン (40リヤル=1040円)」 と言われたので、びっくりして思わず聞き返してしまいました。
普段食べているブハーリーライスはハーフチキンをつけても11リヤル (290円) です。マンディーは格式の高さが違いますから多少は高いとは思っていましたが、予想よりずっと高かったです。家に帰ってきて包みを開けてみると、肉はそれほどたくさんとは言えませんが、まぁ、一人分としては十分な量です。驚いたのはご飯の量。どう考えても食べきれる量ではありません。客人が食べきれないほどのご飯を出すという、ベドウィンの伝統にのっとっているのでしょうか。
ご飯は肉のスープで炊いたものでしょう。噛めば噛むほど旨味が口に広がります。肉の方はスモークの香りが効いていて、きちんと作られているなという印象。適度な塩味がついたジューシーな肉は、柔らかくて最高の仕上がりでした。お米もバスマティライスの香り立つ一級品。肉は生後ほんの数ヶ月の子ヒツジ (肋骨がか細かった) で臭みがなく、脂がさっぱりしていて甘い。レバーとモツも入っていたし、40リヤルの価値は十分にあったと思います。ブハーリーとは見た目があまり変わりませんけど、やっぱりおいしいな、マンディー。しかしご飯はかなり残してしまいました。
写真1: テイクアウトしてきたマンディー
写真2: 昔作ってもらった鶏のマンディー
写真3: ヒツジ1頭で作られたマンディー
2009年1月13日 (火)
レバノン料理
アラビア半島の人々にとって、レバノン、シリア、ヨルダンは料理がおいしい国として認知されています。この3ヶ国の料理はおおよそ共通していて、チーズ、オリーブ、野菜、ヨーグルト、レモン、ゴマ、ハーブ類を使った前菜が充実しているのが特徴です。いわゆるアラブ料理といえば、基本的にはレバノン料理のことをさしているように思います。サウジアラビアのホテルでアラビアンビュッフェを食べる時にどこの国の料理かたずねると、いつもレバノンだと言われますし。そんなわけで、いつも漠然とアラブ料理だと思って食べているものではなく、レバノン料理、つまりレバノンにしかない料理を食べたいと思って、リヤドのオルーバロードにあるレストラン 「バールベック」 に行きました。
これまで何度もシェラトンやメリディアンなど高級ホテルでおいしいアラブ料理 (レバノン料理) を食べていますが、たとえばエジプトのハト料理やサウジアラビアのカブサのように、際だって特徴のあるレバノンオリジナルの料理にはお目にかかったことがありません。実はバールベックにも特別なレバノン料理があるかどうか情報があって行ったわけではなく、ガイドブックにレバノン料理とわざわざ書いてあったことと古くからあるお店なので、もしかしたらと期待を抱いて行ったわけです。どちらかというとバールベックという名前だけで決めたところも。アラビア語以前の神話の匂いを感じさせる品の良い響きがグー。
瀟洒な外観を持つバールベックの店内はいたってシンプル。テーブルが少なく店員も二人だけだったのでいきなり不安になりましたが、案の定、メニューをもらって見てみるとそもそも料理がかなり少なめでした。前菜も15品くらいしかありませんし、メインディッシュも選ぶのに迷う必要がないほどオーソドックスなラインナップです。もちろんどれも食べたことがある料理ばかりでした。アラブ料理、つまりレバノン料理は前菜が命です。この日はもともとメインディッシュには期待していなくて、何か珍しい前菜が食べられればいいなと思っていました。ヨルダンで食べた小鳥の丸揚げ、生クッベ、脳みそフライや、サウジで昔食べたヒツジの足首のスープのように、珍しくてしかもおいしいものを。
しばらく悩んだ末、結局頼んだものはレバノン風ソーセージ、シャンクリシュサラダ、ミックスグリルという平凡なものばかり。シャンクリシュはザアタル (直訳はタイムですがいくつか他のハーブを混ぜたものを言う時も) をまぶして保存するヤギのチーズです。シャンクリシュ、オリーブオイル、トマト、タマネギを一緒に混ぜて食べると、酸味がかったチーズの風味とハーブの香りが渾然一体となって、複雑玄妙な味を楽しむことができます。ただ、この味は地中海料理とも共通していますね。きっとフェニキア商人がその昔地中海諸国にこの味を広めたんでしょう。あるいはいろいろな味を各国から持ち帰って、さらに昇華させたのかも。
レバノン料理はアラブ世界に広く浸透しているだけあって、逆に目新しさがなくなっていてその点はちょっと不利だなと思いますが、いつかもっといいお店を見つけてレバノン料理でしか味わえない味に出会ってみたいと思います。バールベックにはもうちょっと頑張ってほしい。ミックスグリルは冷めていた時点で評価に値せず。
2009年1月12日 (月)
エジプト料理/コシャリ再考
コシャリは代表的なエジプトの庶民料理です。スパゲティー、マカロニ、ご飯の三層構造になっていて、トッピングに炒めタマネギと少量の豆 (ヒヨコ豆か緑豆) をのせ、ニンニクの効いたピリ辛のトマトソースをからめて食べます。値段は50円前後から。
エジプトの職場では、他に選択肢がなくて毎日のようにコシャリを食べていました (→過去記事)。よくあれだけ食べたなぁと今更ながら思いますが、自分にとってコシャリは自身のエジプト生活を象徴する食べ物です。エジプト滞在中は、コシャリの有り様を通してエジプトという国を見ていたような気がします。
【絶望】
コシャリのレシピは思いの外スタンダードが確立されていて、どの店もほぼ同じ味。どこで食べてもまずくはないけれど、とりたてておいしくもありません。エジプト人は、なぜコシャリの具や味を変えようと思わないのでしょう。他店よりおいしいコシャリを作れば確実に儲かるはずなのに、味の改革を試みる者はまったく出てきません。まさに停滞するエジプトを象徴しているのではないでしょうか。
もちろん、明らかに他店より繁盛しているコシャリ屋もあります。そういったお店にも実際に行きましたが、基本形はすべて同じ。それでもやはりおいしいと感じるのは、まず油が新鮮なこと。案外油を多く使う料理なので、油が古いと臭くて一気に食欲が落ちます。炒めタマネギも作り置きしておくと酸化して胸焼けがしますが、その店はひたすら香ばしさが際だっていました。トマトソースもフレッシュ。何よりパスタとご飯がまったく臭くありませんでした。普通の材料を普通に調理すればこうやっておいしいコシャリができあがるのに、そんな当たり前のことを怠っている店がほとんどだということなのでしょう。エジプト社会全体にプロ意識というものが欠如しており、そのひとつの事例がコシャリだと思います。
その人気店のコシャリがおいしかったもうひとつの理由は、砂がまじっていなかったことです。アフリカ随一の大都市カイロは、大気中に砂、埃、NOxなどが大量に浮遊しています。ハムシーン (50日続くという春先の砂嵐) の季節には、家の窓を締め切っていても30分ほどでテーブルにうっすらと砂が降り積もりますから、客の出入りの多いレストランではなおさらです。コシャリは客から見えるように大鍋のフタをとって山盛りにされていますから、回転が悪いと客に出されたコシャリに微細な砂埃が入るのは当然。それが食べている時に口の中でジャリッとなるわけです。これは本当に気分が悪い。コシャリだけでなくシャワルマもモロヘイヤスープも、あらゆる料理に砂が入っていたような気がしますが、当のエジプト人は砂くらいまったく気にしません。こんな細かいこと、いちいち気にしていたらエジプト (カイロ) では生きていけないからです。でもいろいろな意味で、コシャリの砂を気にしない人がエンジニアにはなれないと思います。
【希望】
コシャリはきちんと作ればそれだけでも十分いけます。でも、たとえばトマトソースの代わりにもっと味の違うソースをそろえられれば、他店との差別化、味の向上、リピーターの増加、料金の上乗せがあっという間に実現すると信じています。ミートソース、ビーフシチュー、シーフードの煮込み、チーズソース、カレーソース、アンチョビソース、クリームシチュー、モロヘイヤ、バミヤ (オクラのトマトソース煮込み) などなど、汁っぽいものならなんでも合いそうです。グリーンカレーをかければタイ風、甘辛のすき焼きをかければ和風に早変わり。トリュフとは言わないけれどエジプト名産のカラスミを何切れかのせたら、50円のコシャリが500円で売れるでしょう。もともとコシャリは外国人旅行者にも人気がある料理ですから、毎年数百万人訪れる外国人向けの新しいコシャリを作らない手はありません。パスタの形をかわいいものに変えるのもいいですね。
コシャリという素性の良い料理には、大きなビジネスチャンスが秘められています。それに気付かず、あまりおいしくもないコシャリを文句も言わずもくもくと食べ続けていたエジプト人を、当時はかなりイライラしながら見ていました。新しい時代には、既成概念を打ち破る新しい味の出現が必要なのではないでしょうか。コシャリは十分そのポテンシャルをもっていると思うのですが。
そんなわけで、コシャリに対するいろいろな気持ちを抱きつつ、リヤドのフィシャーウィーレストランで9年ぶりにコシャリを買って食べました。レストランの前に大きく掲げられた、「コシャリ/テイクアウトオンリー」 の旗をウンウンとうなずきながら眺めた後、奥の店員に敬意を表してエジプト方言で 「アーイズ・コシャリ (コシャリください)」 と言って。
2009年1月11日 (日)
エジプト料理
リヤドのオルーバロードに古くからある Al-Feshawi (フィシャーウィー) というエジプシャン・レストランに行きました。このブログにもさんざんエジプトの嫌な思い出を書いている自分ですが、食べ物についてもエジプトにいた3年間で本当においしいと思ったエジプト料理はゲジラ・シェラトンの 「カバブギー」 で食べたハトのグリルと焼きたてのパンだけで、わざわざエジプト料理を食べようなんて今までは思いもしませんでした。
ただ、サウジの仕事も終わりが近づいてきた今日この頃、今度こそ中東生活は最後かもしれないと思うと、無性にアラブ料理が食べたくなりました。またそう考えると、アラブ料理の中でもエジプト料理って思いの外異彩を放っているかも、などと思えてくるから不思議です。そんなわけで、あらためてエジプト料理の定番を食べておこうと、昔から評判のお店だったフィシャーウィーに行くことに決めました。
①モロヘイヤ
日本でもポピュラーなモロヘイヤ。あえて肉なしを選びました。見た目はスープですが、メニューの上では前菜のくくりです。ニンニクの効いた香ばしい香りと独特のネバネバがおいしくて、食べてる側から元気が出そうなスープです。エジプトで食べると有名店でもたいてい砂がジャリッとしていましたが、ここのはまったく問題なし。最後のひとすくいまでおいしくいただきました。これが当たり前なんだなぁと今更ながらに思いましたけど。
②ハマーム・マハシ
ハマーム (ハト) の中にスパイスで味付けされた麦ご飯を詰めて蒸し焼きにした料理。中にご飯を詰める料理をマハシといって、ズッキーニに詰めたりいろいろなバリエーションがあります。ハトの赤身肉はシコシコした食感で噛めば噛むほどジワッと出てくる肉汁が殊の外おいしく、皮もパリパリでさすが評判のお店と納得の一品。見た目は大きいですが肉はほとんどついていないのでペロリと食べられました。ご飯の方もピリ辛のスパイスが効いていておいしかったです。エジプト以外で食べるエジプト料理はおいしいんですね。
③ターゲン・ファッタ・サーダ
ターゲンは深めの鉢に材料を入れて調理されそのまま出される、壺焼きというか鍋のような料理。エジプトではターゲン専門店やターゲンの屋台もあります。肉やシーフードをトマト、ジャガイモ、タマネギなどと煮込んだターゲンもあれば、オクラやナスなど野菜だけのターゲンもポピュラーです。今回は毛色の違うものが食べたくて、「あれ、これ何だっけ?」 という感じでファッタの肉なしのターゲンというのを注文しました。出てきたものはいわば丼飯で、どうやらファッタとは別ジャンルの食べ物なのですが、とりあえずそのシンプルすぎる見た目よりもずっとおいしかったので良しとしましょう。ファッタはご飯の下に酸っぱいパンを敷くのが決まりのようです。エジプトならアエーシというエジプト人が古来食べ続けている国民的なパン (まずい) を使いますが、さすがにサウジでは普通のホブズでした。
ということで、当然ながら一人には十分すぎる量だったのですが、注文した後エジプト人の店員と次のようなやりとりがありました。
「スープは?」
「いや、モロヘイヤ頼んだから」
「サラダは?」
「もう十分だと思うから」
「ハトは1匹だけ?」
「いや、だから、本当にもう十分です」
「飲み物は?」
「水を」
「フレッシュジュースは?」
「あの、水だけで…」
いわゆるエジプト人気質というのでしょうか。ホスピタリティーにあふれているのか、金をとってやろうというのか、あるいは一人前の分量がまったく把握できていないのか、まぁいろいろなんでしょうけど、思い返せばエジプトではよくこんなやりとりをしていました。エジプト以外だとむしろ頼み過ぎだから減らせば?と言われることの方が多いのですが、やっぱりエジプトはどこか特別ですねぇ。
イラン料理②
リヤドにあるイラン料理の老舗、シラーズレストランにまた行ってきました。今度こそメニューを吟味して、自分なりにイラン料理らしいものを選んでみました。
①バガリ・ポロ (ヒツジの足首の煮込み)
肉料理の中では煮込んだヒツジがかなり好きな方なので、これは本当においしかったです。味付けはシンプル。脂 (ゼラチン?) の部分はトロトロのプルプル、お肉もホロホロとくずれていきました。
②ホレシュト・サブジ (緑野菜のシチュー)
ディル (セリ科の1年草) を使ったシチュー。そら豆と仔ヒツジの肉が入っています。確かヒンディーでもサブジは野菜だったかな。インドといえばインドカレーのパラクパニールがわりと鮮やかな緑色なのに対し、こちらは黒ずんだ緑色。どこかほろ苦いようなオリーブのような味がしました。これがディルの風味なんでしょうか。乾燥レモンが入っていて、トマトの煮込みなどよりはるかにメリハリの効いた華やかな酸味がとても印象的です。アラブ料理で酸っぱいメインディッシュってあまり記憶にないので、これにはちょっと感動しました。いやはや、おいしかったです。
③ポルンベル (イラン風デザート)
お店で対応してくれたスタッフがフィリピン人だったので正確な発音はわかりませんが、生クリームにナッツと乾燥フルーツを混ぜて冷やし固めた、イラン風デザートです。砂糖はたぶん入っていませんが、なにしろ重たいクリームなので、ひと皿食べるのはけっこうしんどかったです。渋味が少なくまろやかなイラン紅茶と良くあいました。
ちなみにこのレストラン、メニューにはキャビアも3種類載っています。ベルーガで1万2000円の値段がついていましたが、はたして量はどれくらいなんでしょう。今度聞いてみようかな。ま、頼まないけど。
2009年1月 9日 (金)
イラン料理
リヤドのタハリヤストリートを1本入ったところにある、Sheraz (シラーズ) というレストランでイラン料理を食べました。といってもいわゆるアラブ料理なので、普段食べているトルコ料理やレバノン料理とくらべてもそんなに目新しいものはありません。メニューを見つつ、何かイラン料理らしいスペシャルな一品を教えてくれと店員にさんざん聞いたのですが、メニューにわざわざシェフのおすすめと書いてあるペルシャ風キャセロールとか一連の料理にはまったくふれず、普通にケバブとかミックスグリルをしきりとすすめられたので、そうなのかなぁと思いつつ、結局無難なケバブを選んでしまいました。
(注文したもの)
・ホンモス
・クークー (ほうれん草のチーズのせ)
・イラン風キノコスープ
・スルタン風チェロケバブ
・イランティー
普段行くような店より料理の値段は倍以上 (といってもそんなに高くはありませんが)、店内もなかなか高級な雰囲気が漂っています。何よりスープについてきたライムがちゃんとガーゼでくるまれています (種が落ちないように)。こういうお店は本当に久しぶり。ホンモスはきめ細かく口当たりがとてもマイルドで、ほうれん草の上にチーズをのせてオーブンで焼いたクークーも、こういう小技の効いた料理はヨルダン以来かも、などとちょっと嬉しくなってしまいました。
メインのチェロケバブは、普通のお肉とミンチにしたものが2種類。焼きすぎでケバブもコフタもパサパサのお店が多い中で、ここシラーズはちゃんとジューシーな焼き加減に仕上がっていました。定番料理をきちんとおいしく作っているのがいいですね。もう一度行きたくなりました。次はもう少し冒険したいと思いますが。
2009年1月 2日 (金)
2008年12月28日 (日)
マンボウ
この前地元の回転寿司屋に行った時のこと、「マンボウが入りました、珍しいですよ!」 という威勢のいい声につられ、マンボウの握りをひと皿取ることにしました。見た目は杏仁豆腐のような白濁してツルツルした白身。箸でつまむとプルプルと震えます。醤油の小皿にちょこんとつけてからパクリと口に運ぶと、「ん?」 というちょっとした違和感が。ひと言で言うと、味がない。そしてやたらとブヨブヨグチャグチャしていて歯ごたえもなんだか魚とは言い難い食感でした。噛んでも噛んでも旨味が感じられず、水っぽい汁があふれるばかり。
「こ、これは、マズイ…」。いい感じの見た目に反してあまりの味気なさにしばらく目が点になってしまいました。最後はお茶でごくりと飲み干したくらいです。なんでしょう、この感じ。曲がりなりにも寿司ネタにしているわけですから、万人ウケはせずともそれなりの味わいがあって当然と思うのですが、そもそも味がありません。良くいえば淡泊でクセがないので、たとえば醤油をたっぷりつければおいしいかもなどと思ったりもしますが、噛んでいて楽しい食感ではないし何しろ水っぽいので、寿司ネタとしてはなんとも残念な結果でした。確かに、お店の人も 「珍しい」 とは言っても 「おいしい」 とは言ってませんでしたけど…。
ここで、「マンボウ ハ マズイ」 と機械的にインプットすることもできたのですが、しばらくして今度はマンボウの唐揚げが回ってきた時、迷いに迷ってもうひと皿マンボウと相まみえることを決心しました。「もしかしたら」 という一縷の望みです。そして、これが近年まれに見る大ヒットと相成りました。あのプルプルで頼りない白身が、火を通した途端、極上の一品に大化けです。極めて柔らかい鶏の唐揚げといった感じのシコシコの食感。ジュワーッとあふれる肉汁。余分な水分が落ちて旨味がギューッと凝縮されています。でもトータルではあっさりテイスト、とても上品な味でした。
魚の揚げ物はこれまでフグの唐揚げが一番おいしいと思っていましたが、マンボウの前ではその地位も危うくなりました。それほどマンボウの唐揚げはおいしいと思います。イギリスのプリマスで食べたフィッシュ&チップスもなかなかでしたが、ボリュームがありすぎて最後の方は飽きてしまいました。もし魚の揚げ物の 「匂い&ひと口選手権」 があれば、コッドフィッシュ (タラ) にたっぷり衣をつけて揚げたフィッシュ&チップスは強力なライバルになるでしょう (ロンドンのは全然おいしくなかったですけど)。アナゴの天ぷらも好きですが、匂いの惹きはあまり強くないかな。
ちょっと思い出しましたが、シーフード料理が壊滅状態の内陸国エチオピアにあって、アジスアベバのデサレンホテルだけは妙においしいフィッシュ&チップスを出していました。あれは本当においしかった。エチオピアで魚といえば普通はテラピアしかないので、タラ (冷凍物) を使っていたデサレンホテルは際だっていました。そう言えば何人かでエチオピア国内出張をした時、あるホテルのレストランで 「えっ、テラピアじゃなくてナイルパーチがあるの?。ラッキー!」 と嬉しそうに注文していた人がいました。エチオピアで魚を味わおうとは思っていなかったので、このひと言には目から鱗でした。
…話がそれました。年を重ねてそれなりにおいしいものを食べるようになると、食に関しては年々感動が薄れていくわけですが、マンボウの唐揚げは久しぶりの衝撃でした。握りの方も別の意味で衝撃的でしたが。でも、結局その日一番おいしかったのは生サンマの握り (130円) だったりするんですけどね。なんて安上がり。
写真は別の日に撮った釜揚げシラスの軍艦。大盛りすぎて笑ってしまいました。やっぱり清水はお寿司がおいしいなぁ。
2008年12月25日 (木)
2008年12月22日 (月)
2008年12月19日 (金)
香港B級グルメ②
香港の空港で思わぬ舌鼓を打ちました。
①豚モツ入りお粥、豚肉入りライスロール、豆乳のセット (珍満粥)
香港のお粥はおいしいですねぇ、本当に。しみじみとうまい。サウジを夜12時に出発して香港の空港に着くといつも時差ボケでフラフラですが、そんな時でも優しく胃に流れ込んでいきます。よく見れば安い材料ばかりですが、出来上がるのはこの上なく上品な料理。中華料理職人の魂を感じます。甘い醤油をつけてツルリといただくライスロールもおいしかった。
②水餃子入りラーメン、魚の皮のフライのセット (陳福記)
このラーメン、見た目はどんくさいですが、実は手延べ麺だったりして空港のレストランにしては本格的すぎる一品。しっかり最後の一滴までスープを飲み干しました。魚の皮がまたカリカリでおいしかった。どうしたらこんなにカリカリに揚げられるのか不思議。
香港B級グルメ万歳!
