2008年4月19日 (土)

RC-Zの家造り (4) 内と外、そして鬼門

昨年11月末くらいに一応完成した、我がガレージハウス。実は、実際に住んだのはまだたった2週間です (12月のサウジアラビアのハッジ休暇の時に一時帰国しました)。ということで、ここに書くいろいろな感想は、ほぼ直感のみです。もっと腰を落ち着けて住んでみたら、全然違う意見になるかもしれません。

12月に帰国して、ガレージハウスに入ってまず感じたのは「浮遊感」。2階の部屋はリビング、寝室ともにガレージの上に位置していて、そのガレージにはシャッターなどがついておらず、外見的には開け放たれた大空間になっています (写真1)。そのため、2階の部屋は壁と天井だけでなく、床の下も「外」という感じがします。つまり、部屋が浮いている感覚。お尻の下がスースーするくらいはっきりとそう感じるわけではありませんが、そういう意識を持ったのは確かです。それが良いことなのか悪いことなのか、自分でも把握しきれていませんが、ちょっと新鮮な感覚でした。

コンクリートの壁が内と外を隔てる存在であることに変わりはないのですが、この家の場合、壁がシンプルに平面であるが故に、外側空間との連続性をもった内側空間という風に感じます。なんと言うか、コンクリートの箱で内側空間を創出したのではなく、空間にスパッ、スパッと壁を作ったら、そこに限定された空間 (部屋) ができた、みたいな。表現が難しいのですが、とにかく部屋の中にいても、外を感じます。うちの古い母屋とは比較にならないくらい高気密・高断熱の家だというのに、外の大気の流れ、自然の気配というものが感じられるのです。

これは、窓の配置も影響していると思います。うちの母屋の南西側の壁は、裏鬼門ということでほとんど窓がありません。台所の入り口を、この壁側にも1ヶ所作ったというのに、結局そちらは締め切っています。南西側は視界が開けており太陽の光も入るというのに、なんとももったいない話です。おかげで母屋の居間と台所はあまり明るくないし。裏鬼門ということは風水で解決策を見つけ (窓に植物を置くそうです)、ガレージハウスには大きめの窓を配置しました。実際問題、そこに窓を作らなかったら、どうしようもなかったからです。

リビングからこの窓を見ると、見事に外の風景がそこに浮かび上がります。それは、自分が子供の頃から「なんでこうしないのか」と持ち続けてきた疑問に対する明快な回答でした。壁の内側でありながら、外側の空間が絵画のように浮かび上がるその様は、まさに想像通りでした。また、東南側にある玄関も、テラスドアを使って外の景色が飛び込んでくるようにしました。そもそもド田舎なので、山の中腹に建つ我が家の2階からの眺めは素晴らしいものがあります。ほとんど山と空しか見えませんから、これも、外を感じ、浮遊感を持つ原因なのかもしれません (写真2)。ただ、母屋の2階にいて窓の外を眺めても、ここまで同じ感覚にはなりませんから、やはりそこにはRC-Zの家と木造軸組和風建築の違いがあるのでしょうか。

それから、気を使ったのが寝室です。小さい家で窓が大きいとなれば、室内全体が明るくなりすぎます。しかし、寝室は気持ちを落ち着けて寝る場所ですから、むしろ薄暗い方が好ましいと考えました。そのため、配置は北の角に。窓は北東側に作りましたが、北西側の壁には風を通す意味でごく小さい窓を配置しただけです。狭い寝室なのでこれでも明るいくらいですが、とりあえず想像に近いものになりました。

現時点での感想としては、壁に包まれている感覚を持ちながら、外の自然の気配を感じることができる家になったと思っています。ただ、どちらかというと、思っていたよりは外感覚が強いです。たぶん、窓はもっと上下が狭くても良かったかな。そうすればより内側にいることが強調されたでしょうから。もちろんこれは、極めて感覚的・直感的なものなので、まぁ、そのうち慣れるというか、あまり感じなくなってしまうんでしょうね。

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2007年12月31日 (月)

建築業界大揺れ

建築業界が大変なことになっていました。知らなかった…。日本にいたら自然と耳に入ってきたのでしょうか。そう言えば7月初めに、「建築基準法が変わって、第三者による検査が義務づけられました」と言って担当者が来ていたことを思い出します。こう考えると、工事を進めていく中でいくつか設計変更(構造に関わるほどではない軽微なもの)を申し出たのに、古い図面のままやられてしまったことがいくつかありました。こういう事情があるんだったら工務店も言ってくれれば良かったのに。今は「メチャメチャ怒ってあの時はゴメンネ」って感じです。とりあえず今年無事に家を建てられたことは、やっぱりラッキーだったのかな、と。以下、いくつかニュースをピックアップ。

■福田首相が経済への悪影響に反省の弁
(2007/12/20: 日経BP) 
福田康夫首相は12月19日の臨時閣議で、改正建築基準法による住宅投資減少などの影響で国内総生産(GDP)の成長率を下方修正したことに対し、反省の弁を述べた。「(改正法施行で)こういう結果が出ることを十分予期しなかった。経済的な悪影響を及ぼしたことは、よく反省しなければいけない」という趣旨だった。法改正について「国民の安全という観点からは、やむを得ない部分もあった」とも述べた。

■家が建たない「国交省が引き起こした官製不況だ」
(2007/12/24: 産経ニュース)
耐震強度偽装事件を受けた6月の建築基準法改正により、全国の建築現場で大きな混乱が続いている。二重チェック制の導入など着工前の審査(建築確認)が厳格化され、手続きが著しく滞っているためだ。住宅着工数は落ち込み、国内総生産(GDP)を押し下げる要因にもなっている。米国の低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題の波及や原油価格の高騰などと並び、いまや国内景気を揺るがす懸念材料の一つに。「官製不況」の声を振り払うべく政府は対応に重い腰を上げたが、先行きはなお不透明だ

耐震強度偽装事件を受け、国土交通省は「構造計算などで偽装はありえない」とする“性善説”から“性悪説”へシフトし、さまざまな再発防止策を打ち出した。建築確認の厳格化を盛り込んだ基準法改正は、その柱。本来なら消費者を守るための施策だが、皮肉にも景気に暗い影を落とす結果を招いている。

改正法では、建築確認の申請後、これまでとは違って書面の差し替えが認められず、変更点がある場合は原則的に再申請をしなくてはならない。このため理屈の上では、設計者側は申請前に完璧(かんぺき)な図面や構造計算を求められる。審査する自治体や民間確認検査機関側も微細なチェックに追われ、「明確でない運用基準のもとで過剰反応が相次いでいる」(中堅ゼネコン幹部)という。

【改正建築基準法】
一連の耐震強度偽装事件の教訓を受けて今年6月から施行された。通常の建築確認手続きを厳しくしたほか、一定規模以上の建物は、自治体や都道府県が新たに指定する専門機関が構造計算書を再審査する仕組みを導入した。確認審査に要する期間も、従来の21日間から35日間(二重チェックの対象は最大70日)に大幅延長された。

■審査厳しく倒産も 国交省は回復を楽観
(2007/12/27: 毎日新聞)
耐震偽装事件を受け、建築基準法改正に伴い厳格になった建築確認審査の影響を受けた住宅着工件数の減少が止まらない。国土交通省が27日発表した11月の新設住宅着工数は前年同月比27%減の8万4252戸で、7月から5カ月連続で前年を下回った。関連業界では倒産する会社も出始め、景気全体への悪影響を懸念する声も上がっている。

改正法では、建築確認の際に1級建築士や大学教授が務める「適合性判定員」が、耐震偽装事件で表面化した構造計算が偽装されないようチェックする。判定員は2人以上だが、それぞれが同じ作業を繰り返したり、誤字・脱字程度のミスでも再申請を要求するケースがあり混乱した。日本建築士事務所協会連合会の三栖邦博会長も「改正法の運用について、判定員の解釈がばらばら。国交省の指導不足だ」と指摘する。

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2007年12月30日 (日)