香港B級グルメ①
尖沙咀、厚福街の「桂記」で「招牌雲呑麺」を食べました。ピンポン玉をふた回り大きくしたくらいの立派なエビ雲呑が4個も入っています。桂記の雲呑はこれまで香港で食べた中でもひときわ大きく、3回くらいに分けて食べないととても口に収まりきれません。プリプリの食感、口中にあふれるエビの旨味。なかなかの人気店と聞きましたがそれも納得です。しかしおいしいのは雲呑だけではありません。スープはコクがありながらもきれのある味わい、細麺は噛むとプチプチと小気味よく切れていく絶妙のゆで加減で、トータルバランスも申し分なし。これで19HK$ (250円) なんだから文句のつけようがありません。またひとつお気に入りの店ができました。
厚福街でもう一軒、「正仁利潮州菜館」に行きました。ちょっと奮発してフカヒレスープを頼み、あと一品何にしようか迷っていると、店主からしきりにカニをすすめられました。横のテーブルのカップルも食べていたのできっと名物なんでしょう。でもそんなにお腹が空いていなかったので、結局潮州焼きそばをひとつだけ頼みました。フカヒレスープは濃厚のひと言。焼きそばは素朴な味。料理と一緒にだされた小さい茶碗にいれられた苦いお茶が、口の中の油をさっぱりと流してくれました (工夫茶というのかな?)。最後に何か甘い物がほしくなり、漢字のメニューから「潮州ナントカ芋」というのをオーダー。ホクホクに揚げられた少し甘味のある芋を砂糖でカリカリにコーティングした熱々のお菓子で、見た目はいまいちですが後を引くおいしさでした。
いやはや、満足満足。
2008年11月26日 (水)
ナジュドビレッジ
サウジ人に招待されて、ナジュドビレッジというレストランに行ってきました。といっても英語の看板があるわけではなく、正式店名はアラビア語で 「カルヤ・ナジュディーヤ (アルカルヤトゥンナジュディーヤ)」 です。リヤドがあるアラビア半島内陸部をナジュドといいますが、店名に違わずこの地域の伝統料理を食べることができました。
(→過去記事を読む:サウジアラビア料理)。
あぁ、おいしかった!
2008年10月27日 (月)
ケーキは甘い
ドバイで来月、第2回 Sweets Middle East というお菓子の国際展示会が催されます。去年は25ヶ国の参加を得て盛況のうちに終わったそうですが、記録を見ると日本からの出展はありませんでした。和菓子は生ものが基本だから難しいんでしょうか。和菓子は見た目も味も世界に通用するレベルだと信じているので、ちょっと残念。…などと考える一方で、本当に日本のお菓子が世界に受け入れられるか、実は不安なところもあります。
以前、日本で知人に連れられて、地元で話題のケーキ店に行きました。小洒落た店内のカフェテーブルに腰を下ろすと、早速メニューを吟味。どれもおいしそうでかなり迷いましたが、実際に食べたことがあるケーキとくらべてみようということで、ザッハトルテを注文しました。
しばらくしてテーブルに運ばれてきたケーキは、まず何より見た目がきれいでした。シャープな造形にさりげない飾りを施してあり、シンプルながらもなかなかの見応えです。その見た目に違わず、食べた感触もソフト&ライト、甘さ控えめ、繊細な香り、といかにも日本人が作った洋菓子という感じでした。
これはこれでもちろんおいしかったのですが、知人が 「おいしいでしょ?」 とたずねてきた時は、正直、一瞬躊躇しました。「ウィーンで食べたザッハトルテは…」 などと言ったら100%嫌味に聞こえるでしょうから、そこは抑えて適当に返事をした記憶があります。ケーキとしてはおいしかったけれど、ザッハトルテとは違うんじゃないかなと思ったりしました。
現地で食べたものは、むしろ野暮ったいくらい甘くて重くて食べ応えがありました。チョコも甘いしアプリコットジャムも甘い。そもそも1ピースがもっと大きかったし、生クリーム (これは甘くない) がたっぷり添えられていて、さすがにコーヒーと一緒でなければ苦しいボリュームでした。でも、味は間違いなくおいしかったです。
おそらく、ウィーンのケーキはご馳走なんだと思います。一度食べたら後々まで満足感が残るものをと考えれば、重くなるのは当たり前。甘いお菓子がもっと特別なものだった時代に作られたレシピでしょうから、ペロリと食べられる軽いテイストなんて、きっとパティシエの選択肢にはなかったでしょう。
自分も 「あんまり甘くなくておいしい」 日本の洋菓子・和菓子が大好きですが、時々ふとあのザッハトルテが頭に浮かびます。一体どちらが正しい姿なんだろうと考えたりしますが、結局 「どっちもおいしいから、まぁいいか」 となるんですけどね。でも、なめらかプリンだけは評価に迷うなぁ。おいしいかもしれないけれど、プリンなの…?
2008年10月23日 (木)
2008年9月24日 (水)
デーツ食べ比べ
5000年の昔から、ベドウィンの貴重な栄養源だったデーツ (ナツメヤシ)。サウジアラビアはデーツの本場だけあって、スーパーマーケットでも様々な品種がお手頃価格で売られています。ラマダンは特にデーツの売れ行きが伸びるため、どの店でもデーツコーナーが設けられています。実は長年中東にいながら、じっくりとデーツの食べ比べをしていなかったなと思い当たり、近所のカルフールで店頭に並んでいたものをすべて買ってきました。
本当は野菜売り場に生のデーツもあったのですが、見た目がいまいちだったのでやめました。生デーツは昔スッカリー (品種のひとつ) を食べてとてもおいしかったのでよほど買おうと思ったのですが、ゴミやら土やらついていたのと小蝿がプンプン飛んでいたので、さすがに手が伸びませんでした。スッカリーなら買いましたが、そうとも書かれていなかったし。
買ったのはパック詰めされた完熟デーツ5種と、箱詰めされた乾燥デーツ4種。さぁどんな味だろうと興味深く食べ始めましたが、当たり前ですが基本は 「甘い」 のひと言に尽きます。いざその味を表現しようと思うと、自分の感性とボキャブラリーではなかなか違いを言い表せません。味は確かに違うのですが、それを人に伝えるとなるとなかなか難しい作業だということを痛感しました。ということで、以下の文もたぶんほとんどあてになりません…。
■完熟デーツ
①ハラース (720円/kg)
黒いハチミツのような味。こめかみがしびれるほど強烈な甘さ。柔らかい。小粒。
②スッカリー (540円/kg)
輪郭がはっきりした甘味。相当甘いがフルーティーで後味が軽くすっきりした甘さ。白くてカリカリになったところがとてもおいしい。
③スガイー (360円/kg)
黒糖のようなおだやかな甘さ。やや固め。もっさりしていて粘度は高い。深い滋味。
④フドゥリー (300円/kg)
上記①~③に比べたらだいぶ甘さ控えめ。プリンのカラメルみたいな味。苦いとまではいかないが、そんな後味あり。
⑤レズィーズィー (300円/kg)
フドゥリーに甘味とさらなる苦み、そしてわずかながら柑橘系の風味を足したような味。この中では一番小粒。
■乾燥デーツ (箱の大きさはみんな同じ/400gくらい)
①スッカリー (360円/35粒)
乾燥とはいえ固めの羊羹くらいのほどよい固さ。完熟ものより甘さ控えめだが、強くすっきりした甘さは健在。ほとんどの粒に白くてカリカリになった部分があるのが嬉しい。
②ルシューディーヤ (360円/40粒)
色が赤く細長い。乾燥度高し。甘さほどほど。イタリア系のハーブというかやや薬っぽいような風味。デーツはたいがいもっさりした感じなのでこれは新鮮。
③ロザーン (360円/42粒)
丸い小粒。舌にピリッと感じる刺激的な甘さ。味はいいが乾燥した表皮がパリパリしていて口当たりが悪い。
④ナブテ・アリー (360円/35粒)
表面は石かと思うほど固い。噛んでいるとねっとりした甘さが広がる。後味は意外にスッキリ。
以上、デーツ食べ比べでした。50粒くらい食べたので、顔がほてっています。この中で一番好みの味は、月並みですがやはりスッカリーですね。もちろん他にも1キロ3000円以上するデーツなどまだまだ種類はたくさんあります。高級デーツ食べ比べはまたいつか…、うーん、もうやらないかな…。
ちなみにナツメヤシの木は世界中に5000種類あり、そのうち450種はサウジアラビア固有種だそうです。サウジアラビアのデーツをDNA鑑定したレポートというのもありました。調査した品種は代表的なもの13種で、ふたつのグループと単独種に分けられています。
グループA
シェヘル種、オム・コバル種、アジュワ種、オム・ハンマーム種、バリーム種
グループB
ラビーハ種、シシ種、ナブテ・サイフ種、スガイー種、スッカリー・アスファル種、スッヵリー・ハムラ種、ナブテ・スルタン種
グループC
バルニー種
オム・ハンマームとバリームが13種中もっとも近い品種。次いでアジュワがそのふたつに近い。スッカリー・ハムラとナブテ・スルタンも近い品種。バルニーは他のどの品種とも似ていない。遺伝子的には34%の相似 (他の12種はそれぞれ50%以上の相似を示す)。予想通り、ほとんどの品種は非常に近い関係。
…だそうです。味の方も (糖度とか) 科学的に調べて公開してほしいですね。
2008年9月15日 (月)
2008年9月12日 (金)
ブタの丸焼き
古の昔から、言霊 (言魂) といって言葉には霊的な力が宿ると信じられていますが、やはり言葉の響きというものは侮りがたいエネルギーを持っていると感じます。日々何千、一生に何億と聞く様々な言葉。その中でも、おそらくトップ級の破壊力、そして抗しがたい魅力を持つのが 「ブタの丸焼き」 ではないでしょうか。トリの丸焼き?、いやいや、ヒツジの丸焼き?、全然。やはりブタの丸焼きのインパクトにくらべたら月とスッポンです。(スッポンもヘンな言葉だ)
とまぁ、子どもの頃からブタの丸焼きという言葉を聞くにつけ、心が荒ぶるというか、いてもたってもいられないというか、嵐を予感させるようなそんな猛々しい心持ちになったわけですが、先月、フィリピンのセブ島で、ようやく念願の対面を果たしました。その名も 「レチョン (Lechon)」。いや…、レチョンじゃなくて…、やはりここは断固ブタの丸焼きと言いたい!。言いたいのですが…。
その日、ホテルのレセプションに1枚の告知がありました。「今夜はフィリピンビュッフェ! みんな来てね!」。そんな軽いタッチの書きぶりでしたが (実際は英語ですけど)、メニュー一覧にその名を見つけるや否や、一気に闘志に火がつきました。そいつを自らの歯で食いちぎり、ムシャムシャと咀嚼しながらその烈火の如きエネルギーを我が身に取り込みたい。魂の雄叫びを天空に轟かせたい!。右の拳に力を込めつつ、静かに、そして熱くそう思ったわけです。
そんな鼻息の荒い状態のまま、夕方6時にビーチサイドのオープンテラスに出向くと、いましたよ、きゃつが!。しかし、………あれ?、何この表情?。なんだかとてもフレンドリー。断末魔のうちに腹を割かれ、太い鉄の棒で串刺しにされたうえ丸一日全身を業火でジリジリと焼かれ、あげくその身をバラバラに刻まれたというのに、怨・恨・呪、そんな苦悶の表情は一切なく、むしろ 「ね、ね、食べて食べて!」 と誘っているかのようなレチョン君でした。
肝心のお味の方ですが、まずパリパリの食感がこたえられません。香ばしく飴色にパリッと焼き上がった皮。なのに真っ白な肉はジューシーそのもの。塩味も絶妙、噛むほどに肉汁がジュワーッと広がります。鼻に抜ける香りも上品そのもの。日本の豚肉もおいしいと思いますが、フィリピンのも本当においしかったです。見た目のワイルドさとはうらはらに、むしろ繊細な料理じゃないかなと思いました。(食べるお店でだいぶ差がありそうです)
「ブタの丸焼き食ったどー!」 という雄叫びはあげそこないましたが、レチョンは本当に 「おいしゅうございました」。
2008年9月 8日 (月)
2008年8月28日 (木)
2008年6月13日 (金)
サウジアラビアで健康生活その2
「7日間脂肪燃焼ダイエット」で有名な野菜スープ。とりあえず週末 (木・金曜日) だけやってみようかなと、スーパーで材料を買ってきました。写真の材料をカットして鍋に投入 (ショウガは別)。これだけで疲れた…。ここに2リットルの水を入れ、30分ほど煮て完成。味付けは軽く塩で。食べる時にショウガや調味料をお好みで入れます。
味は、うーん、今時の野菜はどれもみんな甘くて、軽い塩味と野菜の甘味で、決してまずいわけではない。けれども、なーんか、すぐに飽きてしまう。だって、味気ないんです。究極の味気なさ。食べれば食べるほどお腹が減る感じは、「お、効いてる効いてる」って思いますが、なかなかおかわりがすすまない。
水曜の夜に2杯、木曜の朝と昼に2杯ずつ食べて、すでに食べる気がなくなってしまいました。お腹は鳴っているのに、この野菜スープは断固拒否という信号が脳から出まくっています。夕方になって、思わずコンパウンドのミニスーパーからレタスサラダを買ってきてしまいました。生野菜のシャキシャキ感が恋しくなって。
結局、木曜の夜はカレーうどんスープの素を溶いて食べることにしました。他にカロリーゼロの調味料で、この時の野菜スープ拒否反応を打ち消せるほど強力なものが思いつかなかったからです。カレー味にしたら、もちろん格段においしくなりました。でも、ちょっとした挫折感も感じたりして。
で、カレー味にした野菜スープを2杯食べた後に、「せっかく買ってきたんだし」 とつぶやきつつ、いったんは冷蔵庫にしまったレタスサラダを取り出しました。サラダに付属のドレッシング、粉チーズ、クルトンをかけ、さらにオリーブオイルとレモンをふりかけて、シャキシャキ感を楽しみつつあっという間に完食。生野菜はうまい!
鍋にはまだ丸1日分の野菜スープが残っています。金曜日はどんな味にしようかな。ハァ~、ため息…。
2008年6月12日 (木)
ピスタチオ
サウジアラビアの職場で、仲の良いスタッフが何かポリポリと食べていたので、「何食べてんの?」 と言いつつ近づくと、「フストゥク (Fustuq=ピスタチオ) だよ」 と教えてくれました。 ついでに、「元気になるんだよね、ゲヘヘ」 と意味深な含み笑いも。なんでも中東では、ピスタチオを食べると男性の主に下半身の方が元気になると言われているのだそうです。横にいた別のスタッフも、「ピスタチオのおかげでうちは子供6人だよ」 と言っていました。
真偽はさておき、ピスタチオが体に良いことは確かでしょう。「カリフォルニアピスタチオ協会」 のホームページ (日本語) で成分表を見る限り、ナッツの中でも特に優れたものだということがわかります。幸い、ここサウジアラビアは日本よりずっと安い値段でピスタチオが買えます。今年はピスタチオで夏バテを乗り切るぞ!?
サムゲタン (蔘鷄湯)
食べ物の滋養の力はあなどれません。誰にでも経験があるのではないでしょうか。子供の頃、ナッツを食べすぎて鼻血が出たとか、チョコレートを食べて興奮して眠れなかったとか。生まれて初めてウナギを食べた時は、確かに身体に力があふれてくるのがわかりました。中学の時、クリスマスにチョコレートケーキを食べすぎて、後にも先にもたった1回の鼻血を出したことは今でも忘れられません。ロッキーの真似をして生卵を5個飲んだ時は体中がカーッと熱くなり、タマゴのパワーにあらためて驚きました。ただ、年を重ねるにしたがって、身体が慣れてしまうのか、あるいはそれを感じとる力が鈍くなるのか、食べ物を食べて 「ウォー、効くー!」 なんて思うことは滅多になくなってしまいました。
そんなこんなでエチオピア。アジスアベバの生活でも大変なのに、地方出張が重なり心身ともに疲労がピークに達していた時期があり、藁にもすがる思いで韓国レストランにサムゲタンを注文しました。時間がかかるので2日前に予約注文、量が多いので基本はテイクアウト、そしてテイクアウト用に鍋を持参すること、という条件がありました。値段はうろ覚えですが、150ブル (2000円) くらいだったかと思います。10~15ブルあればエチオピア料理が1食食べられますから、相当な高級品です。それまでサムゲタンを食べたことがなかったので、これが高いのか安いのかいまひとつピンと来ませんでしたが、「2000円じゃ高麗人参は入ってないかな」 と思いつつの注文でした。
予約の電話をしてから2日後、指示通り大きめの鍋を持ってお店に行きました。鍋に鶏が丸ごと1匹スープと一緒に入れられ、さらにお粥もついてきました。家に帰って鍋をのぞき込むと、見れば見るほど迫力があります。鶏のお腹を開くと、定番レシピ通りのものが詰め込まれていました。うれしいことに、高麗人参もしっかり入れられています。その味は、コクはありますが決してしつこくはなく、とにかくやさしいのひと言。ほんのわずかに塩味のスープは、飲めば飲むほどお腹が空いてくるようで、食が進むこと!。高麗人参は食べるものなのかどうか迷ったのですが、せっかくなのでいただきました。すごく苦かったです。
その夜はひさしぶりにぐっすり眠り、翌朝、驚くほどスッキリと目が覚めました。アジスアベバは2400mの高地で酸素が薄いため、ほとんどの人は眠りが浅くなりあまり熟睡できません。自分も毎朝4時頃に必ず一度目が覚めていたのですが、エチオピア生活3年半で、この日だけです、こんなに熟睡できたのは。「これがサムゲタンの、高麗人参の滋養の力か!」 とひたすら感動しました。その後も何度かサムゲタンを頼みましたが、やはり1回目が一番効いたような気がします。その時が一番疲れていたし。それにしても、おいしいものを食べて疲れも吹き飛ぶなんていいことずくめです。その後、漢方や薬膳に興味がわいて、「簡単!毎日の薬膳」という本を購入。「いいなー、いいなー」と指をくわえながら読みあさることになりました (さすがにエチオピアでは実践できませんでしたけど)。
2008年6月 7日 (土)
マサラドサが大好物なのだ
最近ブログに書くためにあらためて毎日シタールやインド映画の音楽を聴いていたので、今日は急にカレーが食べたくなりました。そんなときによく行くのがオレイヤ通りの Malaz Restaurnat (旧名 Quality Restaurant)。いつもインド人の客で大繁盛しています。マトンカレーと野菜カレーのプレート (写真) をお店で食べて、ついでにマサラドサ (カレー味のジャガイモを薄いパンケーキ=ドサでくるんだもの) をテイクアウトしました。テイクアウト分を渡された時、ひとつ容器が余分に入っているなぁと思ったのですが、ドサと中身を別々にしているんだと思ってそのまま持って帰りました。
ところが、家に戻ってきて包みを開けたらなぜかマトンカレーが入っていて (写真)、この分きっと誰かのテイクアウトにカレーが入っていないんじゃないかと思うと、ちょっと気の毒になりました。カレーセットとマサラドサ、ペプシ1本とおまけのマトンカレーもついて合計11リヤル (310円)。お得感満載でした。でも、マサラドサはお店で食べた方がはるかにおいしいと思いました。ドサがパリパリで香ばしいんですよね、できたては。お店では3枚目の写真のように三角折りで出てきます。
2008年6月 4日 (水)
おみそ汁にワサビ
日本からインスタントのおみそ汁をどっさり持ってきました。きのこを食べるみそ汁、野菜いきいきおみそ汁の大革命、超野菜いっぱいみそ汁、きのこと野菜のおみそ汁、野菜の具どっさりのおみそ汁、あおあおほうれん草みそ汁、というラインナップで、毎日違うものを食べています。
ただ、いかんせんインスタントなので、会社は違えど味は大同小異、どうしても飽きがきてしまいます。七味唐辛子、ゴマ油、海苔、卵、パルメザンチーズ、ポテトチップ、ケンタッキーの残りなどいろいろ入れたりして味を変える努力をしてきましたが、それらももうそろそろ限界、ここ1週間ほどはまったく食べる気になりませんでした。
しかし今日、ふと 「ワサビはどうかな」 と思いつき、おみそ汁に練りワサビをやや多めに入れてみたところ、これがなかなかの当たりでした。これでまた当分食べていけそうです。
2008年5月30日 (金)
サウジアラビア料理
以前「ベドウィン料理」という記事を書きましたが、今回リヤドに再赴任したらそのレストランはすでに廃業していました。今度こそちゃんとサウジアラビア料理を味わおうと考えていたのでかなりがっかりしたのですが、しかしなんと、実は自分の職場のすぐ近くに、それを食べられるレストランがあることがわかりました。建物の外観が素晴らしいので前々から気になっていたレストランだったのですが、今回立て続けに2回行ってきました。
この半年間、職場のサウジ人に「サウジアラビア料理ってどこに行けば食べられる?」とことあるごとに聞いていたのですが、一度も的確な答えをもらったことはありませんでした。むしろみんな、「そういえばサウジアラビア料理と言い切れる食べ物ってなんだろう」などと悩んでしまうことも多かったです。
もちろん、これまでもたびたびお世話になってきた「ブハーリーライス」や、結婚式には欠かせない「カフサ」と「マンディー」がそうだと言えるかもしれません。ただ、これらの米料理はカタールにもあったし、サウジアラビア料理と言うよりは「アラビア半島料理」といった方が適切でしょう。シシカバブや羊肉のグリルは、それこそどのアラブ諸国に行っても普通に食べることができます。
さらに、今では当たり前のように米料理を食べているサウジ人ですが、もともと稲作文化があったわけでもないこの国にここまで米食が広まったのは、原油収入が飛躍的に増え、アジアから出稼ぎ労働者が百万人単位で入ってきた1970年代以降のことではないかと思います。その時から町にはアジア人労働者のためのレストランが無数にでき、またサウジ人の家庭に入ったメイドやコックが頻繁に米料理を作ったことは想像に難くありません。
なので、そういう環境で育った今の若い世代にとっては、例えば100年以上前から食べられているサウジアラビア特有の郷土料理と言えるものがあるのかどうか、そしてそれはどこに行けば食べられるのかなどということは、あまり関心がないのかもしれません。そもそも料理について熱く語るサウジ人にはお目にかかったことがないし、郷土料理がどういう意味を持つかなんてあまり深く考える人もいないようです。
それはさておき、レストランの紹介を。店の名前は「Al-Mazrah」。「マズラア (農場)」というだけあって中はとても広々した敷地で、コテージ風の小部屋やマジュリス風のテントルームがたくさん並んでいます。客は絨毯の上に車座になって食事をいただくスタイルで、なんとも雰囲気がよろしい。敷地の一角には馬がつながれていて、おそらくリクエストすれば乗れるんじゃないかと思います。食事中、風向きによってはプーンと馬の匂いが漂ってきましたけど。
メニューにおなじみのアラブ料理が並ぶ中、「シャアビーヤ (国民の)」という項目に3品がありました。それが「グルサーン (Qursan)」、「ジャリーシュ (Jarish)」、「マスルーサ (Mathlutha)」です。「グルス」は丸くて平べったい薄焼きパンのことなので、グルサーンはたぶんそのパンをちぎってトマトソースで煮込んだ料理。ジャリーシュは「つぶした麦、米」というその意味の通り、麦のおじやといった料理。マスルーサはこの2品の上にご飯をドサッと盛りつけたものです。
グルサーンは2枚目の写真の茶色い方。焼いたパンの香ばしさとチキン、トマト、野菜の旨味がマッチしていて、あっという間に食べてしまいました。そして白い方がジャリーシュ。何も入っていないシンプルなおじやですが、口に入れるとほんのりミルクとバターの風味が広がり、見た目以上に満足感のある一品。絶妙な塩気で味付けされていました。おいしかったけれど、何かおかずもほしかったなぁ。今回は"純"サウジアラビア料理という趣旨だったので、これ以外頼みませんでした。
ちなみにもうひとつ写真に写っているのは「クナーファ」というデザート。ヨルダンで食べたクナーファはココナッツの下がモッツァレラみたいなフレッシュチーズで、本当はそれが正解のようですが、マズラアレストランのものは固めのライスプディングのようでした。まぁ、これはこれで。
ということで、久しぶりにグルサーンを食べましたが、昔シャアビーヤレストランで食べたものよりずっとおいしいと思いました。見た目もちょっと違ってたし。コックがサウジ人ということはないでしょうし、ヨルダン人とかレバノン人のコックが料理しているのだとしたら、何かが変わってしまうのも仕方ないことですね (味は良くなっていると思いますけど)。
伝統的な"純"サウジアラビア料理の味が、どこかで引き継がれていることを願わずにはいられません。というのも、「母親から娘に家庭の味って教えるの?」とサウジ人に聞くと、だいたいいつも「うーん、たぶん…」という微妙な答えでしたから。確かに、ほとんどの家庭にメイドさんがいて料理はお任せできますから、奥さんが自分で料理する必要はあまりないのかも。
1枚目:レストラン入り口 (男性用)
2枚目:グルサーンとジャリーシュ (今回テイクアウト)
3枚目:マスルーサ (先日お店で食べた時のもの)
2008年5月28日 (水)
2008年5月21日 (水)
2008年5月 6日 (火)
肉! 肉! 肉!
「ハネムーンパーク」はエチオピアの首都アジスアベバの郊外にあるトゥブス専門店。市内からかなり離れていますが、週末はあっという間に席がうまるほどの人気店です。トゥブスは生肉をそのまま食べるスタイルと、一口大にカットした肉をカリカリに炒めたものがあります。ホテルなど洒落たレストランでトゥブスを頼むと、トマトや唐辛子パウダーと一緒に炒められていることが多く、個人的にはそちらの方が食べやすいとも思いますが、専門店による「肉一点張り」の調理法もなかなか捨てがたい味を持っています。いずれにしろ、トゥブスは肉の新鮮さが命ですから、特に生を食べたい場合、絶対に回転が良い店に行くべきです
また、肉はお客に見える場所に丸のままつるされていて、自分の好きな部位を指定できるのも専門店ならでは。他にメニューがないから注文で迷うこともありません。「今日は肉を食うぞー!」という時はこのお店が最適でした。この店はハチミツから作ったオレンジ色の地酒「タッジ」も評判でした。フラスコのようなビンに移して飲むのが決まりです。自分はアルコールがまったくダメなのでペロッとなめた程度ですが、アルコール分低め、味甘めの感じで、弱い人でもいけそうなお酒でした。
ヨルダン料理
ヨルダン料理の筆頭、「マンサフ」については以前こちらに書きました (あと羊の顔料理も)。アラビア半島の人たちもヨルダン料理のおいしさについては太鼓判を押すほどで、自分も久しぶりにサウジアラビアに戻ってきてアラブ料理を食べてみたところ (サウジ料理ではないのが残念)、ますますヨルダンのすごさを知ることになりました。今から考えると、同じような料理でもどこかひと味違っていて、きっと食べる側も舌が肥えていたんだろうなと想像しています。そのいくつかを写真で紹介します。
*1枚目:前菜 (下にあげた料理全部は写っていません)
ヨルダン料理は前菜が豊富です。メインディッシュよりおいしいんじゃないかと思う時もあり、また量もかなりのボリュームなので、セーブして食べないとメインが入らないこともあるくらいです。「タブーレ」は大量のバクドゥーニス (イタリアンパセリ)、少量のトマト、ミント、ネギを細かく刻み、レモン、オリーブオイル、コショウなどで味付けした、アラブ料理を代表するサラダ。他にはホンモス (すりゴマ入り豆ペースト)、ムタッバル (ナスのペースト)、腸詰め、血のソーセージ、ヨーグルトサラダ、オリーブサラダ、脳みそのフライ、チーズフライ、クッベ (紡錘形のメンチカツっぽいフライ)、クッベ・ナイエ (香辛料を混ぜたクッベ用の挽肉を生で食べる)、小鳥の丸揚げ、ファラーフェル (豆のコロッケ)、エナブ (ご飯をブドウの葉でくるんだもの)、マハシ (ズッキーニなどをくり抜きご飯を詰めたもの) などなど。
*2枚目:マクルーバ
「上下逆さまにひっくり返した」という名前をもつご飯料理。ご飯の上に表面を埋め尽くすほどの肉 (チキンやラム) が乗っています。ご飯にはカリフラワー、ナス、豆などの野菜が一緒に炊き込まれ、仕上げにナッツのフライがふりかけられます。ジャミード (ヨーグルトソース) をたっぷりかけて食べるマンサフが苦手な外国人は多いのですが、そんな人たちにも大好評なのがマクルーバです。自分はどちらか決めかねるほど、マンサフもマクルーバも大好きです。なお、マクルーバはパレスチナでもっともポピュラーな料理とも言われています。ヨルダンの代表料理マンサフに対して、パレスチナのそれがマクルーバなのかもしれません。よく考えたらマクルーバをごちそうになったのはどれもパレスチナ人の家でした (みんな国籍はヨルダン人)。まぁ、おいしいご飯を前にして、政治の話はよしましょう。
*3枚目:ラムすね肉のグリル
中東はラムがおいしいです。ビーフは値段も安いですがその分味もいまいち。チキンはおいしいですが、ちょっと軽い。パンチのある肉料理をガッツリ食べたいという時は、やはりラム。しかも、肉の真ん中にビシッとまっすぐな骨が通り、その部分を手で持ってガツガツとむさぼるように食べられるすね肉が最高です。写真の料理はアンマンのスウェーフィーヤ地区にあるレストランのもの。炒めたタマネギ、ジャガイモと一緒に素焼きの鉢に詰められ、オーブンでじっくりと焼かれたものです。骨からも簡単に肉がはがれるので、食べた後はきれいなツルツルの骨が残るばかりです。これは旨い!。味、ボリュームともに大満足の一品でした。(アラビア語で固有の料理名があったかどうか忘れてしまいました)
2008年5月 5日 (月)
2008年5月 4日 (日)
ザンビアのシマ
アフリカの主食といえば、トウモロコシの粉をお湯で練って作った「ウガリ」が有名ですが、ザンビアでは同じものが「シマ」と呼ばれます。もともとウガリも食べたことはなかったのですが、ザンビアに出張した際、何度かシマを食べるチャンスがありました。普段冷えたインジェラを食べ慣れている身としては、熱々のシマは殊の外おいしく感じました。やはり日本人にとっては、ご飯は温かい方が良いですね。
シマの味、というほど味があるものではありませんが、シマはクセが無く、どんな料理にも合う素直さが魅力です。何より、色が真っ白で見るからに清潔感にあふれています。白いご飯にも通じる、素性の確かさとでも言いましょうか。灰色のインジェラに比べたら、見た目からして圧倒的においしそうです。すべての外国人がシマを好んで食べるかと問われたらそれはわかりませんが、少なくとも不味いと思う要素は一切ないと思いました。米や麦と違って、トウモロコシの栽培はアフリカの気候にも合っていますから、今後もシマはザンビアの主食であり続けることでしょう。
ただし、ザンビア流のシマの食べ方を真似るのには抵抗がありました。シマをちぎり、手でクニクニとこねて団子状にしてから食べるというものです。食前に手を洗うとはいえ、わずかに残った手の雑菌がすべてシマ団子に練り込まれていくことを想像すると、ちょっとゲンナリしてしまいました。エチオピアの食事と違って、基本的に料理は1人1皿なので、自分の手の雑菌はすべて自分で責任を持つというスタイルには好感が持てましたけど。もしかして、こうやって手の雑菌を少しずつお腹に入れ耐性を高めると同時に、毎食ごとに必ず手はきれいになる、という狙いなのかな?。あるいは団子にした方が単純においしいということか。
エチオピアでは、複数で食事をする場合、みんなでひとつのインジェラを囲みます。大皿にインジェラ (直径50~60cm) が敷かれ、さらに人数に応じておしぼり状に丸められたインジェラがポンポンと置かれます。真ん中におかず (シチュー的なもの) が盛られるので、めいめいインジェラをちぎってはおかずをくるみ、口に放り込んでいきます。このやり方だと、他人の手についた雑菌が自分の口にも入る可能性が極めて高くなります。おかずだけでなくインジェラ自体もしっとり湿っていますし。しかも、親愛の情の表現として、自分の手から相手に食べさせる「グルシャ」という習慣もあります。これは断りにくいです。
エチオピア人5人と1週間の地方出張に行った時も、まず1人がお腹をこわしたなと思っていたら、翌日から次々とみんなが下痢になっていきました。さもありなんです。公衆衛生の住民教育をする前に、食事習慣を変えてもらわないと感染症の広がりは防ぎようがありません。インド人やアラブ人と違って、左手 (お尻を洗う手) も普通に使っているし、地方に行ったらそもそも手を洗う水なんてないし。(←あの時の出張を思い出してまた気持ち悪くなってきた…。この時自分が6人中4番目にお腹をこわしたのにも微妙に腹が立つ。エチオピア人よりずっとデリケートだと思っていたのに!)
エチオピア料理とインジェラの組み合わせは、世界最強ではないかと個人的には思いますが、インジェラそのものを無条件に他人にすすめるほどの自信はありません。おいしいインジェラも、そうでないものもありますから (エチオピア人が好む酸味の強いものは外国人にとってはむしろ食べづらい)。でもシマだったらそんな迷いもなく、「現地に行ったらぜひ食べて!」と両手を振っておすすめできます。シマが白米だとしたら、インジェラなんて稗か粟みたいなもんだし。いや、好きなんですけどね、インジェラ。
(過去記事:エチオピア料理)
2008年5月 3日 (土)
フレッシュバターの作り方
このところ、日本では深刻なバター不足というニュースをちらほら見かけます。もともとバターの起源は、その昔、羊の皮袋に入れたミルクが長時間の旅で揺られたおかげで分離して、バターと液体とに分かれたのを発見したのが始まりと言われています。中央アジア、あるいは中東のベドウィンにその起源を求めることができるかもしれません。中東・アフリカの田舎では、今も写真 (これはエチオピア) のように、軒先で女性がしぼりたてのミルクをツボなどに入れて、ひたすらチャプチャプと動かしバターづくりをしている光景を見ることができます。
日本で市販されている牛乳は均質化加工されているので (ホモ牛乳)、振り続けてもバターにはなりませんが、生クリームを1:1でまぜると良いそうです。以前、生クリームを泡立てていて、このまままぜ続けたらどうなるんだろうと思っていたらそのうちバターになってしまったことがあります。食べてみたらとてもフレッシュでおいしかったです。
2008年4月29日 (火)
チャーハンに砂糖?