RC-Zの家造り (3) 雑感

RC-Zという工法自体は良いと思います。特に安くて頑丈な家を比較的短期間に造りたかった自分の場合、目的にバッチリと合っていました。しかし、工事をするのはそれぞれの業者です。業者の経験値により、その結果が大きく左右されてしまうのは仕方のないことでしょう。さらに、RC-Z工務店の対応が良くてそこに発注を決めたとしても、鉄筋、コンクリート打設、電気、水道、内装、什器、バス・トイレ、外構などはどれも別の業者に発注されるのが常ですから、RC-Zの家は良かった、あるいはダメだったという一般論的な議論は成立しにくいと思います。RC-Zというのはあくまでコンクリートで箱を造る工法であって、家造りのトータルシステムではないからです (もちろんある程度のシステム化はされているとは思いますが)。この点は「住友林業の家」「一条工務店の家」などとは意味合いがだいぶ異なります。

今回新築したガレージハウスのデザインのポイント、それが成功しているかイマイチだったかなどをいくつか挙げてみます。

コンセプトは「アジアンリゾート」。1軒の家と考えればあまりに狭いが、ホテルと考えればとても贅沢な広さ、という逆転の発想 (逆転サヨナラ負け?)。もともと狭いのにリゾート感を演出するためベランダまで作ってしまいましたが、ここから眺める星空はやはりきれいです。ま、洗濯物も干せるし (←だから生活感出しちゃダメなんだって…)。

実は、当初計画ではベランダは内部と同じくイペ材仕上げでした (高さも一緒でつながり感を出したかった)。ところが、業者のミスでベランダにかかるひさしの形が変わってしまい、なんとなく遊び心よりも実用的な雰囲気になってしまったので、どうせ実用的ならばと、ベランダはタイル仕上げに変えました。

もともとの設計図を知っている自分は、ひさしの形が変わったことに強い違和感を覚えるのですが、何も知らない人に写真を見せると、当たり前ですが「へぇ、良いじゃない」くらいの反応しか返ってきません。あげく、「ル・コルビュジエ風ですね」などとおだてられた日には、「いやぁ、このデザインに変えて良かった」などと胸をなで下ろす自分がいたりします。まぁ、結果オーライということですね。(今回の工事を通して自分の座右の銘が「結果オーライ」だということにあらためて気がつきました)

内装の初期のイメージは「焦げ茶の床に白い壁」。床はちょっと奮発して無垢材にしましたが、工務店と相談の末、ナチュラルカラーで焦げ茶ということでイペ材を選択。ただ、実際には焦げ茶から赤茶、かなり薄目の茶色までいろいろ混ざった床になってしまい、東南アジア風から西アジア風になってしまいました。「気分はプーケット」になるはずが、一気に「インド・パキスタン」になった感じ。正直言うと全部床を張り替えてもらいたいくらいですが、この辺のセンスの問題は、それだけでやり直しを正統に主張できるか微妙なので、とりあえずクレームは付けていません。

狭い家なので、リビングと寝室、もうひとつの小部屋をきっちり壁で仕切ることは避けました。なんとなくひとつながり、でも微妙に区切られているといった感じにしたかったのですが、これはなんとか成功していると感じています。寝室のドアをリゾート風の吊り扉にしましたが、まあまあイメージ通りです。自分が日本にいたらもう少し違った感じに作らせましたけど。

小部屋については、40cmかさ上げして舞台のようにしました。下部と奥に収納棚があります。ここに薄いマットレスを敷いて、昼は寝転がるスペースに、夜は寝室に早変わりです。リビングが狭いのでこの舞台の端に腰掛けることが多く、計算通りの使い方になりました。

とにかく地震が恐いので、陳列棚も自分でデザインして作ってもらい、それを床に固定することにしました。デザインというほどのものではありませんが、部屋全体の雰囲気には合っていると思います。最下段は引き出し。

ベランダを作ったため、スペースが足りずユニットバス (+脱衣所) とトイレを分けることができなかったので、INAXのホテル用トイレ付きユニットバスを設置しました。しかしこれが高い!。確かに壁と床はタイル張りで洗面台も人工大理石ですが、天井は一般的なユニットバスより10cmくらい低いし、トイレはもう少し高機能な物に変えたかったけれど変更不可だったし、これで200万円はちょっとなぁ…。まぁ、スペースをお金で買ったということですね。

キッチンは最小限のものにしました。スペースはわずか120cm×190cm。「へぇ、台所もついているんだ、このホテル」という風に考えれば、納得できる範囲でしょうか。できるだけ生活感を出したくなかったので、隠すように配置してあります。この狭いキッチンが吉と出るか凶と出るか、今後の成り行き次第です。ダメそうならベランダでバーベキューでもしようか…。

ソファーや食卓などは置かないつもりです。これまで途上国で数々の家に住んできましたが、なぜかダイニングルームで食卓に座って食事をしたことがなく、だいたいはリビングのテレビの前で食事をしていました。日本の茶の間の感じです。たぶんこれからもそんな感じなので、この辺はあいまいにしておけば良いと考えています。

今回の家造りでは、スペースの制約があったためかえって知恵を絞りましたし、思い切り割り切った部分も多いです。階段を外付けにしたのも、大きな決断でした。1階には車2台分のガレージに加え小部屋とトイレを作ったので、この小さなガレージハウスでも、4人家族くらいならなんとか生活していけるんじゃないかと思います。広々した家も良いですが、こういうコンパクトな家もなかなか良いですよ。

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RC-Zの家造り (2) 工事

5月下旬に、古い長屋の解体と地盤調査を行いました。長屋の中にはガラクタが山ほどあって、それらのゴミを捨てるのに思いがけない出費を強いられました。また、コンクリートの建物は重いので、軟弱地盤の場合には地盤改良工事が必要になり、費用は数十万円から最高200万円かかると聞かされた時は、一瞬目の前が暗くなりました。構造計算にも数十万円かかるし、家を建てると言っても、本体工事費以外に、数十万円単位でお金が飛んでいきます。資金計画はよほど慎重にやらないといけません。反省。

地盤については、調査の結果十分な強度が確認されたので、結局地盤改良工事の出費は不要になったのですが、逆に工務店がこちらに気を遣ってわざと無しにしたのかもしれないと勘ぐり、密かにいろいろと調べてしまいました。最終的には、確かにこの地域は強い地盤であることがわかりほっと一息つきました (静岡県の地震防災がらみですでにいろいろな調査が行われていました)。

構造計算でOKが出て、地鎮祭も滞りなく終わり、地面を掘り返し基礎のための鉄筋が敷かれた頃には、梅雨が始まっていました。雨のため基礎のコンクリートを打つ日程もだいぶ遅れが生じ、ようやく1階部分の型枠を作り、コンクリートを流し込んだときには、今回のサウジアラビア派遣が決まってしまいました。1週間ほどで1階部分の型枠を外したのですが、ここで予想とはちがう結果が…。

RC-Z工法の開発元、早川工務店は、ホームページで「鏡面のような壁」などとうたっていましたが、我が家の場合はどう見てもツルツル、ピカピカとは無縁な感じ。色も白一色とはほど遠く、窓枠部分などに浅いジャンカも見られました。この時期は毎日のように工務店の担当者にうるさく注文をつけました。2階部分は今度こそよろしく頼む、と言い残し、後のことは家族に任せて8月末にサウジアラビアに赴任しました。

今から考えると、大工仕事の家造りとは違って、RCの家は土木工事みたいなものですから、10m離れて見てだいたいきれいだったらそれで良しとする、くらいに考えた方が精神的にも良いかもしれません。構造に影響する瑕疵はダメですが、見た目的なものにあまりキリキリ言っても始まらないと思います。そもそもコンクリートの建物が美しいというのは、安藤忠雄の功罪でしょう。

10月にサウジで長めの休暇があったので急遽日本に帰国し、2階部分のコンクリートの状況を見ましたが、もうその時はとにかく家造りが進行していることが嬉しくて、細かい美観的なことはクレームしませんでした。1階にくらべて、2階のコンクリートを打つときは人数も増やし、かなり丁寧にやってくれたようですが、劇的に改善されたわけでもなかったので、まぁ、RCではこれが限界なんだと自分を納得させました。きれい・汚いは主観的なことでもあるし。