レストランのテーブルの上には、普通どんな調味料あるいはスパイスが乗っているでしょう。日本だったら、まず醤油、そして塩コショウはかなりの確率であります。次いで七味唐辛子、酢、ラー油など。ソースは案外ないですね。ソースが必要な料理には直接かけられています。もちろんトンカツ屋は別ですが。基本的には、日本料理は出されたものをそのままの味で食べられるよう、味付けがされていると思います。調味料が必要な場合も、刺身には醤油、フライにはソース (または醤油かタルタル)、天ぷらには天つゆと、その組み合わせもほぼ決まっています。いくら好きずきとはいえ、お刺身にソースをつける人は相当変わり者扱いされるでしょう (マグロにマヨネーズはけっこういけますが)。
中東の場合は、もっぱらオリーブオイルと塩コショウが置かれています。オリーブオイルはサラダにかけても良いですが、料理を頼むとだいたいパンがついてきますから、小皿にオリーブオイルを注ぎかるく塩をふって、それをちぎったパンにつけて食べるととてもおいしいんです。料理のメインディッシュは、サウジアラビアならカフサ (スープで炊いたご飯の上にヒツジ肉が乗っている)、ヨルダンならマンサフ (ほぼカフサ、ヨーグルトソースの「ジャミード」をたっぷりかけて食べる) というご飯ものが有名です。ミックスグリル (ヒツジ、チキン、シシカバブなどのBBQ) は中東全体で一般的なメインディッシュです。どれもそのままで十分おいしいので、調味料をつかうとしても、塩コショウを少々といった感じです。
中華料理は、醤油、酢、チリソース (唐辛子ペースト?) が多く、むしろ塩コショウはあまり置いていないというイメージがあります (コショウは多いかも)。また、春巻きには甘辛のトロッとしたソースがついてきます。蒸し餃子には刻みショウガが入った酢醤油。中華料理もやはり完成された味付けで出てきますから、チャーハンや焼きそばの上にあらためて醤油などをかける人は少ないでしょう。酢はお好みで。
一方、タイ料理は事情が大きく異なり、テーブル調味料がかなりにぎやかなことになっています。タイ料理の基本の味は、辛味、酸味、甘味だと言われますが、これらがからみあって、より複雑な味を醸し出すことが最良とされます。このためレストランのテーブルには、砂糖、ナンプラー、唐辛子の酢漬け、粉唐辛子の4点セットが必ず置かれ、客は料理にさらに味を足し、好みの味にして食べるのが普通です。そういった意味では、コックさんも100%完成型の味付けで調理するわけではなく、お客も出てきた料理をそのまま食べるような横着はしないというわけです。
こうやって事前に聞いていれば「なるほどね」ですむわけですが、初めてバンコクの食堂でご飯を食べた時、頼んだチャーハンと一緒に調味料4点セットが出てきて、「え、砂糖?」と驚いたことをおぼえています。しかも、周りのお客はラーメンとか焼きそばとか、料理に関係なく砂糖も含めてこの4点セットをけっこうな量、投入していたのでまたまたビックリしました。こうなると、味がなんでも一緒になってしまいそうですが、よく考えたら日本料理も基本は鰹ダシと醤油と砂糖 (みりん)、なのに肉じゃがとカツ丼、親子丼はまったく別物だし、それぞれ旨い・不味いがわかりますから、慣れ親しんだ味であればあるほど、微妙な違いが分かるのかもしれません。こだわりも三者三様。おそらく外国人にはわからない世界なんでしょうね。
ということで、タイのテーブル調味料4点セットのうち粉唐辛子は使いますが、今まで他の3つは使ったことがありません。今度こそ使ってみようとタイレストランに行くたび思うのですが、でもチャーハンに砂糖をかけることは、たぶん一生ないと思います。ラーメンにナンプラーを入れることも。もし日本でうどん屋にダシ醤油が置いてあったら、時々は入れたりするのかな、なんてぼんやり考えてみたりもしますが。
ちなみに、料理にはどんな「味」があるか。中国では五種の味、すなわち「酸、苦、甘、辛、鹹 (しおからい)」、インドでは6つのラサ (6つの味覚)、すなわち「マドゥー (甘味)、アムラ (酸味)、ラヴァナ (塩味)、カトゥ (辛味)、テクタ (苦味)、ケシャイ (渋味)」と言われています。日本では「塩味、甘味、酸味、苦味」あたりが基本でしょうか。「渋味」も加えた方が良いかもしれませんね。ところで「旨味」って味の種類なのかな。旨味調味料とかありますけど。
写真はサウジのタイレストランのもの。ナンプラーの代わりに普通の醤油が入っていました。
2008年4月28日 (月)
タイ料理の色彩
今でこそタイ料理は大好きですが、初めてのタイ旅行でパタヤにいった時、海岸通りのレストランで食べたカレーには、驚きを通り越して静かな怒りをおぼえたものです。バンコクでは知らず知らずのうちに中華風のものばかり食べていたため、タイ料理っておいしいなぁと毎日ご機嫌でした (パクチーをのぞいて)。汁そば、焼きそば、チャーハン、豚足ご飯、串焼きなどなど、何を食べてもおいしくて、このままだと幸せすぎてバチが当たるかも、などと考えたりしました。学生時代の一人暮らしで、カレー、ラーメン、吉野屋と、野菜も食べずに好きなものばかり食べていた時のちょっとした罪悪感にも似ています。
バンコクからバスに乗り、パタヤに着いたのは昼前の時間でした。適当に安宿を決めてから海岸通りに出かけると、立ち並ぶレストランのうちひときわ大きなタイレストランに入りました。それまでほとんど屋台かフードコートで食事を済ませていたので、メニューを見た時はバンコクよりもかなり高めの値段設定にややあせりましたが、中でもあまり高くないタイ風カレーを選択しました。旅行に来て、初めて食べるカレーです。というより、その時はタイ料理にカレーがあるということを知りませんでした。「タイ風のカレーを食べるぞ」と意気込んでいたわけではなく、単にインドカレーみたいなものを想像していただけです。
オープンテラスに座って海を眺めていると、すぐに料理が運ばれてきました。しかし、大きな器の中にはオレンジ色のトロトロの液体が入っています。「カレー、……なの?」と首をひねって、ウエイターの方をチラリと見たのですが、別に間違ってここに運ばれてきたわけではなさそうです。カレーが黄色オンリーではないことはわかりますが、想像とはかなり違ったものが出てきたので、少し取り乱してしまいました。水を1杯飲んでから、気を取り直してスプーンでひと口すくって味見をしてみると、辛い、そして甘い。それもそのはず、ココナッツミルクが山ほど入っています。しかしベースは真っ赤なカレーだけあって、メチャメチャ辛い。そこにココナッツミルクの甘さが入るので、色はオレンジに、辛さもマイルドに………、なってなーい!。これではただ激辛で激甘なだけです。
お腹は減っているのにまったく食が進まず、20分ほどカレーとにらめっこをしたのですが、結局ほとんど残してしまいました。この時のショックと言ったらありませんでした。「この値段だったらバンコクの屋台でラーメンが5杯食えるのに」などとせこいことも考えましたが、日本も含めて外食で頼んだ料理をほとんど残すなんて生まれて初めての経験だったため、我ながらなんともいえない敗北感というか、やり場のない憤りをおぼえたわけです。ココナッツミルクはその後ほどなくして大好きになったのですが、この時の自分にとってはあまりにも違和感のある味で、どうしてもスプーンを口に運ぶことができませんでした。
お金を払う時、ウエイターがテーブルの上のほとんど手をつけられていない料理を見て、心配そうな顔つきでこちらを見たのですが、それを無視して無言でレストランを出てしまいました。その時自分はどんな顔をしていたんでしょう。勝手に一人で怒って憮然としていたのなら、今考えるとすごく恥ずかしいです。「こんなまずい料理食えるか」と思っていたなら、当時にタイムスリップして、「まずい料理じゃなくて個人的に口に合わないだけ」と自分自身に注意してあげるのですが。
パタヤからバンコクに戻って、今度は屋台だけでなくいわゆるレストランという所にも行ってみました。そうしてメニューを見たら、あるわあるわ、色とりどりのカレーが。レッドカレー、イエローカレー、そしてグリーンカレー!。今でこそグリーンカレーは月に1度は食べないと気が済まないのですが、当時はなんとも奇妙な食べ物に思えました。インドにも緑色のカレーはありますが、それはほうれん草ペーストのカレーです。グリーンカレーって何故あの薄緑色なんでしょう。見当もつかない。
カレーだけではなく、タイ料理は全般的にカラフルです。日本料理も色彩は豊富ですが、どちらかというと地味で渋いテイスト。中華は自分の知っている範囲では茶色が基本て感じ。フランス料理とイタリア料理も、経験の範囲ではあまり特筆すべきカラフルさはないような。しかしタイ料理は、色鮮やかな上に原色が多いように思います。その上、1皿の中にたいてい赤、黄、緑の三色が入っています。赤はカニ、エビ、赤唐辛子など。黄はココナッツミルクが溶けたスープ、もやし、パパイヤなど。緑は空心菜、ネギ、青唐辛子、パクチーなど。というかたいがいパクチーは乗っているので、緑はほぼ確実に確保されていますが (泣)。
タイ料理にはいろいろときれいなものが多いですが、個人的に一番見た目でほれぼれする料理が、カニのカレーソース炒め卵とじ (プーパッポンカリー)。有名店ソンブーンに行ったら必ず注文します。というよりも、これを食べにソンブーンに行くのですが。マイフォトに載せた写真は、すでに途中まで食べ進んだものなので、見た目がかなり汚くなってしまいました。テーブルに運ばれてきた直後のお皿は、それはもう完璧なまでに美しい姿をしています。情熱的なカニの赤、全てを包み込むような優しい卵の黄色、抜群のアクセントを醸し出すネギの緑。見た目良し、香り良し、そして何より味が良し。
タイ料理ってすごいなぁとつくづく思います。味覚と嗅覚に加え、視覚も楽しませてくれるわけですから。日本料理も、例えば海鮮丼なんて素晴らしく色鮮やかですが、残念ながら嗅覚にはほとんど訴えかけてきません。日本料理で嗅覚といったら、やはりウナギの蒲焼きでしょうか。甘辛のちょっと焦げた匂いはこたえられません。お腹がぐうぐう鳴ります。焼き鳥もいいなぁ。特に鶏皮。いや、最後は関係ない話になってしまった。
2008年4月27日 (日)
魔王ドリアン
初めてドリアンを食べたのは、東京での学生時代。インドネシア語科の友人と連れだって、"高級"インドネシアレストランに行った時のことです。そのお店では、同じくインドネシア語科の友人がアルバイトをしていました。インドネシアにも旅行したことのある友人たちは、さすがに的確に「これとこれとこれだったら、そんなに高くないし初めての人にも食べやすいよ」と言って、パパッとメニューを選んでくれました。運ばれてきた料理は、なるほどどれも食べやすく、たちまちお皿は空っぽになっていきました。一通り料理を楽しんだ後、「さて」といった感じで、1人がちょっと姿勢を正しながら、「あれ、いっとく?」と意味深な発言をし、バイトの友人を呼んで、「ドリアンひとつ」と伝えました。
一応その名前だけは知っていたので、「おー、ついにドリアンを食べるのか」とワクワクしながらその登場を待ちました。数分後、白いお皿にデロンと乗せられた、クリーム色の物体がテーブルに届きました。薄暗い店内だったので、顔を近づけてもっとよく見ようととした瞬間、いきなりムッとする臭気に鼻がツーンとしてきて、思わず顔をそむけてしまいました。そして目をシバシバさせて、「何これ!?」と友人たちに聞いてみると、なんだかみんなニヤニヤと好奇な目をこちらに向けています。「ま、食べてみてよ」とみんなは言うのですが、このタマネギが腐ったような、ドブ川のような、干からびた犬のフンのような、およそ果物とは思えない異様な臭いは一体何なんでしょう。
「本当においしいんだから」と言いつつ、友人はスプーンでそれをひとすくいしてパクリと口に運び、「く~、おいしい!」とうなるようにその味を絶賛するのですが、それを聞いてもまだこちらは及び腰です。しかし、他の料理に比べたら、断トツに高いドリアン。貧乏学生の食事会ですから、なんとしても割り勘負けは避けたいところです。おそるおそるスプーンの先にちょっとだけつけて、目をつぶって思い切りパクッと口に入れると、「お!」と小さく声が出るくらい、驚きの甘さが感じられました。例えて言うならカスタードクリームのようなクリーミーさと甘さ。「えぇっ!?」とのけぞっていると、周りはもう大笑いです。そしてみんな「でしょ?」と言うものですから、こちらもあわてて「うん!」と答えずにはおれなかったわけです。
ドリアンの味だけとったら、まちがいなく果物の王様でしょう。あの甘さは唯一無二。天然のものとはにわかに信じがたいほど、濃厚な甘味を持っています。ただ、あまりにも臭いが衝撃的なことから、人呼んで果物の魔王。こちらの方が呼び方としてはふさわしいと思います。見た目もトゲトゲで暴力的な感じがするし、ドリアンを凶器に使った「ドリアン殺人事件」なんて、あながちないとも言い切れないでしょう。くさやとかナンプラ (魚醤) の臭いも相当きついですが、それは臭いが極端に濃いだけであっ、何万倍かに希釈していけば、やがて食欲をそそる良い香りに変わります。これとは違ってドリアンは、なんだか決定的に食べ物方面の香りとは異なっています。薄めても薄めても、やっぱり「オエ~」となることは間違いありません。ドリアンを最初に食べた人は、果たして正気の持ち主だったんでしょうか。あるいはよほどお腹が減っていたのか。
時は流れ、タイにも旅行するようになり、露店でドリアンの山を見る度に「いいなぁ、いいなぁ」と指をくわえた子供のように立ち止まっている自分がいました。相変わらずその臭いには辟易としていましたが、学生時代の舌の記憶が鮮やかによみがえって、どうしても食べたくて仕方ありませんでした。ただ、ドリアンはホテルにも持ち帰れませんし、タクシーやバスへの持ち込みも大迷惑です。買ったが最後、その場で食べてしまうか、歩きながら頬張るしかありません。こうして、初めてのタイ旅行では、ついにドリアンを食べることはありませんでした。しかし、2度目の旅行で「今回はやけにたくさんドリアンを売っているなぁ」と思いつつ市場を歩いていたら、ある露店でドリアンがパカッと割られ、1房 (1サク) ずつ売られているのを発見しました (通常、1個のドリアンには5房の実が入っています)。
「ラッキー!」と小躍りしながら露店に近づき、さっそくひとつ購入すると、まずは臭いの確認。鼻を近づけると案の定、「オエ~、この臭いだぁ」と思わず眩暈がするくらい臭います。ちょっとむせながら、ビニール袋を少しずつめくり、おそるおそるパクリとひと口。甘い。相変わらず甘い。やっぱりおいしい!。あっという間に1房食べきると、もうひとつ買おうかどうかけっこう悩んだのですが、考えている間に出たゲップの臭いに我ながら気分が悪くなったため、結局断念しました。ドリアンの臭いって、すべてのやる気をなくす臭いですね。世をはかなむというか、自暴自棄になるような。こんなひどい臭いなのに、味はものすごく甘いってどういうことでしょう。本当に摩訶不思議な果物です。
実はこれ以降、タイで生のドリアンは食べていません。あの甘さは認めますが、やはり臭いがちょっと…。なので、その後の旅行ではもっぱら「さくさくドリアン」を買って食べています。これはドリアンの実をフリーズドライしたもので、臭いも正真正銘ドリアンです。メイド・イン・タイランドですが、缶のパッケージになぜか日本語で「さくさくドリアン」と書かれています。その実を口に入れると、まずフワッとドリアンの臭いが広がりますが、だいぶ薄まっているのでなんとか耐えられます。名前の通りサクサクの食感ですが、噛むとあっという間に口の中でトロトロになって、ドリアンの甘味を楽しむことができます。これはお土産にも最適です。好きな人にはたまらないでしょうし、場合によっては罰ゲーム的な使い方も…。
リヤドのスーパーマーケットにも、時々ドリアンが売られていることがありました。ある日、いつも行っているタミーミースーパーに入った瞬間、懐かしくも強烈な異臭に襲われ、たちまちドリアンがあることがわかりました。果物コーナーに直行すると、案の定10個ほどドリアンが並べられていて、それが何者なのか知らないサウジ人の眉をひそめさせていました。かなり迷いましたが、結局ひとつ買って帰り、その臭いに「オエ~」を連発しながら、なんとか実を取り出しました。しかし、正直なところあまりおいしくなかったですね。高かったんですけど。輸出品として、当然完熟するはるか前に収穫して流通に乗せるわけですから、よく考えたらおいしいわけがありません。大失敗でした。
この時は、念のためと思って買ったもうひとつのタイの思い出、「果物の女王」であるマンゴスチンを食べて、なんとか気持ちを落ち着かせることができました。マンゴスチンは果物の中で一番好きです。あの華やかな酸味と甘味のバランスが絶妙。半分凍らせてシャクシャクにして食べると、夏の風呂上がりなんかには最高です。
2008年4月24日 (木)
タイのフカヒレにメロメロ
フカヒレといえば高級中華料理の代名詞です。高級ということは、それだけ貴重なんでしょう。フカヒレスープといっても実際に入っている量はごくわずか。へたをすると、フカヒレが何本入っているか数えられそうな寂しい器もあります。しかもそんなのに限って春雨が入っていたりして、周りのテーブルからは、「あいつフカヒレスープ食べてるぞ、しかもあんなに入ってやがる」などと恨めしそうな視線を浴びせかけられ、一方こちらは、「違う違う、フカヒレそんなに入ってない、これほとんど春雨だから」などと心の中で悲鳴を上げつつ、お店の共犯者になったような罪悪感を感じたりするわけです。
本当は声を大にして叫びたいのです。「ほとんどフカヒレ入ってないぞ」と。まぁ結局は、せっかく思い切って頼んだ高い料理が、よもや期待はずれなどとは決して認めたくないという心理が働き、「やっぱり高いやつは1本1本が太いね、高級フカヒレだ」なんてわざとらしくつぶやきつつ、さも満足した風にウェイターに目線を送ったりなんかするわけですが。かのシャア少佐が自らに発した反省の弁、「認めたくないものだな、自分自身の若さゆえの過ちというものを」なんて台詞を我が身に重ねて感じるのはこういう時ですね。あ、これ、初めて香港に行った時の話です。「フカヒレ=高い=メチャメチャおいしい」と思っていた若かりし頃のこと。
よく考えると、フカヒレそのものに味があるわけではありません。「このフカヒレ旨い!」なんて言っている人は、フカヒレの味ではなく、周りのスープやタレを味わっているだけです。だから、「フカヒレ=おいしい」ということはないはず。そもそもフカヒレスープでは、フカヒレそのものを味わえるだけの量なんて入っていないのが普通です。「だったらフカヒレ100%、フカヒレの姿煮だ!」なんて勢いよくメニューをにらみつけても、そこに書かれた値段を見た瞬間、目の焦点がぼやけ、手足はブルブルふるえ、気が動転した末にはたと天を仰ぐ、なんてことになりかねません。ま、自分がそうでしたから。香港で。
そんな敷居の高いフカヒレですが、バンコクではとてもリーズナブルに食すことができます。2度目のタイ旅行で、ヤワラー (中華街) のどこかを歩いていた時のことです。急に、フカヒレの看板を掲げるお店がズラリと並ぶ通りに出くわしました。あわてて1軒をのぞいてみると、地元の人がのんびりとフカヒレスープを食べているではないですか。店内にはりっぱな乾燥フカヒレも飾ってありました。吸い込まれるようにテーブルにつき、もらったメニューを見てみると、日本円に換算して1000円、1500円、2000円という、にわかに信じがたい、価格破壊もはなはだしいフカヒレの姿煮が、写真付きで掲載されていました。
「こ、これは!」。あまりの安さに衝撃を受け、一旦は血が沸騰したかのように身体中が熱くなったのですが、すぐに「まさか、この値段でそんなにちゃんとしたものは出てこないよな」と我に返ったため、とりあえず1500円のものを注文しました (日本人は真ん中が好きですから)。しかし、土鍋の中でスープ (とろみがついたタレ) とともにグツグツ煮立ちながら運ばれてきたそれは、やや小ぶりではあるけれどまさにフカヒレの姿煮。けっこう重量感もあって、初めてフカヒレをほおばるという体験ができました。味は、オイスターソースベースのタレがちょっとシンプルすぎて、さすがに「旨い!」と言い切る自信はないというか、むしろ「普通?」みたいな。値段が値段なだけに、余裕しゃくしゃくのコメントです。味云々は別にして、この時はフカヒレの姿煮を食べたという事実が素直に嬉しかったです。
一度こういうものを食べたおかげで、次からはわりと冷静にフカヒレと対峙できるようになりました。値段が高いからおいしいわけではないことも、こうやって段々と学習していきました。そして2006年のバンコク。たまたま手にした「歩くバンコク」というガイドブックで絶賛されていた、「キアック・シャークフィン」というレストランに行きました。結論から言うと、そこで食べた3200円のフカヒレの姿煮は、まさに絶品!。あんなにコクのあるスープ (タレ) はこれまで味わったことがありません。フカヒレも1本1本が太いし食べ応え十分。まさに「フカヒレを食べたぞ」と思わしめる、おいしさとボリュームを合わせ持つ逸品でした。満足、満足。こうなると、もう香港では、ましてや日本でなんてフカヒレを食べる気にはなりません。フカヒレはバンコクに行った時の楽しみにとっておこうと、気持ちに余裕ができましたから。
ちなみにこのお店、フカヒレ以外のメニューもかなりおいしかったです。魚の浮き袋の炒め物なんて珍しいものも食べられます (タイでは珍しくないの?)。アワビご飯にもやられました。あまり良い匂いがしたものですから、料理の写真を撮ることをすっかり忘れて食べてしまったくらいです。高級ぶっていない店内の様子も好印象でした。というかほとんど普通の食堂です。その感じにますますやられました。まさに町の名店。繁盛して、店を拡張して、支店まで作って、結局味が落ちる、なんてことにならないよう祈るばかりです。
2008年4月22日 (火)
タイの豚足ご飯