そうして駆体工事が終わり、内装工事が急ピッチで進みました。と言っても何しろEメールを介してのやりとりですから、こちらのイメージと違う考え方で内部造作の処理をされてしまうと、それを説明するのが一苦労でした。それでも11月初めにはほぼ工事が終了し、多少の残工事があったものの、11月中に残りの建築費用を払って欲しいという工務店の強いリクエストで、最後の支払いを済ませました。もちろん、残工事にかかる費用 (屋上へのハシゴなど数十万円分ある) はまだ払っていません。

12月にもサウジで長い休暇があり、家のチェックや登記手続きのため、再び帰国しました。わずか2週間ほどですが、新築のガレージハウスに住んでみた感想は、ひと言で言うなら「よく眠れる」ことです。通常、中東方面から帰国すると最初の1週間は時差ボケに悩まされ、あまりよく眠れません。時差が日本よりマイナス6時間なので夜眠くならず、朝6時頃急激に睡魔に襲われます。また、冬に帰国すると、築33年の母屋は殊の外寒くて (室温がほぼ外気温になる)、あっという間にカゼをひくのが常でした。

それが、ガレージハウスでは、帰国初日からちゃんと眠れたし、カゼをひく気配すらありませんでした (久しぶりの坊主なのに!!)。なので、「やっぱり新築の家のおかげかなぁ」などと考えているのですが、原因としては、構造的に安定しているため揺れなどを全く感じないこと、外あるいは隣室や階下など周りの音が聞こえてこないこと、暖房がなくてもそれなりに暖かいこと (明け方でも室温は10度くらいを保っている)、不満がないわけではないが希望に近い家が出来たので気持ちがハイになっていること、などなど理由はいろいろでしょう。

と、こうやって家造りの記録をようやくブログにアップしたわけですが、さっき、あらためて早川工務店のホームページを見ようとしたらなぜかアドレス不明になっていました。調べてみると、なんと先日、早川工務店が自己破産したとのこと。かなりショックを受けている次第です。我が家は地元の業者と契約したので直接的な影響はないものと信じたいですが (むしろRC-Zという工法で木造よりも安く頑丈な家を造れたことはラッキーか?)、今後の成り行きが注目されるところです。

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2007年12月29日 (土)

RC-Zの家造り (1) 計画

親が建てた我が家は築33年。木造2階建て・瓦屋根の堂々とした外観はなかなかの貫禄です。しかし地元大工による昔の造りなので、収納スペースや断熱・防音性能などは最近の家とは比ぶべくもありません。何よりここ静岡において東海地震の危険性が日に日に高まっている昨今 (子供の頃から「いつ来てもおかしくない」と言われ続けていますが…)、「そろそろヤバイかも」と本気で思うようになりました。

昨年10月にエチオピア勤務を終えて帰国後、幸か不幸か、1月にサウジアラビアに赴任する話は年度末になって結局流れてしまいました。さらに、数年前から始まっていた、家の裏の壁面崩壊対策工事もようやく終わったため、そこで「これは今家を建てろというお告げなのかも」と勝手に解釈し、家造りを本格的に始めました。母屋はまだ壊すほどガタが来ているようには (表面的には) 見えませんから、離れの長屋を壊してそこに建てることにしました。サイズは母屋よりコンパクトで、1階部分はガレージの2階建てと決めました。

まずはインターネットで県下の工務店情報を収集。この時点では木造、鉄骨、RC (鉄筋コンクリート) のどれにするかは決めていませんでした。ただ、1階をガレージにするため、大きな開口部を確保する必要があります。そこで、鉄骨とRCを扱う業者3社にインターネットで資料請求をしました(3月末)。このうち1社のみが電話を直接かけてきてくれ、1社はメールを送ってくれたのですがなぜかコンピュータが迷惑メールと判断しゴミ箱に入ってしまい (メールを見つけたのは1ヶ月後)、1社は連絡なしでした。