学生時代、JR阿佐ヶ谷駅のすぐ横に、台湾料理屋がありました。中国語科の友達に誘われてお店に行くと、中華料理に漢方薬の匂いを足したような、なんともいえない本場っぽい香りが充満していました。注文は友達にお任せしたのですが、台湾風ラーメンやチマキなど、これまで食べたことがない味で実においしい。日本風の中華料理屋 (ヘンな言い方ですが) とはまったく味の方向性が違っていました。独特の香辛料やザーサイの風味が効いていて、調味料もすべて中国産を使用しているとのこと (店のご主人がちょっとカタコトの日本語で自慢していました)、チャーハンひとつとっても、海の向こうの異国の風味に富んでいました。
そこで生まれて初めて食べたのが、豚足です。軽くしょう油で煮込まれた、プヨプヨしたゼラチン質の皮がおいしいのはもちろんですが、初めて味わうその食感がとても心地よく、また足にかぶりついている自分の姿を客観的に見ると、なんだか滑稽で、すごく楽しくなってしまいました。豚足をかじりながら「クククッ」と笑う自分を見て、店のご主人は「ヘンな客が来ちゃったなぁ」と思ったかもしれません。その後、横浜も含めて何軒か大きな中華料理屋に行って豚足を食べましたが、どの店も味付けしないで蒸しただけの豚足に甘い酢味噌をつけて食べるスタイルでした。正直、こちらはまったく好きになれません。
そしてバンコク。ワット・トライミットで黄金の仏像を見た後、ヤワラー (中華街) をブラブラ歩いていると、小汚い食堂が軒を連ねる通りにぶつかりました。横道をのぞくと生鮮市場があって、中はずいぶん活気にあふれています。表通りにも人力車を手にした人がたくさんいたので、このお店は買い物客から人夫まで、毎日地元の人たちのお腹を満たしているのだろうと想像しました。「よそ者お断り」的な雰囲気がなきにしもあらずで、さすがにタイ語ができないと料理を注文するのは厳しいかなとも思いましたが、あるお店の軒先で、よれよれのランニングシャツに短パン姿のおじさんが食べていたものがあまりにおいしそうだったので、思わずお店に引き寄せられると、おじさんを指さし「あれをくれ」とジェスチャーしました。
店内の床に散乱する野菜くずを踏み分け、ハエだらけのテーブルに座るやいなや、すぐにやって来ました。甘辛く煮込んだ豚足を乗せたご飯「カオカームー」です (料理の名前は後で知りました)。トロトロのグズグズになった豚足は、けっこう肉もたくさんついていて食べ応え十分。甘辛いタレと豚の脂がご飯にネットリとからみつき、コッテリしたおいしさが口いっぱいに広がります。ネットリ&コッテリは大好物。また、鼻から抜ける香りも豚一色。本当においしいんだブー
。これが豚の角煮になると、半分は肉であってほしいし、箸でつかんで脂だけだったりすると「ゲゲッ」と思ったりしますが、カオカームーの場合、全部脂でも良いなぁ。
ただし、やはりここにもいました。緑の魔物パクチーが。ご飯の上に威風堂々と鎮座する豚足の上に、したり顔で居座っています。そして、あの独特の香気 (臭気) を放っているのです。これはたまらんと、思わず全てのパクチーを (わずか1mmの欠片まで)、丁寧にお皿の端っこに追いやって、ふたたび豚足をパクリ。むーー、おいしい。しかし、このわずか数分の間に、すでにパクチーの香りがご飯や豚足に移っています。どれだけ強力な香り成分なんでしょう。その後もタイに旅行する度カオカームーを食べましたが、特にMBK (マーブンクロンセンター) のフードコートは多用しました。ここでカオカームーとエビワンタンメンを食べるのが、いつも本当に楽しみでした。
サウジアラビアにいると、時々無性に豚足が食べたくなります。決して叶わぬことだとは知りつつも。
2008年4月21日 (月)
パクチーどっさり
初めてタイに旅行して、泊まったのはフアラムポーン駅にほど近い、ナントカ旅社 (中華系の安ホテル、ゲストハウス/名前は忘れました)。1泊80バーツ (当時で400円くらい) という格安の値段でしたが、部屋は相当広くてベッドも清潔、シャワーとトイレも水はジャンジャン出るし、イスタンブールで泊まったブルーモスク前の1泊700円のドミトリーよりよほど快適でした (イスタンブールは共同トイレが最悪…)。ただし、部屋のドアの鍵として大きい南京錠を渡された時は、ちょっとだけびびりました。
ホテルに食堂がなかったので、朝食は毎日周辺の屋台に行きました。ホテルの横道を入っていくと、ズラリと屋台が並んでいます。どれを見てもおいしそうでしたが、朝からコッテリ系はつらいので、やはりまずはヌードルから。麺も中華麺ではなくビーフンにしました。細麺から幅広麺まで何種類かあったので、とりあえずきしめんくらいのものを選択。あとはどんな具を入れるか指定して、通りに広げられた共同のテーブルに座って待ちます。ほどなく、熱々のタイ風ラーメンの丼が運ばれてきました。
麺の上には、シャキシャキのもやしと揚げニンニクがトッピングされています。具として選んだフィッシュボールもおいしそう。そこまでは良かったのですが、何やら緑色の葉っぱがモサッと乗せられているのが目を引きました。最初は「バクドゥーニス (葉っぱが平たいパセリ/アラビア語)」かなと思いましたが、しかしその鮮やかな緑色から、得も言われぬ香気が漂ってきます。思わず顔を近づけると、「!」。く…、なんだこの匂い…。ちょっと考えて、「あ、そうか、これが噂のパクチーか」とようやくそこで葉っぱの正体を理解しました。
「三つ葉みたいなもんだよ」とは聞いていましたが、香りのレベルがそんなもんではありません。言うなら三つ葉の1000倍。鼻腔をマッハで通り抜けて脳髄を直撃する刺激臭。思わずクラクラと眩暈がしました。「パクチーがなくてもおいしいのに。いや、なかったらもっとおいしいのに…」と心の中でつぶやきつつ、屋台のおばさんを恨めしそうに見やりましたが、向こうは「おいしいでしょ?」という自慢顔で微笑んでいました。確かにスープもおいしいし、麺もフレッシュ。しかしねぇ、パクチーはちょっと…。何しろこの時、生まれて始めてパクチーに出会ったわけですから、ちょっと刺激が強すぎました。
パクチーの香りに泣きそうになりながらも、それでもラーメン自体はおいしかったので、パクチーをよけつつスープまで飲み干しました。当然、パクチーは食べられませんでしたが、露骨に地面に捨てるのも悪いかなと思い、丼の底にそっと残しておきました。周りを見渡すと、みんなパクチーをムシャムシャ食べています。それを見てまたゲンナリ。この時点では、自分の意識として、パクチーを食べ物の範疇には入れていませんでした。どちらかというと、トイレの芳香剤の仲間という感じで。
それから1週間、朝はずっとこの屋台に通いました。明らかにタイ人ではないので、すぐに顔を覚えられてしまいます。「たまには違う屋台に」と思っても、おばさんが満面の笑みで、「今日もラーメンでしょ?」と先に丼とお玉を握りしめて目で訴えかけてくるため、素通りできるような雰囲気ではありませんでした。おいしいラーメンなので、別にそれを食べるのはやぶさかではないのですが、やはりパクチーが…。ご飯ものなら、まだパクチーエキスが広がらないと思ったんですけどね。
4日目に、やはりその屋台につかまったのですが (通り過ぎようとしたら大声で話しかけられて…)、今度は勇気を振り絞っておばさんに「パクチー、ノーノー」と繰り返し言ってみました。おばさんは最初キョトンとしていましたが、こちらも身振りを大きくして、パクチーを指さし「パクチーを」、指を口に持ってきて「食べるのは」、手をプルプル振って「ムリムリ」、と、言った、つもり…。
ドキドキしながら丼を待っていましたが、果たして、テーブルに届いた丼には、いつもの3倍くらいのパクチーが盛られていました。パクチーを指さし何やらわめいている自分を見て、よほどのパクチー好きと勘違いしたのでしょうか。ガックシ。もちろん、翌日から3日間、パクチーどっさりのスペシャルサービスが続いたことは言うまでもありません。
まぁ、それから、橋の下をたくさんの水が流れ (←開高健風)、ついに2008年の香港で、ようやくパクチーのおいしさを認めることができたわけです。時間かかったなぁ。
2008年4月17日 (木)
21世紀の戦略物資
20世紀の戦略物資が鉱物資源 (石油や天然ガスなどエネルギーを含む) だったとすると、21世紀はどうなるでしょう。現在の世界情勢を考えると、中進国の著しい産業発展 (工業化) のため、相変わらず鉱物資源は価値が高く、現在はむしろ奪い合いの様相さえ見せています。世界最大の石油埋蔵量を誇るサウジアラビアも、毎年のように「確認埋蔵量はあと何年分」と発表されるものの、掘削技術の進歩なのか年を追うごとに逆に年数が長くなったりして、当面 (あと何十年か) は安泰だと言われています。しかし、このところサウジアラビア政府を悩ませるいくつかの問題が表面化し、今後の世界の覇権を握るのは一体何を持っている国なのかという関心がにわかに高まってきました。
そして、おそらくそれは「水」と「食料」です。アラビア半島は大体どの国も水には困っており、海水淡水化が行われるようになって久しいのですが、真水を取り出し濃くなった海水を海に戻すため生態系に深刻な影響があると言われていたり、またそもそも各国の人口爆発 (観光客の増大も含む) に淡水化が追いつかないという問題もあります。ドバイにも見事な芝のゴルフ場がありますが、相当な量の水を消費していることは間違いありません。近い将来、人の飲料水と観光的消費水とどちらを重視するかは大きな問題になる可能性があります。
また、北部のアラブ諸国も、チグリス・ユーフラテス川を巡り、イスラエルを巻き込んで政治的駆け引きが続けられています (→ヨルダンの過去の記事)。もしかしたら、50年後には水が石油より高い値段で取り引きされるようになるかもしれません。日本の奄美大島あたりの天然水は不純物が極めて少なく、タンカーにつめて2ヶ月ほどの航海を経ても腐ることがないそうです (ちょっとうろ覚え…)。今度は日本が資源輸出国になる番かもしれません。
次に食料ですが、数ヶ月前、サウジアラビア政府は、水 (地下水) を多量に消費する小麦の生産を段階的に減らしていき、5年後には国内の小麦生産を終了する計画を発表しました。数年前、ヨルダンでは、やはり水を多量に使うバナナの生産が禁止されました。食糧確保は国の生命線であるとわかってはいても、水がないから仕方ないわけです。ヨルダンはちょっと危なっかしいですが、少なくともサウジアラビアには石油という切り札がありますから、食料輸入に関しては何か問題が起こっても、外交交渉で十分対応できると判断した結果でしょう。当然の帰結だと思います。
ところが、サウジ政府に冷や水を浴びせかけるようなニュースが届きました。インドとベトナムが米の輸出に大きく制限をかけるというものです。現地英字紙 Arab News では、「すぐに米の価格は1.5倍になるだろう」と結んでいました。サウジアラビアでは昨年からの急激なインフレであらゆる物の値段が上がり、基本的な生活物資であるベビーミルクや卵の値段もすでに倍くらいになっています。
このインフレは、人口増加や生活レベルの向上に伴う消費の拡大から世界的に物価上昇傾向であることや、サウジ国内での鳥インフルエンザ発見も原因のひとつですが、結局、小売店が売り惜しみしているのだろうとサウジ国民は考えています。政府も小売業者に補助金を出すとか、高い値段で売っている業者は罰するなどと発表していますが、ほとんど効果が出ていません。そんなことを考えていたら、ロイターニュースでタイムリーな記事を見つけました。
* * * * *
■ロンドン ロイター (4/16)
商品価格の高騰を背景に、世界的に国内の食糧確保に向けた輸出規制などの動きが出ている。以下は、4月15日までに明らかになっている例。(カッコ内は関連ニュースの報道日時)
◎カザフスタン (4/15)
インフレ対策として小麦の輸出を9月1日まで停止。
◎ロシア (3/31)
5月1日に失効する小麦および大麦の輸出を規制する関税制度の延長を承認。
◎ウクライナ (4/15)
4月第1週の小麦の出荷を停止。黒海からの大麦の輸出量を8400トンと3月第1週の2万5620トンから削減。ヒマワリ油の輸出割当制度の適用期限を7月1日から9月1日に延長することなどを検討。
◎アルゼンチン (4/14)
新たな出荷分の輸出時期を先送り。事実上、小麦輸出手続きの停止期間を延長。同国は世界4位の小麦輸出国。
◎エジプト (3/26)
4月1日から10月までコメの輸出を禁止。小麦など穀物価格の高騰で国内のコメ需要が高まったことを受け。
◎インドネシア (4/15)
一部のコメ輸出を規制する方針。同国は東南アジア最大のコメ消費国。
◎パキスタン (4/15)
今年の小麦輸入量を2倍に拡大する一方、コメの輸出に関税をかける可能性。
◎ベトナム (4/03)
コメの輸出禁止期間を6月まで延長。
◎インド (3/31)
食用油の輸入関税を廃止。バスマティ(長粒米)種以外のコメの輸出を禁止。
◎カンボジア (3/27)
コメ輸出の2カ月禁止を発表。
* * * * *
どの国も表向きは国内消費を確保するためと言っていますが、すでに外交カードとして考えているのではないでしょうか。農業立国は概して所得水準が低いですから、富の分配という意味では丁度良い機会なのかもしれません。南米に目を向けると、食料になる穀物よりバイオ燃料用の穀物を生産した方が儲かるそうですから、農家がそちらを選択してもそれを咎めることはできません。食糧が不足気味になれば業者は売り惜しみをして、すると結局ツケを払わされるのは国民という図式。やっかいな問題です。農業生産者と消費者が両方とも幸せになれるやり方はないものでしょうか。
さて、この数十年で、サウジアラビア人は本当にたくさんお米を食べるようになりました。オイルマネーの増大に伴うアジア人労働者の流入が、米食文化を根付かせることになったのだと思います。このままだとお米 (100%輸入) の値段が上がり、いつもお世話になっているブハーリーライスも値上がりするかもしれません。今のうちにせいぜい食いだめしておこうか…。しかし、4分の1のローストチキンと野菜をつけて、このお米のボリューム (写真) で 7リヤル (190円) ですから、今が安すぎるのかな。というか太るわけだな >自分
2008年4月11日 (金)
サウジでフィリピン料理
先日、知人を誘ってフィリピン料理を食べに行きました。ミリタリーホスピタルの向かい側にある Lapaz Batchoy というレストランです。以前リヤドにいた時も、何度か Kamayan というフィリピンレストランに行ったことはありましたが、その時は肉のスープとなんだかよくわからない炒め物を食べて、塩気がほとんどないのとけっこう脂っこいのとで、正直全然おいしいとは思いませんでした。なので、今回はインターネットで事前にメニューを調べて、おいしそうなものに目星をつけてからお店に向かいました。
お店の名前のラパズ・バチョイは、そのまま有名なフィリピン料理の名前です。お肉が入った中華風のヌードルスープ。ダシの効いたスープはほのかに甘酸っぱくて、なんとも南国風味。ネギ油の香ばしい匂いが渾然一体となって食欲をそそります。今回は5人で行ったので、たくさん種類を頼むことができました。特に気に入ったのはアドボという肉の甘辛煮。まるで角煮のように、口の中でホロホロとくずれて溶けていきます。脂っこいのですが、酸味があるので舌を飽きさせません。バチョイのスープも一口飲んで、思わず 「フィリピン料理っておいしい!」 と声が出てしまいました。当時食べたのはなんだったんでしょうね。
そしてこれもまた有名な料理、カレカレ。見た目はタイのレッドカレーのようですが、ベースがピーナッツソースで、甘さが際だつトロリとした一品。まったく辛くありません。お肉とモツが入っていました。アミの塩辛 (?) が付いてきたので、甘い味に飽きてきたらそれで口直しをするんでしょう。チキンのグリルもタレが甘酸っぱかったのですが、砂糖と酢 (それかタマリンド?) がフィリピン料理の味の基本なんでしょうか。全体的にほとんど辛くなかったのはちょっと意外でした。タイやインドのように南国といえば激辛料理が当たり前ですから。こういう甘い味付けが好きなフィリピン人は、性格もマイルドなのかも。
少しカルチャーショックだったのはパンシット・ミックス。パンシットは麺料理です (焼きそば風の)。他にもパンシット・ビーフンやパンシット・カントンというのがあったのですが、ミックスと書かれたメニューをあえて頼んだのは、たぶん具材が肉とシーフード両方入ったものだろうと想像したわけです。ところが実際に出てきたものは、ビーフンと普通の麺がまざったものでした。「あ、そっちのミックスか」 と一同しばし唖然となりました。ウドンにビーフンが入っているようなものですね。これはこれで面白い。味も良かったし。
締めはハロハロ。12年ほど前リヤドで、後頭部を鈍器で殴られたようなすさまじく衝撃的なハロハロを口にして以来、ハロハロには特別な思いを抱いていました (→過去の記事を読む)。そして今回、ようやく、本物のハロハロを食べることができました。おいしい。本当においしい。グラスの底で輝く透明な小さい粒々、それは間違いなくかき氷でした。やっぱりそうだったんです。12年ぶりにモヤモヤが晴れました。でも、トッピングのトウモロコシはどうなんだろう。いるかな?
しかしこの日の料理はどれもおいしかった。また食べに行こう。ちなみに店内の照明のフードが、なぜかみんな「酒」という漢字がデザインされたものでした。サウジアラビアに対する嫌味かな。飲み物の注文で「サンミゲル」と言ったら店員に大ウケでしたけど。
2008年4月 4日 (金)
2008年3月21日 (金)
2008年3月 4日 (火)
2008年2月21日 (木)
2008年2月14日 (木)
香港写真 2
香港写真2をマイフォトにアップ。夜の写真と食べ物中心。旧正月だったので街は人の洪水でした。夜になると俄然妖しい雰囲気が増しますね。みんなお祭り気分て感じ。食べ物は、こうして見ると安いものばかり。でもどれもおいしかった。
2008年1月16日 (水)
イルカを食べる!?
ある食事会の席上で、これまで各地で食べたちょっと珍しい食べ物のことを話しました。トカゲ(サウジアラビア)、ラクダ(サウジアラビア)、ラクダのこぶ(ヨルダン)、ヒツジの顔(ヨルダン)、ウサギ(カタール)、カエル(カタール)、ウミガメ(エジプト)、ヒツジの脳(中東各地)、ダチョウ(南アフリカ)、ガゼル(ザンビア)のことを一通り話すと、「珍しいねぇ」「味は?」などと会話が弾んでいたのですが、思いついて日本のイルカの話をした途端、「イルカを食べる!?」とみんなに驚かれてしまいました。
静岡ではわりと普通に売っているし、去年日本にいたときも回転寿司でイルカの煮込み(甘みそ味)をよく食べていたのですが、そんなに奇異な目で見られるとは思いませんでした。自分が普通に食べているものに拒否反応や嫌悪感を示されると、激しく傷つくなぁ…。大げさに言うと、食文化の否定あるいは人格の否定ですからね。この時は思いがけずマイノリティーの側に立たされたわけですが、今後自らが同じような言動で他者を傷つけることがないよう、肝に銘じました。
ウサギ料理
学生時代、エジプト留学経験のあるアラビア語の先生から「モロヘイヤスープはウサギ出汁が最高」と聞かされていたので、カタールに赴任してからは時々ウサギ入りモロヘイヤスープを作っていました。ドーハのスーパーマーケットでは、冷凍の刻みモロヘイヤも皮をむかれた冷凍ウサギも普通に売られていたので、それらを買ってきてスパイスと一緒に鍋に放り込むと、あっという間にスープができあがりました。
ウサギ肉は脂肪が少なく、歯ごたえや味は獣肉というより鶏のムネ肉に近い感じです。確かにおいしいですが、それを食べながらなんとなく罪悪感を感じることも事実。まぁ、それなりの必然性がない限り、あえて料理にウサギをチョイスすることもないかもしれません。日本に戻ってから「あぁ、ヒツジが食べたい」としみじみ思うことは多々ありますが、「ウサギが食べたい!」と思ったことは一度もなかったし。
スペインはおいしい郷土料理の宝庫ですが、トレドはウサギ料理が名物とのことで、旅行したときにレストランでウサギのローストをいただきました。食べた感想は、野趣に富んでいると言えばそうですが、ちょっと肉がパサパサしていて大味だったかも。もっとソースをかけるか、そもそも煮込んだ方がおいしいような気がしました。記憶の中ではカタールの方がおいしかったですね。
2008年1月13日 (日)
クリスピークリームドーナツ
日本では行列が絶えることのないクリスピークリームドーナツ。新宿ではいつも行列を横目に通り過ぎるだけでしたから、いつか食べたいなぁと思っていたのですが、うれしいことに、リヤドにもありました。オリジナルグレーズド1個4リヤル(120円)/1ダース35リヤル(1050円)、その他のドーナツ1個5リヤル(150円)/1ダース45リヤル(1350円)。日本よりは少し安いみたいです。店員(フィリピン人)の人件費が安いからでしょうか。
私が店を訪れたとき、黒いベールをかぶった女性3人がドーナツをあれこれと選んでいました。サウジアラビアでは男性も甘いものが大好きですから、別に男がドーナツを買っていてもおかしくはないのですが、女性の横で「あれをひとつ、これをひとつ」などと細かく注文して「そんなにドーナツが好きなの?」と思われてもちょっと格好悪いかなと考え(←被害妄想)、男らしく(?)「ドーナツ1ダース」と注文しました。
しかし、すかさず店員が「じゃあ、どれにする?」と聞いてきたため、全種類1個ずつ入れてくれると思っていた私の目論見はあえなく崩れ去り、結局「オリジナルをふたつ、シナモンをひとつ」などといかにもドーナツ大好き男といった感じで注文するはめになってしまいました。あらためて全部1個ずつと言えば良かったのかもしれませんが、やはりオリジナルは少し多めに欲しかったし、まぁ、選ぶのって楽しいし。
家に戻り、早速オリジナルグレーズドから食べてみました。まず表面にかかっているシロップがとても良い香りです。ひと口パクッと食べてみると、まさにしっとりふわふわな食感で、パサツキ感はゼロ、口の中でとろけていきます。全然油っこくなく、あっという間に1個食べ終えました。これはおいしい!。続いてオールドファッションチョコレート。食べ進むとほろほろと崩れていくもろさとチョコのほろ苦さが新鮮でした。これもおいしい。
この日は一気に3個食べたところで止めました。けっこうしっかり甘かったので満足感大。日本では「甘くないスイーツ」が好まれる傾向がありますが、国によって甘さを変えたりしているのかな?
2008年1月 8日 (火)
アイスバイン
もう10年以上前のことですが、「ベルリン・天使の詩」を見て感動し、思わずベルリン旅行を決めました。行く前に同僚から、「サウジから行ったらドイツの豚肉は格別に旨いよ、アイスバインは是非食べてね」と言い渡されたのですが、それがどんなものかよくわからないまま旅立ちました。フランクフルトから飛行機を乗り継いだため、荷物が届かないというハプニングはありましたが、翌日荷物は無事に到着、天気も良好、西ベルリンの散策を大いに満喫しました。
さて、西側を見たら次は東側です。電車に揺られ、途中兵隊が乗り込んでくるのを横目に見ながらやり過ごし、ほどなく目的の駅にたどり着きました。博物館を見た後、東側でアイスバインを食べようと考えていたのですが、西から東に入ると、急に町の雰囲気がガラリと変わり、商業店舗がほとんど見あたらず、周囲は団地だらけでした。「レストランなんてなさそう…」と少し不安になりつつ、やや足早に町を巡ると、ようやくレストランを見つけました。そこは小さなビヤガーデンになっていて、テーブルは店の外に並べられ、地元の人らしき客も数人座っていました。
メニューをもらうと(確かメニューは「本日の定食」の意味で、カルテと言ったっけかな?)、ありました、アイスバインの文字が。店員を呼んでおもむろに「アイスバイン」と伝えると、隣のテーブルから「Oh…」という小さな声があがりました。「え、どういうこと?」と思いましたが、運ばれてきたお皿を見て納得。なんとも大きな肉の塊が、どーんとテーブルに置かれました。とても1人前とは思えません。目の前に鎮座するアイスバインは、とにかくその迫力と存在感がすさまじく、「さすがゲルマン魂」などとわけのわからないつぶやきを発するには十分なインパクトがありました。
アイスバインは豚の骨付きすね肉を塩ゆでした、ドイツ伝統の家庭料理です。見た目こそおおざっぱな感じですが、味は良く、とてもおいしくいただきました。帰り際、店員と隣の客双方から「味はどうだった?」と聞かれましたが、「おいしかった、ブンダバー(素晴らしい)」と答えると、ウンウンと満足そうにうなずいていました。
2008年1月 7日 (月)
トウガラシ
1人1日当たりのトウガラシ(乾燥)消費量を示した統計を見つけました。ただし、トウガラシの一種ですが辛くはないパプリカ(乾燥)も含まれているため、必ずしも辛いもの好きの地域を示しているわけではありません。パプリカはハンガリーで品種改良されたトウガラシで、ハンガリーは今も世界的な生産地です。そのため、ハンガリーとその周辺国がランキング上位になっています。また、韓国では生の辛いトウガラシをよく食べますが、生のトウガラシはピーマンと同じく野菜に分類されるため、この統計グラフには入っていません。生トウガラシを含めたら、間違いなく韓国はもっと上位に行くでしょう。
トウガラシの原産地は、中南米あるいはメキシコといわれています。大航海時代に中南米から世界各地に伝わったそうですから、そうなると、インドカレーのあの辛さも、せいぜい400~500年のものということになります。ブッダの時代から辛いカレーを食べていたようなイメージがあったので、ちょっと意外でした。ちなみに朝鮮半島には「倭辛子」として日本から伝わり、後年、向こうから日本に逆輸入され「唐辛子」として全国に広まったそうです。中世ヨーロッパ人が肉の保存のためコショウを欲したように、当時すでに肉食が解禁されていた朝鮮半島では、高価な輸入コショウの代わりに地元で作れるトウガラシが全国的に普及したようです。
辛い料理はおいしいですね。いや、むしろクセになるというか、どんどん量がエスカレートしていきます。学生時代、インドネシア留学生のアパートで毎日のように夕ご飯を一緒に食べていました。彼の作る鶏肉と豆腐の炒め物はとてもおいしかったのですが、タカノツメパウダーを相当入れるので、最初は辛くてほとんど食べられませんでした。それでも彼にとっては「全然辛くない」レベルで、私たちを横目に彼自身はご飯にタカノツメを振りかけて食べていました。1ヶ月もするとこちらもだいぶ慣れてきて、彼が「まぁまぁ辛い」というレベルならなんとかおいしく食べられるようになりました。もちろん、口が慣れただけであって、お腹はしょっちゅう壊していましたが。
これまでインド料理、スリランカ料理、タイ料理、韓国料理、エチオピア料理と、数々の激辛料理を食べてきましたが、どれもそのおいしさは折り紙付き。と言うか、辛さも味の内で、トウガラシを抜いてしまったらぐんと魅力が下がってしまいます。場末の食堂に行けば行くほど辛さが跳ね上がるような気がしますが、そう言う所も嫌いではありません。ただ、舌がしびれるような辛さは大好きですが、辛くてむせるものは苦手です。トムヤムクンを何度鼻から吹き出したことか ( ̄ii ̄)。でも、また食べてしまうんですけどね。
ブイヤベース
世界各地に名物料理は多いですが、ブイヤベースも南仏の名物料理、しかも世界三大スープのひとつに数えられています。ある年、マルセイユに旅行しましたが、この時はフランス高速鉄道TGVに乗ることと、ブイヤベースを食べることが目的でした。もともとブイヤベースは、マルセイユの漁師が売れ残った魚を大鍋で煮込んたものだそうですが、今ではもっと贅沢な魚介類が加えられるようになりました。白身魚、ムール貝、手長エビなどをたっぷりのハーブとともに煮込みます。サフランで色づけされた黄金色のブイヤベースは、軽いカゼなら吹き飛んでしまいそうな、温かくておいしい料理です。
値段によって味(というか中身)もピンキリなので、単純にすべてのブイヤベースが世界三大スープクラスの味だとは思いませんが、マルセイユでそれなりに繁盛しているお店であれば、思わず「ウマイッ!」と声が出るおいしさなのは間違いありません。ただし、マルセイユには「ブイヤベース憲章」なるものがあり、昔ながらの「正しい」ブイヤベースとして次のような規定を設けているそうです (ブイヤベースを調べてたら今初めて知りました)。
1. 地中海の岩礁に住む魚類を4種類以上入れる。
2. エビ、貝、タコ、イカは使わない。
3. スープは決まった小魚でとる。
4. 短時間で仕上げる。
うーん、そう言えば、何軒か食べ歩いて確かに魚しか入っていないブイヤベースがあったなぁ。「うわっ、質素」と思って、若干落胆したような記憶が…。あれが正統派ブイヤベースだったのか…。でも、エビとか入ると本当においしいんですけどね。観光客もみんなロブスター入りのを頼んでいたし。世界三大スープと言っても、なかなか微妙な立場に置かれていますね。
2008年1月 5日 (土)
ブハーリーライス
サウジアラビアの生活で、週に3度は利用しているのが「ブハーリーレストラン」です。市内至る所にありますが、すべてが同じチェーン店というわけではなく、共通しているのは「ブハーリーライス (Ruzz Bukhary)」というレシピを出すことです。その由来は、ウズベキスタンのブハラ州にあると言われています。この地域は8世紀初頭にはすでにイスラム帝国領となっており、古くから多くの巡礼者がマッカを訪れていました。そんな彼らが残していったのが(あるいはそのまま居着いて食堂を開いた?)、ブハーリーライスなのです。長粒米をチキンスープと香辛料で炊きあげたもので、それだけではかなり薄味ですが、噛めば噛むほどじわっとおいしさが口の中に広がります。普通はローストチキンやシチューなどをおかずとして頼みます。
写真はライス1人前とハーフチキン。野菜はおまけでついてきます。1人前にしてはご飯の盛りが良すぎるので(丼3杯くらい)、「ライス半分、値段も半分」というオーダーができれば良いのにといつも思います。でも、これで値段は10リヤル(300円)ですから、ご飯のみだとたぶん2~3リヤルでしょうか。半分にしてもたいしてトータルの値段は変わりませんね。それにしてもご飯を焚く釜が大きいこと。どの店も直系1メートルほどの釜が3~4個あります。「ご飯くらいは好きなだけ食べてくれ」という気持ちの表れなんでしょう。ありがたいけど、また太ってしまう…。
2008年1月 3日 (木)
幻のチーズ?
中東では歴史的にヨーグルトやチーズなど乳製品が食べられてきました。アラブ人の生活にチーズは欠かせない一品で、ここサウジアラビアのスーパーマーケットでも、ヨーロッパから輸入された様々なチーズが所狭しと陳列されていて目を楽しませてくれます。日本よりは値段もだいぶ安いので、今までいろいろなチーズを食べてきました。その中でも特に好きなのが、カマンベール、エメンタール、ゴルゴンゾーラ。同じ牛乳を原料として、よくもまぁこれだけタイプの違う、しかもおいしいチーズができるものです。そのまま食べて良し、熱を加えても良し、料理に使っても良しと、まさに万能選手。我が家の冷蔵庫には常にチーズが入っていました。
しかし、あぁ、しかし…。ウォッシュタイプのチーズだけは、何度かトライしたのですがその度に挫折していました。ある年、グルメの知人がフランス旅行に行くというので、「おいしいチーズ」をお土産にリクエストしました。買ってきてくれたのは「ポン・レヴェック(Pont-l'Eveque)」。「ウォッシュタイプだけど食べやすい方だから」と言われてポンと渡されたのですが、受け取った瞬間、うっすらと漂うその臭いに「うっ…」と息が詰まってしまいました。おそるおそる包みを開けると、タクアンというかフランス人の足の裏(←嗅いだことないけど)というか、そっち系の強烈な臭いが鼻をつきます。フォークの先に取って、目をつぶり口に運んでみると、鼻をつく臭気がプーンと広がり、とても飲み込むことは出来ませんでした。
その2年後、フランスに旅行する機会があり、「今度こそは」という覚悟を持って、再びウォッシュタイプのチーズを買ってみました。選んだチーズは「ラミ・デュ・シャンベルタン(l'Ami du Chambertin)」。ナポレオンが好んだとされるブルゴーニュ地方のワイン「シャンベルタン」の「友」という名を持つチーズです。しかし、やはりこれもその臭いにまず負けて、そしてひと口食べて「………」。結局、その後もずっとウォッシュタイプだけは避け続けることになりました。
あの時の玉砕から何年もたちましたが、最近、食べるチーズが固定されてきたなぁ、冒険してないなぁと思っていたので、何か食べやすそうなウォッシュタイプのチーズはないかと再びインターネットを検索してみました。そうして、「幻のチーズ」「常温でトロトロのチーズ」「モミの木で巻かれたチーズ」と一部で熱狂的な評判を持つ「モンドール(Mont d'Or)」を見つけました。日本では流通量が少なく入手しづらいようですが、リヤドのスーパーに行ったら1軒目で発見、すぐに購入しました(400g/1800円)。
家に戻ってあらためて見てみると、インターネットに書かれていたような「木の箱から取り出せないほどトロトロ」ということはまったくなく、しかも表面の皮がコンコンと音がするくらい固かったので、やや不安になりました。ウォッシュタイプだけれど表面に白カビが生えているというのはその通りですが、ウォッシュタイプ独特のツーンとくる臭いがほとんどありません。食べやすそうだなとは思いつつも、どこかであの強烈な臭いを求めていた自分もいて、ちょっと残念な感じがしました。製造日2007.12.13、賞味期限2008.1.15ということなので、初めて口にする自分にとっては丁度良い食べ頃でしょうか。
ナイフで表面の皮をキコキコと切って穴を開けてみると、中はトロトロというよりベトベト。しかしそのベトベトさは確かにこれまで見たことのない感じです。スプーンですくい取って口に運んでみると、熟成の進んだカマンベールのような風味で、コクがあってクリーミー、しかしひと癖あってもっと複雑な奥行き感のある味は、他では味わったことのないものでした。チーズの良いところを全部詰め込んだような堂々たる味わいには、「これこそチーズの中のチーズ」と思わせる力がありました。
それほど塩味もきつくなかったので、けっこうペロリといけてしまいそうだったのですが、賞味期限ぎりぎりまで熟成を進めて味の変化を見てみようと思ったので、後ろ髪を引かれつつ封をして冷蔵庫にしまいました。ちなみに、切り取った皮はオリーブオイルをふりかけレンジで30秒チン。カリカリになったのをおいしくいただきました。いやぁ、チーズって奥が深いですねぇ。
2008年1月 2日 (水)
最もおいしい料理
よく他人に質問をします。「今まで食べた中で一番おいしい料理って何ですか」と。その中で印象的な答えをいくつか。
(1)トナカイ
カナダエスキモーの調査で現地滞在中ずっと食べていたトナカイの生肉が殊の外おいしかった。生肉を食べないとビタミン不足であっという間に体調をくずす。極寒のため1日に必要な摂取カロリーは6000~8000kcalに上るため、トナカイの脂をいつもペロペロなめていた。脂は実は甘くておいしい。
(やはり肉は生に限りますね)
(2)リス
ルワンダで住んでいた家の庭に大木があり、リスのかっこうの住み家になっていた。たまに使用人が作ってくれたリスの丸焼きがびっくりするほどおいしかった。獣肉では一番おいしいと思った。でも食べるところは見た目よりかなり少ない。
(リスは初耳、どんな味なんだろう)
(3)丼ウニ
ウニ丼ではなく丼ウニ。つまり丼がウニで満たされている。それだけ食べても飽きないおいしさは北海道のその店ならでは。でも普通は注文しても作ってくれない。通わないと。
(う~ん、贅沢。一生に一度は頼んでみたい)
(4)生ガキ
アルジェリアで人がいないビーチに行ったら岩場にカキがびっしりついていた。夢中で食べ続けた。海水の塩気がベストマッチ。
(カキを腹一杯食べるなんて、しかもタダなんて)
(5)ヒツジの尻尾
ひどい二日酔いで降り立ったモンゴルで出された、ヒツジの尻尾の脂のシャーベット(尻尾が座布団のように厚く大きい)。こんな状態で食べられるわけがないと思いつつ口に運んだら、上品な甘さにペロリと平らげてしまった。
(やはり脂はおいしいんですね、しかも生が)
(6)ハミウリ
中国の砂漠で地下水の調査中、畑にハミウリが野積みにされていた。形が悪く商品にならないものだったため、タダ同然で譲ってもらった。炎天下で食べる果汁に満ちたハミウリは、この世のものとは思えないおいしさだった。
(く~、たまりません)
(7)空腹は最高の調味料なり
草木1本生えていないようなエチオピアの田舎で車が故障し、水も食料もないまま炎天下で朝から晩まで車の修理を続けた。夜中にようやく車が直り、ホテルにチェックインして食べたヒツジの煮込みは舌がとろけるほどおいしかった。
(そうでしょう、そうでしょう)
美食は飽きる?
日本に帰国するときはいつも「あれを食べたい、あれも食べなきゃ」と、飛行機の中からすでに頭の中が食べ物のことでいっぱいになってしまいます。海岸線を持たないエチオピアにいたときは、これはもうシーフードでした。現地でフレッシュな魚といえばテラピアかナイルパーチ。川魚だけあってほとんどは身が泥臭くて、たぶんそれをわかっているのかどのレストランもたいがい火を通しすぎで、あまり積極的に食べようと思う代物ではありませんでした(湖畔の町アルバミンチではおいしかった!)。輸入の冷凍イカやエビは値段が高いわりに保存状態が最悪で、とても買う気にはなれませんでしたから、日本に戻ってくると「とりあえずお寿司」というパターンがほとんどでした。
中東、特にサウジアラビアは、豚肉とお酒が厳禁です。しかも本体だけでなく、ポークエキスやラード、アルコール醸造過程を経たものなどひっくるめて禁止ですから、ラーメンやしょう油も日本製のものは輸入禁止となっています。インスタントラーメンとキッコーマンのしょう油はどのスーパーでも売っていますが、どれも東南アジア製で、イスラム教徒にとって禁止された成分は入っていないという意味の「ハラール」マークが付けられています。慣れればそんなにまずいとは思いませんが、日本製とくらべると、やはりどこか味気なさが残ります。なので、サウジアラビアから帰国すると「ラーメン+餃子→カツ丼→寿司→焼き肉→うなぎ→カレー」というヘビーなローテーションを組まざるを得ません(お酒が好きな人はここに相当な酒量が加わる)。さらに、朝食メニューとして「納豆、焼き海苔、焼き魚、塩辛、明太子」などが加わっていきます。
12月のハッジ(巡礼)休暇に帰国したときは、やはり一通りサウジ御禁制の日本食を楽しんだ後、近場の旅行に出かけました。部屋にお風呂がついている温泉旅館は初めてでしたが、値段も高いだけあって、食事もこれまた豪勢そのものでした(1枚目の写真)。そしてとにかく種類が多い。配膳された料理を「見渡す」経験は普段そうそうできるものではありません。最初のうちこそ「金目鯛はおいしいなぁ」などといちいち味わって食べていましたが、その日は昼間にも地元の名物料理「漁師のぶっかけ飯」などを食べていたこともあって、次第にお腹が苦しくなってきました。最後の方の伊豆牛の鍋など、もうほとんど青息吐息で、「もったいないから食べなきゃ」という義務感ばかりが先に立ち、ちゃんと味わって食べていたとは言えません。普段、それを単品で食べたらもっと繊細に味わうことが出来たでしょうに、この時は「まだあるの!?」などと罰当たりなことを考えつつ無理矢理箸を進めていました。
翌日はまた少し移動して、違う施設に泊まりました。そして再び眼前に広がる豪勢な料理…(2枚目の写真)。見ただけでお腹がいっぱいになりそうでしたが、しかし、ここの料理はちょっと違いました。柿の実の和え物で目を開かされ、タコの小倉あん煮に衝撃を受け、栗の実をいただいたときには「これは半端じゃなくすごい!」と思わず姿勢を正してしまいました。それまではお腹が食べ物を拒絶している感もありましたが、俄然食欲が湧いてきました。正確には、食欲と言うよりも興味です。「どんな料理を作ってくれたんだろう」というワクワク感によって、次々に料理に箸を伸ばしていくことができました。しかしまたも伊豆牛が出されたところで、「牛キターーー!」と思いちょっと手が止まりかけました。間違いなくおいしいんですが、正直、一切れで良かったかも。続いてニシンとカブの煮物、松茸の土瓶蒸し、ご飯、デザートなどが続けざまに運ばれてきましたが、もう完全にノックアウト。とても美味しかったのですが、どうしても全部は食べきれませんでした。でも初めて見る黒米のデザートは食べきりました。最初から最後まで意外な料理(こちらの想像を覆すおいしさ、目新しさ)の連続で、本当に大満足でした。
翌日の朝食も、お腹は全然減っていませんでしたが、結局全部おいしくいただきました。後でわかったことですが、ここのシェフは大喪の礼と皇太子ご成婚の儀に調理師として参加した方でした。いわゆる宮内庁御用達というのでしょうか。素人の舌であっても、何かが違うと思える凄味が料理に現れていたと思いました。もし1日目と2日目の夕飯が反対だったとしら、2日目はまったく食べられなかったかもしれません。世に美食と言われるものは数あれど、やはりたまに食べるから良いのであって、しかも空腹であればあるほどおいしさは倍増しますから、美食に対峙する場合はこちら側もそれなりの準備、心構えをしていかなければ台無しです。あるいは、美食というのはおいしさそのものではなく、意外性がすべてなのかもしれません。そもそも万人をうならせる絶対的なおいしさというものは存在しないかもしれませんし、そうなると「今までに食べたことのない味」というのが最も重要なポイントになるのでしょうか。グルメを極めるとゲテモノ食いに行き着くというのも、なんとなくわかります。
サウジに戻ってきて少し時間がたちましたが、なんであの時もう一杯豚骨ラーメンを食べなかったのか、と悔やんでいる自分がいたりします。あの時は「う~、気持ち悪い、もう食べれない」と思っていたんですけどね。というか、美食云々と書いたわりには、安い食べ物しか食べたことのない自分に気がつきました…。
2007年11月28日 (水)
豆はおいしい!