電話をしてきたのは「RC-Zの家」を扱う工務店でした。初めて耳にする工法でしたが、送ってもらった資料を読んだところ、家としての機能が高いのは一目瞭然でした。ただ、地震に強い家、高気密・高断熱の家を希望しながらも、一方でこの時はまだ「木の家」に未練があったのも事実です。即決ができず、市内外の木造ハウスメーカーをいくつか回り、簡単な家のデザインを見せて見積もりを作ってもらいました。

すると、コンクリート造りは高いという先入観を覆し、他の木造2社よりもRC-Zの家の方が坪単価は安いということがわかりました。木造の方は、広い開口部を取るため特殊な工法が使われることから、通常よりも高くなってしまったようです。床面積15坪×2階建てで計30坪。RC-Zは標準仕様なら坪単価55万円でした。ガレージ部分は内装工事が単純化できるので通常仕様よりも安価になりますが、全体的に小さい家なので若干割高になるとのことでした。(木造でも30坪以下の狭小住宅は割高)

こうして、4月下旬にはRC-Zの家で行こうと決まりましたが、実際の間取りを決める時はかなり悩みました。5.4m×9mというサイズ的な制約がある中で (田舎なので敷地はもっと広いのですがいろいろな要因からこのサイズを自身に課しました)、玄関、リビング、キッチン、寝室、バス、トイレ、収納など家としての一通りの機能をもたせることはかなり難しく、何度もスケッチを描き直しました (1階はほとんどガレージだし)。最終的には、「小さくても1軒の家」ということにこだわってその狭苦しさを嘆くよりも、あくまで母屋あってのガレージハウスなので、「ホテルとして考えたらすごく広い」というコンセプトに切り替えることで、なんとか気持ちにも収まりがつきました。

ということで、多分に趣味を反映させ「アジアンリゾート風」の家にするべく、デザインを描いては工務店に渡し、図面に直して見積価格を修正してもらうというやりとりを経て、ようやく工事契約書を交わしたのは5月半ばのことでした。予定では、この先いつか「東海地震→母屋壊れる→新母屋建築」という青写真があるので、今回はあくまで機能性の高さ (と値段の安さ) を取りました。もしこれが本当の母屋だとしたら、それでもあえてコンクリート造りを選んだかどうかはわかりません。

ちなみに、今回マイホームセンターを何ヶ所も回るなどして相当数のハウスメーカーの家を見ましたが、いくつか感想を。

<住友林業>
質感の良さは十分に伝わってきましたが、モデルハウスの間取りデザインが懲りすぎていて、普通の家を建てたらどうなるか想像できませんでした。少なくとも、そのモデルハウスに住みたいとは思いませんでした。それなりの予算があって、ある程度おしゃれで広い家を建てたい人向きでしょう、たぶん。

<一条工務店>
住友林業とはうって変わって、奇をてらわないオーソドックスなデザインで、その日から住めそうなモデルハウスでした。使っている木材も上等。ただし、あまりにも普通のデザインで遊び心がなく、新築の家に感じるワクワク感はありませんでした。20代、30代で建てる家ではないな、と勝手に思いました。

<スウェーデンハウス>
実はかなり期待して見に行きましたが、どうもこれと言って感動するポイントがありませんでした。木に囲まれるような雰囲気は良いのですが、なんとなく自分には合っていないように感じました。非常に主観的ですが…。1階のリビングの床がギシギシ音を立てたのにも幻滅。モデルハウスなんだからもっとしっかり造れば良いのに…。

<ミワサホーム・蔵のある家>
とても面白いアイデアだと思いました。隠れ家的な要素も個人的にはかなり魅力的。ただ、年をとったら天井の低い蔵スペースに出入りするのはつらそうだし、全体的に階段や段差が多くなりがちなので、どちらかと言えば小さな子供がいる若い世代向け商品だと思いました。