先週、サウジ人の友達に誘われ、豆料理専門店に行ってきました。カラハ(Kalaha)レストランという名前は、サウジ人にとってもあまり聞き慣れない名前だそうで、オーナーはヨルダン系とのことでした。同じ料理であっても、ヨルダン、シリア、レバノンは他の地域に比べてひと味違います。食は北アラブにあり、というのがアラビア半島人に共通した考えです。今回もヨルダン系レストランと聞いて、俄然期待が高まりました。
店のメインディッシュは、フール、ホンモス、ファラーフェルという、アラブの食生活には欠かせない豆料理三品です。フールはソラ豆をオリーブオイルやスパイスと煮込みどろどろに煮崩したもの(温かい料理)。ホンモス(ホンモス・ビッタヒーナ)は茹でたヒヨコ豆をオリーブオイルとゴマペーストやニンニクなどのスパイスと混ぜてペースト状にしたもの(冷たい料理)。ファラーフェルはエジプトではタアメーヤとも言いますが、ソラ豆などから作ったいわばコロッケで、揚げたては殊の外美味しく感じるところも、コロッケに似ています(冷めたらちょっと…)。
専門店というだけあって、この三品にはそれぞれ何種類もバリエーションがあります。フールならエジプト風、シリア風、ゴマ風味、エルサレム風。ホンモスはベイルート風、肉入り、松の実入り。そしてファラーフェルでは、スパイシーな炒めタマネギを具として詰めたものなどです(ファラーフェル・マハシーヤ)。このファラーフェルは私も初めて食べたし、サウジ人の友達も他の店では見たことがないと言っていました。この日食べたものの中では一番おいしかったです。
この日は、フールとホンモスを数種類ずつ頼み、他にもシャクシューカ(トマト入りスクランブルエッグ)、肉入りバンドゥーラ(焼きトマト)など食べきれないほどの料理を堪能しました。ヨルダンに2年住んでいた身としては、やはり本場にはかなわないかも、と思ったりもしますが、写真のように見た目はシンプルなのに、やはりリヤドの他の店で食べるものとは味が違うなぁと、ヨルダンの実力をあらためて感じました。ちなみに、料理が来ると我慢できずすぐに手を伸ばしていたので、「あ、写真撮らなきゃ」と気がついたときにはちょっと食べ散らかした感じになっていて見た目が悪いです。恐縮です。
親知らずを一気に抜いたので、当面堅い物は食べる気にならないし、しばらくはこのお店に通おうかなと考えています。
2007年11月24日 (土)
ヒツジの解体
イスラムに限らず、祭礼の折りに家畜を屠殺して神に捧げるとともに、自らも食し祝うという文化は世界各地に見られます。この12月、イスラム教国は犠牲祭(イード・アルアドハー)を迎えます。サウジアラビアではマッカ(メッカ)のカアバ神殿に世界中から巡礼者が集まり、ここでも数多くの家畜が神の御名において屠られることでしょう。普段、パック詰めされた肉だけ見ていると、裏で実際に家畜が屠殺されていることなど想像もつきませんが、日本とは違って中東もエチオピアも、この点は毎年必ず、弥が上にも再認識しなければならない時期がありました。エチオピアでは新年(9月11日)とイースター(4月下旬)です。祭が近づくとアジスアベバ市内はヒツジ飼いが闊歩し、当日は町のあちこちにヒツジの皮が積み上げられていきました。掲載した写真は、エチオピアの新年に個人宅でヒツジを解体したときのものです。雰囲気は伝わるでしょうか。私自身、1頭の解体を最初から最後まで見たのは初めてで、こういう犠牲の上に自分の命が成り立っているのだと思えば、すばらしい学習の機会でした。
2007年11月21日 (水)
シルバーチップ (紅茶の王様?)
日本では銘茶の産地と呼ばれる地域に生まれ育った私ですが、小さいときからとにかく緑茶だけはおいしいものを毎日飲んでいました。なので、自然に「おいしい緑茶の味」がわかるようになったのだと思います。もちろん、地元ではお茶のおいしさなど特に意識することはありませんでした。お茶とは「そういう味のもの」だったからです。しかし、大人になって故郷を離れ、いろいろな所で緑茶を飲むにつけ、「世間の人はこんなに味気ないお茶を飲んでいるのか」とよくため息をついたものです。本当のところ、地元以外で「おいしいお茶だなぁ」と思ったことはほとんどありませんでした。もっとも、我が家は未だに山の湧き水を水道に引いていて、地元のお茶を地元の湧き水で煎れる、という最高の条件を備えているのですから、当たり前と言えば当たり前なのですが。
さて、それまで海外生活ではもっぱらコーヒーを愛飲していたのですが(自分がいかに緑茶を煎れるのがヘタか痛感したので…)、スリランカを旅行して、すっかり紅茶のおいしさに目覚めました。そうなると、最高級のものを飲んでみたくなるのは当然の心理です。緑茶でも、本当においしいものを飲んでいたからこそ、良いお茶、悪いお茶がわかるようになりました。紅茶でも然りです。「最高級=万人においしい」という訳ではないことも緑茶の経験からわかりますが、突き詰めれば、やはり高級品は通をうならせるだけのおいしさを秘めている、ということはわかります。そんなわけで、スリランカを発つ前日、コロンボのさも高そうな紅茶屋で「シルバーチップ」を買いました。
紅茶は普通、1芯2葉(One Bud Two Leaves)を摘み、それをぎゅうぎゅうと機械で押しつぶしてから、適温で酸化発酵させて作ります。しかし、シルバーチップは1芯(若芽)のみを摘み取って作るため、とても希少品なのだということは知っていました。スリランカに旅行することになって、なんとなくシルバーチップのことは頭にあったのですが、峠の茶屋で飲む紅茶ですら、そのおいしさに感動していた私は、是が非でも手に入れたいと思うようになっていました。
そのお店では、シルバーチップを店頭で陳列販売していたわけではありません。噂に聞いていた通り、かなりの高級品、希少品であるため、奥の方にそっとしまわれていました。「シルバーチップが欲しいのだが」と店員にたずねると、最初は「ない」の一点張り。しかしこちらが「日本で茶園をやっている(←嘘じゃない)、美味しい紅茶を求めてスリランカまでやって来たのだ、是非シルバーチップを売ってくれ」としぶとく頼み続けると、ようやく、奥から1パック出してくれたのです。値段は、緑茶の高級品より何倍も高い値がついていました。
翌日、リヤドに戻って来ると(サウジ暮らしの時です)、早速パックの封を切り、まずは香りを確認しました。すーっと鼻で香りを吸い込むと、いわゆる紅茶の香りではありません。甘くて香ばしいような、日向の匂いというか、とても優しい香りでした。手のひらに茶葉を広げてみると、普通の紅茶のように酸化発酵して赤黒くなってはおらず、白っぽいままです。そういえば、スリランカの製茶工場の一角で、お茶の若芽(芯)だけ天日干ししているのを見ましたが、どうやら、それと同じもののようでした。あの時そうだと気付いていたら、もう少しちゃんと話しを聞いたのに。写真も撮らなかったなぁ。
せっかくの高級茶ですから、おいしい煎れ方をしなくてはなりません。いろいろ聞いたり読んだりして、だいたい次のような手順が良いとわかりました。
①空気がたくさん入っている水が良い。ボトル入りミネラルウォーターよりむしろ水道水の方が良い。
②完全に沸騰させるが、沸騰しすぎると水から空気が抜けてしまうのでダメ。
③ティーサーバー、ティーカップは温めておく。
④抽出時間は2~4分。空気が入っている水(お湯)だと茶葉が良くジャンピングする。
⑤抽出した紅茶は毎回カップに注ぎきる。
まずは普通のリーフティーで何度か練習しました。水道水とボトル水、両方試しましたが、やはりボトル水はほとんど茶葉がジャンピングせず、水道水のお茶とはまったく違う香り・味の「まず~い」お茶が出来上がりました。しかし、こうやって比べなければ、この違いは一生わからなかったでしょうから、この発見は大きかったです(知っている人にとっては当然のことでしょうけど)。そもそもスリランカで紅茶がおいしかったのは、案外たったこれだけのことだったかもしれません。高級ぶって高いボトル水を使ったりしては逆にダメなんですね。
さてさて、シルバーチップです。煎れ方について上の手順と変えてみたのは、4分くらいではほとんど色や香りが出なかったため、抽出時間を6~7分とかなり長目にしたことです。これだけ置いても、色は薄い黄金色、香ばしい甘い香りがふわっと立ち上る程度です。ひと口すすっただけでパッと目が覚めるようなはっきりくっきりした味と香りはありません。ダージリンよりもだいぶおとなしいイメージのウバ(セイロンティー)に比べても、さらに穏やか、まろやか、ひそやか。角の立った自己主張は全くなく、舌を包み込むような、かすかに甘みを感じる優しい味が口の中に広がります。わずかにトロンとしたお湯を飲み込むと、日向の枯れ草のような風味が鼻腔をすっと抜けていきました。
正直な感想は「なんだこれ?、紅茶?」。味があまりにも淡いというか、味を知覚するために飲み手に努力を要求するというか、本体がなくて余韻が全てというか…。何ともはや、評価に困ってしまいます。おいしいと言って良いのか、はたまた値段がそのように思い込ませているのか…。とにかく、普通の紅茶の延長線上にあるものではありませんでした。渋みはまったくないし、おいしい紅茶に感じる青っぽさ(フレッシュな青臭さ)もないし、もちろんフルーティーな香気もありません。味としてはせいぜい「かすかに甘いような気がする」くらい(私の味覚と感性では)。シルバーチップが果たして「紅茶の最高級品」なのかは結局最後までわかりませんでしたが、ただ、何度飲んでも後を引く、あの不思議な味の余韻は、やはり唯一無二だと思いました。少なくともまだまだ巷にシルバーチップ信仰は多いし。(写真はシルバーチップ入りと銘打ったリプトンの紅茶)
2007年11月 6日 (火)
サウジでエチオピア料理
久しぶりにエチオピア料理を食べてきました。エリトリア人スタッフから「エチオピア大使館で食べられる」と聞いて出かけたのですが、確かにそこはレストランというよりは、単に大使館が中庭とカフェテリアを在留エチオピア人に開放している、といった趣の場所でした。
そこは学校がいくつも建っている閑静なエリアで、夜7時半ではまったく人が歩いていませんでした。まず大使館がなかなか見つからず苦労しましたが、近辺で聞き込みをしてなんとか発見。この時点では大使館の隣にレストランがあるのだと思っていたのですが、どうみてもそんな雰囲気はありません。ゲートの入り口にいた人に「ここってエチオピア大使館だよね、レストランがあるって聞いたんだけど」とアラビア語で話しかけると、「中に入って聞け」という返答。とりあえずゲートをくぐらせてもらいました。
ゲートの中の小部屋に座っていた紳士は、どう見てもエチオピア人でした。「テナ・イスタッリン」とアムハラ語で挨拶をすると、「おや?」という顔つきに変わり、「カイェト・アガル・ノー?(何国人だ?)」と普通にアムハラ語で聞かれたので、日本人であること、4人連れで食事がしたいということをつたないアムハラ語で伝えました。横にいた数人の若者にもアムハラ語で愛想をふりまいたおかげか、めでたく「入ってよろしい」という許可をもらいました。ことによると、ここで追っ払われる人もいるかもしれません。
中に入ると、まずは広い中庭がありました。テーブルがいくつも並べられ、30人ほどのエチオピア人が、それぞれお茶を飲んだりおしゃべりに花を咲かせていました。向かいの小さな部屋には卓球台か何かがあるようで、その中でもみんなワイワイとやっています。ゲートの外の殺伐とした雰囲気とは打って変わって、ここはとても和やかで笑い声に満ちた雰囲気です。私たちは広場を横断し、カフェテリアに案内されました。
中にも20人ほどのエチオピア人がいて、みんなお茶を飲んだりテレビを見たり、随分ワイワイガヤガヤとにぎやかで、まるでアジスアベバに戻ったような感覚を引き起こしました。私も少し調子に乗ってきて、知っている限りのアムハラ語を駆使して、料理を注文したりスタッフと写真を撮ったりしました。事前に「平日だとメニューがないかも」と聞いていたのですが、やはりこの日用意できるのはトゥブスだけとのこと。しかし運ばれてきたのは、同じトゥブスでも少しずつ味を変えた、なかなか心配りのある3品でした。
インジェラも白いのと茶色いのがあって、エチオピアと遜色ないおいしさ。といっても茶色いのは酸っぱすぎてもともとあまり好きではなかったのですが、とにかく忠実にエチオピアの味でした。1人が「2000年」と書かれたエチオピアの国旗を持ってきたので、「そうそう、今年エチオピアはミレニアムだね、おめでとう」と言うと、彼もニッコリしながら満足そうに戻っていきました。最後は当然マキヤトでシメ。でも、やっぱりコーヒーはエチオピアに限りますね。あんなにおいしいコーヒーは、もう飲めないのかなぁ。
2007年10月 2日 (火)
これは嫌だ
インジェラは好きな方です。トゥブスやカイワットなど肉料理に飽きてきたらシュロワット(豆)もあるし。特に、シュロに肉が入ったボゼナ・シュロは、お気に入りの一品です。しかし、しかしですよ。ちょっとよそ見をしている間に、インジェラの真ん中にお玉でひとすくい、ボゼナ・シュロをぼたっと盛られたとします。ふと目線をインジェラに戻すと、写真の光景が目に飛び込んでくるわけです。これを見て「うまそー!」とは、さすがに思わないですね。「う……」と一瞬つまって、「あぁ、大好きなボゼナ・シュロだ」 と何故か気持ちを1回切り替える必要があります。もちろん、一度口に入れてしまえば、口福ここに極まれり、といった感じになるんですけどね。いや、ホント。
また、インジェラを食べている最中に携帯電話が鳴ったりして、ちょっと席をはずした場合。2、3分して戻ってくると、なんだかやけにグチャグチャしていて (そうしたのは自分ですが)、どう見ても残飯のような姿に変わり果てたインジェラを目にすることになります。これもまた食欲をなくす王道パターンですね。教訓、インジェラは一気に食べましょう。
2007年9月27日 (木)
エチオピア料理レシピ: ドロワット
*タマネギ…大3ヶ
*ケベ…3オンス(約85g)
*バルバレ…小さじ4
*鶏モモ肉…8ヶ
*レモン汁…1/4カップ
*ゆで卵…8ヶ
(1) タマネギをみじん切りにして、少量のオイルで飴色になるまで炒めます。
(2) ケベ(エチオピアンバター)とバルバレを加え、さらに水1カップを入れます。
(3) 鶏肉は2カップの水と1/4カップのレモン汁で10分ほど煮込んでおきます。なお、エチオピア人は鶏の皮を食べません。本格エチオピア料理にこだわるなら皮をむいておきましょう。
(4) 鶏肉の水分をよく取りのぞき、タマネギの鍋に入れ、ドロドロのシチュー状になる程度に水を加えたりします。鶏肉に十分火が通ったところでゆで卵を入れ、少し煮込んで完成です。
このレシピは参考例のひとつで、さらにスパイスを足したり、トマトや白ワインを入れたり、どの家庭にも「おふくろの味」があるようです。別のレシピを見ると「ケベ2カップ、バルバレ1カップ」などと急に単位が大きくなっていてびっくりしますが、概して高級レストランほど、バターの量が多く、辛さも激辛になっていくように思います。
ちなみに、ドロワットには辛くないものもありますが(アリチャ/写真の黄色い方)、普通ドロワットと言えば辛いものを指し、おいしさも辛さもエチオピア料理一と言われています。そのため、他のおかずと一緒にインジェラに盛りつけられるときも、いつも真ん中はドロワットの席と決まっているようです。
エチオピア料理レシピ: ケベ
*無塩バター…1ポンド(約450g)
*タマネギ…1/4カップ
*ニンニク…2片
*ショウガ…小さじ2
*ターメリック…小さじ1/2
*カルダモン…4粒
*シナモンスティック…1本
*クローブ…2粒
*ナツメグ…小さじ1/2
*フェヌグリーク…小さじ1/2
*バジル生葉…1枚
(1) バターを鍋に入れ、表面が泡で覆われるまで熱します。
(2) スパイスを鍋に入れ、蓋をせずにごく弱火で45~60分火にかけます。
(3) バター表面が透明になったら火から下ろし、荒い布でこしながら、耐熱容器に移します。冷蔵庫に保管し、2ヶ月以内に使い切ってください。
ケベ(エチオピアンバター)はいいろなエチオピア料理に使われるだけでなく、保湿剤として肌や髪に塗られたりもします。このレシピは参考例のひとつで、実際は各家庭でスパイスの種類や調合を変え、好みのものを作っています。
エチオピア料理レシピ: バルバレ
*ショウガ…小さじ1
*コリアンダー…小さじ1/2
*カルダモン…小さじ1/2
*フェヌグリーク種…小さじ1/2
*ナツメグ…小さじ1/2
*シナモン…小さじ1/4
*クローブ…小さじ1/4
*オールスパイス…小さじ1/4
*塩…小さじ2
*カイエンペッパー…1と1/4カップ
*黒こしょう…小さじ1
*パプリカ…1/2カップ
(1) ショウガからオールスパイスまでの材料をフライパンに入れ、4~5分、焦がさないように煎ります。
(2) 塩、カイエンペッパー、黒こしょう、パプリカを入れ、10~15分、焦がさないように煎ります。
(3) 冷蔵庫に保管し、6ヶ月以内に使い切ってください。バルバレはいいろなエチオピア料理に使われ、焼いた肉にそのまま付けたりもします。
このレシピは参考例のひとつで、実際は各家庭でスパイスの種類や調合を変え、好みのものを作っています。なお、カイエンペッパーの定義はいろいろとあるようですが、要は辛い唐辛子のことです。
エチオピア料理レシピ: インジェラ
*テフ…1ポンド(約450g)
*水…600ml
*イースト…小さじ1
(1) 製粉したテフと水を混ぜます。初回は補助的にイーストを使います。次回のために50mlほどこの溶液をとっておきましょう。次回は発酵を促すためにこの溶液を混ぜます。
(2) 溶液を24時間室温で放置します。1日たつと、発酵して泡が立ち始め、インジェラ独特の風味と酸味が生まれます。エチオピア人も人によって、テフ粉を水に溶いて1日目のもの(酸味が少なくマイルド)、2日目のもの(酸味と風味のバランスが良い)、3日目のもの(酸味が強くなっている)と、自分の好きな発酵具合にこだわりを持っているそうです。
(3) 大きな平たい鉄板を熱し、トロトロのテフ溶液を上から回し入れます。1人前は直径60cmくらい。焼くというよりはジワジワと熱する程度の火加減にし、山笠のような大きな蓋をかぶせて蒸し焼きにします。2分くらいして表面がブツブツのクレーター状になって固まったらインジェラの出来上がり。片面しか焼きません。焼いた面にも焦げ目はつきません。インジェラにも何色かありますが、普通インジェラと言えば灰色のものがほとんどです。
(4) 十分に冷ましてから、直径50cmくらいのお盆にインジェラのブツブツを上にして広げます。ドロワットなどを乗せ、インジェラを右手でちぎり、おかずをなすり付けたりくるんだりしながらいただきます。
1枚のインジェラをクルクルと巻いてから、4等分くらいににぶつ切りにした状態でも出されます。これを見ておしぼりと勘違いする外国人もいるそうです。なお、一連のレシピはEthiopian Restaurant.comを参照しました。(注:別のサイトではテフ1と水4を混ぜ4日間発酵させ、焼く前にお湯1を混ぜる、とも書かれていました。さすがにインジェラは自分で焼いたことがないので、実際のところどうなのかわかりません。恐縮です)
2007年9月26日 (水)
コーヒーセレモニー
コーヒーセレモニーはエチオピアの伝統的な習慣で、日本の茶道のように、コーヒーを飲むことを儀式化したもてなしの作法のひとつです。手順は大体次のようなものです。
(1) 青草を敷き、セットを設置する。
(2) 乳香などのお香を焚く。
(3) コーヒーの生豆を鉄鍋で煎る。
(4) 煎り上がった豆の香りを客にかがせる。
(5) 豆をつぶして粉にする。
(6) 水とコーヒー粉をポットに入れ火にかける。
(7) おつまみにポップコーンなどを食べる。
(8) 1煎目、2煎目、3煎目まで飲む。