<その他>
他にもたくさんモデルハウスを見ましたが、坪単価が安い家は内装や什器もそれなりの質感しかなく、家を建てることによって満足感を得るためには、それなりの対価が必要なのだと痛感しました。また、木造の家で耐震や高気密・高断熱、さらに防虫・防腐を実現するのには、それなりに無理があることもわかりました。日本の風土に木の家が合っているという認識は、おそらく間違ってはいないのでしょうが、それは昔ながらの低気密・低断熱、つまり隙間が多く常に木材が乾燥している家で、できれば平屋、2階建てであっても屋根は瓦ではなくもっと軽い物、という条件が必要なのかもしれません。築数百年のお寺もたくさんありますが、家屋として見れば快適な生活は望めないでしょうし。さらに、全面に防虫剤を塗布した板材でぴっちりと囲われた家を見た時も、「本当に木の家って良いの?」と思わざるを得ませんでした。

<参考書籍>
今回、家造りの雑誌やカタログ、インターネット掲示板を数え切れないほど見ましたが、最終的に一番助けられたのがたまたま手にした「安らぐ家は間取りで決まる/上田康允著/成美堂出版」という本でした。この本の全てを鵜呑みにするわけではありませんが、ここに指摘されていることはいちいち納得できることばかりでした。そういう目でハウスメーカーの家を見てみると、「ここは良い、ここはダメ」というのがとても良くわかり、目から鱗でした。

RC-Zの家には「標準の間取り」的なものがないため、結局ほぼすべて自分でデザインすることになりました。大変でしたが、デザインしているこの時が一番楽しかったかも。

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2007年10月 4日 (木)

家から牛が

家の前で写真を撮ろうと思ったら、中からぞろぞろと牛が出てきました。知人が田舎で民家に泊まったら、朝、牛におしっこをかけられて目が覚めたと言っていました。羊や鶏ならまだわかりますが、牛も人と一緒に家の中で生活してるわけですね。なんか狭そうだなぁ。

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2007年9月26日 (水)

コーヒーハウスの驚異

写真のブンナベット(コーヒーハウス)に限らず、丸いドーム上の屋根を持ったレストランや建物はあちこちで見ることができます。エチオピアの伝統的な家屋を模したもので、単純に言えば、大きな傘を立て、回りをぐるりと壁で囲んだだけの構造です。日本のように吊り天井にもしません。写真のブンナベットに、初めてブンナ(コーヒー)を飲みに行ったときのことです。内部の直径は4mほど。中央にコーヒーセレモニーのセットが置かれ、乳香が焚かれています。壁に寄りかかるようにぐるりと座った我々一行。向かい側の人とはけっこう離れていますから、つい大きな声で話しかけていました。しばらくして、私は隣の人と話していたのですが、なにやら変な声が耳の後ろから聞こえてきます。

思わず丸いドーム状の天井を見上げキョロキョロしていると、それを察して向かいに座っていた人が「こちらの声が良く聞こえるでしょ」と言ってきました。確かに、向かい側で普通に話す声が、頭の上からはっきりと聞こえてきます。なんとも驚きですが、声が天井のドームを伝ってこちらに届いているようです。向かい側との会話には苦労しませんが、逆にひそひそ話もできません。果たしてそれは計算し尽くした上での設計なのか、それとも結果的にこうなったのか。いずれにしろ、エチオピア人はこの特性を有効に利用しているということです。

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2007年2月16日 (金)

エチオピアの家

各国で、各地域で、家はもっともその民族の知恵が注ぎ込まれた産物だと思います。数千年にわたる気候風土との戦いの上に築き上げられた、その土地に特化したインダストリアルデザインの完成形。これはもうよそ者がああだこうだ言うことではありません。例えば、日本の家が「木と紙でできていてすぐ燃える家」などと揶揄されようと、我々日本人は誇りを持って住んでいるわけです。もし、自分に建築の知識があれば、エチオピアの家を見てもう少し気の利いたコメントを思いつくかもしれませんが、とりあえず素人の視点で、いくつか典型的なエチオピアの家をレポートします。

■構造
ひとつの典型的な家の造りが、大きな傘を建て、まわりを木の壁で囲っていくものです(写真:オロミア州トゥルボロ)。木材はすべてユーカリ。アムハラ人が持ち込んだユーカリの木は、今はエチオピア全国で薪に材木にと大活躍しています。骨組みを作り、壁を土で塗り固め、屋根を藁で葺いたら完成。傘のてっぺん、つまり大黒柱の先端にポットのようなものをかぶせる地域もあります。この辺は各部族の美意識の表れでしょう。とにかくとてもシンプル。でもけっこう頑丈そうです。家ができあがるまで3〜4週間といったところでしょうか。