一般家庭に呼ばれた時だけでなく、エチオピアレストラン、ホテル、ブンナベット(コーヒーハウス)などに行けば、どこでもコーヒーセレモニーを楽しむことができます。また、コーヒーをいれるのは女性と決まっています。2煎目、3煎目のコーヒーには、砂糖ではなく塩やバターを入れることもあります。私が最初に塩入りコーヒーを飲んだのは、南部州アワサでのことでした。こってりしたエチオピア料理を食べた後に飲むしょっぱいコーヒーは、意外にさっぱりしていて違和感なく飲めました。これはこれで十分「あり」だと思いました。
アムハラ州に出張に行ったときのこと、いつものようにトラブルが発生し、動かなくなった車を路上に残し、10分ほど歩いてたどり着いた小さな村で電話を借り、救援が来るまでブンナベットで休むことにしました。見慣れぬ外国人の姿に、コーヒーをいれていた女性も普段より緊張気味の様子で、一緒に行った現地人スタッフに「どこの国の人?、日本人!?、初めて見た!!」などとしゃべりかけていたそうです。しばらくして運ばれてきたコーヒーは、カップの縁いっぱい。慎重に口に運び、ちびりと一口すすりました。すると、なんとも言えない不思議な味です。思わず首をかしげていると、スタッフの1人が女性に「ちゃんといれたの?」と聞いてくれました。その女性曰く、これは3煎目のコーヒーで塩を入れてあったのだけど、外国人だからサービスで砂糖も足してみた、とのことでした。それでなんだかよくわからない味になっていたのです。
ここはついでにと、「ケベ(バター)も入れて」と頼みました。実はその時までバター入りのコーヒーは試したことがありませんでした。思わぬ「通」な申し出に、まわりのエチオピア人も「あんたわかっているね!」と一気にテンションが上がりました。そして黄色いドロッとしたバターをカップに入れてもらい、少しかき混ぜつつ一口飲んでみると、なんだかそれはコーヒーというよりも、ほとんどスープのような味になっていました。そりゃそうです。塩、砂糖、バターが入っているんですから。シチュエーションは選ぶかもしれませんが、やっぱりこれはこれで「あり」かなと思いました。
2007年9月25日 (火)
ケベ (エチオピアンバター)
エチオピア料理は独特の香りを持っています。それはケベ(バター)とバルバレ(赤唐辛子)によるもので、とても食欲をそそる香りです。トゥブス(カット肉の炒め物)くらいなら自分でできるだろうと、必要なハーブを買ってきて家で料理をしてみるのですが、やはりどこか物足りない。スーパーで売られている普通のバターでは、あのコクがどうしてもでないのです。エチオピア料理には、やはり風味豊かなケベが欠かせません。ケベは、料理だけでなくコーヒーにも入れますし、保湿のため髪や体に塗ったりもします。エチオピア人は、実は乾燥肌の人が多いらしく、特に女性はケベを使ったボディケアに余念がないそうです。そのため、路線バスに乗ると当然のようにケベの匂いが充満していて、疲れているときはちょっとげんなりしてしまいます。窓を開けたいところですが、空気が流れ込むところには悪魔が居着くという迷信があるので、誰も開けようとはしません。
ある年のイースターに、ドバイに買い出しに行ったときのこと。飛行機の座席は3列シートの真ん中、両側は若い女性でたぶん知人同士でした。飛行機が飛び立ち、しばらくして機内食が配られると、両脇の2人組はそれを断り、足下のカバンからタッパーを取り出し、中に入っていたインジェラをくるくると巻いたサンドイッチをふたつに割り、分け合って食べ始めました。「機内食を断ってインジェラかぁ」と感心していると、そのうち、1人が別のタッパーを取り出し、半透明のベトベトしたものを手に取り腕や足に塗り始めました。「これが噂のケベ塗りか!!」となんだかうれしくなってしまいましたが、やはり独特の匂いがするんですよね。エチオピア国内ならまだしも、外国でそれをやるのはどうかなと思わないでもありませんでした。
2007年9月22日 (土)
エチオピア人とハム (2)
日本から来た人をアジスアベバの飲み屋さんに連れて行ったときのこと。そこは通りの両側に小さな店がたくさん建ち並ぶ所で、入った店も6畳ほどの狭い店でした。店内にはカウンターがあり、スツールが2脚。そこに2人で腰掛けビールとアンボを注文すると、ほどなく年配の紳士然としたエチオピア人が入ってきました。渋いジャケットを羽織った紳士は、すでにほろ酔い加減。良い調子で店のマダムに冗談を飛ばしています。ウイスキー(1杯10ブル=130円)を受け取ると、こちらにも「乾杯」という仕草をして、にこやかに挨拶をしてくれました。店内に流れる、まるで日本のムード歌謡か演歌のようなエチオピア音楽に耳を傾けていると、そのうち彼は、右手をジャケットのポケットに入れ、何かをまさぐり始めました。見るとはなしに見ていると、ひらひらしたものが右手につかまれて出てきました。薄暗い店内のこと、ティッシュでも取り出したのかなと思っていたら、紳士はおもむろにそのひらひらしたものをパクリと食べたのです。
私は一瞬何が起こったのかわからず、思わず「えぇっ!?」と身を乗り出してしまいました。アムハラ語ができる私の連れが、驚いた様子で「ムンドゥンノー!?(何なの!?)」と声を上げると、その紳士はわずかに微笑みながら、「ハムだよ、ハム。お酒を飲むときは何か一緒に食べなきゃ」と、少々自慢げに語りかけてきました。「ポケットに直接ハムのスライスを入れてるの?」と彼が続けざまに質問すると、紳士は少し表情を硬くして「まさか。ちゃんとくるんでいるさ」と、ポケットの中から透明なビニールに雑にくるまれたスライスハムを取り出し、私たちに見せてくれました。「食べてみる?」と差し出されましたが、そこは丁重にお断りさせていただきました。ポケットにスライスハムを忍ばせて飲み屋に来るのは果たして紳士かという議論はあるものの、携帯食としてのハムを有意義に活用しているという意味においては、私たちより一歩先に行っているなという気はしました。あまり追いつきたくはありませんでしたが…。
ドロファンタ
長い間探し求めて、ようやく食べることができた「ドロファンタ」。ミザンタファリで初めて食べたそれは、しかしドロ(鶏)と名がつくわりには、ヒツジの骨付き肉が1本どーんと入っているものでした。一緒にいたエチオピア人に「ドロなのになんで?」と聞きましたが、その時は答えてはくれませんでした。それから3週間ほどして、今度はアワサのレストランでメニューにドロファンタを見つけました。ある時はあるものですね。すかさずそれを頼むと、しばらくして出てきたものは、なんだかどう見てもドロワットのような…。
一口食べて「やっぱり鶏肉だなぁ」とうつろに考えていると、ミザンで一緒だったエチオピア人が「ファンタ」は「~のかわり」という意味だと教えてくれました(あの後調べてくれたのか?)。だから、ドロファンタは「鶏肉のかわりに(ヒツジ肉)」ということなのでした。いや、そうすると、この目の前にあるドロファンタはどう考えても普通のドロワットだからおかしいんじゃないか。店員が単に間違えたのかな(←しょっちゅう)、とも思いましたが、とりあえず美味しかったので不問にしました。
2007年9月21日 (金)
エチオピア人とハム (1)
エチオピア人スタッフ3名と出張に出ていたときのこと。夕食の話題が健康から食べ物、そしてお肉のことになり、「豚肉はおいしいんだけどエチオピア人はあまり食べないねぇ」と私が切り出したら、ゲタッチョさんは「豚肉がおいしい?」とかなり不満顔。すかさず「いや、ハムには豚肉がぴったりでしょ」と言うと、今度は「ハムって何??」といぶかしげに聞いてきました。「えーと、豚肉の塩漬けで、保存がきいて、えーと…」私が口ごもっていると、アジスアベバ出身のテショメさんが助け船を出してくれました。「ほら、サンドイッチにはさんで食べるやつ」と説明していますが、ゲタッチョさんは「サンドイッチねぇ…」と腑に落ちない表情でした。
彼は大学も出ており、ある役所のトップにもなったことがある、言うなればエチオピアの中ではインテリです。それがハムを知らないというのはどういうことでしょうか。ホテルの部屋に帰ってからじっくりと考えてみましたが、彼の住む土地に、やはりハムは売っていないということなのでしょう。肉は肉屋で、野菜は八百屋で、牛乳は牛乳売りから買う生活です。今やハムは、単なる保存食からすでに嗜好品になったと言っても過言ではありませんから、こういう手の込んだ加工品は先進国のみの産物なのかもしれません。まぁ、ハムがなくたって人生にはなんら問題ありませんし、ある意味とてもナチュラルな生活ですね。ちなみに、一度彼に日本酒をあげたら、一言「何だこれ?」と言ってコップを置いてしまいました。ハムをあげてもきっと喜ばないだろうなぁ。食に関しては超保守的な人みたいです。
エチオピア風ピザ?
オランダ人とエチオピア南部州の州都アワサに行ったときのこと。町一番と評判のレストランに行き、彼がピザを頼みました。お店はかなり繁盛しており、客でほぼ満席です。20分ほどして、店員が少し険しい顔で近寄ってきました。申し訳なさそうに「チーズがなくなってしまったんだけど」と言います。こちらはウーンとうなって、仕方なく「メニューを…」と言いかけると、間髪入れずに「チーズなしピザで良いか?」と聞いてきました。それこそこちらは開いた口がふさがりません。「Pizza without cheese」など我々は聞いたことがありませんでした。しかしそこは陽気なオランダ人。ニヤリとしながら「OK」と大きくうなずきました。
15分ほどして、来ました「チーズなしピザ」が。見た目は、ま、生地の上に具が乗っているという、当たり前と言えば当たり前の姿。味は、生地と具がいつもよりよけいに焦げていて、その香ばしさが、正直おいしかったです。さっぱりしていて後味も最高。その後、なぜかまわりの客にも次々とチーズなしピザが運ばれていたので、実は普段からけっこうあることなんだと思いました。で、味も悪くないとお店側も知っていたんでしょうね。いっそのこと正式なメニューにすれば良いのに。きっと流行るぞ。
アンボ
エチオピアで炭酸水といえば「アンボ」につきます。エビアンと同じように地名がそのまま商品名で、アンボという土地でわき出す泉の水を瓶詰めしたものです。一口飲むと、炭酸が多いため口の中で暴れる感じ(?)で、ちょっとワイルドな口当たりです。エチオピア滞在中、一体何本のアンボを飲んだか。きっと軽く500本は飲んでいると思います。一時期気になったのは、わりと続けざまに「鉄の味がする」アンボに当たったことです。たぶん王冠がさびていたんだと思いますが、もしかしたらアンボの瓶詰め工場のラインに何か異常が起きていたのかも。
もうひとつ気になるのは、アンボのラベルです。ラベルが上下していたりはがれたものはごく普通に目にしますが、極端に曲がっているものがあったり、ひどいときは表裏逆に貼られたラベルもあります。数万本の生産体制でしょうから、ラベルは当然機械で貼り付けていると思っていましたが、もしかして人の手で貼っているのでしょうか。ラベルを貼る機械よりも人件費の方が安い、というのはエチオピアなら十分考えられますし。ちなみに、赴任したての頃、洗濯機はどこで買えますかと前任者に聞いたら、「使用人を雇った方が安くつくよ」と言われ驚愕したことがあります(←実際はそんなことはありません)。
2007年9月16日 (日)
コーヒー
エチオピア南部の農園地帯、イルガチェフェは、小さな町ですがコーヒーで有名です。ここを出張で訪れたとき、有名だとは聞いていたものの、1級品はどうせ輸出用にまわされているだろうと思って、あえて自分からコーヒーを買いたいとは言い出しませんでした。しかし、同行した南部州出身のスタッフが「是非買ってみてくれ」と熱弁してきたので、道ばたの雑貨屋で1kg(19ブル/250円)買うことにしました。袋に入れられた緑色の生豆を見ると、粒の大きさがまちまちで、全体的に小さ目です。「こんなもんかなぁ」と思っていたら、粒は小さい方が良いのだと言われました。どうなんでしょう…。
アジスアベバに戻った後、早速自宅で豆を煎ってみました。手元にあった「暮らしの手帖」にちょうどコーヒーの特集があって、記事によると5分くらい直火で煎れば中深煎りになると書いてあります。中華鍋を炭火の上に置き、豆を入れてシャモジでかき回し始めました。しかし、5分たっても10分たってもあまり豆の色が変化しません。後でよくよく考えてみると、日本に輸出されたコーヒー豆はすでに十分乾燥していて、あっという間に煎ることができるのではないか、しかしこの豆は産地直送の超フレッシュ豆なので、水分がかなり多く、煎るのに時間がかかったのではないかと思い当たりました。結局1時間ほど煎っていましたが、こういう作業は嫌いではないので、十分楽しめました。
自分で煎ったコーヒー豆を見ると、なんだかほれぼれしてしまいます。素人のやることなので、すべての豆が均一な焦げ茶色になっているわけではありませんが、色の良いやつを拾い上げミルで挽いてみると、コーヒーの良い香りが一気に部屋中に広がりました。町で売っているコーヒー豆はかなり深煎りで、私にはどれもヘビーです。自分の好みに合わせて浅く煎ったコーヒーは、また格別の味でした。
魚料理
エチオピア南部州の町、アルバミンチはなんといっても魚が有名です。その中でも、SOMAレストランという有名なお店は、欧米の旅行者やエチオピア人でいつもにぎわっています。ここの名物料理は、湖でとれた新鮮な魚を丸ごと揚げたフライです。2003年に来たときも食べましたが、確かその時は45ブル(600円)くらいだったと記憶しています。当時も「エチオピアにしては高いなぁ」と思ったものですが、2006年は、同じ料理がなんと100ブル(1300円)に値上がりしていました。店主に事情を聞くと、昨今はアルバミンチの魚はある業者が独占的に買い占めてアジスアベバなど大都市に運んでいるので、地元民でもその業者から高く買わなくてはならないそうです。理不尽ですね。
しかし、確かにSOMAの魚料理はおいしかったです。フライは味付けなしとかなり単調な味だったので正直すぐに飽きてしまいましたが、もう1品、トマトやニンニクと一緒に炒めた料理(Fish Lebleb)は、ちょっと上品な地中海料理といった趣の、大変に食欲をそそるものでした。エチオピア人はこれをインジェラと一緒に食べていましたが、さっぱりした薄味なので、インジェラの酸味に負けてしまいます。焼きたてパンと一緒に食べたらかなりおいしくて、目をつむると一瞬、脳裏にエーゲ海が浮かんで消えていきました (ま、テラピアなんですけど)。ここのお店は野菜を頼むと軽く火を通したものが出てきます。暑い地域なので、生野菜は危険ということなのでしょう。気が利いていますね。
2007年2月13日 (火)
珍しい果物
■トゥリンゴ
アジスアベバから北東にのびる幹線道路を2時間ほど走るとデブレスィナに着きます。そこで昼食をとった時のこと。昼食は辛い辛いカイワット (6ブル=80円) とインジェラ。食後のコーヒーを飲んでいると、運転手が外に出て果物を買ってきました。異常にでかいレモンといったその果物は、名をトゥリンゴといいます (トゥルンゴとも)。エチオピアではここデブレスィナと、あとはアディグラットくらいでしか売っていないなかなか珍しい果物とのこと。おもしろそうなので表通りに連れて行ってもらうと、確かにあちこちでトゥリンゴが売られています。ひときわ大きく、そして黄色く熟したものを購入しました。運転手と一緒にがんばって交渉しましたが、1個15ブル (200円) という値段で商談成立。先ほど食べたカイワットと比べるとかなりの高級品であることがわかります。見た目や香りは柑橘類ですが、ナイフで切ると中身は真っ白。水気が少なく良くしまった実はシャクシャクとした食感でほんのりと甘く、リンゴか瓜を想像させるものの、実際はやはり柑橘類でしょう。日本にも土佐ブンタンのように果皮が分厚い果物がありますが、おそらくトゥリンゴはその極端なもので、果汁を蓄えた房が消滅し、果皮だけになってしまっているようです。ちょっとクセになるおいしさでした。(写真のオレンジと比べるとその大きさがわかると思います)
■ギシタ
アルバミンチは南部州の中でも特に農業に力を入れている地域です。ある時、アルバミンチからソドに向けて車を走らせていると、道ばたに果物の売り子がいました。子供たちはマンゴー、レモン、そして見たことのない果物を持っています。車中のエチオピア人スタッフから「アルバミンチのマンゴーは最高だよ」と言われ、いくつかマンゴーを買うことをすすめられました。「2、3個買ってもらおうかな」と思ってとりあえず2ブル (26円) スタッフに渡すと、しばらくああでもないこうでもないという応酬が続いた後、手許に6個のマンゴーが届きました。1個5円しないなんて安いなぁと喜ぶ一方で、子どもたちには気の毒なことしたかなと思ったり、ちょっと複雑な心境…。まだ完熟とは言えないような見た目でしたが、それでもすごく甘くておいしいマンゴーでした。いつもそうですが、地方の特産地で果物を買って食べると、アジスアベバのスーパーで売っているものなどとても食べられません。実は、マンゴーはあの鼻に抜ける匂いというか風味というか石油製品を連想させるところがあって、私はあまり好きではありません。でも、このマンゴーは本当においしかったです。ちなみに「パパイヤってお尻のニオイするよね」と友達に言ったら「どんだけ嗅いでんだ」とあきれていました。イヤ、そういうことぢゃなくて…。
この時、実はマンゴーよりも気になっていたのは、子供たちが持っていたもうひとつの緑色の果物で、聞いてみるとそれは「ギシタ」という名前でした。「甘くておいしいよ」と言われたので買ってみると、ひとつ3ブルとこれはけっこう高価な買い物でした。アジスアベバに戻ったその日にひとつ食べてみましたが、かすかに甘い味がする程度で、繊維質っぽいその実は歯ごたえも悪く、けっしておいしいものではありませんでした。「失敗した」と思ってもうひとつはそのまま放っておきましたが、5日ほどすると、キッチンに甘酸っぱい香りが立ちこめているのがわかりました。ギシタのことを思い出しあわてて袋から取り出すと、さらに強烈な香りが鼻腔を刺激してきました。早速食べてみると、ねっとり甘く、華やかな酸味があり、かすかに発酵したような風味も加わって、マンゴスチンとカスタードアップルを足して2で割ったような上品な味でした。世界に通用する味です!! (たぶん)。
2007年2月 8日 (木)
コチョ
エチオピア人の主食としては、「テフ」から作られるクレープのようなパン「インジェラ」がもっともポピュラーですが、もうひとつ「コチョ」という食べ物を紹介します。コチョは、エンセーテ (ニセバナナ) の澱粉を利用して作られます。
■エンセーテ
和名ニセバナナというだけあって、外見はバナナとかなり似ています。しかし、単純に見分ける方法としては、「葉っぱにまとまりがあるのがエンセーテ、ないのがバナナ」と聞きました。なるほど、これまで見てきた限りでは、その法則は当てはまります。エチオピア国内では主に南部と南西部地域が栽培地です。アジスアベバから南部州アワサを通ってケニヤ国境に向かう幹線道路を走っていると、アワサまではテフと小麦の畑が広がっていますが、アワサを越えると急に景色が変わり、一気にエンセーテだらけになります。コーヒー畑とエンセーテ、個人的にはこれが南部州アワサ以南のイメージです。
エンセーテは根茎を持つ多年草です (ちなみにバナナは1株が1年で1房実をつけると枯れていきます)。エンセーテ栽培地域では、息子がある程度大きくなると、親は土地を分配しエンセーテを植えてあげるそうです。エンセーテが成長し、食物として利用できるようになるころ、息子もそろそろ結婚適齢期、というサイクルがあると聞きました。南部地域ではどの家も周囲をぐ























































































































































































