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■内部
アムハラ州アデットで見せてもらった家の写真です。家の外観でまず「?」と思ったのは、煙が屋根からもやもやっと出ていたことです。中に入ると料理の煮炊きの煙が充満していました。煮炊小屋を別に造っている家もたくさんありますが、コーヒーを入れたり乳香を焚いたりするので、結局家の中はいつも煙に包まれています。なんで煙突を造らないのかなと思っていましたが、後日「それは常に藁葺き屋根をいぶして虫がつかないようにしている先祖の知恵なのだ」ということを聞きました。納得。でも煙い。土を盛り上げたベッドもあるし、きっと中はがらんどうだろうという予想ははずれました。何よりデザインが凝っています。それと、たいていの家には家畜スペースがあって、大切な家畜は主人たちと一緒に寝起きしているそうです。

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■北部の家
エチオピア北部では、石造りの家がたくさん見られます。基本構造は変わらないと思いますが、木のかわりに石を積んで壁を造っているのが特徴です。石が簡単に手に入らない南部とはちがって、そこら中に石がごろごろしている北部では、この資源を使うのは当然というわけです。しかし、畑の開墾については、この石がそうとう農民を苦しめたのではないでしょうか。デブレブラハンで見た家は、大黒柱が1本ではなく2本あるようで、それによって家の形が丸から長円形になっていました。そのぶん構造が複雑になりますが、より広い空間が確保できそうです。

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■南部の家
南部諸民族州は広大な面積を持ち、その名の通りいくつもの民族で構成される多民族地域です。家の形態も各民族によって異なることは容易に想像できますが、とりあえず、州都アワサからそれほど遠くないホサイナという町の近郊で見た家を紹介します。ご覧の通り、基本構造は変わりませんが、屋根だけでなく、家全体を藁葺きにしているところが、なんともおしゃれで雰囲気満点です。この地域は雨が多いので、土壁よりはこうして全体を藁葺きにした方が通気性が良く快適なのかもしれません。また、それまで他の地方で見た家とくらべたら、ひと回りサイズが大きいのが印象的でした。収穫物を家の中で貯蔵するとか、小型家畜 (羊、鶏) ではなく大型家畜 (牛) を家に住まわせるとか、家が大きい理由はちゃんとあるのだと思います。

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■東部の家
エチオピア東部の乾燥地域では、近年は政府による遊牧民の定住化政策が進み、家を建て、定住生活を選択する人が増えています。ただ、もともと定住という生活様式には向かなかった土地ですから、建築材料も乏しく、あまり立派な家はありません。ディレダワ近郊で見た家も、土造りの小さなもので、一見すると「貧困の結果?」などと考えがちです。しかし、日中40度以上にもなる厳しい太陽の日差しを防ぐには、厚い土の壁で囲うのがもっとも経済的かつ効果的です。雨がほとんど降らないので、家の内部はカラッと乾燥していてとても快適です。もともと、家の中のように空気がよどんだ場所にはできるだけいたくないという人達ですから、寝るためだけの家としてなら、これで必要十分ということなのでしょう。

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■家を建てる時期
エチオピアの人達は、どういうタイミングで家を建てるのでしょうか。大きな区切りとしては、日本と同じく結婚があげられます。新婚さんはやはり新居に、ということで、結婚するときは式の費用だけでなく、家を新築する費用も必要になります。イスラム教徒は4人まで妻をめとることができる、ということは日本でもよく知られていますが、東部の乾燥地域はイスラム教徒が多く、やはり複数の女性と結婚している男性がたくさんいます。マタハラで会ったカラユ族の男性は、2人目の妻をめとったことから、隣に家を新築しました。もとの家には1人目の奥さんとお母さん、新しい家には2人目の奥さんを住まわせ、自分は毎日交互に両方の家で暮らしているそうです。なんとも不思議な社会ですね。

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